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「宮本から君へ」(2019)「こう愛し、こう生きるべし!」、「こう生きてきたか?」と問われる作品。

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原作が新井英樹さんの同名人気漫画。テレビでドラマ化されたようですが未見、漫画も未読です。しかし「愛しのアイリーン」(2018)を観ているので、新井作品は楽しみに、もうひとつ池松壮亮さんと蒼井優さん出演作というのも見逃せない。というわけで観て参りました。

 

 “愛する”とはこういうことだと、きれいな言葉なんぞくそ喰らえとばかりに、生身の愛を求める血と涙の物語。感動を通り越し、「こう愛し、こう生きるべし!」、「こう生きてきたか?」と問われる作品でした。
原作は、バブル時代に世相に抗うように作られた作品のようですが、ぬるま湯に浸かった、今の時代にこそ求められる作品ではないでしょうか。

この作品は、池松さんと蒼井さんなくしては語れない。共鳴しあうふたりの演技は、必見です!これまでの演技をはるかに超えています。

監督は「ディストラクションベイビーズ」の真利子哲也さん。共演に井浦新・一ノ瀬ワタル・松山ケンイチピエール瀧・佐藤二郎・古舘寛治さんらが出演。

作品案内ですが、
見てくれの悪い、金もコネもない、情熱だけで突っ走る営業マン・宮本(池松)が、元彼・裕二(井浦)から責められる中野靖子(蒼井)に「この女、俺が守る」と引き取り、恋に落ちる。ところが、営業で世話になっている部長真淵(ピエール・滝)の息子・拓馬(一ノ瀬)が靖子にしでかした不祥事に、宮本はどう対処するか・・。という展開です。
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TVドラマの続きを描いた物語。ここでは宮本の営業マンぶりは一切描かれてないで、宮本と靖子の愛の物語が焦点です。
そして、TVでは通常用いられない、過去、現在が輻輳し、なぜふたりがこうなったと、観る者を物語に引き込む演出がなされて、ちょっと混乱しますが、これがまた斬新でいい。

新井作品らしく、恋の物語で終わるのではなく、相手の人生に責任を持てと、家族の物語まで描くラストシーンがいい。そして、エンデイングで「宮本から」、アフタークレジットで「君へ」のタイトル。この趣向に、生きるエネルギーを貰ったようです!

****(ねたばれ)
冒頭で、宮本が歯が3本折れた血まみれの顔を激しく叩いて泣く、叩いて泣くシーンから始まり、出勤した宮本を同僚の島田(柄本時生)が労わり、部長には「顔とうした」と気合をかけられ、営業勤務にでかける宮本。 宮本はなぜ怪我をしたのか?
宮本は靖子を家族に紹介し、両親に結婚することを報告するが、靖子が妊娠していることを話さなかった。靖子の父母に結婚の認めてもらいに行き、靖子が父親に金を無心する。

なにが宮本にあったのか。

会社の先輩である新保(松山ケンイチ)の仕事なかまである靖子と恋に落ちた宮本が、靖子の自宅で食事に呼ばれるが、そこに靖子の元彼・裕二が現れ、靖子が裕二を拒むために宮本と寝たことを伝える。怒った裕二が靖子に手を出し、これを止めるために宮本は「この女、俺が守る」と言い放った。

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この言葉に挑発されたように靖子が「無理していってくれたと思うが、私は信じたい」と宮本を求め、ここでの絡みが、とてもいい。身体だけでの関係では、真の夫婦にはなれんぞと説くために、この激しい絡みが生きている。思い切った蒼井さんの挑戦演技でした。

ある日、営業先で気に入られたラグビー仲間の真淵部長と大野部長(佐藤二郎)に誘われ、靖子を連れて飲み会に参加した宮本は、勧められるままに一升瓶を
飲み干して泥酔してしまう。 見かねた大野が、車で送らようと呼びつけたのが、ラグビーで鍛え上げられて巨漢の拓馬だった。

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拓馬は靖子のアパートに宮本を運びベットに寝せて、靖子に襲い掛かった。終わったあと、包丁を持って拓馬を追うが見つからず、戻って寝ている宮本を見て泣く靖子。

何があったか、宮本が翌朝起きて、公園で靖子に会うまで知らなかった。靖子に「あんたが憎い。あんたが喋る男だからこうなった。いびきかいて寝ていた、許せん」と罵られた宮本、しかし、喋るだけ喋って寝込む靖子を見た宮本は、靖子を諦めるどころか、こいつのためにと闘志を燃やす。この心意気に泣かされます。
物も言わなくなったふたり。靖子はひとりで料理してご飯を食べれば、宮本は電気窯を被るようにして口いっぱいに飯を押し込み、泣きながら「ゴミにされたのは俺だ!」と真淵親子に復讐を誓う。これを見て「殺してよ、宮本!」と笑う靖子。蒼井さんはスッピンで、池松さんが阿保口を開けて食べ泣く、ふたりの熱の入った演技でした。(笑)

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宮本はラグビー場の練習で、やってくる拓馬を待つ。拓馬は靖子のことなどなかったように「靖子さんいいよね」と言い、拓馬が殴りかかったが、逆に殴られ血まみれになり、3本の歯が折れた。それでも宮本の心は折れなかった!

靖子が受診すると、懐妊していることを知られた。靖子はこのことを裕二に伝え、その胸で泣いた。

宮本は、この事件は自分の責任があると手紙を残して家を出た。靖子はお腹を抑えて泣いた。

宮本は営業の仕事をしながら、拓馬を倒すために身体を鍛えていた。そこに裕二がやってきて、「生まれる子供は俺とお前のどちらかの子だ。堕すための金を出した」と言い、拓馬から慰謝料を取ろうと勧めたが、宮本は、堕胎を拒否し、裕二をぶん殴った。なんの心の救いにもならん慰謝料も拒否する。

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拓馬を説得中に怪我して入院中の真淵部長と大野。宮本を呼んで手打ちをしようと謀るが、宮本は「そんな甘い親子でどうする。俺はこれから親になるのだ」と拒否する。甘いなれ合いの親子、社会のやり方に一歩も引かない宮本。

宮本は、靖子の勤務室を訪ね、結婚を申し込んだ。靖子が嫌だと断り、「私はひとりで子供を育てる。私は母親です」と社員一同に宣言する。靖子も、しっかり自分のやってきたことを見直し、成長していた。

夜、宮本は拓馬の住むマンションを訪ね決闘を申し込む。拒否する拓馬を朝起きてゴミ出しするのを待って挑んだ。マンション8階踊り場での決闘、どう見ても宮本が不利で、指を3本折られるが、宮本には隠し業があった。(笑) 

宮本は、血だらけの拓馬を自転車に乗せ、靖子のアパート前に連れてきた。
出てきた靖子に「やった!やった!結婚してくれ!」という。「誰が連れて来いと言った、バカタレ!」と靖子。「すべてが敵だった。お前もだ。しかし、俺は勝った!」と笑う。生きる上で、何よりも正義を通すことが、如何に大切かを教えてくれます。宮本は大きく成長した。
「子供は俺の子だ。幸せにしてやる。俺の人生は薔薇色だと信じている」という宮本に靖子が泣いた。この蒼井さんの泣き顔がすばらしいです。全てに責任を持つ男に生き方がいい。
               
池松さんと蒼井さんの演技に笑って、泣きました。そして、沢山エネルギーを貰いました!
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映画『宮本から君へ』本予告