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「グッド・ウィル・ハンティング 旅立ち」(1998)

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天才並みの頭脳を持ちながら、幼児期のトラウマが原因で周囲に心を閉ざし非行に走る青年と、妻に先立たれ人生を見失った精神分析医との心の交流を描いた物語。
監督は「ドラッグストア・カウボーイ」のガス・バン・サント。脚本はマット・デイモンとベン・アフレック、脚本家として初レビューでアカデミー脚本賞を、また孤独な精神分析医を演じたロビン・ウィリアムズも助演男優賞を獲得したという話題作。撮影は「ポンヌフの恋人」(2011)のジャン=イブ・エスコフィエ。

彼らのその後の活動状況を見れば見逃せない作品というで、WOWOWアカデミー賞特集2020」で観賞です。

主演はマット・デイモン、共演にロビン・ウィリアムズ、ベン・アフレック、ミニー・ドライヴァー、ステラン・スカルスガルドらです。

心を閉ざした天才並みの少年が心を開いていく物語ですが、人間関係が上手く築けない、あるいは自分に自信がもてないと悩んでいる人たちへの励ましとなる作品です。
精神分析医のすばらしい“セリフ”で成り立っているような作品で、ロビン・ウィリアムズの演技に説得力があり、映画を観ながら、自分の意思で人生を決めたことに悔いはなく真に暖かみのある友人を持ち得たことに、自分の人生を顧みて泣けてきます。


グッド・ウィル・ハンティング 旅立ち - 予告編

****(ねたばれ)
主人公のウイル・ハンティング(マット・デイモン)はボストンの貧民街で生まれ、父から性的暴力を受け、いくつもの犯罪を重ねて少年院送りとなり、今も保護観察下にあるという若者。読書好きで膨大な書物を読み、独学で数学に天才的な才能を見せる。デイモンはハーバード在学中にシナリオ製作授業の課題としてこの作品を書き上げたというだけあって、切れる若者という役にぴったりです!

マサチューセッツ工科大学(MIT)で掃除夫として働いており、数学教授ゼネラルド・ランボー教授(ステラン・スカルスガルド)、が学生の課題として掲示版に張り出した問題に、一夜で正解するという才能をもつ。

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教授は「インドの数学者ラマヌジャンの再来」と自分の研究に誘うが、ウイルはまったくその気がない。
ラマンジャンについては映画「奇跡がくれた数式」(2015)でその天才ぶりとこれを見出したハーディ教授との関係が語られています。 

ランボー教授は数学のノーベル賞といわれるフィールズ賞を受けており、ハーディ教授のような立場になりたがっていた。

ウイルは唯一の仲間チャッキー(ベン・アフレック)らとバーで酒を飲み、バッテイングセンターで遊び、時間になれば自分のアパートに戻り本を読むという毎日。彼女はいないというより作らない主義。
チャッキーらとバーで飲んでいて、彼が目を付けたのがハーバード大生のスカイラー(ミニー・ドライヴァー)。これを見た同学の男子学生がバカにしたように絡んできた。これを見事にウイルがやりこめ、これを見たスカイラーがウイルに興味をもった。
スカイラーは両親を亡くしていて、父の遺産で大学に入り医学を目指して勉学する毎日で、ウイルの記憶力に圧倒されたようだった。

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そんなある日、かって虐められた男を目にしたウイルは狂ったように殴りつけ、駆けつけた警官にも暴力を振るった。裁判では弁護士をつけず読書で身につけた法律知識で戦うが敗訴し、ランボー教授の5万ドルの保釈金で研究所に連れ戻された。(笑) 

教授は改めてウイルの才能を確認して、なんとしても研究員にしたいと心理療法催眠療法を勧めるが、ウイルがバカにして受けつけない。そこで見をつけたのが大学の同僚で部屋をシェアーしていた、今はバンカーヒル市民大学精神分析学者となっているショーン・マクガイア教授(ロビン・ウィリアムズ)にセラピーを委ねることにした。

ロビン・ウィリアムズはセラピーの結末が分かるような風貌をしています!(笑)

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ショーンはウイルと同じスラム街の出身。才能はランボーより上と言われながら、精神学を極めたいと数学者としての道を選ばなかった、同期生としては変わり者で同窓会には顔を見せない。ウイルと似たところがある。苦学の中で結婚し幸せな結婚生活を送っていたが、2か月もの間妻の闘病に付き添い亡くして、いまだその悲しみが癒えてなかった。

ここまできて「グッド・ウィル・ハンティング」という、良いところを伸ばそうというタイトルが生きて、ショーンのセラピーが始まる。

初めてショーンの研究室にやってきたウイルは「どんなやつか?」と部屋の中にある本や絵を見た。夕日の中で舟を漕ぐ“自画像”を見て「あんたは嵐の中でオールが折れて、逃げる港が心理学だったのか!」と言うとこれにショーンが「ビンゴ!」と答えたが「結婚は間違ったか、奥さんは逃げたか?」の言葉にジョーンが切れた。ウイルは事前に見たショーンのOB情報で喋った。
ショーンは「君が必要だと思うなら次週午後4時に来い!」と伝えウイルを帰した。

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次にウイルが来た際は池のある公園に連れ出し、「君は自分の言葉が分かってない子供だ!」と言い、ウイルが批判した妻のことを「君は女性のタイプを挙げることはできるが女の隣で笑い真の幸せを感じたことはあるか、自分を曝け出す女を見たことがあるか、自分ですべてを語る女の見たことがあるか。自分は2カ月妻の手を握り見送った。自分への愛より強い愛で愛した誰かを失う、その悲しみと愛を君は知らない」と喋り、聞かせた。
ロビン・ウィリアムズの長セリフが凄かったが、これを神妙な顔で聞くデイモンの“こいつには叶わない”という表情もよかった!
ただ人の知識で喋るだけでなく自分の五感で感じ取った知識の大切さを説き、「自分の言葉・知識で喋れ!それなら聴いてやる」と突き放した。

ウイルはその後2回訪ねてきたが、何も喋らず帰って行った。

4回目、ウイルが「美人で頭がよくて面白い子だ。しかし今のままの彼女は完璧だから会わない」とスカイラーの話を始めた。ショーンは「君も完璧で自分を壊したくないんだ」と話し、亡くなった妻がおならをした話を持ち出し、「妻と自分は癖も欠点も全部知っていた。愛していれば恥ずかしさなど吹っ飛ぶ。君は完璧か、彼女は完璧か。それを確かめるためには飛び込んでいくしかない!」と助言した。

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ウイルはスカイラーを呼び出しデートに誘い、ショーンが話すことを確かめようとする。(笑)スカイラーもウイルをよく知りたいと家族や友人のことを聞くが、ウイルは本当のことを話さない。友人のチャッキーらに会わせるとスカイラーは下ネタを話し、開けっぴろげで、自分の欠点も見せる。こうしてふたりは恋に陥った!

「仕事は自分で決めさせる」というショーンの意見を無視して、ランボー博士はウイルの仕事場を探し紹介するが、彼は面接試験をチャッキーに任せて、「今の建築現場で働くことも立派な仕事だ」とランボー博士の斡旋を無視した。

ウイルはスカイラーとベットを共にするようになり、スカイラーが「医学の勉強のためカリフォルニアに行きたいので一緒に行って欲しい」と言い出す。ウイルは「自分はスラム出で親も兄弟のいない」と今まで話さなかった生い立ちを語って、一緒にいくことを断った。スカイラーはそれでも愛していると泣いて、ひとりでカリフォルニアに発った。

ウイルにとって愛や仕事という人生の問題は数学問題より難しいようだ!(笑)こんな調子でNSAの面接試験も、暗号が解けなかった場合の影響を長々と喋って断った。ランボー博士が「ここにいてるくれ」という誘いも「こんな計算は朝飯まえだ!解けずにもたもたしている先生を見ておれない」と断った。博士はウイルの才能を惜しんだ。

ショーンは「自分が傷つくことを恐れ前に進まない。君は自由に道を選べる。何がしたいのか?」と促した。しかし、レンガ積の仕事でいいという。バカもんが!

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チャッキーが「20年経って、俺とレンガ積をしていたら殴り倒す」とこんな仕事でなく自分の力を発揮できる仕事につけと勧める。まさかのチャッキーの言葉、彼の方が人生の答えを知っていた。(笑)

ランボーがショーンを訪ねて、「お前のやりかたが悪いからこうなった。お前と同じだ」と貶す。ショーンは「自分で選んだ道、誇りがある。失敗ではないんだ」と激しく反論する。これを目の当たりにしたウイルは「ショーン先生のところで働く」とふたりに告げた。

ランボーが帰ったあと、ウイルがショーンの胸の中で泣いた!

ウイルは「カリフォルニアに行く」とショーンに手紙を残し、就職祝いにチャッキーがプレゼントしてくれたぼろキャデラックで、スカイラーを追った!

ウイルは、親身になって彼のために考えてくれる人たちに出会い、愛の力を知り自立することに成功しました。才能よりもしかりした人生を考えることが大切だと教えてくれます。同じことを説いた作品に「ギフテッド」(2017)があります。
滅多に出会うことのないすばらしい作品でした。 


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