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「セント・オブ・ウーマン 夢の香り」(1992)

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盲目の退役軍人と、その道案内役の青年が共に旅をするうちに心を通わせていく姿を描く人間ドラマ。
監督はマーティン・ブレスト、主演アル・パチーノがアカデミー主演男優賞を受賞しています。
https://ja.wikipedia.org/wiki/セント・オブ・ウーマン/夢の香り

「長い灰色の線」(1954)で人生が始まり、悩み苦しみのなかで、本作が人生を見つめ直させてくれました。

夢なかばで、人生を棒に振った退役中佐フランク(アル・パチーノ)。人生を悔やみ、先の人生に生きる力を喪い、人との関りを断ち、隣家の姪・カレン・ロッシ(サリー・マーフィ)の助けを借りて、退役軍人宿舎でひとりで暮らしている。

フランクが何故人生に失望し、やけくそのような生活をしているか?物語の進展に応じて徐々に明らかになってきます。自分の悩みが彼の失望理由に重なり、彼が生きる意味を見つけていくところに感動します。
「なぜ、これまでの人生に拘るのか」「自分のこれまでの人生は無駄ではなかった」「自分ひとりで生きているのではない」など、自分の人生を先に進めるに必要な言葉に出会います。映画も観たくないほど悩んでいる人こそ、観ることをお勧めします。必ず答えが見つかります!!

アルバイト案内で紹介を受けたってきたのが、全寮制の名門ハイスクール、ベアード校の奨学生チャーリー(クリス・オドネル)。
チャーリーは、規則重視で学生に人気のないトラクス校長(ジェイムズ・レブホーン)が全校生徒の前で大恥をかかされるという事件を目撃したため、校長からハーバード大進学の奨学金を交換条件に、犯行学生の名を明かすよう迫られている。一緒に目撃した同ジョージ・ウィリス・Jr(フィリップ・シーモア・ホフマン)と“ダンマリ”を決めたが、親父さんが著名家で、彼のその先はわからない。奨学金の欲しいチャーリーはどうすべきか?長いものに巻かれるか、自分の正義を通すべきかと問題を抱えて、変人・フランクに出会います。

チャーリーと同じ問題で悩んでいる人、ぜひ観て欲しい。「友を見捨てるな!これがリーダーの条件」という結末に感動し、チャーリーの選択に「ウラー」と歓喜の声を上げるでしょう。そして、フランク vs トラスク校長・感動の逆転スピーチ、フランクのこの問題に対する回答に、絶対に泣くでしょう。
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フランクは、退役兵士宿舎に訪ねてきたチャーリーに、軍人らしく承知しておけと言わんばかりに命令口調で「68年パリ会議に副聴聞官として出席し勲章をもらい、これでG2に入りだ!」と過去の軍歴を語る。G2というのはペンタゴン情報部でエリート将校の集まるところ。彼は盲目。これで、退役後もこの性癖を引きずる彼の苦しみの大要はつかめます。
ここでのアル・パチーノの盲人としての視点の定まらない演技、動作、そして軍人としての威厳を保つ演技は絶品です!

チャーリーは面食らうが、手当の大きさ、カレンのたっての要請で、1日フランクに付き合うことにする。
フランクはニューヨークに旅に、チャーリーを連れ出す。実が、この旅は、フランクにとってかっての栄光、夢の香りのなかで自殺するという旅だった。

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タイトルの邦題「夢の香り」がよく合っているように思う。「セント・オブ・ウーマン」は、この旅で出会う夫人たちが放つ香水の香り。フランクの夢の香りであったのかもしれない。

フランクはことあらば女の話をする。「女の股は天国へのパスポートだ。聞いて価値ある言葉はたったひとつ“アソコ”だ」などと平然と喋る。(笑)  高級ホテルでの宿泊、最高のレストランでの食事とそのうん蓄。、
しかし、彼はこの言葉が下品に聞こえない品格を持っている。チャーリーは、当初は戸惑ったが、このことに気付く。

フランクは兄・ランディ・スレド(ブラッドリー・ウィットフォード)の家族を訪ねて、随分と毒づき、最後の挨拶をする。フランクの態度に怒って吐く兄らの言葉に、チャーリはフランクを援護する。フランクはジョンソン大統領の側近だったが、傲慢な態度が邪魔して昇進コースから外れ、酒を飲んで手榴弾をもて遊んでいて、これが暴発し失明したという。本人は事故だと主張している。

フランクはホテルに戻ると、拳銃の手入れを手際よくこなす。そしてチャーリーに「大人になれ!腐った社会だから校長案に乗れ!」と勧める。

ふたりでバーに。そこで美しい女性、初対面のドナー(ガブリエル・アンウォー)が「上手く踊れない」と断るのを「脚が絡んでも踊り続ける!」と口説きタンゴを踊る。そこには品格がしっかり出ていた。その後街に出て、美しい女性と過ごしホテルに戻ったフランクはもう死ぬだけと朝寝坊。一方、チャリーは電話でジョージと話し、校長の件はうまくことが運びそうと知らされほっとしていた。
「これで別だ!」と、ふたりはスポーツカーを借りでニューヨークの街中をぶっとばす。フランクはチャーリーの父親となって、レンタカーの借用、警察に捕まったときの言い訳までする。

いよいよホテルでの別れ。チャーリーはジョージに電話するが親父さんが出て電話が切られた。異変を感じたフランクは「頭痛がする」とチャーリーにアスピリンを買わせに行かせる。この間に、G2に勤務歴のあるフランクならチャーリーの立場を把握したでしょう。
フランクは、戻ってきたチャーリーに「一緒に死のう!ジョージは口を割る。この国はつまらん!」と拳銃を向け、ふたりが揉み合いになる。
 
チャーリーが「討つなら撃って!」と言い「ヘマしてもみんな耐えている。脚が絡んでも踊り続けるしかない!」「タンゴが上手く、運転がプロ並みな中佐、それにイケメン!話しても一緒にいても楽しい人、やさしく思いやりのある人です」と言葉を掛けた。たかが高校生の言葉だが、この言葉にフランクは生かされた!

学校に戻っての懲罰委員会。チャーリーは校長の尋問に屈することはなかった。フランクは親代わりとして証言に立った。
チャーリーの沈黙が善か悪は分からない。だが彼は自分の将来のため友を売る人間ではない。それが清廉潔白という人間の持つ高潔さ、勇気だ!指導者が持つべき資質はそれだ。チャーリーは正しい道を選んだ。それは品性を養う信念の道だ」。
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フランク・スレード中佐:アル・パチーノ
チャーリー・シムズ:クリス・オドネル
トラスク校長:ジェームズ・レブホーン
ドナ:ガブリエル・アンウォー
ジョージ・ウィリス・Jr:フィリップ・シーモア・ホフマン
ハリー・ハヴマイヤー:ニコラス・サドラー
カレン・ロッシ:サリー・マーフィ
ランディ・スレ:ドブラッドリー・ウィットフォード
W・R・スレード:リチャード・ヴェンチャー
クリスティーン・ダウンズ:フランセス・コンロイ
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Scent of a Woman Official Trailer #1 - Al Pacino Movie (1992) Movie HD