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「蜘蛛の巣を払う女」(2018)“The Girl in the Spider's Web”

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デビッド・フィンチャー監督「ドラゴン・タトゥーの女」続編ということでOWOW
で観賞。製作総指揮ということでデビッド・フィンチャーが携わり、監督はフェデ・アルバレス
メインスタッフ&キャストは新たな顔ぶれとなり、主演はクレア・フォイ。共演はスヴェリル・グドナソン、ラキース・スタンフィールド、シルヴィア・フークス、スティーヴン・マーチャントらです。

あらすじ:
特殊な映像記憶能力を持つ天才ハッカーで、背中にあるドラゴンのタトゥーが特徴のリスベット(クレア・フォイ)は、AIの世界的権威であるバルデル教授(クリストファー・コンベリー)から、図らずも開発してしまった核攻撃プログラムをアメリカ国家安全保障局NAS)から取り戻してほしいと頼まれる。依頼を受けて陰謀の裏を探っていたリスベットは、やがて16年前に別れた双子の姉妹カミラ(シルヴィア・フークス)の存在にたどり着き、カミラが仕かけた罠にはまってしまう。・・・
                
物語は冒頭、幼い双子の姉妹リスペクトとカラミが父に求められ、リスペットは雪の渓谷に身を投げて逃げるが、カラミは父の言いなりになるシーンから始まる。妹がいたことを初めて知りました。
そして16年後、ふたりが核攻撃プログラムの争奪を巡り、夫々の過去に向き合うというもの。

前作品の背景にはレイプ犯罪への激しい怒りがありました。また各種のデーターを積み上げて犯人を追い詰めていく緻密でミステリアスな捜索活動がとても印象に残っています。

これに対して、本作は追撃劇主体でミステリアルな“情報戦”(ハッキング)と戦闘アクションをリアルに描く作品になっていますがシナリオがシンプル過ぎて子供っぽい、突っ込みどころを多い。これが最大の欠点だと思います。

続編ということで、前作と比較され評判があまりよくない!リスベット役がルーニー・マーラからクレア・フォイに変わったことでの違和感、そして作品の作り方によるものだと思います。しかし、本作の情報戦、アクションは前作を遙かに圧しており、面白く観ることができました! クレア・フォイもよくこれに応えていると思います。
しかし、
カミラが姉リスベットを追い詰め、ラストで「16年間なぜ私を救ってくえなかったの?」という恨み節に、「あなたが父を見捨てられないから!」と応えますが、レイプ・性暴力の闇の仕置き人であることを生甲斐としているリスペットのこの答えが分からなかった! これでは前作の性暴力を訴えるテーマ性を壊してしまっている!

格闘、カーチェイスストックホルム市を広く使ったロケで観せてくれ、デビッド・フィンチャー特有の黒い画面でミステリアスな雰囲気を楽しみました。

***(ねたばれ)
蜘蛛の巣に絡まれた女性がドラゴンに変化する画はリスペットがドラゴンタトゥーの女に成長した姿を暗示しているようです。

現在のリスペット。富豪の実業家が顧客の妻をレイプする現場に現れ、この実業家を蜘蛛の巣よろしく糸で天井に吊るして天誅を加える。

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そしてアパートに戻り背中のタトゥーを見せてシャワーを浴び、相手になる女を探しにバーに出掛る。
一方、雑誌「ミレニアム」のジャーナリスト・ミカエル(スヴェリル・グドナソン)は社主のエリカ・ベルジェ(ヴィッキー・クリープス)からコラム執筆を迫られ、夜も付き合ってもらえないらしい。

NSA“極秘ソフト”のハッキング
リスペットはホテルでバルデ博士に会い、NSA(National Security Agency)で研究した“全ての核兵器システムにアクセスできこれを操作できるソフト”「ファイアーフォール」を、とんでもないものを作ったと反省しているので、盗みだしてくれというハッキング要請を受けた。リスペットはこれを引き受けてオートバイで帰宅中、彼女を追跡する黒いガーゴ車があったが彼女は気づかなかった。

リスペットがNSAのコンピューターに侵入、ハッキングに成功した。しかし、ファイルを開こうとするが特殊な鍵はかかっていて開けられなかった。

〇“極秘ソフト”が盗難に!
風呂に入っているところを“謎の男”( クレス・バング)に撃たれ、隠し部屋に逃げ込んだ。この隙に男はデーターを盗み、爆薬を仕掛けて逃げた。火災が発生しリスペットは風呂の中に身を沈めて耐えた。警察が駆けつけたので、オートで逃げ出すと、これを警察車両が追う。薄い氷の上をオートで逃げるシーンが見どころです。この事件で博士と約束していた時間:0800に会うことが出来なかった。

〇“極秘ソフト”奪回作戦
博士は「まずいことになった」と息子・アウグスト(クリストファー・コンベリー)を伴いスゥエーデン公安警察本部に出頭した。

一方、NSAではセキュリティ専門家・エドウィン・ニーダム (ラキース・スタンフィールド)がストックホルムでハッキングされたことを検知し、現地にやってきた。しかし、スウェーデン公安当局から行動は旅行者としてのものと制限を受けることになった。
新聞ニュースから焼けたリスペットのアパートを訪ね、リスペットの写真を拾った。彼はリスペットを追うことにした!

リスペットはミカエルに協力を求めた。
「俺に出来るか?」というミカエルは随分とやつれて見えました。(笑) 所属調査会社のプレイグ(キャメロン・ブリットン)か公安警察のコンピューターに侵入してバルデ博士がいるホテルをつき止め、ここに“謎の男”が現れるのを待つことにした。

ミカエルはリスペットから渡された写真(防犯カメラに残されていたもの)を持って、バーで公安警察の副局長グラーネ(シヌーヴ・マコディ・ルンド)に会い、写真の男の身元を聞き出そうとするが「リスペットはNSAサーバーをハッキングしたので罪人だ」と応じない。
謎の男の写真がウイスキーグラスで拡大され、男の腕に刺青があることに気付いた。

グラーネの後をつけ、彼女が公安局事務所からある女性と出てくるところを見たが、この女性が重要人物であることに気づかなかった。

ミカエルはカジノの支配人を訪ね“写真の男”の正体を知った。名はヤン・ホルツァー (クレス・バング)。ストックホルムきってのサイコ集団“スパイダーズ”のメンバーだった。支配人の鼻のない顔にぎょっとさせられる! リスペットには記憶にない集団だった。社主のエリカはこの写真を見て「独裁者という集団だ!」という。「くそ!おれが記事にしたことのある男だ!」とミカエルは自分を責めた。

リスペットはスパイダーズ、公安警察、そしてニーダムに追われていた。

リスペットがバルデ博士が滞在するホテルを監視していると、ホルツァーが現れ、ホテルに入っていく。博士の部屋でリスペットは謎の男と格闘中に注射を打たれて意識不明に。抵抗する博士を拳銃で撃ち、息子・アウグストを連れ去っていく。正気に戻ったリスペットは車に男が逃げた車の車番を入れ追跡システムで追った。

ここは大がかりなカーチェイスシーンが用意されている。橋の真ん中で停止した男の車からアウグストを救い出して逃げ切る。この時、赤い服装の女を見た。

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リスペットは廃墟になった天文台にアウグストを匿い、彼が「ファイアーフォール」を開く鍵(暗号)を知っていることを知る。リスペットは「ここに来て!」とミカエルにメールした。これが拙かった!

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ミカエルがやってきて「“謎の男”の身元が割れた。君の父の会社に繋がっている」と伝えた。リスペットの背中の傷をホッチキスで止めてやった。ちょっと色っぽいシーンでした!

アウグストをアメリカの母親のところに戻せば「ファイアーフォール」が起動出来ないと、ニーダムに付き添ってもらってアメリカに帰すことにした。

ところがニーダムはリスペットが子供を連れて逃走しているという記事を見て、事件のあったホテルを訪ねたとき、公安によって不信人物としてアメリカに送還されることになり空港の拘置室にいた。

これを知ったリスペットが変装して空港に乗り込み見事に救出しますが、天文台に居たアウグストがスパイダーズに拉致され、リスペットの父親の館に連行されていた。
ミカエルは拉致を逃れ公安に駆け込み、グラーネの車に乗せられてスパイダーズの車を追った。
車の中でグラーネから「ファイアーフォール」を買い取ることになっていると聞かされる。グラーネとスパイダーズの間で裏取引が出来ていたのでした!

リスペットはニーダムと調査会社のブレイクと三人で館に向かった。

〇妹カミラとの対決
カミラはガスマスクを付けてリスペットが来るのを待っていた。これは彼女が父からゴムの袋に入れられガスを注入して虐められた記憶を姉に味わってもらうため。リスペットはカミラの罠でこれを味わったが何とか切り抜け、ホルツァーと戦う。
ブレイクが館内の動態人物を検知する監視体制を作り、移動目標をニーダムは狙撃銃で撃った。

カミラは追い込まれ車で脱出するが、ニーダムの射撃で木に衝突。崖っ渕でカミラとリスペットは対峙した。カミラが「なぜ16年間も助けに来てくれなかったの」と問い、リスペットの答を聞いて、深い谷に身を投げた。

前作フアンには残念な作品となったのではないでしょうか。
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映画『蜘蛛の巣を払う女』予告2(2019年1月11日公開)