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宮﨑あおいさんを応援します

「殺さない彼と死なない彼女」人はひとりでは成長しない。相手の思いを大切に!

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タイトルに魅せられ観ることにしました。タイトルどおりの、何かというと「死ね」とか「殺すぞ」が口癖の小坂れい(間宮祥太朗)とすぐに「死んでやる」が口癖の鹿野なな(桜井日奈子)の物語。こんな汚い言葉で綴られる物語が、これほどの美しい愛の物語とは!驚きでした。「愛がなんだ」(2018)の3倍は面白い!(笑) 


原作はSNS漫画家・世紀末によるTwitter発の人気コミック。未読です。監督・脚本は小林啓一さん、初めてお目にかかります。主演は間宮祥太朗さん、桜井日奈子さん。共演に恒松裕里・堀田真由・箭内夢菜・ゆうたろうさん等。

あらすじ:
何にも興味が持てず退屈な日々を送る男子高校生・小坂れいは、教室で殺されたハチの死骸を埋めているクラスメイト・鹿野ななに遭遇する。ネガティブでリストカット常習犯だが虫の命は大切に扱う彼女に興味を抱く小坂。それまで周囲から変人扱いされていた鹿野だったが、小坂と本音で話すうちに、2人で一緒に過ごすことが当たり前になっていく。(映画・COM)
         *
小坂と鹿野ペアの物語を軸に、同じ世紀末高校に通う優等生の地味子(恒松祐里)と親友で自分が可愛いことを売りにして次から次へといろんな男とつきあうきゃぴ子(堀田真由)ペアと、地味子の弟で飄々としている八千代(ゆうたろう)と八千代が大好きな撫子(箭内夢菜)ペアの物語が加わり、それぞれ異なる形で、「好き」が「愛」に育っていく過程が丁寧に描かれている。そして、ある出来事で3つの物語が交差し、その結末に唖然とさせられるというストーリー展開。

どこか霞んでいるような映像が、ぎこちない淡い恋の行方を示しているようで、晴れた明るい映像を期待します!

作品のテーマは奥華子さんの歌曲「はなびら」に全部入っています!!

間宮祥太朗さんと桜井日奈子さんの噛み合わない会話で愛を感じていく演技がすばらしかった。他のみなさんも個性のある役をしっかり演じています!

ねたばれ(感想):
〇小坂と鹿野
やる気のないぶっきらぼうな小坂とゴミ箱から死んだ蜂を取り出し校庭の隅に埋葬する鹿野との出会い。鹿野はいじめに絶望しリストカットを繰り返す。小坂は怪我で希望のサッカー選手になることを諦め、父を失い行き場がない、鹿野と同じ境遇だ。死んだ蜂に寄せる鹿野の愛情が他の女性と違うと気付くところに鹿野のやさしさがあり、言葉とは違う深い思いやりに感動でした。彼は蜂に戒名を付けて埋葬に手を貸した。

小坂は鹿野にボーリングを誘われたが断った。鹿野が居ない!と気付き屋上に上がり、そこで何知らぬ振りして鹿野がリストカットしようとする姿を携帯で撮り「自分を見てみろ!」と突き付けた。小坂のこの素早い行動を鹿野がどう受け止めるか?鹿野は屋上から飛び降りようとして小坂に止められ、泣いた。彼女はリストカット言葉でなく行動で止めて欲しかった。担任の先生でもダメ。持つべきは友です。

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小坂は、「ブス、喰え、死ね!」と言いながら、ハンバーガーやアイスを鹿野に渡す。“食べもので仲を繋いでいくのが面白い。これは愛情表現としてとても大切で、まずはお腹を一杯にしておくこと。(笑)

学友たちが鹿野に「早く死ね!」と暴言を吐いても気にもせず、小坂はイカ焼きを買って「共食いだ!喰え!」と鹿野に渡す。(笑)「気にするな!」という強い気持ちが伝わってきて、鹿野が喰いつく。(笑) 好きになったら、「死ね!」は「好きだ!」に変わる。この愛情表現に泣かされます。

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鹿野は小坂の言葉によく泣き、そして髪に触れたりいたずらして精一杯の愛情を表現する。こういう良さが鹿野には分かっていなかった。小坂が現れて鹿野は変わった。

小坂が「お前のために金がいる。金を貯めて大学にゆくためにバイトを始める」と言い出す。鹿野は「置いていかないで!怖い!」と泣き出す。小坂は決して「好きだ!」とは言わないが、その言葉には好きの先にある好きになることへの責任感がある。
そして鹿野に「俺と同じ大学に行かないか」と勧めた。鹿野は「頭が悪いから無理だ!」と応えると、「今はそうでも分からん!未来の話だ」と未来への夢を語る。「ずっと私の前を歩いて!同じ景色を見たい、君の側で」と鹿野が泣いた。
人は側に誰かがいれば変わる。「頭が悪い、ぶさいくだから」なんて自分が思っているだけ。「勇気を持て」と教えてくれています。これが分からないんです、霧の中なんです。

〇宮定澄子と堀田きゃぴ子
生徒から集めた課題を提出に教員室に向かう澄子にくっついて、「もう別れる!」と進展しない恋を嘆くきゃぴ子。教員室で彼氏に出会うと「好きといって欲しいのよ」と漏らし、自分中心でしかものごとが考えられない。

幼いころ母子家庭となり、母は夜の仕事に出かけ、仲良しの澄子を母親のように慕ってきた。男性との付き合いができず、携帯で動画サイトを覘き恋人を探す。イケメンの彼氏(金子大地)に「このままでいい、好きになって!」と一方的に自分を押し付けるだけで、相手に与えるものがない。結果は振られて、澄子に泣きつく。他のストーリーと比較できる形で、彼女に何が欠けているかときゃぴ子の体たらくを描いているのがいい。

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こんなきゃぴ子を澄子は「動画(サイコキラー中尾暢樹)は観るな!」「バカなお姫様には王子さまは来ない」と支え続ける。友人にきゃぴ子が虐められると怒鳴り込んで「きゃぴ子は可愛い」と庇う。こういう女性ってすごい!どうして澄子に彼氏が出来ないのか不思議だ。
きゃぴ子も澄子の説得で、「自分は可愛いところが一杯あるのが、悪いところも一杯ある」と気付き始める。きゃぴ子の良いところは「素直さ」。

大和撫子と宮定八千代
八千代は撫子に初めて出会ったとき「好き!」と告白される。以後、会えば「好きよ!」と付きまとう。なぜこうも「好き」「好き」なのかと、映画を観ているこちらも八千代同様、うんざり。(笑)
八千代は携帯動画(サイコキラー)にしか興味がなく撫子の告白には無関心。しかし、何も求めないでいつも笑顔で「好き!」を言い続けられ、心を開き始めた。八千代は映画に誘われ、席やポップコーンを準備してもらって、映画が終われば楽しかったと喜ぶ撫子の姿に惹かれていく。惜しみなく「好き」を形にして送り続ける撫子。

映画を観終わって外に出たところで、八千代が年上の女性に「幸ちゃん!」と声を掛けた。撫子は一瞬驚いたが、昔好きだった人と大きな気持ちで接する八千代を見て、自分の過去を暴露できる八千代を一層「好き!」になった。

人は好きになったり嫌いになったりする。現実をしっかり見ることが大切! 撫子は未来を語ろうと言い始めた。

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なんか変だ!どうして撫子は最初から「好き!」と八千代に近づき、好きになった二人が未来を語るの?

〇小坂がサイコキラー中尾暢樹)の嫉妬で亡くなった。
小坂は消えゆく意識のなかで「鹿野が好きだ!」とつぶやいた。何で生きてるときに言わなかったかと涙が出た。

葬式に、宮定澄子と堀田きゃぴ子が参列していた。

鹿野の小坂への悲しみは大きかった。だから、夢に小坂が現れた。「死んで会いたい」というと「自殺と他殺は行く場所が違う」と小坂。(笑)「渡すのを忘れていたから俺の机の中を見ろ!」という。
そこには「お前はこれから沢山の新しい場所で新しい人に出会う。俺を忘れることは悪いことではない」とあった。これは自分の都合がいいように見た夢かもしれないと鹿野は思った。鹿野は小坂の想いを背負って立ち直った! 彼の人生まで生きてやると。

1年後、鹿野は大学生となり、川辺でリストカットする撫子に出会った。驚いた!! 鹿野は撫子に自分の経験を語った。撫子があんなに「好き!」と八千代を追っかけていたのは、そうだったのか、もう一回観直す必要がありますね!(笑)

人はひとりでは成長しない。相手の思いを大切にすること自分が大切にされていることに気付き感謝することで成長する。すばらしい作品に出会えて感謝です。
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予告編


映画『殺さない彼と死なない彼女』予告編

はなびら:奥華子


奥 華子「はなびら」Music Video映画『殺さない彼と死なない彼女』Ver.