映画って人生!

宮﨑あおいさんを応援します

「IT イット THE END」(2019)傷による絆から自立へ。あのころの友は宝物。

f:id:matusima745:20191107051608p:plain
本作、大ヒットしたスティーヴン・キング原作ホラー「IT/イット “それ”が見えたら、終わり。」(第1章)の完結編(第2章)。
前作から27年後を舞台に、再び現われたたペニーワイズに立ち向かうべく再結集した大人になった“ルーザーズ・クラブ”の仲間たちを待ち受ける衝撃の運命とは・・・。

監督は引き続きアンディ・ムスキエティ。出演はジェームズ・マカヴォイ(ビル)、ジェシカ・チャステイン(ババリー)、ビル・ヘイダー(リッチー)、ジェイ・ライアン(ベン。)、ジェームス・ランソン(エディ)、イザイア・ムスターファ(マイク)、アンディ・ビーン(スタンリー)ビル・スカルスガルド(ベニー・ワイズ)。

27年後の7人、幼いころの容貌をしっかり残している。よくぞ見つけたという絶妙なキャステイング。注目すべきはベン、ほっそりしていて気が付かない!
皆さん、性格やベニーワイズとの戦い方、友人への付き合い方などがしっかり
引き継がれていました。それだけに、第1章を復習して第2章に観て、再び第1章の戻ると、感動が大きいと思います。いずれ、1章、2章を通して上映してくれることを望ます。

27年後、彼らの記憶に何が残っていたか?思い出せと問われば、よいことばかり。本当の想い出は、忘れたくないベニーワイズのことで、どこかにトラウマとして残っていた。このトラウマを克服していくドラマは、まるで自分の記憶体験をなぞるようで、自分の人生を振り返ってあの時代に戻りたいと思わせてくれます。また、亡くなった友が自分にどれだけ大きな力を貸してくれていたか、友に会いたくなるような作品です。

f:id:matusima745:20191107051704p:plain

ベニーワィズは“お前ら、すっかり大人になったな”の言葉を残して亡くなる。ベニーワイズの正体が明らかになり、中世の時代からここに住み着いたバケモノ。どの地方にもある伝説の“バケモノ”でした。(笑) 怖いより人を結びつける、成長させる、納得のベニーワイズ物語でした。恐ろしかったのはベニーワイズではなく、獄中から出てきたヘンリーでした。やはり、人間が一番怖い!

****(ねたばれ)
27年後の夏。ベリーランドで遊ぶゲイのカップル。町の不良に殴られ川に放り込まれ、ベニーワイズが食いちぎられ、沢山の赤い風船があがり、再びベリーの町にやつが現れたというシーン。一気にジョージが排水溝に引き込まれたシーンを思い出し、不気味な雰囲気に引っ張り込んでくれます。

異変を感じ、地元に残りベニーワイズを研究していたマイクがルーザーズ・クラブメンバーに招集をかける。
ビルは小説家、しかし結末がいつも悲劇で監督と女優の妻になじられる。ベンは建築家として成功を収めていました。リッチーはコメディアン。
エディはリスクコンサルタント。ベバリーは夫とファッションブランドを立ち上げたが、暴力をふるう夫に苦しんでいた。
マイクからの電話を聞いたときの反応。誰が積極的に行こうとした、嫌だと思ったのは、そしてこれを機に自殺したのは誰か?第1章のラストシーンでメンバーを離れる順番になっている。(笑) 自殺はスタンリーでした。しかし、彼は友のためにしっかりとメッセージを残します。

f:id:matusima745:20191107052003p:plain

中華料理店に集まった6人。当初、思い出は楽しいことばかり。しかしスタンリーが来ない。マイクが呼び出した理由を明かすと、皆にあの日の記憶が蘇る。みんな悪い記憶を封印していたのだ。おみくじを引いて並べれば「スタンリーは約束を守り切れなかった」と読める。テーブルに出ているフーチュン・クッキーを見ればお化けに変わる。全員がベニーワイズからの幻覚を見た。あの夏の出来事は、忘れようとして忘れられないトラウマとして残っていた。ここでのお化け、気持ちが悪かったが、笑いました!

マイクは全員の力で今度かやつを殺したいというが、嫌だというものがいる。リッチーとエディ、納得のふたりです。(笑)

これを説得するには誰がいいか?マイクはビルを司書として働いている図書館の一角にあるマイクの部屋に連れてきて、彼が研究した対処法を話す。中世の時代からここに住み着いたバケモノ。先住民のやりかたでやれば解決するという。ベニーワイズの正体が明かされ、これで沢山出てくるベニーワイズの化身の正体も判明です。メンバーへの説得はビルが適任だと諭します。このあたり、1章からの伏線です。

やり方は、全員が一致してベニーワイズに当たるために、メンバーが持っているあの夏の日の記憶が残っている物を集め、ベニーワイズの住む井戸屋敷の洞窟で燃やす(チュードの儀式)というもの。うまい設定です。一度昔に戻るという映画「アベンジャーズ・エンドゲーム」(2019)と同じやり方です!

マイクやベンをいじめていた問題児ヘンリーが、父親を殺害後精神病院へ収監されていたが、ペニーワイズの手助けで病院を脱走。

メンバーはそれぞれ、思いでの場所に赴き、そこでベニーワイズに出会い、記憶を取り戻し、その記念品を持って図書館に集まることにする。

ビルはジョージーが亡くなった排水溝を見つけ、ジョージに化けたベニーワイズと闘いあの紙の船を手に入れる。通りすがりのスケボをもった少年に「ここは危険だから立ち去れ!」とビルが声をかけたことで、ベニーワイズがこの少年に憑りついた。ビルがベニーワイズを追ってベリーランドへ。

べバリーは昔住んでいたアパートで壁の隙間に隠していた27年前の差出人がわからない手紙を手にいれる。トイレでベニーワイズに襲われた。

f:id:matusima745:20191107052043p:plain

リッチーはヘンリーの従妹に会ってヘンリーに襲われたゲームセンターにやってきてゲームセンターのメダルを手に入れた。エディは薬局に来て、喘息の吸入器を手に入れた。
ベンは学校に来て、ベバリーのサインをもらった卒業ノートを手に入れた。

図書館に皆が集まった。ビルが来ない。ビルはベニーワイズがあの子をさらって井戸屋敷に連れて行ったと自転車で追っていた。これを知ったベバリーが他のメンバーに声を掛け井戸屋敷に走る。ベバリーがビルを追うという第1章と逆になっているのが面白い。

井戸屋敷に入ると、エディは怯える。そこに冷蔵庫の中からスタンリーの首が出てくる。これがカニの形をしてリッチーに襲い掛かる。ビルが「突け」と槍を投げるが、エディは何にもできない。しかし、ここからエディが立ち直るところが見どころ!
井戸を伝って地下の下水道に降り、ベニーワイズの住む祠穴に。ここで全員が集めてきた記憶の残る思い出を壺にいれて燃やす。これで終わりかと思ったが、そう簡単には終わらない。(笑)

壺からベニーワイズが出てきて、メンバーの団結を割くように、「チュードの儀式で原住民は全滅した!」とマイクの嘘を貶す。
マイクは「皆をここに連れてくる拠り所が欲しかったんだ」と白状し、「怖くない声を出して戦え!」という。

ベニーワイズが蜘蛛の姿になりその爪で襲い掛かる。さらでメンバーを分裂させそれぞれを狙ってくる。
ビルは「お兄ちゃんは仮病でついて来てくれなかった」という弟ジョージを始末して、あの日の自分に決着をつけた。

ベンとベバリーは、ベニーワイズの幻覚術により、ベンは大量の砂で溺れ、ベバリーは便所に閉じ込められ大量の血液で溺れるが、ふたりは手を取り合ってこの危機を脱出する。

リッチーとエディはベニーワイズに追い詰められ、リッチーが窮地に陥る。そのときエディが渾身の力で槍を投げてベニーワイズに致命傷を与えリッチーを救った。しかし、エディがベニーワイズの爪に刺され絶命。リッチーは自分がエディを死なせたと悔やみ落ち込むが、これを他のメンバーが支える。このことでリッチーは“勇気”というエディからの大きな贈り物を手にした!

これでルーザーズ・メンバーの士気が上がり、「お前はただのピエロ、正体を知っているぞ!このいかれた男!」の一言でベニーワイズがひるむ。まるで老人のように弱弱しくなる。その心臓を抉り出して、決着をつけた。

亡くなった二人が遺したものは、「自分の生き方をしろ!」(スタンリーの遺書)「勇気をもて!」(エディ)というもの。

f:id:matusima745:20191107052133p:plain
ベニーワイズとの闘いを終えた5人がウインドガラスの前に立つと、かっての7人の姿に見える。死者が出ても7人が生涯の友です。これまでの手の傷で結ばれた絆から、もっと深い、心の絆に変化した瞬間でした。

遊泳禁止の川にみんなで飛び込み絆を確認する。今回のリッチーが川底にメガネを落としたのは、ベンとベバリーへの配慮だと思いました。( ^)o(^ )
みんな、自分のトラウマに決着をつけこれからの人生に飛び出していきました。マイクもこの地を離れ、新しい自分を探す旅にでる。
「持つべきは友、あの日に帰ってみたい」と思わせてくれる、すばらしい作品でした。
****


映画『IT/イット THE END』本予告 2019年11月1日(金)公開