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「それでも夜は明ける」(2014)原題:12 Years a Slave

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2014年アカデミー作品賞で9部門にノミネートされ、作品賞、助演女優賞、脚色賞を受賞した作品。
南部の農園に売られた黒人ソロモン・ノーサップが12年間の壮絶な奴隷生活を綴った伝記の映画化。WOWOWでの鑑賞です。

白人による黒人差別の映画は沢山観ましたが、この作品はリンカーン奴隷解放宣言(1863)以前の物語で、黒人には奴隷と自由黒人の二層区分のある時代の物語で、自由黒人であるソロモンが拉致されて奴隷とされ、ここで真の奴隷の苦しみを知り、奴隷から解放された後奴隷解放に奔走したという話です。

ソロモンは自由黒人に戻ったが、同じ農場で働きながら戻れなかった女奴隷パッツィーを演じたルピタ・ニョンゴの赤い目から零れる涙を忘れられず、今の時代にこの悲しみが続いているように思います。

テーマはルピタ・ニョンゴの涙です。なぜ彼女は泣いたか?奴隷と自由黒人という黒人身分の二層構造で置き去りにされた真の黒人奴隷の涙でした。最近話題の映画「パラサイト」(2019)でも描かれているように、この構造のため真に救われなければならない人たちが置き去りにしていると訴えています。

公開時はオバマ大統領の2任期に差し掛かった時期、ハリウッドが大統領に突きつけた人種差別へのメッセージではなかったかと。

監督はティーブ・マックイーン、脚本:ジョン・リドリー、撮影:ショーン・ボビット、映画音楽:ハンス・ジマー。製作にブラッド・ビットが参加しています。

キャストはキウェテル・イジョフォーマイケル・ファスベンダーベネディクト・カンバーバッチポール・ダノポール・ジアマッティルピタ・ニョンゴブラッド・ピットらです。


映画『それでも夜は明ける』予告編

あらすじ(ねたばれ):
1841年、奴隷制度が廃止される前のニューヨーク州サラトガ。自由証明書で認められた自由黒人ソロモン(キウェテル・イジョフォー)はバイオリン奏者として生計を立て家族とともに暮らしていたが生計は苦しい。そんなときにワシントンのサーカス場で働いてみないかと上手い話が持ち込まれ、これに乗って、実はこれは嘘で薬を飲まされ拉致され奴隷として売られることになった。彼と一緒に南部へと送られるなかに娘を連れたエリザ(アデペロ・オデュイエ)という母親の奴隷がいた。

船の中で奴隷のロバート(マイケル・ケネス・ウィリアムズ)に「ニガーは殺される!逃げよう」と誘われたが断った。ソロモンにはそのことが理解できなかった。

港に着いたソロモンは裸にされ「ブラット」という名で、娘と切り離されたエリザと一緒にフォード(ベネディクト・カンバーバッチ)に売られた。泣き叫ぶエリザ!
同じ人間がこうやって物として売られることが理解できなかった。激しい怒りがこみ上げてきた。

フォードは信仰心が厚い人だった。

ソロモンは森林伐採に従事し、人で材木を切り出すことに知識を使ってハシケにすることを提案して気に入られる。これでいつかサラトガに帰れるのではないかと考えていた。一方、エリザはここでの生活に耐えられず泣き続け、「あんたは家族のことを忘れたの!ここではあんたは貴重な家畜だよ」とソロモンの態度を責めた。しかし、ソロモンにはこの言葉が届かなかった。本当の奴隷の苦しみを知らなかったから。

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ところが奴隷の監督官ティビッツ(ポール・ダノ)にねたまれてつま先だけが地に着く状態で樹に吊るされるという激しいリンチに遭う。邸宅から白人女性が見ても気にしない。付近には奴隷たちが働いているがソロモンに目も向けない。これが一番のショックシーンだったが、ひとりの女性奴隷が水を与えて去っていった。フォードによって助け出されたソロモンは「私は奴隷ではない自由人だ!」とこの仕置きに抗議した。

ソロモンの身の危険を感じたフォードは綿花農園の支配人エップス(マイケル・ファスベンダー)にソロモンを売ってしまう。

エップスはフォードと違って色気ちがいで陰湿で冷酷な男だった。

ソロモンは女性黒人と一緒に綿花の摘み取り作業をさせられるが、その収穫量が少なく鞭打ちの罰を受ける。一緒に働く若い女性奴隷パッツィーは毎日大量の綿花を積み、エップスから気に入られ、レイプされた。
あからさまにパッツィーを褒めるエップスに妻が激しく嫉妬し、ある日パッツィーを呼び出してその顔に傷を付けた。
パッツィーはエップスからの性的虐待や嫉妬する夫人からの仕打ちで身も心も限界を迎えていて、夜ソロモンを訪ね「殺して欲しい」と懇願した。彼は断った。奴隷の苦しみがソロモンに伝わった!

綿花の不作で、エップスは近隣の農園オーナーのところへソロモンらを労働に行かせれた。ここでソロモンは「今の状態から逃げ出すには誰かに訴えるしかない」と手紙を書き始めた。

エップスの農場に戻ったソロモンは農園にやってきたアームスバイ(ギャレット・ディラハント)という白人奴隷に出会った。彼は監察官だったが、不祥事で奴隷に身を落としていたという。ソロモンは自分と近い境遇で親身なアームスバイを信用し、自由を取り戻すべく手紙を書くことに決めた。しかしいよいよ手紙を届けようという日の夜、アームスバイはエップスに全てを喋った。ソロモンは「嘘だ!」とアームスバイを激しく打ったことでこの場を逃れた。

ソロモンはこれまで歌うことがなかった“深い川”を仲間たちと一緒に歌った!

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パッツィーが身体を洗うためにかって女奴隷であったショー(アルフレ・ウッダード)のところに石鹸を譲ってもらうために不在しているところを見つけたエップスは「逃げるな!」とソロモンに鞭打たせた。しかし「本気で撃ってない!」とエップスは自ら狂ったように鞭うった。ソロモンは「永遠の正義によって汝の罪は裁かれる」と抗議した。

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ソロモンはこれまで大切に持っていたバイオリンを壊して捨てた!何で黒人が黒人を鞭打たねばならないのかと。

そんなある日、小屋の修理にやってきたこの大工・バス(ブラッド・ピット)という白人男と出会う。ソロモンはバスに手伝いをしながら彼が漏らす黒人奴隷に対する哀れみを聞き、バスに最後の望みを賭けて自らの素性を明かし、故郷サラトガの商人・パーカーに手紙を送ることを懇願しが、「結果は分からんぞ」と手紙は受けらなかった。これはバスの叡智だった!

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ある日、ソロモンが農地を耕しているところに保安官とパーカーがやってきて、ソロモンは遂に自由の身となり農園を去ることになった。これを見送るパッツィーの目には・・・・。
               
自由黒人のソロモンが奴隷になってみてその苦しみをしり、1853年「12イヤーズ・ア・スレープ」を著わした。彼は奴隷廃止主義者として公演を続け、逃亡を手助けした「地下鉄道」を支援という。しかし彼はいつどこで亡くなったかはわからない。

それでも夜は明ける」、このタイトルは分かりませんでした。(笑)
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