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「キングスマン ファースト・エージェント」(2021)歴史的人物の虚構を楽しみ、アクションに笑う!

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今年最後に観る作品ということで、派手に笑って終わりたいと、この作品を選定しました。「キングスマン」シリーズは第1作しか見ていません。

本作はこの第1作の「前日譚」。世界最強のスパイ組織「キングスマン」はどのような経緯で生まれたかという話。シリーズを全く見ていなくて大丈夫です。

私には第1作より面白かったです!それは第1次世界大戦を下敷きにした物語で、笑やアクションだけでない、監督の大胆な?歴史に対する切り込みがあり、今の世界にもつながっていて、よくぞ作ったという感じをもったからです!

監督・原案・脚本・製作:言わずもがなのマシュー・ヴォーン、脚本:カール・ガイダシェク、撮影監督:ベン・デイヴィス。

出演者:レイフ・ファインズ、ハリス・ディキン、ジェマ・アータートンジャイモン・フンスー、リス・エバンス、トム・ホランダー、マッシュー・グード、他。

あらすじ:

平和を祈願する英国紳士オーランド・オックスフォード公は、1902年ボーア戦争視察に、妻エミリーと息子コンラッドを伴って南アフリカの英軍基地を訪れていた。悲惨な戦況を見て、陸軍元帥キッチナー(チャールズ・ダンス)に問いかけているとき、赤十字活動で同行していた妻が、息子が見ている中で、敵の銃弾で打たれた。妻は「あの子を守って!この世界から2度と戦争を見せないで欲しい」と言葉を残して亡くなった。オーランドはこの言葉を生きがいとして、戦争防止に奔走するようになっていった。

1914年6月、セルビアオーストリア=ハンガリー帝国のフランツ・フェルディナント大公夫妻が暗殺され、これを契機としてヨーロッパは世界大戦へと突入していった。

オックスフォード公(レイフ・ファインズ)は、この世界大戦争を裏でひそかに操る闇の組織が存在していることに気づき、息子のコンラッド(ハリス・ディキン)に執事のポリー(ジェマ・アータートン)とボディーガードのショーラ(ジャイモン・フンスー)を加え、この組織を打倒し、戦争を止めるために奔走する・・・。

感想(ねたばれを含む):

第1次世界大戦時の世界情勢のなかから、この戦争を象徴するようエピソードを引張だし、事実を残しながらうまく加工してビランを作り出し、これと戦い早期戦争終焉を願うという、歴史を振り返りながら、笑えるという、うまい物語(脚本)になっています。

そのエピソードに精一杯の、多少オーバーではないかと思う程に(笑)、アクションを載せて観せてくれ、笑一杯で、年末年始作品になっています!

セルビアオーストリア=ハンガリー帝国のフランツ・フェルディナント大公夫妻が暗殺事件;

息子コンラッドの19歳のお祝いにと、キングスマンでスーツを新調しているとことにキッチナー元帥がやってきて、フランツ・フェルディナント大公夫妻のセルビア訪問時の警護を依頼された。スーツを着るという儀式がないとこの物語は成立しない!

このころ、オーランドたちには知りようがなかったが、 闇組織の本拠は断崖絶壁の上にある羊牧場に置き、ボスは背中しか見せないので誰だかわからないが、メンバーにはロシアの怪僧ラスプーチンセルビアの革命家プリンツィプ、高級娼婦マタ・ハリ、ドイツの奇術師ハヌッセン等がいた。(笑)ボスは「武器で世界を平和にする。俺は600年もの支配を潰す!」と連帯の印としての指輪を渡し、羊の首を飛ばして威勢をつけ、「俺の命に従え!」と激をとばした。

当日、オーランドは息子と大公夫妻の車に同乗していた。絵がとても美くしく、しっかり歴史が再現されたと思います。😊

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市街パレード中、突然、爆発物を投げられるが、オーランドは傘でうまくこれを交わした。(笑)ところが演説を終え、道に迷って引き返しているところを(笑)、これでは闇のボスに責められると薬を飲もうとしているプリンツィプが見つけ、大公に拳銃をぶっ放した。こんな偶然があったのか?(笑)

帰りの列車の中でコンラッドは「戦争になるか?」と父に聞くと、イギリスのジョージ5世(トム・ホランダー)とドイツのヴィルヘイム皇帝(トム・ホランダー)、ロシアのニコライ2世トム・ホランダー)は従弟同士だが仲が悪いから戦争になる」と話した。しかし、3人はよく似ていた!(笑)

〇世界大戦の開始

ヴィルヘイムは戦争を考え、ニコライ2世ラスプーティンから「戦争に介入するな!」と説かれていた。ジョージ2世は戦争する気はなかった。しかし、3国はお互いが宣戦布告をして戦闘状態に入った。

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血の気多いコンラッドは兵隊を志願したがる。オーランドは自分の経験から「武器では何も解決できない」と止めた。ところがコンラッドロシア皇帝の側近である従弟のユスポフ(アーロン・ヴォドヴォス)から「ラスプーティンが信じられないから来てくれ」という手紙をもらった。

そこでホーランドは息子を伴って、船でロシアに発った。ところが途中で謎の潜水艦に狙われ、沈没。キッチィナーの副官モートンが消えた!

コンラッドは「裏切りものがいる、逃げてはだめだ」と父オーランドを説いた。オーランドは「息子はここまで成長したか」と、書斎の回転本棚を回して、秘密の部屋で、ポリーとショーラが行っている作業を見せた。世界に張り巡らした刑務所や企業、市民から情報を集めて、戦争を分析していることを明かした。

ポリーがロシアの情報に、「ラスプーティンがセルビアの革命家プリンツィプと同じ指輪を着けている情報がある」と報告した。

〇ラスプーティンの暗殺:

オーランドは3人とともにロシアに飛び、ラスプーティンを毒殺することにした。豪華なパーティーを開催して、ラスプーティンを招き、毒ケーキを食べさせるというもの。(笑)

ラスプーティンは不治の病で苦しむニコライ2世の息子の病を治療することで、皇帝の取入っていた。この史実を生かしながら、いかにしてオーランドがラスプーティンを倒すか?誰もが描いたことのないユニークなものでした。(笑)

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晩餐会にラスプーティンを招待。彼は美女を従えての参加。「皇帝に会わせてくれる人を紹介して欲しい」と依頼すると、別室で話そうと個室に。ここでラスプーティンはオーランドにズボンを取らせ、南アフリカで受傷した傷を治してやる」と嘗め回す!(笑)なかなかケーキには手を出さない。挙句の果てに傷を冷やす必要があると、氷の張った野外プールにオーランドを沈める。もうたまらんと室外で様子を伺っていたコンラッドとショーラが剣でラスプーティンに斬りかかる。これにプールから上がったオーランドが加わり、チャイコフスキーの序曲「1812年」と「トロイカ」で盛り上げ、3人が斬って斬りまくり、最後はポリーが拳銃で決着をつけるというアクション。ちょっとやり過ぎではないかと思いましたが、笑った!(笑)

闇のボスがレーニンを組織に加え「ロシアを攻撃しろ!」と指示したが「力が欲しい」という。(笑)

 

ラスプーティンを打ち取ったことで、オーランドもコンラッドの力を認めるようになった。するとコンラッドは好きなようにさせて欲しいと兵役を希望する。しかし、オーランドが亡き妻と約束で認めることができない。ここでの親子の心情にはほろりとさせられます!反戦というのも大きなテーマです。

コンラッドは家を飛び出して軍隊に飛び込み、訓練が始まった。

西部戦線の悲劇:

第1次世界大戦を描くとすればこれは欠かせない。ここで戦争の無常をしっかり描き、オーランドがいかにコンラッドを愛し、彼のために何をしてやるかを描きます。

ポリーが集ってくる情報の中にドイツの外相ツインメルマンがメキシコに打電した「アメリカが参戦したら同盟を結ぼう」という電文を入手した。これを見たオーランドが「戦争は終わる!」と考え、キッチィナー元帥に「息子は帰ってくる!」と喜びを伝えていた。元帥は「その証拠はない!」と気を利かしてくれた。

ロンドンに返されるらしいと聞いたコンラッド西部戦線に派兵されるリードに代わってもらった。

西部戦線に送られたコンラッドは、定期的に来る返される敵砲弾攻撃に、その戦場の厳しさを知った。ある夜、敵情偵察の兵士が敵に察知され追われ、陣前の泥ねいの中で救出を待つ状況に遭った。コンラッドは命じられて、この兵士を救出して背負い陣地に戻ったが、上官に名を聞かれ、リードと答えたところ、「お前はリードでない敵だ!」と射殺された!

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砲弾で泥ねい化した戦場が生々しく描かれて、戦闘シーンは「1917命をかけた伝令」(2019)と同じで、手を抜くことなくしっかりと描かれていました。

訪ねてきたリードからコンラッドの戦死を伝えられたオーランドは「国のために戦争するというのは嘘だ」と悲しみ、生きる望みをも失いかけた。

闇のボスはマタ・ハリアメリカを参戦させないように大統領ウイルソン(アーチー・リード)を堕とせ!」と指示した。

〇米国の参戦:

ジョージ国王がオーランドを訪ねてきて、「ロシアが手を引くし、ドイツの海上封鎖に困っている」と話し、コンラッドに対する殊勲十字章を渡して帰っていった。

これでもぼんやりしているオーランドに、ポリーが「コンラッドのように戦って!出来ないなら辞める」と言いだし、これでやっとオーランドが目を覚ました。

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マタ・ハリアメリカ大統領ウイルソンを困惑させているのではないかという噂が出てきた。ホーランドはアメリカ大使館を訪れ、ここに勤務しているマタ・ハリに会うとこにした。真っ赤なマフラーを見つけて、セルビアの革命家プリンツィプも持っていたと思い出し、マタ・ハリの首をこれで絞めた。マタ・ハリと大統領の濡れ場フィルムを入手し、これをウイルソン大統領に送り、これを見たウイルソンは即参戦を決めた。アメリカの参戦が遅れたことを、今になってなぜ持ち出すか?(笑)

このマフラーの布地をキングスマンで調べてもらうと、闇の羊牧場で生産されたものであることが分かった。

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〇闇組織の襲撃:

闇の組織拠点の事前調査で、複葉機からホーランドが落下傘降下して奇襲し敵を拘束、これに地上からポリーとショーラが駆けつけるという作戦。第1次世界大戦では飛行機は欠かせない!

ホーランドの落下傘降下は絶壁に引っかかり、ここから崖上に上るまでの苦闘、さらに敵との格闘。さらにポリーとショーラが加わっての格闘、スリリングでハラハラドキドキ、とても面白く描かれます。さて闇のボスが誰か?覆面を剥がすとモートンでした。

なぜモートンなにか?彼は600年間、イギリス王に支配されてきたことに反感を持っていた。今なお紛争の種を持つ地。英国紳士としてのマシュー・ヴォーン監督のけじめだったんですかね!

ホーランドは「息子のせいで戦うことができた」とジョージ国王に報告。国王から感謝の言葉が贈られた。国王に「明日、キングスマン商会に来てください」と願いでた。

国王を迎え、キングスマン商会を買い取って、政府とは独立したより強固なキングスマン情報機関」の設立を宣言した。

まとめ:

シリーズ作品とはちょっと違いましたが、とても面白かったです!反戦、英国紳士としての矜持はしっかり伝わりました!

父親と息子の泣ける物語でした。

監督は「キングスマン」をバカバカしいなどと毛嫌いする人でさえ、こん作を見ると「なんてことだ!」と認めたくないが、気に入ってもらえる作品だと語っていますが、その通りの作品だと思います。

最後にレイフ・ファインズにはご苦労様と言いたくなりますね!

                ****

「劇場版 呪術廻戦 0」(2021)子供用の漫画ではない!生きるを描く、「鬼滅」を超えているかも!

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イブに選んだのがこの作品。みんなで盛り上がりたいと!当たりでした。ほぼ満席!しかし女性が多い!なんでなんでしょうか?

原作もTVアニメも全く知らずの鑑賞です。

この作品には、今の若い人が求めるすべてが入っているような作品だと思いました。話が飛びますが、指導者としてイチローさんや野球監督として新庄さんが求められるわけが分かったように思います!(笑)

原作芥見下々さんによる大人気漫画「呪術廻戦』」を原作とするTVアニメの劇場版。本編の前日譚として短期集中連載された人気エピソード「呪術廻戦 0 東京都立呪術高等専門学校」の映像化だそうです。

こんな学校があるというのが面白い!この学校だからこそ描かれる教官の指導、友情、生きていくための拠り所と教えられることが一杯でした。決して子供用の漫画ではない!「鬼滅」を超えるのではないでしょうか!

制作:MAPPA監督:TVシリーズに引き続き「牙狼GARO> -VANISHING LINE-」の朴性厚。脚本:瀬古浩司キャラクターデザイン:平松禎史音楽:堤弘明、照井順政、桶狭間ありさ主題歌:King Gnu「一途」「逆夢」。

声優:緒方恵美花澤香菜中村悠一櫻井孝宏小松未可子内山昴輝関智一山寺宏一、他。

あらすじ:

幼い頃、結婚を誓い合った幼なじみの祈本里香(花澤香菜)を交通事故で失った乙骨憂太(緒方恵美)は、怨霊と化した彼女に取り憑かれ、自らの死を望むほど苦悩していた。そんな時、乙骨は最強の呪術師である五条悟(中村悠一)に導かれ、“呪い”を祓うために“呪い”を学ぶ学校“東京都立呪術高等専門学校”に編入する。

同級生の禪院真希(小松未可子)、狗巻棘(内山昴輝)、パンダ(関智一)と出会い、呪術師として生きる道を見出した乙骨は、里香の呪いを解くことを決意。しかしその矢先、かつて一般人を大量虐殺して高専を追放された最悪の呪詛師・夏油傑(櫻井孝宏)が現れて新たな大虐殺“百鬼夜行”の実行を宣言し、乙骨たちは夏油との戦いに身を投じることになるのだった。(allcinemaから引用)

感想(あらすじを含む):

2016年11月

友達なしで孤独、外に出たくないこんな暗い憂太がいじめにあって、里香の呪力を借りて、ある少女を処刑したらしい。何人もの呪術師が除霊を試みたが無理で、“東京都立呪術高等専門学校”の教師である五条が、「特級の能力あり」と引き取って、1学年の真希(4級)、棘(2級)、パンダ(準2級)と一緒に、呪術師として鍛えることにした。真希は呪術界の名家の出だが呪術力がなく家に反抗してここに入学、棘はおとなしい性格の呪言師、パンダは名のとおり陽気で仲間のまとめ役。

4人のキャラクターが、今の若者世界の中でほ落ちこぼれしかしそれぞれには見るべき個性がある。この4人が見事に成長していく物語だから人気になるのではないでしょうか?

教師の教え方がユニーク:

いよいよ憂太の教育が始まる。真希が「お前の顔に出ている、守られて生きている、受け身で生きてきた」と一発喰らわす!しかし、棘、パンダがすかさず「あいつは他人を理解しないところがあるんだ」と庇ってくれる。これがこの学校のいいところ。

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2017年春、五条は実習で鍛えることにする。

「子供が自然に消える小学校がある、呪いを払ってこい!」と真希と憂太に命じた。教頭の伊地知(岩田光央)がふたりをつれて小学校に。教頭が帳を張る。そこに大きな口の裂けた呪が出現、真希が槍を振りかざしてその口に飛び込み、憂太が彼女を追った。憂太が目を覚ましたとき、呪の腹の中で、真希が足に負傷して動けない。「どうする憂太、子供が泣いている!」と真希にせかされた憂太は「誰も傷つけたくないが、自分がやるしかない!」と由香に声をかけると真希も憂太、子供たちも一緒に吐き出された。五条が憂太の呪術力の大きさに驚いた。憂太は負傷した真希を背負って、「がんばれ!」の里香の声に励まされ、病院に運んだ。

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憂太は自分でやれるという自信を持った。しかし、校長の夜蛾(黒田崇矢)、教頭は呪いが暴走していると五条に注意したが、五条は「あいつの青春を取り払うことを許さん!」と反対した。

五条は自分の呪いで戦えるよう憂太に刀を与え、真希の槍と競わせ鍛えた。憂太は大きな進歩を遂げていった。

2017年夏、五条は実戦で鍛えると、棘と憂太で商店街の霊を払うことにした。教頭が帳を張ると、群れになった魚形の呪いが現れたが、喉薬を飲んだ棘が一声で払った。ところが、その奥から巨大な呪いが現れた。憂太は「予想と違う!」と腰が引けたが、棘が薬を飲んで力を振り絞って呪言を吐き相手を金縛りにした。これを見た憂太は「棘が俺を守ってくれている!ふたりで頑張ろう!」と刀を抜いて相手に挑み、相手を倒すことができた。

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憂太はもう里香がいなくても自分でやれるという自信、友のために戦うという喜びを知った。

五条の指導は憂太に技術的な指導ではなく、なんのために呪いを使うか、使い方の基本、使っての喜びを教え、夜まで訓練せよなどとヤボなことは言わない、すべてを憂太の自主性に任せ、見守ってやる度量のある指導。高校野球を指導するイチローさんや新庄監督に似ていませんか!(笑)

この実戦でなぜ巨大呪いが出現したか?伊地知教頭が現地を調査、五条も情報を収集。これが生徒への教師としての愛です。

高専に席を置き特級でありながら、一般人を大量虐殺し、追放された夏油が裏で働いたことが明らかになった。夏油は呪術師として大金を稼ぎながら「非術師をせん滅して呪術師だけの楽園を作る」を標榜するにいたり、呪術高等専門学校”を潰しにかかろうとしていた。

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2017年冬、夏油らは五条らの前に現れ、12月24日日没とともに東京新宿と京都で千の呪いを放つ「百鬼夜行を敢行すると告げた!

夏油は今の勢力では高専に劣るとして他の呪術師をかき集め、的を憂太捕獲に絞り、外線作戦で東京都立呪術高等専門学校”を潰そうと画策。

高専では夜蛾校長が主力を東京高専に集め、京都には最小限の勢力、棘とパンダを送った。

五条は決戦に臨むにあたって、「なにが百鬼夜行か!弱者生存こそがあるべき姿だ!」と戦いの目的が明確にし、各人に「自分のできることを最大限にしろ!これが一本にまとまる」と戦い方を指示した。この指示も受けるでしょうね!

ここからはねたばれ(要注意):

東京と京都に分けて戦が描かれます。ここは監督のサービスで、キャラクターが総動員されているとのこと。音楽によく合った戦いを楽しめます!

五条には「俺が相手だ!」とインドからやってきた呪術師ミゲル(山寺宏一)が立ち塞がる。このふたりの戦いは映画作品でのみ見ることができるそうです。

憂太は二度にわたって夏油に挑むが、倒され、夏油が雄叫びを上げるところに骸骨(里香の呪い)が立ち向かい、助け出されて、刀がバラバラになりながら、憂太は里香に「これからは一緒に逝こう!すばらしい世界に変える」とふたりは火の玉になって戦った。

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これを見た夏油は「次が里香を手に入れてやる!五条悟、遅かった!」と手を上げた。そして「悟や高専が憎いわけではい。自分の心の底が低かった」と敗北を認めた。五条はこれを受け入れ、ふたりは邂逅した!世界を変えるために敵を作らないという、この終わり方が爽やかでいい。

憂太は里香と「同じところにいたい」というと「それ死ぬということ」と消えてしまった。五条が「君は最高の呪術師だ。里香が呪いをかけているのではなく君が掛けているんだ」と話しかけた。憂太は納得した。里香は「この6年生きていたより幸せだった!こちらにきてはダメ!」と消えていった。

憂太が里香の死を負って、前に進むという、死生観がいいですね!

まとめ:

憂太が里香の愛、五条の指導や周りの力を借りながら成長していくところが見事ですね!特にこの役にエバンゲリオンのシンジ役緒方恵美さんを持ってきたのは、当たり!でしたね。これは違反ですよ!(笑)

五条がまたよかった!恰好いい!新庄監督を見ているようでした。

この作品には音楽の力がすごく働いています。力を感じさせるもので、応援歌になっていて心地いい!また、呪いの画像に、驚ききましたね!

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「偶然と想像」(2021)偶然には果てしない想像が存在する小宇宙だ!

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濱口竜介監督作「ドライブ・マイ・カー」(2021)が第79回ゴールデングローブ賞非英語映画賞にノミネートされ、アメリカでも批評家から絶賛の声が相次ぎ、次は「アカデミー賞」と期待される中で、「偶然と想像」公開となると、これは見逃せません!というわけで早速観てまいりました。

本作はそれぞれ「偶然」と「想像」という共通のテーマを持ちながら、異なる3編の物語から構成されるオムニバス映画

第71回ベルリン国際映画祭での審査員グランプリ銀熊賞)を受賞作です。

第1話:親友が「いま気になっている」と話題にした男が、2年前に別れた元カレだったと気づく「魔法(よりもっと不確か)」

第2話:50代にして芥川賞を受賞した大学教授に落第させられた男子学生が逆恨みから彼を陥れようと、女子学生を彼の研究室を訪ねさせる「扉は開けたままで」。

第3話:仙台で20年ぶりに再会した2人の女性が、高校時代の思い出話に花を咲かせながら、現在の置かれた環境の違いから会話が次第にすれ違っていく「もう一度」。

監督・脚本:濱口竜介撮影:飯岡幸子。

出演者:第1話に古川琴音、中島歩、玄里、第2話に渋川清彦、森郁月、甲斐翔真、第3話に占部房子、河井青葉、他。

“偶然”に遭遇したものたちが、たわいもない“想像”で会話を交わし、その結果がとんでもない方向に発展するが、実は彼らの生きざまだという、人生にとっての味わい深い話でした。

会話、言葉の面白さ、予測不能で、大笑いして、「映画は脚本だ」と感じさせてくれる凄い作品でした!

あらすじと感想:

第1話「魔法(よりもっと不確か)」:

モデルの芽衣子(古川琴音)とヘアメイクのつぐみ(玄理)は撮影を終えて帰るタクシーの中で、つぐみが偶然出会った男性の話を、聞かせたくてしょうがないというように芽衣子に話しかける。つぐみの話を芽衣子は相槌をうつという感じで聞いていた。

「運命的な出会いで、会ってすぐなのに寝てもいいと感じだ。実は寝たのだが、彼は不能だった!それは2年前に別れた元カノへの愛だったのよ。次は魔法のような出会いを期待している」。玄理さんのノロケ話の話し方が芽衣子を刺激するようで面白い!(笑)

つぐみが下車すると、芽衣子は偶然につぐみが話した男・カズ(中島歩)のいるオフスに向かった。頭に角が生えたような勢いで居残りのカズに突っかかった。(笑)芽衣子はつぐみが話した「別れた元カノへの愛だった」をカズに試しに来たのだった。「あなたが傷ついているのは私が好きだから!」と言い寄る。(笑)が、カズが「お前は不倫をした、もういい、帰れ!」とせかす。「帰れ」というのがが分かるほどの芽衣子の悪態ぶり。(笑)

芽衣子が「私が傷ついた以上にあんたが傷ついていたことが分かった!魔法より不確かなものを信じてみる気はない!」という言葉に、カズはそっと肩を抱いて泣いた。そこに女性社員が入ってきたので、芽衣子は逃げるようにオフスを後にした。カズは追わなかった。

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3日後、芽衣子とつぐみはカフェで会っていた。そこに偶然、カズが通り掛かった。カズをカフェに呼び込み、つぐみが芽衣子をカズに紹介する。(すると芽衣子が「私の元カレ」と言いだした。つぐみは駆け出してカフェの外に。これをカズが追う。これは「最低!!」と)、芽衣子は「芽衣子です」と挨拶して、カフェを出て、携帯で変わりゆく街を撮った。

ここでは芽衣子とカズの言葉によるボクシングが見どころでした。しかし、「私が傷ついた以上にあんたが傷ついていた」はいい言葉でほろりとさせられ、カズの泣いたので、カフェでの芽衣子の行動は予想しなかった。(笑)恋にもビルドアップ、この面白さ!

第2話「扉は開けたままで」

瀬川教授(渋川清彦)はとても堅物で、小説家としてきわどい描写を描くことから、暴力やセクハラで疑われないよう教授室のドアを常に開いていた。その教授室で瀬川に「君は恥を知りなさい!」と一喝され、土下座して「お願いしまし」と単位を請願する学生・佐々木(甲斐翔真)。

5か月後、佐々木は自室で同じ部学生で不倫関係にある主婦・奈緒(森郁月)とセックス。偶然、TVで瀬川が芥川賞を受賞したことを知った。佐々木は奈緒に「瀬川は俺の人生を奪った人だ。瀬川をハニートラップで陥れてやりたい」と奈緒に懇願した。奈緒は瀬川の芥川賞作「アントロペへの道」の気にいっているページを佐々木に読ませ、セックスが終わって、佐々木の懇願を受け入れた。このページを読んだ佐々木の気分はどんなものだったかと思うと笑えます。(笑)

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奈緒が瀬川教授を訪ね、「サインをください!」と「アントロペへの道」を持ち出し、一番気にいっているページにサインしてもらった。次いで、教授室を開けっ放して、このページの朗読をはじめた。ちょっとこのページは書けない!芥川賞というより単なるエロ小説に近い?(笑)

瀬川を誘うように読むか、一向に興奮する様子がなく、淡々と聞いている。読み終わって「自分は誘惑される弱い女、先生は?」と問うと「自分だけが知っている自分の価値を抱きしめなければいけない。そうして守られたものが、思いかけず誰かに繋がり励ますことがある」と励まされ、奈緒はこの言葉に感激して涙した。確かにこの言葉は人を感動させるよい言葉だ!

奈緒が「売るために朗読を録音した」と話すと「君の声がいい、興奮する。コピ-して送ってくれ!」と言われる。お互いに声を聴きオナニーすることで同意し、奈緒は録音をコピーして瀬川に送ることにした。

奈緒は自宅で朗読を終え、送り先に瀬川の名を入力するところに、夫と息子が帰ってきて「佐川急便からメールが来ているよ」の声を耳にしながら、瀬川を佐川として入力し、送信してしまった。本人は気づかなかった!(笑)これを受け取った大学側は瀬川を免職。奈緒が離婚することになった。シがサの間違いで、こんな結論になろうとは!瀬川が可哀そうです!(笑)

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5年後、バスの中で奈緒と佐々木が偶然、再会した。佐々木は「あの事件は自分には関係ない」としゃあしゃあとしゃべるが、奈緒は黙っていた。佐々木が結婚すると聞いて、奈緒が笑顔になって名刺を渡し「おめでとう!」と声をかけてバスを降りた。佐々木は暗いトンネルに入るバスの中にいて思い沈んでいた。女は恐ろしい!(笑)

まず会話がめちゃくちゃに面白い。朗読をまじめに聞き、たどたどしい言葉で話す瀬川と奈緒の会話が、芝居ではなく、成立するところが面白い。よくまあこんな脚本が書けたと驚きます。偶然に対するこんな結果は予測不能でした。

第3話「もう一度」

夏子(占部房子)は仙台で開かれた高校の同窓会に参加した。次の日、帰郷しようと仙台駅前のエスカレーターを上っていて偶然、ある女性あや(河井青葉)が目に留まり急いで下った。するとあやも見返して駆け寄ってきて再会を喜んだ。駅近くのあやの家でくつろぎながら話すと、出身校も学友のことも合わない。「幸せ!」と聞くと「考えたことがない」と言い、夏子の名も覚えてないという。

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これは人違いとお暇しようとすると「お茶飲んでいって」と誘われ、夏子が「昔特別な関係にあったミカを探していること」を話すと、「私がミカになるから話していって!」という。夏子がミカのことを詳しく話すと、あやも結婚した経緯をしっかり話し「平凡だが幸せだ!」という。

男の子が学校から帰ってきたので、お邪魔することにして、あやが仙台駅のエスカレーターで上ったところまで送ってきた。ここで別れて夏子が駅の方に歩いていると、一度エスカレーターで下ったあやが上り返して、夏子を追って「名前を思い出した!望み!」という。(笑)ふたりはしっかり抱擁して別れた!

夏子もあやも心に大きな空白があってそれを埋めるための出会いでした!ふたりが友人関係にあるように会話が続くところが凄かった! 占部さんと河合さんの演技力でしょうか!

偶然に会って「幸せ!」という言葉で、こんな感動的な物語が作れるのがすばらしい。

まとめ:

2~3人の会話劇。こんな簡単な設定で、とてつもない面白いドラマが作れる。これに感動しました。

3つの話は、偶然に起因する想像の結果を描いたものですが、実態は言葉です。

言葉の捉え方で、いくらでも想像は変わる。魔法、いや不確かさへの挑戦だと思います。またその言葉の中に、当たり前のことかもしれませんが、話す人の切り取られた一瞬の人生が見えるということに驚きでした。

言葉に人生を載せるのが俳優さんたちです。「ドライブ・マイ・カー」(2021)の中での、舞台劇「ワーニャ叔父さん」の練習風景。ここではひたすら俳優たちが感情をこめずに台詞を読み、俳優から「自動的に言葉が出てくる」まで繰り返す。この練習で自然に感情が出てきて、“想像”が作られたものではなくリアルなものとなる。「愛がなんだ」「寝ても覚めても」もこうして撮られたことに納得しました。

同じようにして演出された「ドライブ・マイ・カー」(2021)がアカデミー賞を受賞することを期待しています。しかし、濱口監督の作品はエロっぽいですね!(笑)

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「マトリックス レザレクションズ」(2021)

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1999年に公開され、革新的な映像技術とストーリーで社会現象を巻き起こしたSFアクションの金字塔「マトリックス」。その後2003年に公開された続編「マトリックス リローデッド」「マトリックス レボリューションズ」で3部作完結となった同シリーズ。完結された作品が18年ぶりになぜ描かれねばならないのか?どう描くのかと興味を持って観に参りました。このシリーズ作品を劇場で観るのは初めてで、とても楽しみにしていました!

ストーリーは簡潔にして哲学的、アクションは聞きしに勝る大迫力でした!今でも全く色あせていない作品だと思います。しかし、パソコンを開いてみると、予想もしない批判の嵐!もう感想を書くのをやめようと思いましたが、パンフレットのラナ・ウォシャウスキー監督の、この作品を作った目的を読んで、こういう批判が出ることは承知の上で、人生の拠り所として、「マトリックス」を世に残したいという心が、実に率直に見えて、監督は赤いピルを飲んでの作品だと思いました。これに勇気をもらって赤いピルを飲むことにしました!

監督:ラナ・ウォシャウスキー脚本:ラナ・ウォシャウスキー、デビッド・ミッチェル、アレクサンダル・ヘモン。撮影:ダニエレ・マッサチェージ、ジョン・トール美術:ヒュー・ベイトアップ ピーター・ウォーポル、衣装:リンジー・ピュー、編集:ジョセフ・ジェット・サリー、音楽:ジョニー・クリメック トム・ティクバ視覚効果監修:ダン・グラス。

出演者:主人公ネオを演じるキアヌ・リーブスが過去作と変わらず同役を担当するほか、トリニティー役のキャリー=アン・モス、ナイオビ役のジェイダ・ピンケット・スミス、メロビンジアン役のランベール・ウィルソン、エージェント・ジョンソン役のダニエル・バーンハードらが続投。

新たに若きモーフィアス役でヤーヤ・アブドゥルェ、艦長バックス役のジェシカ・ベンウィック、スミス役のジョナサン・グロー、ネオのカウンセリング担当役アナリスト役をニール・パトリック・ハルス、他が加わります。

はしがき:

コンピューター・ゲーム会社員トーマス・アンダーソンは世界的なゲーム「マトリックス」のデザイナーでありながら、かっての天才ハッカー・ネオ。彼は悪夢に悩まされて、病院の精神科に通院している。

ある日、トリニティにカフェで出会うが、彼女は何も覚えていなかった。トーマスは、自宅で病院から処方された青い薬を飲んでいたが、若いモーフィアスらしき人物が現れ、赤い薬飲むように忠告される。(前段)。

やがて覚醒したネオは、「マトリックス」に囚われているトリニティーを救うため、「マトリックス」との新たな戦いに身を投じていく(後段)。

物語は映画「マトリックス」(第1作)と同じプロットで進むので、この作品を観た者にはわかり易すく、本作と「マドリックス」シリーズとダブルシーンも多く出てきて、新旧作品を比較しながら、ストーリー、キャストやアクションの変化などを比較しながら楽しめます。トーマスが赤いピルを飲む理由がトリニテイの救出という愛の物語になっていて、これまでの作品に比して、ユーモアがあって、愛に溢れ、柔らか味のある作品になっていて、あまり難しいことを考えなくていい!これが一番うれしいです。 (笑)

後段は「リローデッド」「レボリューションズ」の結末に触れ、知らなくても問題なしですが、三部作を超えた物語になっています。が、これが評判を悪くしている!(笑)ストーリーが現実と仮想世界が交差し、デジャヴェが多用され、分けわからなくなるからだろうと思います。(笑)しかし、自由だ!自分の進むべき道は自分で選べ!というメセージはしっかり伝わりますので、これで良しです。(笑)

あらすじ:

冒頭、進化したシミュレーション「モーダル」を監視していたバッグスが部下のレクシー(エレンデイラ・イバラ)の「探知された、逃げろ!」の合図で逃走、警察隊と戦いなから、あるビルの一室に逃げ込むまでのシーン。第1作のトリニテイがバックスに代わっただけで逃げる経路、ビル、アクションはほぼ同じ。モーフィアスがエーゼントの一員としてバックスを追う。

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モーフィアスはバックスを追ってあるビルの一室に。バックスは部屋にメタの本棚があることからトーマスの部屋と分かった。バックスは「あなたは見覚えがあるのでここに誘った。自分はビルの清掃従業員だったがトーマスの自殺未遂を直視し自分も同じタイプの人間だと人生を変え、今は彼を追っている」と話したうえで、モーフィアスに協力を申し出て、赤ピルを渡した。ビルを出てバックスがサングラスを着けると、モーフィアスか「スミスか?」と逃げ出す。(笑)ふたりはあるビルの窓から飛んだ!公衆電話の時代ではなくなり、あっちの世界へこれです!

トーマスは仲間のジュードとカフェで「トリニティが大好きなキャラクターだ」と話していて、そこに入ってきた家族の奥さんがトリニティにそっくり。「トリニティさん!」と話しかけると「ティファニーです」という。トーマスは謝罪して、握手をした。その触覚が忘れられない「トリニテイだ」と。

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トーマスは社長のスミスに呼び出され「ワーナーは我々抜きでやれる。君は終わっているというが物語は終わってない、別名でやれる。長い年月だ。原点回帰がいい!」と打診された。(笑)どうやらこの話は映画の中での話ではなさそうだ!(笑)

精神分析医のアナリストの診断を受けた。憂鬱な顔をして「ゲーム会社から、作りたくないゲームを作れと言われている」と悩みを話す。「二度も自殺未遂をして、ゲームのことを話して聞かせろ!」と言い、青ピルを渡す。(笑)

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次の会議で「マッドマックスなら受ける」という意見に「単純な暴力は良くない」と発言した。(笑)この作品を作ることが嫌だったんですかね?(笑)

トーマスの毎日は、フットネス、青ピル飲んで、雑談して、飯食っての繰り返し。「これが現実か?仮想だよ!」とトーマスは涙した。

そんななかでティファニーとカフェで再会した。ティファニーは家庭を持ちたかったと話し、オートバイが好きだという。トーマスが「ゲームに入りすぎて、その女性がトリニティだ」と話すと、「彼女は好きよ!」と言い、「夫は全く興味がないらしい」と笑う。店を出ていくティファニーのあと姿を見て「トリニテイだ」と確信した。

会社に緊急事態予告があり、「トーマスに奥に来い」!とメールが入り、トイレに行くと、そこに若いモーフィアスが「俺は本物だ!」と言い、赤いピルを飲めと勧める。そこに警官が駆けつけ、モーフィアスらと格闘になった。部屋が火災になり、社長のスミスがエージント・スミスに見えて、トーマスを撃ってきた。アナリストが現れ状況を話すと「現実と仮想が分からなくなっている」という。

トーマスは悲観して、バーボンを飲んでビルから飛び出そうとすると、そこにバックスが現れ白いウサギの入れ墨を見せ、ドアーに開け「こちらへ!」と現実の世界に誘った。

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トーマスとバックスは東京行きの新幹線の中モーフィアスに会った。モーフィアスは「毎日の繰り返し。ここから逃れたいなら赤ピルを飲め」と勧めた。

 ここからねたばれ(要注意)

 新幹線列車内で爆発が起こった。車内は大混乱。トーマスはトイレに逃げ、小さい鏡を抜け、裸で無数のプラグに繋がれたポッドの中で目を覚ました。トリニティーが眠っているポッドがあったが手が届かない。

ネオはポットから引きだされ、プログラムに連結され、脳内に入力された。ネオは再生された。

池に浮かぶ道場で、ネオはモーフィアスとカンフーで勝負。当初はモーフィアスが有利だったが徐々に力を取り戻し、ついにモーフィアスを倒すに至り、再び覚醒し、トリニテイを探すことにした。ムネモンシュ号の新しいメンバーが紹介された。レクシー、セコイア、バ^グ、エルスター、ハンノ、シンシェント。

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ネオはムネモンシュ号で人類の最後の拠点アイオの街に出向き、指導者ナイオビに会った。街には植物が育つようになっていた。メロビンジアンが現れ、戦争になったのはネオのせいと非難された。ナイオビからマシン同士の戦で滅びたザイオンと同じ轍を踏みたくないと、協力を断られた。

ネオはトリニティを探しにバックスの運転するオートバイで出かけた。バックスの運転姿はトリニティそっくりだった。途中でスミスと出会、「悪いと思っている、お前には自由にしてもらって」とスミスは昔を思い出しながらすさまじい勢いでネオを襲い格闘となったが、ネオがスミスを倒した。

ネオは仮想現実の世界に入り、オートバイ工場で働くティファニーに会いに行った。彼女が「あの店であなたを探していて警官に追われてオートバイで逃げた!」と映画「マトリックス」のワンシーンを思い出した。夢が現実になったと思った瞬間、ティファニーは砂が崩れるように消えた。

そこに黒い猫がいた。「デジャヴェ!」とアナリストが現れ、「お前が死なないと世界は変わらん。“マドリックス”のアノマリーだ。君たちが会うと変なことが起きる。君はフィクションを現実に変える力を失っている」と、銃をティファニーに向けて撃つ。ネオが中に入ってこの銃弾を止めた。警察が駆けつけ大混乱となった。ティファニーを連れ戻ることはできなかった!

ムネモンシュ号に戻るとサティー(ブリヤンカー・チョーブラ・ジョナス)が「父が悔やんでいたが、父が設計したポットにネオとトリニティは入っていたと話した」と言う。ネオは「今度は俺が生かしてやる」とトリニティが納められたポットを探し出し、ポットから彼女は引きだされ、プログラムに連結され、脳内に入力され、トリニティは再生された

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目覚めたトリニティは「心のどこかにあなたが帰ってくるのを待っていたように思う」と話す。ネオは「傷つけた。だったひとりの愛した人だ」と伝えた。トリニティは仮想現実の家族の元に帰っていった。

夫のチャドが「ティファー!」と大声で呼んだ!これにティファニーは「私にはちゃんとした名前があります」と激怒し、激しく夫とつかみ合いの喧嘩になった。この怒りこそが本作でラナ監督が強く訴えたいところ!

ネオに「ネオ!」と叫ぶトリニティの声が届いた。

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ネオは仮想世界に入り、カフェでアナリストに会い、トリニティーが望んだら、僕らを見逃せ」と交渉。カフェにやってきたティファニーに、彼女を連れ戻そうと説得した。ティファニーはトリニティーであったことを思い出した。そこに警官隊がやって来て、ネオ一たちと乱闘になる。アナリストは「ティファニーと握手したのになんだ!この騒ぎは!」と怒った。

スミスが駆けつけ「彼とは接点がある、俺も自由になりたい!」とティファニーの助っ人に入った!

この騒ぎを黒猫が見ていた!

トリニティがオートバイにネオを載せてカフェを後にした。市民botが移動を邪魔する。周りのビルから大量の市民botが降ってくる。だれが作った。ここからは第1作「マトリックス」のラストシーン、ネオとトリニティがエーゼントに捕らわれたモーフィアスを救出するアクションシーンにほぼ同じです。車両の衝突・転倒火災、ヘリによる射撃、薬夾が雨あられと降ってくる(笑)全弾をネオが受け止める。もうやり過ぎというほどの迫力でした。(笑)

ネオとトリニティはヘリに救護されたが、ヘリが爆破され、ビル屋上に吹っ飛ばされた。ふたりは立ち上がり、陽を見て「美しい」とキスした。「夢はもう終わった、もう戻れない!」とトリニティ。ふたりは手をつないで天に飛んだ!落ちるネオをトリニティがつかんで飛んだ。(笑)

 ムネモンシュ号のネオとトリニティはコンピューター連接コードを外した。そして、コーヒーを飲んでいるアナリストのところにやってきてトリニティが彼を蹴とばす!(笑)「いやなメス犬だ!」と騒ぐアナリストを殴り蹴上げ(笑)「あんたがリセットした。好きなように作り直す」と、ふたりは手を取り合って飛び去った。

感想:

ネオとトリニティは、自由意志で、真実の愛を求めて空高く飛びだした。すべてが第1作「マトリックス」と同じ構図で、この作品に回帰したようです。

監督がこの作品を手掛けたのは、両親が亡くなり悲しくて涙が止まらず、人生で最も大切なふたりを失ったときに、両親の代わりにネオとトリニティを蘇らそうと頭に湧いてきたのがこの構図だったという。そうだったのかとこの告白に感動しました。本作にはラナ監督の強い生き方が深くかかわっているように思えます。

ネオとトリニティを演じたキアヌ・リーブスキャリー=アン・モスの演技。年齢が滲みでた老いらくの恋、これが楽しかった。絶対に見たいふたりの姿でした。(笑)

若きモーフィアス役のヤーヤ・アブドゥルェと艦長バックス役のジェシカ・ベンウィック、いずれもアクションがしっかりしておりまったく違和感なし、見事でした。

アクションは新鮮味がないので不満な人がいるかもしれませんが、これほどの作品は他にないですから、満足です。

この作品には戦争反対、女性蔑視への強い反感、女性時代の到来などのメッセージが隠されています。ウォシャウスキー監督作品の奥深さでしょうか。映像にはない、力がある作品だと思います。とにかく、力をもらえた作品で、赤ピルを飲み続けようと思っています。

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「空に住む」(2020)空っぽを埋めて、そらに住む話!

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EUREKA ユリイカ青山真治監督、7年ぶりに長編作品。見落としていて、WOWOW初公開で鑑賞しました。

作品は、

作詞家・小竹正人の同名小説と、原作とともに誕生した「三代目 J SOUL BROTHERS from EXILE TRIBE」の楽曲「空に住む Living in your sky」の世界観を基に、現実と夢の間で葛藤しながら新たな人生を見いだしていく女性たちを描くというもの。

監督:青山真治脚本:青山真治 池田千尋撮影:中島美緒、編集:田巻源太。

出演者:多部未華子岸井ゆきの美村里江、岩田剛典、鶴見辰吾岩下尚史高橋洋大森南朋永瀬正敏、他。

郊外の小さな出版社に勤める直実(多部未華子)は、両親の急死を受け止めきれないまま、叔父夫婦の計らいでタワーマンションの高層階で暮らし始める。長年の相棒である黒猫ハルや、気心の知れた職場の仲間に囲まれながらも、喪失感を抱え浮遊するように生きる毎日。そんなある日、彼女は同じマンションに住む人気俳優・時戸森則(岩田剛典)と出会う。彼との夢のような逢瀬に溺れていく直実は、仕事と人生、そして愛の狭間で揺れ動き、葛藤の末にある決断を下す。(はしがき)

空っぽな直美が、まわりの人たちとの関りの中で、心を埋めて、人として成長していく話です。

タイトルの“空“。空にそそり立つタワーマンション。そのマンションに住む、父母を失って間もない直美の心象”空っぽ“。タワーマンションと直美の心象が上手く繋がるという“絶妙なタイトルです!

タワーマンションに住む人、夢と現実の中でふわふわしている編集者、俳優、専業主婦。子を宿しながら別の男との結婚を夢見る空っぽ女性。それにネコ。際立ったキャラクターが上手く絡まるストーリー展開がすばらしいです。

美しい映像と皆さんの上質な演技を楽しむことができます。

あらすじ

直美は幼いころに母を亡くし、1週間前に父を亡くし、納骨を終えて、叔父小早川雅博・明日子夫妻の住むタワーマンションの39階の部屋に、ハルを連れて引っ越してきた。

夫妻の案内で入った部屋。窓際に設けられた仏壇に父母の位牌を治め、ここから東京の街を見下ろした。ふわふあと空を飛んでいるみたいで、今の自分の心と同じだと思った。ひどく空虚だった。

伯父夫婦はとても仲睦ましく、おしゃれで、やさしく接してくれるが、どこか現実離れした、ふわふわしていて、空のなかに住んでいるような雰囲気がある。夫婦の軽さは子供がいないことだった。

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直美は田舎にある日本家屋を改修した小さな出版社“書籍弧林”の編集者。1週間ぶりに出勤すると担当の小説家・吉田理(大森南朋)が「連載を続けながら、描きおろしをしたい」と言い出し、どうするかと編集長の柏木(高橋洋)が悩んでいた。吉田の編集者は木下愛子(岸井ゆきの)だったが、出産を控えているので、直美が引き受けていた。

吉田の意見を聞くと「どうしてもやりたい」という。直美は「自分が面倒見るから」と吉田の言うとおりにしてもらったが、柏木から「儲かるものを見つけて欲しい」と言われる。

昼、愛子は吉田と蕎麦を食べながら吉田に「産むのか?」と問われ「産みます!」と返事していた。このことを直美は知らなかったが、愛子は吉田とは別の男性と結婚することにしていた。空っぽな女の子だった。

直美は吉田の原稿をマンションに持ち帰り、筆を入れることになった。

マンションに帰ると専業主婦の叔母・明日子(美村里江)が訪ねてきて、一緒にワインを飲んで、取り留めのない話をして帰っていく。叔母には予備鍵を預けているのでしょっちゅう訪ねてきて遊んでいくが、猫のハルはこの叔母に懐かなかった。

ある朝、出勤時のエレベーターでラフな服装の男と一緒になって、この男が隣ビルの広告塔のモデル・時戸森典だと知った。会社で「時戸、知ってる?」と聞くと浮気ものだとかイケメンとかの声が返ってきた。気になる男ではあった!

帰宅すると花束を持った時戸に会った。「この花を君の花お仲間に入れて」と部屋に入って来て、「アムレツ作れる?」と聞く。作った「美味しい!」と食べ、携帯の番号を聞いて帰っていった。なんとも空っぽな男だった。

伯父夫婦が「いい人はいないか?」とお節介な心配をしてくれる。明日子が「このマンションにいる時戸なんかどう!」と言い出す。

夜、時戸から「サクランボ貰ったから食べないか?」と電話があり、訪ねてきて、ワインを飲みながら話しているうちに「嫌ではないだろう!」とキスを迫り、直美も曖昧な返事をして抱かれるという、“空っぽ”な関係が続くようになった。

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ある夜、時戸がやってきて「俺は空っぽ?」と言い始めた。「芝居は嘘の中にいかに本当を造ることだが、直美はその逆だ!本当のことが分かって嘘をやっているみたいだ」という。時戸は哲学的なことを口走ることに気付いた。直美は「一緒に本を作らない!」と勧めた。時戸は「今のふたりの関係は愛とか恋とかでなく心の隙間を埋めるためのものだ」と言う。この夜はちょっと燃えた。

愛子がマンションに遊びにやってきて、「付き合っている人には、子供はあなたの子と騙して結婚する。喋らければいいだけのこと」と話す。(笑)、この生き方に驚き、「愛子の味方になる」と答えた。

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愛子を見送りにエレベーターに乗ろうとして、花束を持つ時戸に出会って、愛子はふたりの関係に気付いたようだった。

部屋に戻ると時戸が廊下に座り込み花びらを食べている。部屋に入って愛子のことを話していると、叔母の明日子がやってきた。が、居留守を使った。「何か食べるものはないか?」と聞くので「オムライスは?」と言うと、「嫌いなものは卵だ!」と怒って帰った。直美は呆然とした。何でこんな人たちに振り回されるのか思ったか!

夜、叔母・明日子と夕食をとった。時戸の話を持ち出すと「次から次と女の子を変えているから気を付けて」と、勧めてみたり腐したりと、まあいい加減?

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猫のハルの状態がおかしいので医院に連れていくと、ストレスが原因の悪性リンパ腫と診断された。マンションに引っ越して心労を与えたなと心が痛んだ。

ハルの治療を待つ間に、「時戸が映画の宣伝で出演し週刊誌で熱愛が報じられ「飲み友達です」と応じているTVを観た。こういうことかと現実を知った。

3か月間居たマンション管理人の転勤を知り、もっと親しくしておけばよかったと、タワーマンションの中に人の暖かさがあることに気付いた。

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愛子の婚礼衣装の試着につき合った。その帰りに吉田の幸せそうな家族に出会った。愛子の大きな気持ちに気付いた

その夜、明日子叔母が部屋にやってきて、ハルのことを聞く。「叔母には関係ない」というと「ハルのために泣いた?」という。叔母には帰ってもらって、自分が小さいころ父母に構ってもらえず悲しかったこと、ハルと出会った元気になったことを思い出し、その夜はハルの横で寝た。側にいる大切なものに気付かなかったことを悔いた!

ここからねたばれ(要注意)

吉田理が小説「深愛」で芥川賞を受賞した。直美のところにも送られてきた。

マンションにやってきた時戸が「暴露本か!」と小説「深愛」を手にした。直美はこれを時戸にプレゼントし、「これが済んだら別れる」と時戸との出会いを本にするためのインタビューを行なった。「女性感は」「生き方は」・・と時戸に質問。「最後の質問、あなたの夢は?」に時戸は「俺はまだ地面に立っていない地面に足をつけて立つことだ」と答えた。最後の夜を過ごして、彼を送り出した。

ペット葬儀屋(永瀬正敏)にお願いして、ハルを火葬した。煙も出ず消えていってしまった。葬儀屋さんは「消えるのは距離と時間の問題。私たちが並行線として生き、この地べたでは決して交わらないが、宇宙を通じて交わる」と教えてくれた。

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直美は柏木編集長に企画書を提出した。編集長に「時戸さんのスキャンダルを救うことになるなら人は読む」と言われ「彼はノホホンと生きているので、彼というより私の仕事。ドキュメンタリーとして吉田さんに再構成してもらう」と答えた。「会社の為か、あなたの為か?」と聞かれ「猫の為!」と答えた。

マンションを訪ねてくる途中の愛子から「来て!」と電話があり、駆けつけると破水して苦しんでいた。病院に行こう!と勧めると「まだ産まない!彼には連絡しないで!」と言う。「現実を見なさい!」と叱りつけて、病院に運んだ。女の子を出産し、何事もなかったように慈しんでいた。

「愛子が違うと思ってもこの子はお母さんに一生付いてくる。これからは覚悟ある人生よ」と声を掛けると「直美ちゃんは強い。ふわふわしていて、どんどん進んでいく。無敵だ!」と微笑んだ。

ラストシーン。時戸の好きなオムレツを作って写真に撮り、自分で食べ、時戸との思い出を断ち切った。お節介な叔父夫婦の来訪を無視して、大きく空に背伸びし、ひとりでこのタワービルに生きる決意をした。仏壇の中央に猫の遺骨が安置され、タワーマンションこの部屋が人が住む空気に包まれてくる

感想:

沢山のエピソードをだらだらと連ねているようで、ひとつひとつのエピソードに空っぽの虚しさや現実の人間関係の複雑さがある。これらが繋がって、ラストシーンで直美が自立に目覚めるという結末。

身近にいた猫・ハルの、不倫の子ではあるが愛子が出産したという現実。そこに不条理な人間関係を超えた愛を見つけた直美。「空っぽを埋めるには、自分が地面にしっかり立つこと」と自覚していく結末がなんともすがすがしい。

直美としての多部さん空っぽな直美が日常の中で少しづつ現実を見つけ出して泣けるようになる、覚悟のある女性に変化していく演技。これまでの多部さんにはない難役を見事に演じました。多部さんの女優としての転換点となる役ではなかったかと。

直実の後輩・愛子としての岸井ゆきさん。柏木の子を宿しながら別の男と結婚するという空っぽの中で過ごし、何の蟠りもなく、生まれた子の母親となるという太っ腹母さん。映画「愛がなんだ」に次いで、こんな空っぽな女性を見事に演じました。

直実の叔母・明日子としての美村里江さん。専業主婦として夫をうまく操縦し、空っぽのままで夢の中で生きるという、しなやかで強い女性をうまく演じました。

 いずれの女性も、これまでに青山監督が描いてきた女性像のように思います。

時戸としての岩田さん。夢の中なのか現実なのかという不思議な生き方。そこかでてくる哲学的な人間関係の見方。雰囲気のある演技でした。空港に急ぐ車の中で、直美から渡された小説「深愛」をどうとらえたのでしょうか。

タワーマンションと田舎の小さな出版社。これが空っぽと現実を暗示しているようで、電車がこれをうまく繋ぐという上手い設定でした。これがとても美しく撮られていました。なかでもタワーマンションに住む直美と雅博・明日子夫妻のシーンごとにファッションが替り、ワインを飲むという、なんとも空っぽな世界“空に住む”という雰囲気を楽しませてくれました。

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日曜劇場「日本沈没-希望のひと―最終回」

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最終回「最後の一人まで諦めない」

 TBS日曜劇場「日本沈没―希望のひと―」最終回、2時間3分スペシャルでの放送で完結、視聴率:最終回は16・6%。とても好評で最終回を終えました!沢山の感想が寄せられており、今更という感じですが、9回観続けた者としてのけじめとして書くことにしました。


www.youtube.com

あらすじ(最終回):

東山総理(仲村トオル)を狙った爆破テロのニュースは全世界に大きな衝撃を与えた。同行していた世良元教授(國村隼)は亡くなったが、総理は重症で入院となった。

国内の情勢が不安定と判断され、移民計画に影響が及ぶことを恐れた日本政府は、早急に里城副総理(石橋蓮司)を総理代行にして世界へアピールすることになった。

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天海(小栗旬)、常盤(松山ケンイチ)ら未来推進会議が中心となって事態の打開に挑むが、状況は改善しない。そして、遂に全世界で日本人移民の受け入れ停止が発表される。

オーストラリアからの500万人受入れ申し出で、再び移民計画が動き出したところに、移民者の中に感染症が発見されたという報告もあったが、副総理の指導で楽観的に進めることになった。

小樽に研究本部を置いた田所博士から「白イカが発見され、確実に環境異変が生じている。日本の環境政策は世界に役立つ」と天海に伝えてきた。

しかし、国民は躊躇していて、「個人か家族」単位での移民申請が進捗しない。

天海は宇和島の母の元に戻って、移民を勧めて分かったことがあった。「皆と一緒に行きたい」ということだった。これはすでに東北地震における原発汚染地域からの疎開で試されたものであって、なぜ気づかなかったか!ましてや二度と日本に戻ってないとなれば尚更であろうと思うのですが・・。

ここで100名を上限としての団体単位での申し込みを認めて、困難を極めたが、申請要領を修正して施策を押し進めた。

天海は久しぶりに椎名に会って、移民申請のことを聞くと「どうせおひとりさまですし」と話す。椎名に「一緒に行かないか」と問いかけ、すぐに「変なこと言ったな」と笑ったが、椎名は「そのお誘い、甘えさせていただいていいですか」と、天海の申し出を受け入れた。これ、移民申請が天海の椎名へのプロポーズになりました!(笑)

移民申請者が1億人に達したと喜んでいるところに、新型ウイールス“ルビー”により死者が発生、感染が拡大しているという情報が持たされた。オーストラリア移民者から感染者が出たことで、今後の移民が無効になるのではないかという大問題が出てきた。

そこに、田所博士から「名古屋から関東にスロースリップが拡大し、日本沈没は早まる!待って4か月だ!」と伝えてきた。移民者はまだ1000万人、残り9000千万人はどうなる?と大混乱に陥った。

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この混乱の中で、京都大学から3名の患者が回復したという事例報告がなされ、常盤製薬とハタ製薬製品両社の薬品が有効であることが判明した。

“ルビー型”による感染症は日本だけでなく、世界共通のものらしい」と伝えられ、世界的感染症学者のブラント博士が「グリーランドの永久凍土から出てきたもの」と発表するに至った。

新型感染症対策で、リモートによる世界臨時会議がもたれることになり、怪我から回復した東山が参加することになった。首相はこの会議で世界に向け、「治療薬の製造法を公開する」と発表し、「世界が日本の移民受け入れてくれること」を要望した。再び移民が始まり、移民が順調に進みだした。

天海は自衛隊の基地空港に元妻・香織(比嘉愛末)・茜(宝辺花帆美)に会いに行った。そこで妻の連れ添いの野田が感染症で亡くなったことを知った。娘との別れは辛かった!しかし香織は気丈に茜と移民先に飛び立っていった。天海の母(佳恵)も仲間と一緒に故郷を離れ、移民地へと向かった。

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椎名は田所博士の研究を手伝うことにして小樽に移動した。そして天海は最後まで移民を見守ると2か月間、東京に残ることにした。

2か月後、

日本未来推進会議は解散し、それぞれが家族のもとに行くことになった。残務は天海と常盤が引き受け、札幌に飛ぶことになった。

これが最終便と、天海たちも北海道に移動するためC130自衛隊機に乗り込んだ瞬間“本州沈没”が始まった。発進したC130の後を捲れるように破壊する滑走路(破壊波動)が追ってくる。「早く飛び立て!」という迫力ある映像でした。小樽の田所研究所では椎名が天海と連絡取れず、心配をする。やっと携帯がつながり涙する椎名。

フォッマグマで日本列島は南北に折れ曲がり、遂に日本が沈没し始めた。

北海道の沈没は1週間後と田所博士に予告され、道民の移民をひとりでも多くとせかした。多くの道民の港に駆けつけ、出航していった。

天海たちのいる札幌庁舎、小樽の地震研究所も激しい揺れに遭遇したが、田所博士から「沈没が止った。プレートが切れたようだ!」との報告が入った。北海道と青森、九州を残し日本沈没は停止した。

常盤は総理とともにここに留まり、世界中に散った日本人を支える大役を担うことになった。天海は椎名とともに中国にわたりジャパンタウン建設に尽力することを決意した。

天海は別れを惜しんで田所博士を訪ねると、「よかったこれが食えて!」と白米のおにぎりを食べる。(笑)

天海の「活動の原動力は“恐怖だった”」と伝えると、田所は「もっと、もっと恐れた方がいい。人間は、この地球があるからこそ生きていられる。みんな、そのことを忘れてしまっている。止められるのは今しかないぞ」。天海は「温暖化の被災国である日本の一人として、地球の危機を世界に訴えていかなければならない。その未来は僕ら一人一人の手にかかっている」と田所との約束を胸に刻み込み、決意を新たにした。

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ラストシーン、天海と田所博士が佇む海岸。美しい断崖絶壁の海岸風景が、日本が一部であっても、沈没しなくてよかったと、日本の美しさを再認識したシーンでした。

感想:

原作は小松左京さんの「日本沈没」(1973)で、概ねこれに沿ったストーリー展開でしたが、この原作にはない、移民をどう進めるかという官邸、官僚の具体的行動が描かれ、原作に深みを与えたのではないかと思っています。

当初は政府や官僚のどたばた騒動に疑念を抱くことも多かったですが、8回、最終回でこれを挽回したと思います。この2話はツッコミどころ満載だったという意見もあるようですが、SFですから!テーマの結末がしっかりしていれば問題なしです。

物語は環境問題解決にと始めた海底資源採掘事業(COMS<コムス)が太平洋プレート境界のスロー・スリップを引き起こし、日本沈没に至り、日本人は世界中に移民することになったが、これを救ったのは日本の世界に先駆けた新型感染症治療薬(発生源は地球温暖化による永久凍土)であったという、「環境で始まり、環境で終わる」物語でした。

将来の日本の姿として“科学・環境”立国であることが日本を救うと訴えたことは、ありきたりな結言のようで、これでよかったと思います。というのは人気のマーベル映画作品の方向付けともいうべき映画「エターナル」(2921)がこれと同じテーマで、世界は同じテーマに向かっていると思うからです。

しかし、第6回で世界に海洋汚染を約束したいという“約束”、原発処置が描かれなかったことが残念でした。このドラマにとって致命的ともいえる欠陥となりましたね!

9回で綴る物語として、関東沈没、日本沈没山場を作りながら、各回ごとの危機に主人公天海が不屈の精神で答えを見つけ出していく「決して諦めない!」物語は次回の期待につながり面白かった。日本沈没を決して受け入れない里城副総理が、後半で主役に踊り出るという激変。この人がなぜ激変したかわよくわからなかったが、石橋蓮司さんの演技に魅せられ、主役の小栗旬さんを食っちゃいましたね!(笑)

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「希望の人」を演じた小栗旬さんが、とんでもない奇人田所博士と組んで、総理・副総理を動かしていくところは、「官僚は国民的視点で仕事をせよ!」と訴えているようでした。SF作品の演技というのは難しいと思うのですが、しっかり感情の入った演技でした。結構、涙するシーンも多かったですが上手かったですね!「ゴジラvsゴング」(2021)で苦労した結果が出ているように拝察しました。

天海の親友、常盤役の松山ケンイチさん常磐の生き方に影響されて「希望の人」に変位していく常盤は、この物語を観る人の立場を代表する役で、ドラマを分かり易くしてくれますが、松山さんの受け演技がとてもよかですね!

椎名役の杏さん。記者としての矜持をもって国民に寄り添う報道姿勢を崩さない強さの中で、この作品の中で唯一、恋ごろころを見せるという役、すかっとしてとてもよかったですね!

田所博士役の香川照之さん。言うことなしの演技でした!

局を挙げての作品制作。日本が沈没していくグラフィックスなどCGでしっかり工夫がなされていました。

最後に、予知情報をいつ、どこまで伝えるかという情報の伝え方がとても面白かった。大災害における最大の問題かも知れませんね。

第1回より読んでいただいた方々に御礼申し上げます。

                                                    ***

「砕け散るところを見せてあげる」(2021)これみて、あなたもヒーローになれる!

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男子高校生がいじめに遭った下級生の女子生徒を助けたことをきっかけに、女子生徒を守ろうとするボーイミツガールズ物語?突き抜けたタイトル、観てみようとWOWOWで鑑賞しました。

原作:竹宮ゆゆこさんの同名小説、

監督・脚本・編集SABU撮影:江崎朋生、音楽:松本淳一主題歌:琉衣「Day dream 〜白昼夢〜」。

出演者:中川大志石井杏奈井之脇海、清原果耶、松井愛莉、北村匠海矢田亜希子原田知世堤真一、他。

平凡な日々を送る高校生の濱田清澄(中川大志)は、ある日、学年一の嫌われ者と呼ばれる孤独な少女・蔵本玻璃(石井杏奈)に出会う。正義感の強い清澄は玻璃に救いの手を差し伸べ、玻璃はそんな清澄に対して徐々に心を開いていく。しかし、玻璃には誰にも言えない秘密があった。その秘密に気づき始めた清澄に、恐るべき危険が迫り……。(はしがき

今、青少年にもっとも求められる正義感が、ボーイミツガールズものか、ミステリーか、はたまたホラーか、そしてファンタジーかと展開されるストーリーSABU監督の会心です!“砕け散る”ところを見て、あなたはヒーローになれるという、ふか~いお話しでした。(笑)

あらすじ:

プロローグ:

夜間、受験勉強中の高校生3年生の俺北村匠海)が「UFOが打ち落とされたせいで死んだのは2人か3人か」と母親(原田知世)と亡くなった父の話をする。父は大雨の日、河に流された車両の人命救助に当たって、数名を救助したが、あとひとりと水中に潜り、激流に流され亡くなっていた。俺はヒーロー変身ポーズをとって、父のようにヒーローになりたいと思っていた。

              

高校生3年生の濱田清澄中川大志が寝すぎて、慌てて登校すると、すでに全校生の朝礼が始まっていた。物を投げられて虐めを受けている女の子がいた。声を掛けると奇声を上げて走り去った。その子の教室を見にいくと机を蹴られて嫌がらせをされていた。清澄は机を元の位置に戻し、睨みを利かせてやった。

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清澄はこの子が気になっていて、店で友達とお茶していて、この子がトイレに拘束されていると聞いて駆けつけた。だれもいないトイレの用具室に水を掛けられびしょぬれでいた。彼女を開放して、自分の服を脱いで着せ、知り合いのクリーニング店のおばちゃん(木野花)のところに連れて来て、制服を乾燥させて、家に帰した。名は蔵本玻璃(石井杏奈)、きつい吃音だが、よく喋り、御汁粉が好きだということが分かった。

町まで送っていく途中で「先輩みたいなヒーローになって、UFOを撃ち落としたい」という。「母は4年前に家を出て行った。父はどこにいるか知っているらしい。家にはお婆ちゃんがいるが何も言わない。父は厳しい人だが、父のせいでなく、こんな自分になったのはUFOだと思っている」と告白した。「決して悪を見逃さない、自分のためには戦わない、絶対に負けないのがヒーローだ」と教えて、「ヒーローになれ!」とヒーローポーズで励まし、別れた。UFOはなんのメタファーなのかが明らかになりました。

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翌日、おばちゃんに「あの子は虐められている。持って行ってやれ」とおはぎ渡され、登校途中のガードレールで待っていると、髪をふわふわにして可愛くなった玻璃がやってきた。おはぎをとても喜んでいたところに、同級生の尾崎(清原果耶)が通りかかり、「トイレで拾った」と玻璃のメガネを渡した。彼女は玻璃が虐められているのではないかとトイレを見に行ったという。これに仲間が居たと玻璃が喜んだ。

清原果那さんの出番は少ないが、その演技力は抜群で、目を惹きます。

 昼休み。尾崎がいじめの標的になりおはぎを投げつけられ、これを玻璃が庇った。これを聞いた清澄が駆けつけると、おはぎが顔面に当たって、鼻血を流した。帰校時、清澄は玻璃にいじめを父親に話すよう勧めたが、もう少し様子を見るという。こうして清澄は玻璃と会うことが楽しみで、次第に好きになっていった。

ここまではふたりのラブストーリーだった。

清澄はテスト資料を渡そうと玻璃を家に招いた。そこに清澄の母(矢田亜希子)が勤め先の市立病院から戻ってきて、すっかり玻璃が気に入った。時間制限があるというので、玻璃の家に車で送っていく途中で、玻璃の父親(堤真一)に出会った。突然車をバックさせてくるという、とてもぶっきら棒な人で怖かった。でも母が色々と聞きたがった。お婆ちゃんが病院にいるというので病院名を聞くと市立病院だと言った。

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この日を境に玻璃が学校を休んだり、話しかけても奇声を発するという元の玻璃に戻った

玻璃は何故嘘ついたか、何があったのかと、玻璃の家を訪ね大声で叫んでも返事がなかった。清澄は玻璃に大きなUFOが降りて来たと感じた。

夜、勉強していると、突然ドアを叩く音。真っ黒のコートでフード被り、顔に傷をつけた玻璃が現れた!「UFOが来ている!先輩もお母さんも逃げて!」と叫ぶ。「父にここの住所がバレた!」という。実は父がお婆ちゃんを殺して湖に沈め、それを玻璃は見ていて、父がお前も共犯者だと言ったという。

「俺たちを救ってくれるなら、お前はヒーローだ!俺たちはヒーローだ!」と清澄の出番となった。

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清澄は友人の田丸玄悟(井之脇海)からフロートを借りた。田丸が「玻璃はあっちの人だから止めとけ!」と忠告してくれた。これを無視してお婆ちゃんが沈んで湖に潜って、バックを引き上げた。バックの中には玻璃の母親の指輪しかなかった。玻璃はお母さんも殺されたんだ!と驚き、泣いた!

何が起こっているのか?これ、ミステリーだよ!

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 警察に連絡しようと湖に近い玻璃の家に急いでいて、玻璃の父に出会った。父がゴルフクラブでふたりを殴り倒し、部屋に連れ込んで、石油をぶっかけて焼却しようとする。清澄は意識があったが血液で見えない。玻璃が血まみれで倒れていた。

もうホラーだよ!

 玻璃が母の指輪を投げてそっちに父を誘い、手を高く上げてヒーローになって、父親が落としたゴルフクラブを拾い、父をメッタ討ちした。血液が飛び散った!清澄は真っ赤なヒーローを見ていた。

清澄は病院のベットで、母やおばちゃん、友人が見つめる中で、目覚めた。警察が池を捜索し、事件は終わった。玻璃は消えた。全部上げたいと思っていた玻璃が消えた。もう忘れようと思っていたら、新しいUFOが現れた!

3年後に、街中で名前の変わった玻璃に出会った。結婚する前に自分のUFOを紹介した。彼女も見えていると言った。ず~と空からUFOが消えてくれない。

そんな中で、大雨の日、増水の河に車が転落。清澄は救助のために河に飛び込んだ!

このとき彼女は出産のために入院していた。

清澄はずっと玻璃を救えなかったことを悔いていて、今度こそはUFOを撃ち落として、美しい世界を彼女に見せてやりたいと思っていた。

最初の人は救い出したが、あとひとりに手が届かない!あのときもそうだった!

そのとき、産まれてくる子の産声が聞こえた。清澄はUFOに手を掛け、攻撃した。病室の彼女は飛び散る光を見ていた。清澄の魂は彼女と一緒に生きることになった。年取った清澄は「もう物理的な性欲はないが、時を超え、会いに行ける」と息子を見守っている。

これファンタジー

 エピローグ:

俺(北村匠海)がヒーローのポーズをすると母が笑う。母には俺の後ろで俺の真似をしている父が見えるらしい。

「いつになったらヒーローになれるかな?」と聞くと母は「大人になって!」と笑う。「それでは母さんが年取ってしまう」というと「そうねえ」と笑う。俺は母がいて父いて、“愛には終わりがない”と信じている。

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母さんは、虐めを止めてくれた次の日、ガードレールに腰かけて待ってくれた父の姿を思い出していた!

感想:

テーマは“愛には終わりがない”だったが、「何を見せてくれるんだ!」と驚きました。凄い愛情に納得です!(笑)

ラストシーンでほっとしました。玻璃には虐めを庇ってくれた清澄のヒーローぶりが、飛び散るヒーローまで頑張らなくても、最高だったんだ!これなら誰でも実行できる。みなさん、虐めを見たら、戦いなさい!

 この結論に辿り着くまでが大変でした!(笑)

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