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「ライオン・キング」(2019)吹替版

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アニメ、ミュージカルで絶大な人気を誇る作品。実は未観賞で、この機会にと出掛けました。全てがコンピューターで作られているというバーチャル映画、その美しさに驚きました。アニメも実写も超えた「超実写映像」映画ということには頷けます(予告編)。必見ではないでしょうか!!
「ライオン・キング」(1994)アニメ版のリメイク。監督は「アイアンマン」「ジャングルブック」のジョン・ファヴロー。今回、最先端バーチャル・リアリテイ技術でさらに進化を遂げた映像をみせてくれます。

matusima745.hatenablog.com

 あらすじ:
アメリカ・サバンナの偉大な王で父のライオン・ムサファを、その弟ライオン・スカーの陰謀によって失い、子ライオン・シンバは王国を追われてしまう。シンバは新たな世界でイボイノシシ・プンバァやミーアキャット・テイモンら仲間と出会い、心の傷を癒し、元気を取り戻していく。青年となったシンバはある日、昔馴染みの雌ライオン・ナラと偶然再会する。そして、故郷の王国がハイエナたちと手を組んで王座に就いたスカーの暴政によって危機を迎えていることを知る。いまだに過去にとらわれ、自分を信じることができないシンバは、果たして、自分が生まれてきた使命とは何かを知り、王となる自分の運命に立ち向かうことができるのか・・・。

物語はほぼ前作アニメを踏襲しているようです。テーマは「父から子に繋がる命」。王位を継ぐということに多少の抵抗がありますが、父が子に託す想いや子が父を思い出してくれるシーンには、自分の父・母が思い出され、生きるということはこういうことだと改めて気づかせられました。

動物がしゃべるということで会話は少ないですが、セリフがとてもいい。ムサファがプライドランドを見渡せる岩(プライドロック)で語り聞かせる王の役割。これは王でなくても、危機的地球環境下の今を生きる我々にはとても大切なことです。
「王として、手に入れることより与えることを考えなさい!すべての生物は生きる権利がある、そのことに注意しなさい。私たちは草食動物を食べ、死んで地に帰り、草木が生えそれを草食動物が食べる。全ての命が繋がっているのです」。

主たる観賞対象者は小学校までの子供さんだと思いますが、どんな感想を持つのか聞いてみたい!

物言わぬ動物の物語に音楽が加わりことで感情を揺さぶられ、感動的な物語となっています。音楽担当は前作で多くの賞を受賞したエルトン・ジョンとテイム・ライス。吹替版のため、グラーヴァーとビヨンセのデュエット「愛を感じて」を聞くことはできませんでしたが、賀来賢人さん(シンバ)と門山葉子さん(ナラ)のデュエットもとても心に響くものでした。

****(ねたばれ)
冒頭、シンバの誕生祝賀式典。奏でられるアフリカサウンド曲「Circle of Life」に合わせ、朝日が昇り、キリンや象が砂埃を上げて駆けつけるその砂ぼこり、湖を飛んでやってくる鳥たちその姿が湖に、まるで生きてる動物たちが地を蹴り、空を飛んでいる様を現地で撮影している感覚を味わえるという、もはやバーチャルでなく実写です!
ラフィキがムファサからシンバを受け取り、プライドロックに立ち全プライドランドの動物たちにシンバを掲げ見せるシーン、感動的です。

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ここでのムファシャのたてがみが風に揺れ雄々しい姿、はにかんだようなシンバが可愛く、生きた表情のある動物です。

登場する動物たち。ムファサとその妻・サラビ、弟スカー、ムサファの補佐役サイチョウのザズー、シンバとその許嫁ナラ、神官猿のラフィキ、国を追われたシンバを助けるイボイノシシ・プンバァやミーアキャット・テイモン等々、いずれの動物のキャラクターも役に合わせ性格をも表現しするというキャラクター作りが凄い。

動物たちが集うプレイランド(王国):
親やザズーの目が幼いシンバに常に注がれ安全で愛情深く育てられている。前述のように、父ムファサが将来王位を継ぐシンバになにげなく帝王学を授ける。
親子の絆がしかり描かれています。

象の墓場:
子供というのは好奇心が強い。シンバも、叔父スカーから「ふたりの秘密だぞ、行くな!」と象の墓場を教えられると、見たくなる!
象の墓場、不吉なムードが漂い、死を感じる映像がいい。母親に嘘ついてここに出かけたシンバとナラ。ハイエナに襲われるが、サズーの知らせで父ムサファが駆けつけ救われる。ここで感心したのは、ムサファがシンバをどう扱うか。
ムサファはナラを家に戻し、シンバと対峙し、「お前は掟に背いた。お前がしたことは勇気ではないぞ。ひとりの無謀な行為が国を亡ぼす」と説き、怒らなかった!そして「お前を喪うことの怖さを知った」と語る。子の教育はこうあるべきと教えられました。

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ヌー暴走の渓谷:
険しい岩々に囲まれ、赤茶け乾燥した渓谷。シンバは叔父スカーにそそのかされここで雄叫びを上げる練習をしていて、ヌーの暴走を引き起こす。この暴走が圧巻。暴走に巻き込まれたシンバをザズーの知らせで駆けつけた父ムファサが助け崖に引き上げたが、スカーに蹴落とされて死亡。父の遺体の添うシンバの姿が悲しかった。
スカーは「この悲劇はお前のせいだ!」とムファサの死の責任をシンバのせいにした。こんな辛い責任をシンバは負う。人生、楽しいことばかりはない、辛いことがあると教えてくれます。

クラウド・フォレスト(魔法の密林):
スカーによって国を追われたシンバは砂漠を彷徨し、プンバァとテイモンに助けられ、ここで心身を癒し、歌曲「ハクナ・マタタ」(悩むない)を歌いながらシンバが成人のライオンに成長していく。

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そこで偶然ナラに出会い、またたく間に恋に落ちる。ここで唄われるのが「愛を感じる」。これはとてもいい曲で、ふたりの感情がよく伝わります。

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しかし、シンバはナラから「スカーによって国が瀕死の状態にあるから帰って」と請われても、「このままでいい」と受け付けない。
しかし、シンバの毛が飛んで、それがザズーに届き「シンバは生きている!」とシンバを訪ね、国王として立つことを説く。
ここでのザズーの説得に胸打たれます。小川に連れていって「顔を見よ!」。
川面に映る自分の顔が父ムファサに見え、父の記憶、想いが一気に戻って来る。この父と子の繋がれ方に泣かされます。歳をとると、つくずく自分は父・母に似ていると誰しも思うのではないでしょうか!

繋がれる命:
シンバはプンバァとテイモンを供に帰国。叔父・スカーと対峙する。稲妻のなかでの闘いがとても壮大だ。シンバの訓練を含め戦う姿を見ていないので、この闘いにはいささか違和感がありです。
スカーに「お前がムファサを殺した!皆に打ち明けろ!」と脅されるが、シンバは「殺したのはお前だ!」と果敢に挑み、動物たちみんなの協力を得て勝利する。

こうしてシンバは国王となり、ナラと結婚し、子供を授かった。この子のためのプラウドロックでの祝賀式典。「Circle of Life」、命の環の物語でした。

とても王道的な物語でそれなりの感動がありますが、ここはひとつ現状を踏まえ、現実の砂漠の闘い、滅びゆく命をどう止めるかという視点で描いて欲しかったです!
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声優:
シンバ:賀来賢人
スカー:江口洋介
ムファサ:大和田伸也
プンバァ:佐藤二郎
テイモン:亜生
ナラ:門山葉子
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「ライオン・キング」プレミアム吹替版予告