映画って人生!

宮﨑あおいさんを応援します

「空白」(2021)心に沁みる作品。ほんのわずかな寛容さで、人は生き返る!!

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吉田恵輔監督作品ということで楽しみにしていました。

交通事故で娘を失った父親が、事故の原因となったスーパーの店長を追い詰めるべく、マスコミやSNSを巻き込み激しい憎悪をエスカレートさせていく暴走の顛末を描いたヒューマン・サスペンス。

監督自らが語る「最高傑作!」という作品、観ないわけにはいきません。😊「BLUE/ブルー」の後だけにまた最高傑作かと、連発に驚いています。今回は前作よりも世界感が広くて深い!!すばらしい作品だと思います!

監督:吉田恵輔、企画・製作:河村光庸、撮影:志田貴之編集:下田悠、音楽:世武裕子

出演者:古田新太松坂桃李田畑智子、藤原季節、趣里、伊東蒼、片岡礼子寺島しのぶ、他。

ある日、スーパーで中学生の花音(伊東蒼)が店長の青柳(松坂桃李)に万引きを見咎められ、逃げて道路に飛び出した末、凄惨な事故に巻き込まれて命を落としてしまう。シングルファーザーの添田充(古田新太)は、変わり果てた娘を前に泣き崩れる。日頃、娘の気持ちなど気にもかけてこなかった添田は、せめて彼女の濡れ衣を晴らそうと、青柳を激しく責め立て始めるのだったが…。

添田は何故これまで添田を痛めつけるのか、青柳は何故ここまで添田の暴言・暴行に耐えるのか。このドラマに出てくる人全員の心に何かが欠けている。人はこの何かで苦しんでいる。社会も苦しんでいる。この「何か」をどうやって埋めるか?

おばあちゃんが教えてくれた「人はそんなに悪くない!」にヒントがあり、これまで目に見えない小さなことに、真実が見えてくる。SNSの発達した現代世社会のなかで、ますます見えにくくなった真実。あなたの「少しの寛容な気持ちで真実が見えます」という話です。そんなことかという話ですが、小さなエピソードの積み上げで、すばらしいドラマを見せてくれます。映画「ドライブ・マイ・カー」(2021)並みの傑作です!

観客は劇中の人物の誰かに「似ている!」と思うでしょう。あなたの悩み解決の糸口が見つかるかもしれませんよ!

あらすじ(ねたばれ):

小さな漁船の船長・添田古田新太)。親を海で亡くした若者・野木(藤原季節)と漁に出て、口うるさく漁を教える。野木は「自分の言うことが一番正しい、怒りっぽい男!うるさい!もう辞めたい!」と愚痴が出る。

海をバックに語られる物語。荒海という人生に翻弄される中で、どうこの荒海を乗り切るかを問うた作品だと思います。海が美しい!!

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添田は離婚して中学生の娘・花音(伊東蒼)と住んでいる。花音はどこか寂しそうで大人しい子。担任の今井先生(趣里)から工作時間に「人の助けを借りて時間までに仕上げなさい」と注意されるマイペースな子。母親・松本翔子(田畑智子)に買ってもらった携帯を父親に「こんなものはいらん」と捨てられても、決して文句を言わない。父の言うことを素直に聞く子だった?

荒海で漁をしながら、男手ひとつで育てた花音が添田の唯一の人生の希望だった。

そんな花音がスーパーアオヤギで化粧品を万引したと店長の青柳(松坂桃李)が執拗に追い廻し、花音は逃げるなか自家用車に追突し、さらにダンプトラクに引きずられて即死。花音の顔面は潰れていた。これに添田は激しい怒りを覚えた。

報道番組では女生徒が万引したかは意見が分かれていた。店長さんは不愛想な人で何を考えているかわからない人のようです」と伝え、青柳への批難が殺到する。

添田は娘の花音が化粧品を盗むなんてことは考えられない!これが真実なら添田の人生は意味がない!

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怒りの矛先はまず青柳。葬式時、弔問の小柳を掴まえて「なんで執拗に追った?罪つくりか?花音は化粧しない!」と怒鳴り、脅す。青柳は添田の怒声に怯え、声が出なかった!「謝罪がない!」とさらに怒りが大きくなった。

添田は「花音が化粧すると思うか?」と野木に聞くと「俺も若い頃やったから、やったかもしれない」と答えたので、野木と別れることにした。ひとりでの漁で、網を上げるのは大変だったが、野木の意見を聞く気はなかった。

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報道番組がこの事件を面白可笑しく切り取り、添田と青柳を悪者として報道し始めた。この報道が一層添田の怒りを大きくしていった。

スーパーアオヤギのベテラン店員・草加部麻子(寺島しのぶ)が青柳に「あなたがやったことは正しい。だから相手に主張したら!」と励ますが、青柳は素直にこれを受け入れられない。草加部はボランテイア活動にも積極的に参加するベテラン社員だが、独善的なところがある。青柳には「若い頃はフーテンで親父の死に目にも会えなかった。その俺に店長が務まっているのか?」という負い目で「自分で店を守りたい!という想いがあって、今回の万引には強く出た。麻子にも口を挟んで欲しくない。

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青柳が実家に帰ると年老いた母に「本当のことを話しなさい!人というのはちゃんと伝わるよ。世の中、そんなに悪い人ばかりでない」と言われた。

仏の花音に会いに来た元妻・翔子は「あの子は化粧していた。透明のマニュキア。盗んだかも知れない」という。添田には「娘を育てるには、父親は無理」と言われているようで、翔子のいうことを完全に無視した。翔子が「今、妊娠している。この子を守る!」と言えば、「俺にはもう誰もいない!」と嘆いた。

添田は学校に「誰かに虐められて、万引きをやらされたのではないか」と怒鳴り込む。担任の今井先生は「もしかしたら自分の指導に問題があったのでは?」と悩み、生徒からアンケートをとって真実を知ろうとする。

添田は「“花音は印象にない”というアンケート結果が信じられない、自分がやる」と学校の調査に抗議する。たまりかねた校長が「青柳はある生徒の姉をレイプした」と明かす。添田は「花音もレイプが目的で青柳に追われたのでは?」と新たに怒りが出てくる。

青柳がTV番組の収録で「万引きが増えており取締が必要だった!しかし、少女を死なせたことは後悔している」と喋ったが、放送では「後悔している」が抜けていた。マスコミにも何かが欠けていた。これを観た添田の怒りがさらに激しくなり、実力行動にでるようになっていった。

歌音を轢いた乗用車の運転手・中村かなえとその母親が家から出てくる添田を掴まえて謝罪するが、添田は無視した。

青柳はスーパーの前に立って脅し、化粧品を万引する振りして脅し、居酒屋に入り「花音を誑かそうとしたか」と脅す。これに草加部が青柳に代わり必死に抵抗した。

商売が行き詰まり始め、退職者が出だす。こんなときにも草加部が必死に支えてくれるが、青栁は「もう商売は終わりだ!」と思った。

青栁は夜、添田に謝罪に訪れた。土下座して謝った。それでも添田は事故現場に添田を連れ出し「本当のことを言え!俺なら他人に迷惑を掛けず、ひとりで死ぬ!」と責めた。

青柳が自殺を図ったが、草加部に 助けだされた。草加部は「死んでは誤解される。正しいことを正しく伝える」とキスした。これに青柳は耐えられなかった。以後、ふたりは会話のない関係になっていった。

運転手の中村かなえが自殺した添田は責められるのを覚悟に弔問に訪れた。母親から「本当にすみませんでした。心の弱い子を育てたのは私の責任です。罪は私が背負って参ります」と告げられた。添田はなぜこの母親は怒らない?

添田は家に戻り、歌音の遺品を調べた。ぬいぐるみの中から沢山の化粧品が出てきた。彼女が描いた絵がでてきた。

大勢のTV取材人がやってくる。これを野木が阻止していた。野木は別の船に乗ってみて野木の漁師としての腕の凄さ、本当の優しさを知った。

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野木が訪ねると、添田が変わっていた。青い空にイルカが浮かんでいる絵があった。「イルカではなく雲だ」という。野木が「一緒に働きたい」と申し出ると「うれしい!」と受け入れた。

スーパーアオヤギは倒産した。草加部はカレー作りのボランテイア活動に、参加したくないという女性を強引に誘った。彼女がカレー鍋をひっくり返してしまい、その始末をしながら、自分の不甲斐なさに泣いた!

歌音の墓参り。添田は翔子に生まれてくる女の子の名が「明音」と聞かされ、大いに喜んだ。「みんな、どうやって親をやっているのか」と翔子に聞いた。

添田は交通整備員として働いている青柳に会いうと、彼が「初めて会ったときに伝えるべきでした」と謝った。「俺もあんたも大切なものを失った。しかし、あんたは何べんも謝ったが、俺はまだ一度も誤っていない」と謝った。

青柳は見知らぬ工事人から「あんたの店で作る焼き鳥弁当は上手かった。また作って欲しい!」という言葉を聞かされて、やっと救われた。

今井先生が「花音ちゃんの絵です」と学校に残していた絵を持ってきてくれ、そこに同じ空が描いてある絵を見て、「俺と同じだ!」と花音の思いを知って泣いた。

感想:

なぜ添田は変わったか?がテーマ。人の話を聞くという少しの寛容さがあると、事態は一変するという話でした。ラストシーンの添田の花音を思い出して泣くシーンには貰い泣きでした!古田さんがこんな演技するの!

「正しいとか誤っているとか」自分の正義を持ち出しても問題は解決しない!

人間誰しも自分の弱点を隠したい添田はいい父親、青柳は商売の出来る店長、麻子は自分の善意は正しいと、自分を主張する。この自分の正義で相手を傷つけ、皆が加害者であり被害者になっていった。この連鎖を断ち切るには、自分の罪を認め、赦しを請うこと。相手を思いやり、自分が変わることです!

添田役の古田新太さん。怒りが様になっていました。恐ろしかった。しかし、それからの変貌も見事で、怒りは愛から出ていたということが分かるという絶妙な演技でした。おそらくこの作品が代表作になるのではないでしょうか。

青柳役の松坂桃李さん。「虎狼LEVEL2」が公開されている中で、刑事・日岡とは真反対の真面目で繊細な小心者で、添田の怒りを全部引き受けるという受け身の青柳役演技がすばらしかったですね、

もうひとり、藤原季節さん。目がきれいで、この物語のなかで唯一迷いのない純真な野木の演技は印象的でした。期待したい俳優さんです!寺島さん、田畑さんは申し分のない演技でした。

心に沁みる作品でした。ほんのわずかな寛容さで、人は生き返る!!

          *****

「マスカレード・ナイト」(2021)

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東野圭吾さんのベストセラー小説“マスカレードシリーズ”第2作。前作で犯人捜しに失敗したので、今回は当ててやろうと、原作未読で挑戦。結果は難しかったですね。推理を楽しむ余裕もなく、二転三転、種明かしで、そうだったのかという始末でした。(笑)まあ、俳優さんでは見当つかないだろうと、とんでもない人をマークしていましたが大外れでした。(笑)。

スタッフ、キャストは前回作とほぼ同じで、新しく容疑者サイドが加わり、登場人物が20数人にもなりますが、何とか物語について行けるのが良い。(笑)

監督:鈴木雅之脚本:岡田道尚、撮影:江原祥二、編集:田口拓也 田村宗大、音楽佐藤直紀

出演者:木村拓哉長澤まさみ小日向文世梶原善泉澤祐希、東根作寿英、石川恋、中村アン田中みな実石黒賢沢村一樹勝村政信木村佳乃凰稀かなめ麻生久美子高岡早紀博多華丸鶴見辰吾篠井英介石橋凌渡部篤郎、他。

あらすじ

ある日。警察に届いた特命の密告状。それは数日前に都内マンションの一室で起きた不可解な殺人犯が12月31日のホテル・コンテシア東京で開催される年越しカウントダウン・パーティー、通称「マスカレート・ナイト」に現れる、というものだった。大晦日当日、捜査本部に呼び出された警視庁捜査一課の破と荒な刑事・新田浩介(木村拓哉)は、かっての事件同様、潜入捜査のためホテルのフロントクラークとして働くハメに。優秀だがいささか真面目すぎるホテルマン・山岸尚美(長澤まさみ)と事件解決にあたるが、パーティーへの参加者は500名、全員仮装し、その素顔を仮面で隠している。次から次へと正体不明の怪しい人間がホテルを訪れる状況に、ふたりはわずかな手がかりすら掴めずにいた。

刻一刻と迫りくるイムリミット。増え続ける容疑者。犯人の狙いは?密告者とは?残されたわずかな時間で、新田と山岸は顔も姿もわからない殺人犯の仮面に隠された「事実」に辿り着くことができるのか?(チラシ引用)

感想(ねたばれは最小限に):

冒頭、新田とダンスインストラクター奥田真由美(中村アン)によるダンスレッスンシーン(アルゼンチンタンゴ)から物語が始まります。なぜアルゼンチンタンゴなの?伏線でもありますが、“刑事の心得”というもの、ここではどう山岸との関係を築くかではないでしょうか!😊

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物語は大晦日1日の物語。1日に絞り込んでいるのが良いんですが、実は前半が冗長!です。後半、カウントダウン・パーティーに入ってからは華やかで、スピーディーは犯人捜し、興奮しましたね!

舞台となるホテル・コンテシア東京。ホールから外に出てカメラを引いて周辺風景を描いて、内部を入り各施設の動線がわかり、豪華で、とても楽しめるホテルでした。コロナ禍での映画鑑賞だけに、これは楽しめました。

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密告状の分析。「練馬で起きた殺人事件の犯人が、以下の日時・場所に現れますので逮捕してください。12月31日 午後11時、ホテル・コルテシア東京、カウントダウン・パーティ会場。

被害者情報:被害者:イズミハルナ28歳。職業はペットのトリマー。死因:タイマー付きコードで感電死。服装:ロリータファッション。ハルナは妊娠しており、部屋には指紋はなく、携帯電話なし。

これに基づきホテル内に捜査本部が開設されPM3時から捜査活動開始。ダンスレッスンを終えた新田が招集されホテルに到着。2年ぶりに山岸に会った。山岸はコンシェルジュに昇格、風格が出てきましたね。横浜から移動してきた氏原(石黒賢)とホテル・コルテシアロスのスタッフ推薦を争っています。

宿泊者が集まりだします。情報はないので、事件解決はテルマンと刑事の感に頼ることになります。

このシリーズの面白さは新田と山岸のバディ・ストーリー。警察とホテルマンが各々の使命に基づき,対立しながら、お客様の要望を満たし安全をいかに守るかです。コロナ対策に似たところがあります!

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「新田の接客態度は未熟!」と氏原から接客業務を止められ、新田の業務はもっぱら監視が主体になり、山岸を援助することになります。物語は山岸のホテルマンとしての成長物語となっています!彼女がどう変化していくか?

警察はカウントダウン・パーティまでの素顔が見れる間を重視した捜索をしたい。一方、ホテルはお客様に楽しんでいただくためのサービスを目指す。前半はこのふたつのせめぎ合いが描かれます。ここで、山岸はとても大切なこと、自分は新田に守られていることを学びます。普段の生活のなかでも大切なことです。

いよいよお客さんの登場です。

曽野夫妻が子供連れて。夫・昌明(勝村政信)が名簿を確認。昌明はこのホテルを利用して浮気している常連だった。

妻・真智子(木村佳乃)は回りを見まわし、人を探しています。貝塚由里(高岡早紀)がやってきた。真智子と由里は顔見知りでした。

すでに仮装した人もいる。秋山久美子(田中み美)が「絵のない部屋と言ったでしょう!」とクレームを付けてきた。山岸が対応するとなんとホテルの外の広告絵(サンマさん)か気に入らない。(笑)そこで山岸は・・・。

日下部(沢村一樹)が「恋人が来るので、いい返事がもらえたらバラの道を歩きたい!」と難問を押し付けてくる。そこに恋人の狩野妙子(鳳稀かなめ)が「主人がいるので恋人は嫌、うまくやってちょうだい」と現れた。お客の希望にノーと言えない山岸が取った行動は・・・。次から次へと無理難題を押し付けてくる日下部、この人は何者だ?

ふたりで予約していた中根緑(麻生久美子)がひとりでやってきた。「パーティーには参加しない。夫は後で来る」という。キャッシュカードの名が違う。彼女が部屋を空けた隙に中を調べるとタバコとライターはあるが灰皿がきれいだった。新田は部屋の戻った緑に外のビルに「happy birth day」の文字を写して見せ彼女の美しい涙を見た。

山岸が誕生日を祝って、ホテルのサービス料理をもって彼女の部屋に行くと「実は去年ここで結婚式を挙げる予定だったのだが、夫はガンで亡くなった。思い出のために来たのでブライダルルームやチャペルを見たい」という。山岸は新田を伴って緑を案内していた。

そこに刑事の能勢(小日向文世)が捜査状況を知らせにやってきて「相棒復活ですね!」と笑顔で挨拶。このドラマの捜査状況は能勢を通して語られます。が、加害者等の名前(偽名)が分かり辛く新田の話についてゆけない!これで犯人の推定が出来るのかなと不安になった。ラストまでこの状態が続きました。😊

しかし能勢が喋った「新田が突然客の部屋に入ったりするのはホテルの安全のためです。あなたも含めて!」の言葉はよかったですね!このひとことは山岸の心を捉えました。山岸はここから大きくな変化を見せていきます。

田舎のおっさん風の浦部幹夫(博多華丸)がゴルフバッグを持ってやってきた。部屋に案内したボーイが彼の服から猫か犬の毛を発見!捜査本部が湧きたつ。

しかし、話が冗長すぎました。お笑いで取り入れたのでしょうが余りにも非現実で笑えない!特に日下部の話はひどすぎました。

カウントダウン・パーティーの開始

雰囲気は一転、華やかなムードになります。こんな状態で犯人を捜し出せるのかと不安になります。これまでの伏線は?と考えるのですが思いつかない。(笑)

心配不要でした。ダンスと種明かしが同時進行する作りになっていました。😊

お客様はそれぞれの仮装姿に会場に参集!刑事たちもそれぞれの配置についた。曽根真智子が魔女の仮装でその杖が目立つ。真智子はホールで誰かを待っている。参加しないといっていた浦部がペンギンの仮装で派手に動きだす。日下部も仮装。由里はロリータファッションです。新田はファントム仮装でダンスに加わる。すると逮捕者の尋問が始まった。新田が刑事の目で犯人を追う・・・。

尋問内容を聞いたが、名前がピンとこないで、内容がよく分からなかった。(笑)

 そしてカウントダウンが終わって、なんと時計のトリックが始まるとは・・。

“最後まで犯人が分からなかった”のだから、すばらしい脚本と言うべきなんでしょうね!でも何か物足りない!

最後の捜査本部の「解散!」、能勢と新田の別れ、新田と山岸の別れ、これがよかった!😊新田と山岸の別れは丁寧で、しっかり山岸の成長を見届けての別れでした。キムタクさんも大人になりましたね。😊

           ****

「レミニセンス」(2021)“レミニセンス”って壮大な恋が楽しめますね!

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ほぼ浸水した都市を舞台に、記憶に潜入するエージェントが、謎の女性を探し求めに記憶の深淵へと向かうSFサスペンス。

メメント」(00)「ダークナイト」(08)「インターステラー」(14)とクリストファー・ノーラン監督作品で脚本を担当してきた、弟のジョナサン・ノーランが製作担当、彼の妻のリサ・ジョイの長編初監督作品です。これまた記憶にまつわるSF話ということで観ることにしました。😊

監督・脚本:リサ・ジョイ、撮影:ポール・キャメロン、美術:ハワード・カミングス、編集:マーク・ヨシカワ、音楽:ラミン・ジャヴァディ。

出演者:ヒュー・ジャックマンレベッカ・ファーガソン、ダンディ・ニュートンダニエル・ウークリフ・カーティス、他。

都市が海に沈んだ近未来のマイアミ。孤独な退役軍人のニック(ヒュー・ジャックマン)は、相棒のワッツ(タンディ・ニュートン)と共に、顧客が望む過去の記憶を、特殊な装置を使って再現することをなりわいにしていた。

ある日、メイ(レベッカ・ファーガソン)という魅力的な女性が現れ、ニックはたちまち恋に落ちるが、メイは突然姿を消す。必死にメイを捜すニックは、やがて、ある陰謀と自分が愛した女性の真実を知ることになる。(映画COMより引用)

物語は魔性の女性の過去を追って大きな陰謀にぶち当たるというラブストーリーが主体で、アクションありのSF物語です。物語の背景が人間の自然破壊で都市が海に沈むというディスピアな世界のなかでの人の暮らし、水没都市マイアミの映像を見るのは楽しみです。

脳に入って相手の記憶を読むとなると「インセプション」(2010)ということになりますが、対象者の記憶に入ってもそれに触れないし、階層もなく、ただ記憶の事実を知るということで、この作品の面白さは登場するキャラクターの断片的な記憶の場所・時間を特定し時間軸で並べていくところです(映像トリック)。

あらすじ(ねたばれ):

物語は冒頭、水没した都市マイアミの風景から始まります。「千と千尋の神隠し」に出てくる水没した線路を走る電車!うつくしいです。

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記憶潜入エーゼントとして活躍するニック(ヒュー・ジャックマン)が水びたしの道路の中でハートのクイーンを拾って街頭の占い師に返して事務所に入る。美しい女性に遭える予感です!そこにはアシスタントのワッツ(ダンディ・ニュートン)が待っていた。客としてニックの戦友ハンク(ハビエル・モリーナ)が13年前の愛犬アンジーと遊んだ記憶を見るために訪れた。首に精神安定剤を打って、神経接続用のヘッドギアーをつけて浅い水槽に入れる(記憶潜入装置)。電圧を30ボルトに保ち、過去の記憶をスクリーンに投影します。スクリーンは無数の光学繊維を円状に配置したもので記憶を立体的に再生できます。ニックの声で時間や場所を指定して記憶を呼び戻します。

ハンクは愛犬アンジーと戯れて、喜んで帰りますが、ニックはハンクのような身障者からは料金を貰わない!「これでやっていけるの?」とワッツが不平を漏らす。

水没で人々は未来に対する希望失い郷愁に身をゆだねる娯楽ビジネスとしてもて囃されていました。我が国では東北大地震におけるボランティア活動で、津波で流れた写真を集め洗浄する活動が話題を呼びました。

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店を閉めようとしたところに美しい女性メイ(レベッカ・ファーガソン)が鍵を無くしたので探して欲しいとやってきました。ニックは全裸になってもらい、イヤリングも外して、記憶潜入装置に入ってもらい記憶を呼び戻します。ニックはカット、カットと自分の観たい?記憶を呼び起こします。そこにはココナッツクラブで「いつかどこか」(1937)を唄う記憶に心を奪われてしまいました。ファーガソンは「グレイテスト・ショーマン」(2017)でオペラ歌手として歌いましたが(アフレコ)、今回はどうなんでしょう。とても心に沁みました!

彼女はイヤリングを残して去っていきました。ワッツが「鍵がどうなったの?」とニックに聞きますが。(笑)

ニックは犯罪捜査に協力していて、裁判所に顔を出すと検事のエイブリー(ナタリー・マルティネス)から「悪徳地主のウォータールー・シルバン(プレット・カレン)が無罪放免になる。海面上昇で土地を無くした人から金を巻き上げているから街が荒れるぞ!彼らは水に浸かったサンクン・コーストに住んでいる」と嘆いていた。

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ニックは舟でサンクン・コーストのバーに飲みにいって、そこで唄っているメイに出会った。カウンターで話すと「歌は4年前にやめた」という。「何故歌う前に涙を流す!」という話題から、「泊まって行かない」というメイの誘いで、ニックはメイの魅力に嵌った!

ところが突然メイが姿を消した。ニックは記憶潜入装置に入ってメイの記憶を探していた。

検事エイブリーに依頼されて、裁判所の古い記憶潜入装置で麻薬王セント・ジョー(ダニエル・ウー)の売人・フォークス(サム・メディーナ)の記憶を調べることになった。2Dスクリーンに映し出される映像。クラブでメイが唄い、ジョーが「俺の女になれ!」と麻薬を勧める映像を見て驚いた!

目覚めたフォークスから「麻薬をやり希望も気概も無くし無敵の境地に入って行った」と聞かされた。

ニックが店に戻りワッツに麻薬の件を話すと知っていたという。

ニックが電車に乗り、水びたしの街を見ながら、ニューオリンズ麻薬王ジョーの館を訪ねた。「ロレンソの紹介だ!」と面談し、薬を売ってくれと申し入れたが、ロレンソはすでに死んでいると身元を怪しまれ、拳銃を使うのは惜しいとウナギの養殖水槽に顔をつけられる有様。(笑)「何しに来た?」と問われ「女を探しにきた」と言うと「あの歌手は5年前に金と麻薬を持って出て帰ってこない」という。そこにワッツが拳銃を持って侵入してきてジョーを目がけて発砲。これが水槽にあたり、ニックは命拾い!(笑)

ここでのジョーとその部下対ニックとワッツのアクション。なぜかスローモーションなんですね!ヒュー・ジャックマンが動けない?ワッツの1発がジョーの胸を貫いた。

ニックは記憶潜入装置に入り、メイがマイアミに流れてくるまでの足取りを追ったが、「俺から何を盗んだ!最後に見たものはなにか?」と新しいものを探ったが見つからない。

ワッツはニックが不在のときメイに会った時のことを話した。メイに同情し「自分は元兵士だったが酒で失敗し、工場で働いていて火災事故を起こし、ニックに助けられて、娘を実家に預けてここで働いている」と話すとメイが「麻薬依存症だ!」と話したという。ワッツは「私も悩んだ!貴方を失うのではないかと」と言った。

ニックは資料庫で、常連客のエルザ・カリーン(アンジェラ・サラフィアン)の資料が抜かれていることに気付いた。エルザに会いに水上マーケットを訪ね、そこでメイに似た女性に会ったが逃げられ、ある男から「エルザは死んだ。フェレディはエルザの息子、あの女がさらった」と聞かされた。

ニックはシルバンが釈放された日の市民大集会。そこで見た男女の顔を思い出し、記憶潜入装置に入りエリサの記憶を辿った。エリサが一緒にいた男はサイラス・ブース(クリフ・カーティス)。警官でありながらジョーの配下となっていたが、5年前に仲違いし今ではマイアミに住んでいるという。

かって店を訪れたことのあるシルバンの妻・タマラ(マリーナ・タビラ)の記録(メモリー)を見た。エリサの恋人はシルバンだと分かった!

ワッツが「本当にメイを愛しているの?メイは犯罪に関係している」と捜索に反対した。ニックは「俺と別れて新型記憶ポットの仕事につけ!」と袂を分かった。

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ニックはシルバン邸に忍び込みタマラにエリサに子供が出来たこと、ブースにはメイが付いていることを確認した。

ニックは舟でブースの住む廃屋のホテルに踏み込んだ!ブースの生き方は「生は死、善悪はない」という非情な男だった。メイは逃げ出し自殺した。ブースとニックがホテルの屋上、ホール又水中で激しく戦った。

亡くなったメイの記憶。「ハッピーエンドの物語を聞かせて!」とせがむから「そんなものはない!」というと「幸せの最中の話でもいい」という。神話オルフェウスの話を途中まで話したことを思い出した!悪魔にメイを返してもらいたい心境だった。

ニックはブースを記憶潜入装置に入れて徹底的に彼の記憶を調べ上げた。メイとブースの関係を知り、ニックは「騙された!」と地団駄を踏んだ。ブースがエリサを殺害し、メイがフェレディを隠したことやニックと不倫したことで、ふたりの関係が険悪なものとなっていくなかで、メイがニックに会いに来たが会わなかった。このことがニックを苦しめた。

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ニックはシルバン邸に乗り込み、息子セバスチャン(モーシャン・アリア)が資産欲しさにブースを雇ってエルサ殺害したことを検事に暴いた。

ニックはワッツがいる新型記憶ポット店を訪ね「俺には君しか友人がいない。俺は大きなものを取り逃がした。未来で君を待っている。俺の側にいてくれ!」と告白し、記憶潜入装置に入り、メイとの想い出の記憶を辿っていた。

ニックはメイの思い出の中で“神話オルフェウス”の話していて「悪魔に頼んで妻を返してもらうといいね」を思い出しているところに、記憶潜入装置に潜って以来ずっと世話しているワッツが花を持ち、娘を連れて訪ねてきた。ニックは微笑んでいだ!

 感想:

「レミニセンス」って壮大な愛が楽しめますね!物語は少し詰め込みすぎました!さてラストシーンをどう捉えるか?ニックは眠り続けるか、ここで目覚めて、ワッツと未来へ踏み出すか。😊ストーリーはこのラストシーンで救われたと思います。水が少し引き始めましたね!偶然好きになった人を追うより、すぐ側にいる人を大切にしたい!面白い作品でした。

リサ・ジョイの時間マジック。どちらかというと「メメント」に近い?これまでのクリストファー・ノーラン監督作に比べればごく易しい時間軸マジックです。それでも過去、現実、記憶が混在し、一回観では難しい!(笑)おそらく騙されているんだろうと思っています。(笑)

本作はリサ・ジョイ監督の長編初監督ということで、やはり予算を考えなければならなかったんだろうと思います。

折角のマイアミ水没という壮大な世界感が、ほとんど静止画になってしまって、作品の中にもっと動的に取り込みたかったが、できなかった。アクションも、水中でのアクションなどもありましたが、貧弱であったと思います。

俳優さんの演技、難しい役でしたが熱演でした。レベッカ・ファーガソンの美しさ、ダンディ・ニュートンのスカットした演技が印象的でした。

今後のリサ・ジョイ監督作に期待したいと思います!

                                      ****

「ピータールー マンチェスターの悲劇」(2019)

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1819年にこんな凄惨な事件が英国であったということを知りませんでした。イギリスの名匠マイク・リー監督作品ということで、WOWOWで鑑賞しました。

日本では1819年に阿部正弘江戸幕府老中首座)、安藤信正江戸幕府老中)、1823年に勝海舟が誕生、こんな時代の話です。

監督・脚本マイク・リー撮影:ディック・ポープ、編集:ジョン・グレゴリー、衣装:ジャクリーン・デュラン、美術監督スージー・ディヴィス、音楽:ゲイリー・ヤーション。

出演者:ロリー・キニア、マキシン・ピーク、デヴィッド・ムースト、ピアース・クイグリー、ティム・マッキナリー、フィリップ・ジャクソン、レオ・ビル、他。マイク・リー監督作品ということで豪華です。

1819年、ナポレオン戦争後で困窮のさなかにあるマンチェスター。深刻化する貧困問題の改善を訴え、政治的改革を求める民衆6万人がセント・ピーターズ・フィールド広場に集まった。鎮圧のため派遣された政府の騎馬隊は、非武装の群衆の中へ突入していく。多くの死傷者を出し、イギリスの民主主義において大きな転機となったこの事件の全貌を描くというもの。

選挙権取得のための民衆運動マンチェスター生まれの監督がこの歴史を知らなかったというほどに、印象の薄い革命史だったんでしょうか?この映画で事件の概要を知ることができ、作品の意義はここにあると思います。

複雑な事件の背景がシンプルにまとめられ、美しい絵とセリフ特に演説で分かりやすい。Wikipediaを読んでもピンとこないが、この作品を観ると理解できます。😊

革命史における位置づけは分からないが、民主主義の原点を知り、衆議院選挙を前にしてこの作品を観たことに意義がありました。お勧めしたいと思います。

200年前の事件を民衆、革命家、行政官、国家の目線で、限られた尺の中で、描くのは大変だったろうと思います。特に衣装やメイク、乗り物と歴史再現がすばらしく、ラストの騒動描写は圧巻の絵巻物になっています。

あらすじ(ねたばれ):

ヨーロッパ諸国を巻き込んだナポレオン戦争はウォータールーの戦いで終結した。フランスを破った指揮官は英国のウエリントン侯爵だった。

ラッパ手・ジョセフ(ディヴィッド・アームスト)は戦場が静まり返ったことで終戦を知り、故郷マンチェスターを目指して帰還中であった。

そのころ、貴族院は国民の謝意を示す必要があるとウエリントン侯爵に75万ポンドの報奨金贈与を議決した。そしてウエリントン侯爵の指揮下で活躍したビング将軍がランカシャー地区の暴動鎮圧のため軍司令官を命じられた。

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ジョセフは帰宅を喜んで家族が集まったが、彼は寝た切りで戦の話もしない。

父・ロバートは織物工場の職工。マンチャスターは織物の街で栄えていたが、今では不景気で週数日の勤務。母(マキシム・ピーク)は自製のパンを路上で売ってるが、小麦の値上がりで儲けにならず、借金で卵を買わねばならない有様。兄は失業中。その嫁は小さな子どもを抱えていた。目が覚めたジョセフは仕事を探すが見つからない。

家族の中で生き辛さが話題になる。「穀物、庶民を苦しめる悪法だ。議員のほとんどは儲かっている地主!」と。

路上で老女が生活苦を歌にして唄っていて、これが心に響きます。不景気で泥酔者や窃盗犯がはびこっていた。公安判事は容赦なく刑を下す。

こんな世情で、酒場が演説会になっていた。

弁士が「政府の腐敗を誹謗や選挙権がないと自由も財産も保証されないと演説。これらのリーダーであるナイト(フリップ・ジャクソン)が演説を総括する。

今を救済できるのは議会だけだ。議会の役割は市民の幸せと法の下の平等だ。故人の安全と財産を守ることだ。労働を神聖なものだ。庶民院の議員を選ぶ権利は認められている。そのため以下の改革を求める・・

選挙区の区政の平等化。

人口に見合った議員数。

議員はその選挙区の居住者であること。

全ての成人男性が投票権を持つこと。

議員は毎年選挙で選ばれること。

この演説にミルトン出身の弁士サミュエル・バムフォーロ(ニール・パル)が

官憲は腐敗している。我々は自分の代表を選び政府に反論し、人間としての尊厳を取りもどす」と付け加えた。諄いですが、あえてこの文を載せておきます!

ここにロバートとジョセフが参加し感激して家の戻り家族に聴かせ、「このために団結するんだ!」と言い聞かせた。

工場でも演説会が持たれた。これにもロバートとジョセフの兄が参加していた。弁士に立ったバグリー、ドラモント、ジョンストンの過激な言動に、ナイトは「国王を追放するのが改革とは思えない!」と結んで演説会を終えた。

兄が「摂政王太子(ティム・マッキナリー)に会いに行くと言い出し、母が「暴力は捨てなさい!小さいところから始めないと」と厳しく諫めた。女性の家族を守るという本姓がよくでた言葉でした!

この演説会を隠れて副公安官のネイデンが聞いていた。治安判事たちはネイデンの「武装蜂起を企んでいる。証拠はないが作ればよい」という案に賛同して、貴族院議員シドマス卿に「膨大な敵の市民が蜂起を企んでいる。彼らのゴールは共和制だ」と書き送った。これは事実でないが、万一起こった場合の責任逃れでしょう。これを知った内務大臣は過激な活動家の排除を指示した。

ロンドンにおけるヘンリー・ハントの演説会。バムフォードと親友のドクター・サムが参加し演説を聞いた。「小さい波を大きくして悪しき体制を崩壊させる。そのための選挙法の改正が必要だ」という演説は見事でした。バムフォードはハントに会い「見事な演説だ!」と感想を伝えた。

シドマス卿のところに「改革派の情報ならなんでも売る」というシスター・チャーリーという男が現れた。

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貴族院で摂政王太子が「治安維持のためあらゆる手段を講じて不満分子を封じ込める」と宣言した。その帰り、不平分子(農夫)から芋をぶつけられ馬車のウンドウがひび割れるという事件が発生した。大法廷で「前代未聞の事件!石を投げつけられた。フランス革命の悪しき考えが今の英国民をそそのかしている。これには暴力のみが解決できる」と人身保護法の停止を決定した。

バムフォードはマンチェスターオブザーバー社を訪ねて「大集会にハントを呼びたい!聖ピーターズ広場で政治集会を行う演題は参政権マンチェスター独自の議員選出だ!」と社主・ジョンソン(トム・ギル)に提案した。ジョンソンは「この田舎に話が合うか?」と疑念に思ったが、ハントに依頼文を送った。

ハントに送った依頼文が内務省に伝わっていた。当時の通信システムなら簡単です!内務大臣はビンク将軍に「ハントが加わった集会は危険性がある」と通報した。

マンチェスターでは大集会にために、マンチェスター改革婦人会が結成され演説会が実施された。ジョセフの母も参加した。「男性たちを支援しよう。一致団結が大切、集会に参加しよう」と訴えた。話す言葉が分からないという女性たちとの言い争いが面白い!

ジョセフの家族は全員参加することに決まった。8月の第2月曜日(工場は休む)、平和的にやる、大人も子供も参加。しかし母親が「必ず治安部隊が出る」と不安を漏らした。

マンチェスター連合会を結成し、音楽隊も入って、集会を平和的にするため、済々と行進するなどの訓練が実施された。

しかし、急進派の活動家が大会の趣旨に反する「人民よ!武器を!」と激しい演説をする。彼らを副治安官ネイデンが牢に送った。

内務大臣はギング将軍に「大会当日現地に行って欲しい」と要請したが「所要がある」と断り、代理にストレンジ中佐を行かせることにした。

ハントがマンチャエターに到着したが、集会はマンチェスターの代表議員選挙を取り上げていると当局から1週間延期となっていた。ナントはここに長居すると危ないと言ったが、ジョンソンらが説得してジョンソンの家で過ごしていた。

そこにナイトが訪ねてきて「平和的にやるが、万一に備えたい。1000人に20名ほどの者に武器を持たせたい」と提案したが、ハントは「自分の演説でそんなことは怒らない!」とこれを拒否した。

そして彼は治安官らに会い「逮捕状が出ていない」ことを確認した。彼が帰ったあと、治安官らはあざけっていた。

ハントは雑誌記者のリチャード・カーライルが「参政権だけでない、教会の抑圧からの脱却、王政の廃止」で援助したいと訪ねてきたが「参政権だけだ!」と断った。

大集会の当日。

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各地区から、「議席の売買禁止」「自由と忠義」「愛でひとつ」等のスローガン旗を掲げ、音楽を奏でる中を行進しながら、ピーターズ広場に集まってきた。ナイトが参集者に「思慮深く行動すれば敵が嘘ついていることが証明できる。安全だ!武器は捨てて行け!」と声を掛けていた。広場が人、人で埋め尽くされていた。子供や婦人の姿が目を惹く。

治安刑事、治安官らは広場を見下ろせるビルに陣取り、集会の成り行きを見ていた。「すみやかにハントを逮捕しろ!」という声もあった。

広場の外では騎兵隊と義勇軍がシャンペンを煽って士気を高めていた。

ハントが無蓋の馬車で、他の弁士とともに登場すると、会場が大声援に包まれた。この状態に危険性を感じた治安刑事会の議長が「ランカシャー総督の指示だ」と軍隊に出動を命じた。このときビング将軍は競馬見物していた。これはひどすぎる!

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ハントが弁士たち、女性たちと一緒に壇上に立って「平和と団結!」と声を上げたところでネイデンが登場してハントを逮捕した。奇兵隊義勇軍が一気に広場に駆け込み、大会参加群衆は何をもなすことなく、軍馬に踏みにじられ、修羅場と化した。

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ジョセフは母親が見ている中で胸を剣で刺され絶命した。広場には遺体と負傷者、愛しい人を亡くし泣き崩れた家族が残っていた。この惨状を見た3人の記者は「これは屠殺だ!ピーターズ広場で起こったウォータールーの戦いだ!」と駆け出した。

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摂政王大公は食事中に内務大臣から事件の報告を受け「場所はどこだ?」と聞き「謝意を伝えろ!感謝している」と杯を上げた。

母がジョセフを埋葬しながら「神よ!・・・」。

感想:

今、思うとこんな当たり前の選挙法の要求で、悲惨な虐殺が起きていたんだすね!しかし、未だに完成しない。皮肉ですよね!

選挙の1票は、血を流して得た権利。この悲劇を知ったからには、投票は欠かせません!😊

大規模集会は平和的に行うよう慎重に計画されたものであったが、うその情報やデマで国はフランス改革が波及しては困ると暴力で平和運動を握り潰しました。「マンチェスターの悲劇」は国家がでっち上げた虐殺事件でした。これが恐ろしい!

ラストシーンはラッパ手としてウォータールーの戦に参戦した兵士ジョセフの家族が「神はいないのか」と悼むシーンでした。彼は生まれて、この事件で命を落とすまでに何を成し得たのでしょうか。時代が少し進んでいたらと惜しまれます。冒頭のウエリントン侯爵への報奨金贈与の逸話と比較することで、監督の目線がどこにあったかが分かったように思います。

作品に出てくる演説は説得力があって、今の時代でも使えるというすばらしいものでした。これを名優が行うから尚さらです。(笑)選挙法の改正を訴えたもので、今の日本の現状でもあり耳が痛いです!

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韓国映画「はちどり」(2018)

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1990年代の韓国を舞台に、思春期の少女の揺れ動く思いや家族との関わりを繊細に描いた人間ドラマ。とても評判のよい作品WOWOWシネマ初放送で鑑賞しました。

監督・脚本は本作が初長編となるキム・ボラ。監督自身の少女時代の体験をもとにした作品とのこと。撮影:カン・グクヒョン。音楽:マティア・スタニーシャ、美術:キム・グナ、編集:チョ・スア。

出演者:パク・ジフ、キム・セビョク、チョン・インギ、イ・スンヨン、パク・スヨン、キル・ヘヨン、他。

1994年、空前の経済成長を迎えた韓国。14歳の少女ウニは、両親や姉兄とソウルの集合団地で暮らしている。学校になじめない彼女は、別の学校に通う親友と悪さをしたり、男子生徒や後輩の女子とデートをしたりして過ごしていた。小さな餅屋を切り盛りする両親は、子どもたちの心の動きと向き合う余裕がなく、兄はそんな両親の目を盗んでウニに暴力を振るう。ウニは自分に無関心な大人たちに囲まれ、孤独な思いを抱えていた。ある日、ウニが通う漢文塾に、不思議な雰囲気の女性教師ヨンジがやって来る。自分の話に耳を傾けてくれる彼女に、ウニは心を開いていくが・・・。(映画COMから引用)

1994年、中学2年生のウニが理解できない不条理に遭うが、ヨジン先生と出会うことで彼女の心が動き出すという話。淡々と、14歳のウニの1年間の日常がリアルに情感深く描かれます。が、私たちがどこかでいつか経験したことに出会、反芻しながら観るので、厭きることはありません。だからここで描かれていることは時代や国を越えたテーマです。

国柄や時代が異なり、さらに14歳の女性の心情を理解することは難しいですが、この物語には感動を覚えました。この年頃の少女(男性でも)の普遍的な苛立ちであったり、不安で、その解決策はここに出てくる女性教師ヨンジの言葉にあるからで、その言葉がすばらしいから

ここで出てくる父母は冷たい人に見えて、決してそうではない。その時代を生きてきた人たちで、とても暖かい心を持った人たちでした。😊テーマは時代の不条理です。

あらすじ(ねたばれ):

物語は1994年、ソウル近郊の集合住宅に住むキム・ウニ(パク・ジフ)が母に頼まれた野菜を買ってアパートに戻り、自分のアパートを間違えるというシーンから始ります。当時の集合住宅ブーム、建設バルブを見せつけるカメラを引いた映像が秀逸です。近代化が叫ばれるなかで旧態依然とした家族形態・階層社会の中で暮らすウニが感じる不条理、これが作品のテーマです。これがとれも大切!彼女は新しい時代に生きる人ですから・・。

“はちどり”は美しい小さい鳥で、その羽を1 秒に80 回も羽ばたかせ、 蜜を求めて長く飛び続け、希望、愛、生命力の象徴とされています。ここでは若い女性たちが身体を振るわせて明日の姿を求めているという意味だと解釈しています。トランプリンで夢を語る姿に重なります。

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ウニは授業中も漫画を描いている。英語の本を読まされても、英語で読んでいるとは思えない。(笑)韓国人は英語が上手いはずだが!彼氏のキム・ジワンからポケベルでメールが来る。「611 ・・・」(天子!愛してる!愛してる)。これは懐かしいですね。😊ジワンと手つなぎで帰る。これを知って兄デフンから激しく殴られる。兄はこれが家族の中での役割だと思っている。ジワンとはキスする仲になったのに、彼は別の彼女を作ってしまう。

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ウニには姉のスヒ(パク・スヨン)がいる。スヒは町の高校に入れず隣の高校に通ってる。こんな姉に父(チョン・インギ)は「野垂れろ!クソアマ」と激しく貶す。(笑)しかし、長男のデフンには「生徒会長を続けろ!友達に根回ししろ!金やるからハンバーグを食わせろ」と特別扱いする。(笑)食事時には何が気に食わないか「俺ひとりで働いているのにお前ら起きるのが襲い!」と家族に発破を掛ける。いわゆる韓国特有の、いや日本も戦後しばらくはこんな状況でしたが、民主的な國というのは建前で、父親の絶対権力、女性蔑視、学歴優位の考え方が支配的だった。

母スクチャ(イ・スンヨン)は無口で父の経営する餅屋をしっかり支えている。いつも疲れているがしっかり料理して、父には文句を言わず仕えている。それでも父がスーツで外出すると父のクゼットを調べて後をつける。(笑)

スクチャには兄がいて大学に行きたかったが行けなかったという過去があった。だからウニには「大学へ行ったら」と励ます。

学校では担任に「不良と思えるやつを2人書け!」とアンケート調査で脅され、「カラオケに行く代わりにソウル大学へ行く!」と連呼させられる。(笑)もうウニに耐えられない。これを吹っ切るには友人のチョン・ジスクとトランポリンするしかない!飛べ!飛べ!

そして夜、ジスクとディスコに。踊ってタバコを喫って不良真似をやる。ここで会った後輩のペ・ユリに「先輩に憧れています」と告白されてすっかりその気になってしまう。ここらあたりはもう理解できない。(笑)

スヒが男と過ごしたことを知った父インギが激しく責める。これに母スクチャが抗議し遂にふたりは殴り合う喧嘩となり、スクチャが投げた電球スタンドがインギに当たりインギが負傷。(笑)しかし、翌朝にはふたりは笑いながらTVでサッカーワールカップを観ている。ウニには理解不能で、友人ジスクとトランポリンで「お母さんはお互いにいないと同じだというのに何で?」と飛び跳ねて気晴らしです。(笑)この年頃、まだ夫婦とはなにかなど分かりはしない!

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これの憂さ晴らしにとジスクに誘われて文房具店で万引をやった。運悪く店主に捕まって父の居場所を聞かれる。ウニは黙秘なのにジスクが喋った。なんで喋ったと喧嘩別れした。

このころ出会ったのが漢文塾の先生キム・ヨンジ先生(キム・セビョク)。窓際でひとりタバコを喫ってる姿に惹かれた。このころはまだジスクと一緒に塾に通っていた。「漫画描くのが好き」と話すと、「私も好きよ!」と言ってくれた。先生は「大学休学中」と自己紹介した。これまで見てきた人たちとはちょっと違っていた。

ヨンジ先生の最初の講義は“交友篇”の意味、「相議満天 知心能幾人」だった。

「知っている人のうち、本心まで知っているのは何人」。ウニはクラスメートなど思いうかべて400人と答えた。先生は笑った。先生は今、何故このことを問うたのでしょうか!

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ジスクやペ・ユリとカラオケに行って、「愛とはガラスのようなもの。すぐ壊れ、堪えがたい痛みが・・」と歌った。

ジスクと万引で喧嘩別れしたとき、先生がウーロン茶を出して慰めてくれ、「帰ったら兄に殺されます」と話すと、先生がじっとウニの顔を優しく覗き込んだ。ウニはここにいるのが心地よかった!アパートに戻ると案の定、夕飯を食べさせてもらえず、折檻された。

母の勧めで先生に御餅を持ってお礼にやってきたが、その時は会えず、先生の机の上に御餅を置いて帰った。次に会ったとき先生に御礼を言われ、「明鏡 所以察形?」の講義。そこに喧嘩別れしたジスクが現れた。わけわからない!ここで先生が「切れた指を思い詰めるから焼酎を飲む・・・」とアカペラで歌いふたりを繋いでくれた。

ジワンとのカップル120日記念日。カードを送って仲直りしたが、ジワンの母親が「あの子はあんたにふさわしくない!」とふたりの仲を割いてしまった。ウニにはヨンジュ先生に「自分が嫌になることがありますか?」と聞いた。先生は「自分で嫌になることは一杯ある。そのとき自分の心を覘くとそんな心があるから今の自分が愛せないと分かる」とその時の対処法、指を一本づつ数える秘儀を教えた。(笑)こうしてウニは“交友篇”の意味が少し分かってきた。

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ウニは右耳の後ろにしこりが出来て、母親が勧める医院で手術を受けたが結果がよくなく病院で切開手術を受けることになった。「万一の場合、長い傷跡が残るかもしれない」と医者に言われ、父が泣いた

入院前にしばらくヨンジ先生に会えなくなると、小説「黒と赤」を贈った。が、先生は「読んだら返す」という。ウニは先生に駆け寄って「先生が好きです!」と縋りついた!このとき窓の外の木々が風で激しく揺れた!これはウニの大きな変化かもしれません!

入院中に「北朝鮮金日成死去」のニュースをTVで観た。患者たちが「戦争になるんじゃない」とか「国民は万歳すべきじゃない」と言うがウニには何のことだか分からなかった。この記憶はウニの記憶のどこかに強く残って行くんだと思います。

ヨンジ先生が訪ねてくれ、「殴られてばかりではダメ、立ち向かう時は立ち向かいなさい」と教えてくれた。なぜ先生はこれを言いに見舞いに来たのか、またこの意味もよく分からなかった。

退院して家に戻ると、兄と姉が傷を見て心配してくれた。兄が外国語高校に合格した。

漢文塾に顔を出すとヨンジ先生が退職していて会えなかった。荷物を取に来るというのでその日時を聞いて家に戻った。その時刻に先生に会いにいくと愛塾長からすでに帰ったと言われる。塾長は塾生の獲得電話に夢中で時間を間違えて教えたのだが謝らない。ウニは頭にきて塾長に毒づいた!これで漢文塾を首になり、父に叱責され、兄に殴られて鼓膜が破れた。なんでこんなことにと泣いた。

10月21日、登校すると聖水大橋の崩落事故が報じられていた。家に姉スヒの安否を確認すると、スヒは寝過ごしてバスに乗っていなかったと分かり安堵した。夕食時、家族でスヒの無事を喜んでいると、突然兄のデフンが泣き出す!兄にこんな気持ちがあることに驚いた。

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翌日登校するとジワンが寄りを戻そうと言い寄ってきたが、ウニは断った。先生が言う通りに!家に帰って、レコードを掛けて地団駄踏んで彼への思いを断ち切った。このレコード曲がよかった!

そこにヨンジ先生からメモと共に貸していた本と一緒にスケッチブックが送られてきた。先生のお宅を訪ねると先生のお母さまから「聖水大橋事故で亡くなった」と聞かされ、驚いた。ウニは先生のメモを読んだ。そこには「正しい生き方って何に?分かる気もするが分からない。でも悪いことがあれば嬉しいこともある。誰かと出会えば何かを分かち合う。世界は不思議で美しい。今度会ったら全部話してあげる!」と書かれていた。この意味はすぐには分からないかもしれない。

ウニは、姉と姉の彼氏に漢口の川原に出向いて先生を弔った!ウニにとってユンジ先生は生涯決して忘れられない人となった。

家族と朝食をしっかり食べて登校、ユニは以前と同じようにひとりになったなかで、ヨンジ先生との出会いに想いを馳せていた。

 感想:

ウニのラストシーンの表情はちょっと厳しいものでした。ヨンジ先生が残した言葉を頼りに、経験を積み、不条理な社会のなかでの生き方を見つけていくんだと思います。

ここで描かれる不条理にはこの年頃特有の思春期の悩みもありますが、その多くが韓国特有の社会構造に起因しているところにこの物語の面白さがあります。

民主化宣言してオリンピックを開催し、急激な成長を迎え遂げた韓国でしたが、その社会構造は旧態依然としたもので、さらに貧富格差が大きくなっていく。

この社会構造のなかでの矛盾が、まだ子供のウニに襲い掛かる。カラオケやディスコダンスなどの新しい文化に触れながら、持って行き場のない感情、不条理。しかし、いつの時代もこのことに苦しみ自分で答えを見つけていかなければいけない

ウニはヨンジ先生に出会い、その言葉で強くなっていく様が描かれました。きっと、この先、ヨンジ先生の「あとで話して聞かせる!」という言葉の答えを見つけるでしょう。

ヨンジ先生はウニたちの先輩として答えを出したところで亡くなりました。そのことばのひとつひとつが心に沁みます。すばらしい脚本でした

たった1年たらずの期間の中での物語にエピソードがしっかり叩き込まれ、これに翻弄されるユニの心の揺らがみごとに描かれていました!

ユニを演じるパク・ジフの透明感、表情がもの静かで、あどけなさや大人びた表情が自然に出てくるというすばらしい演技でした。

そして彼女の心情を表すような柔らかい映像に歌われる歌曲に心打たれます。ヨンジ先生がアカペラで唄った心の叫びが一番。こんな複雑な物語をさらっと仕上げたところがすばらしい。

我が国の青春物語を考えると、特筆すべきすばらしい作品だと思いました。この物語の続き、教師ヨンジの“殴られてばかりではダメ、立ち向かう時は立ち向かいなさい”は「82年生まれ、キム・ジョン」(2019)にも描かれています!ぜひこの作品も観たらいいと思います。

                                  *****

「先生、私の隣に座っていただけませんか?」(2021)やられたと思ったがいい嫁でした!

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今週の作品選定は悩みました!キャストでこの作品を選びました。😊

夫の不倫に気づいた人気漫画家の妻が新作で不倫漫画を描き、虚実あいまいなその内容に夫が不安と恐怖を募らせていく夫婦の心理戦がスリリングに展開していく物語。

監督・脚本堀江貴大撮影:平野礼、編集:佐藤聡崇、音楽:渡邊琢磨。主題歌:eillの「プラスティック・ラブ」。

出演者黒木華柄本佑、金子大地、奈緒風吹ジュン、他。

堀江監督が“TSUTAYA CREATORS' PROGRAM FILM 2018”で準グランプリを獲得した企画を映画化したサスペンス・コメディとのこと。

結婚生活5年目の夏。漫画家の佐和子が新作のテーマに選んだ題材は不倫。彼女のアシスタントを務める夫の俊夫は、担当編集者の千佳と不倫関係にあり、妻の本心が掴めず疑心暗鬼になっていく。しかも物語は、自動車教習所のイケメン先生と佐和子のただならぬ関係を匂わせる展開となり、どこまでが創作なのか分からぬまま、不安と嫉妬に苛まれていく俊夫だったが…。(allcinemaから引用)

佐和子の描くマンガがファンタジーなのか彼女の本心なのかと、疑心暗鬼の俊夫。ふたりの心理サスペンスが見どころの作品で、ハラハラドキドキでとても面白い。そして物語は二転三転、その結末の解釈に悩まされます。浮気の話でなく人生再生の話、私の回答は爽快でした!😊

ストーリー展開に、キャタクターに、巧みな演者の演技に、タイトルに、騙されっぱなしでした。(笑)

あらすじ(ねたばれ):

売れっ子漫画家の早川佐和子が連載マンガの最終回原稿を彼女の後ろで色つけする夫・俊夫に渡して「終わり!」と言えば、編集者の桜田千佳が「良いですね」と褒め、俊夫が「終わったよ、よろしく」と。佐和子、千佳、俊夫の立ち位置。 (笑)

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俊夫は佐和子ノマンガの先生でいまは佐和子のアシスタンス。4年前からスランプで新作を書いていない。

佐和子はもの静かで聡明、ちょっと自分勝手なころがあります。俊夫は陽気で明るいが、おおざっぱでどこか抜けて鈍感、こんな生活も不平はないらしい。(笑)千佳は俊夫と不倫関係にあるがべたべたしたところは全くない、いたって明け透けな性格。(笑)この3人のキャラクターが見事に生かされたドラマになっています。黒木さんにはめずらしい役、柄本さんにはいくつか似た役があったように思います。黒木さんの隠れた魔性を見ることになりますが、とても可愛いです!

最終回が終わって原稿を持って帰る千佳に「駅まで送ってあげたら!」と俊夫に声を掛け、「浮気している夫、どうしようか!」と考えているところに佐和子の田舎の母・下条真美から怪我したという知らせが入った。

佐和子と俊夫は俊夫の車で田舎に向かった。 田舎の家に着くと、佐和子はさっさと二階に上がり、次作の構想を練るための自分の部屋を調べる。真美は「自分のやりたいことをする子だから」と俊夫に謝る。真美は「この夫婦ちょっとおかしいな!」という直感が働いたようだった。この直感が、観る人の感を狂わせ、物語を面白くしてくれます。(笑)

夫婦の部屋でふたりが寝ることになったがセックスレス。どちらも関係ないみたい!(笑)

俊夫は「芋調理がうまい!」と義母をうまく取り込みますが・・。車の免許証が欲しいと佐和子が自動車教習所通い。毎日俊夫が送り迎え。こんな生活に全く退屈しない俊夫、義母の買い物、料理を手伝うという・・。(笑)

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佐和子は当日の先生は年齢のいった人で丁寧に教えてくれるんですが、運転恐怖症でアクセルが踏めなかった。ところが2日目、若い先生でイケメンの新谷歩に出会って、心ときめいた。この新谷先生というのがとても言葉が柔らかくてうまく運転恐怖症の佐和子にアドバイスしてアクセルを踏せるとことに成功。

佐和子は家の戻って、新谷先生を頭に描きなから、一気にマンガのタイトル「先生、私の隣に座っていただけませんか?」でネームを書き始めた。俊夫にタイトルを見せると「不倫か!」と興味を示さなかった。俊夫はある意味純粋な男だった。

第1話は「夫の浮気」最終原稿が出来て、社に持ち帰る編集者を夫が電車に送るシーンまで。そこには編集者に夫がキスするシーンがある。俊夫が「俺か?」という感じで、ファンタジーだろうと思った。(笑)

第2話は「田舎暮らし」。佐和子が自動車教習所で若い先生にあって運転恐怖症を克服する話。「スピードに乗って走ると気持ちが良いんです。危ないときは私があなたは私が守ります」「免許証取ったら夫を捨てます」なんてセリフがある。原稿は二階の佐和子の部屋に無造作に置かれていたし、送り迎え時佐和子に変化はない。ファンタジーだろうと俊夫は思った。しかし、先生がイケメンだなと気になった。

第3話は「初めて手を握る」教習運転中に道端に車を停めて、ふたりが手を握るというシーン。さすがに俊夫も冷汗が出た。義母が「佐和子がスカート履いて出て行った」という。こんなことにも気づかない俊夫だった。(笑)

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妻を迎えにきた俊夫は、身を隠して、先生に挨拶して出てくる妻を見た。車の中で俊夫が「机の上の漫画読んだ!あれ実話か!先生となら許さん!」と聞いた。(笑)佐和子が「あなたはどうなの?」という。「ない!」と俊夫。佐和子は「そうだよね!勝手に読むのはひどいよ!」と注意した。佐和子の胸には怒りが生じたが、俊夫にはそんなこと考えもしなかった。(笑)

翌日。俊夫は佐和子の市街地走行運転を追跡することにした。もう俊夫は嫉妬で狂っていた。先生の新谷の顔を確認したところで、佐和子の車を見失った。その夜、俊夫は「何やってるんだ!」と自責の念に駆られ、眠れず苦しんだ!

佐和子は原稿を書いていて「もう描くのを止める!」と言い、「マンガ描いている?」と聞く。俊夫が「描くつもりはない、心が動かない!」と答えると佐和子は「描けるよ!」と言った。不倫を認めず漫画を描く気概もない夫に佐和子の心境はなんであったのか?

佐和子は俊夫とスーパーで買い物。毎日台所に立ち、家族3人で食事。遂に免許証を取得した。

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佐和子は俊夫の車を借りてドライブに出た。2日経っても戻って来ない。俊夫は「そちらに連絡ないか?」と千佳に久しぶりに電話した。千佳は佐和子が居なくなったことに興味を持って、田舎に出てきた。

佐和子は漫画を書いたり、新谷と海にデートしていた。モーテルで新谷が迫ったが、佐和子は夫に復讐を終えてと断った。ふたりで田舎に戻り、俊夫に復讐することにした。

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田舎に戻りと、母・麻美、夫・俊夫、編集者・千佳、佐和子と新谷の5人が一同に会することになった。

俊夫が家政婦の役割でみなさんにコーヒーを運んでくる。(笑)新谷には厳しい目線を送った。(笑)

突然佐和子が二階に上がって漫画を書き始めた!新谷は「佐和子さんと外に遊びに出たのは今日が初めてです」と言い出す。

俊夫は新谷の言うことが真実かどうかなどどうでもよかった!二階に駆け上がり佐和子の部屋に入った。ここからふたりは横に並んでピアノの連弾のように漫画を描くシーンは秀逸です。若き日にふたりは戻っていた!

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俊夫は佐和子の描く千佳の絵を見て、「俺と彼女はそういう感じではない。全部君の妄想だ!」と彼女の絵を消して訂正した。千佳というのはそういう関係だと佐和子の手を止めて「続きを考えて!」と促す。

愛がある。許してと言いたいわけでなく、話して信じて貰えないと思うけど、佐和をここに置いて出るつもりはない!ここでやり直してみる」。

「なんで不倫を認めなかったの?」「ごめん!でも俺は佐和が好きだ!」。佐和は俊夫にピンタを食らわして「もう遅い!」と泣いた!

佐和は「私の先生はあなただけ!」と俊夫に佐和が描いた絵にペンを入れさせた。

目が覚めると佐和と新谷がいない。実は佐和子が新谷と朝早く出て行った。見送った母・真美は「初めから別れる気だったんだ」と声を掛けた。ええ!

この漫画を見た千佳はファックスで編集部に送り、連載漫画として掲載されるという許可を取った。著者は早川俊夫、編集者桜田千佳。千佳という女性の強さ恐ろしさに驚きますね。(笑)

さてラストシーン。長いトンネルを抜ける佐和が運転する車の助手席には誰が載っているのか、いないのか分からなかった!ナイスな結末です😊

 感想:

あらすじは“私が感じたあらすじ”です。観る人で異なる、これが面白いところなんだと思います。

佐和子は俊夫に浮気の復讐をした!それだけではない、夫を元の漫画家に戻そうと叱咤激励しました。佐和子はちっちゃな浮気に捕らわれるのではなく、夫は自分に正直であって欲しい、そして自分の漫画の先生であって欲しいという願いでの復讐劇だったと思います。

ラストシーンでトンネルから出てくる佐和子の助手席に誰が座っているのか、いないのか。回答はありませんが、彼女はこの一件で長い苦しみを抜けて、新しい世界に飛び出したと思います。おそらくその席はしばらく空席にするのではないでしょうか。俊夫も漫画家として現役復帰です。夫婦はどうあるべきか、「ゴーンガール」(2014)なんてとんでもない!良い夫婦の形に落ち着いたと思います。

         ****

「竜とそばかすの姫」大ヒット舞台挨拶に宮﨑あおいさん登場

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第2子の誕生後、初めての舞台登場です。もう事件になっていますね!役所さんが声で出演していたんですよね(笑)宮﨑さんにとってはお父さんみたいな人ですから・・。

この作品もう1回観ないといけませんね!

この容姿では朝ドラ主演に大丈夫ですね!

モデルプレスから抜粋記事です。

タイトル:宮崎あおい「飛んできてしまいました」サプライズ登場で祝福 好きなシーン明かす。2021.09.11 16:21

女優の宮崎あおいが11日、都内で開催された映画「竜とそばかすの姫」大ヒット御礼舞台挨拶&ティーチインに、サプライズで登場。同作の魅力について語った。

本作は、母親の死によって心に大きな傷を抱えた主人公が、インターネット上の仮想世界で大切な存在を見つけ、悩み葛藤しながらも未来へと踏み出す姿を描く。この日はメガホンをとった細田守監督が出席しており、過去に細田監督の作品に出演している宮崎は、花束を渡すためのサプライズゲストとして登壇した。

「お邪魔します。全然関係ないんですけど、スタッフの方に声をかけていただいて。嬉しい~!と思って、飛んできてしまいました」と照れ笑いを見せた宮崎は「昨日会った、10代の女の子、7歳とか6歳くらいの女の子が、『おおかみこども(の雨と雪)』が好きなんですっていうお話をしてくれて」とコメント。

「私の顔は、たぶん分からなかったので、私がやっているというよりも、声が好きみたいな。映画が好きっていうので、私のことも知ってくれていて。だから、目をつぶりながら私の声を聴いてくれたりとかして」と微笑ましい交流を明かし「時間が経っても、やっぱり見てくださっている方がいる。特に今は、公開されているので、過去の作品も見ている方が多いんだなっていうのをすごく感じて、嬉しくなっておりました」と笑顔で報告した。

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「竜とそばかすの姫」を見ての感想を聞かれた宮崎は「好きなシーンで言うと、「バケモノの子」で、役所広司さんとご一緒させていただいていて。また自分の他の仕事でも、10代・20代と、役所さんとご一緒させていただいていたので、役所さんの声を聴くと、自然と心がホッとする部分が。お父さんの声を聴いているみたいな。ちょっとホッとするところがあって」と発言。

続けて、劇中で役所の声が入るシーンに触れ「お父さんの顔が映っていないのに、役所さんの声だからこそ、父の優しさだったり、思いやる気持ちだったり。心配しているけど、信じているんだよっていうのとかが、すごく伝わってきて。そこが私はとても好きなシーンでした」とも語った。(modelpress編集部)