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「街の灯」(1931)

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チャールズ・チャップリンの代表作。NHKBSプレミアムでの観賞。新型コロナウイルス感染症で経済活動がストップし生活できなくなった人々をどう救うかと話題になっている時だけにとても考えさせられる作品でした。

監督・脚本・製作そして主演がチャップリンという音楽付きのサイレント映画です。


街の灯 チャールズ・チャップリン Charles Chaplin / City Lights

あらすじ:
平和記念像の序幕式。記念像の上で寝ていた浮浪者チャップリン。幕が引かれ寝るところがなくなり街の中に。通りで盲目の花売り娘に出会う。花を買ってお金を渡し釣り銭を受け取らなかった。娘は紳士が花を買って車で去ったと思っていたが、実はチャップリンは娘が気になって近くに佇んでいたところ、娘はそれと知らずに花瓶の水をぶちまけた。(笑)

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チャップリンがねぐら探しに地下道に降りるとなん地下水道で自殺しようとする男に出会った。いちゃもんがあったが自殺を止めた。彼は大変な富豪家だった。女房に逃げられて死のうとしたらしい。(笑)
富豪は酔っ払っているときはチャップリンを呼んで遊ぶ変な癖があった。チャップリンは富豪の相伴にあずかりパーティーに参加し、車を借り、お金も貰った。

そのお金と車で、花売り娘の花を買い、車で家に送り届け、いい関係になっていった。

あるとき彼女を訪ねると風邪で寝込んでおり、母親は花売りに出るが売れない、家賃の支払いが出来ないことを知った。

チャップリンは本気で金を稼ごうと道路清掃員になったが遅刻で首になり、高額の金が稼げるとボクシング試合に出て、奇策で相手を翻弄したが力不足で負けた。(笑)

これで人生終わりと思っていたところにあの富豪に出会い、酒を飲んで意気投合したところで1000ドルの工面を申し出るとお礼を出してくれた。ところがそこに泥棒が入り警官を呼んだ。富豪は酔いが冷めており、警官が「犯人はお前か?」と疑うのでチャップリンは逃げた。

この金を彼女に渡し、目の治療をするように勧めた。その後、チャップリンは逮捕され刑務所に。

チャップリンは刑務所を出所し街を歩いていてとてもお洒落な花屋店に行き当たり、そこにあの花売り娘がいた。娘が“浮浪者”に気づき一輪の花とお金を恵もうと浮浪者の手に触るとあの紳士の暖かい手だった。姿を見て「1000ドルを恵んでくれた人はこの人だったの!」と驚いた。チャップリンバツの悪い笑顔を返した。

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川に落ちた富豪を救う、パーティーでのダンス、ボクシングなどのシーン、何度見ても笑えます。セリフがないだけに身体を使っての演技に大笑いですが、反面キャラクターの心情を判断することの難しさを知ることになりました。(笑)

大笑いのなかに、実は大きなテーマが隠されているところが作品の凄いところです。

ビルが立ち並び、街には沢山の車は行き交い人が溢れているこの時代。平和記念の銅像を作るお金はあるが、寝るところもない浮浪者がいるという冒頭のシーンはチャップリンの皮肉でしょう。盲目の花売り娘の花を求める人も少ない!

社会のなかで本当に困っている人に手を差し伸べるのは誰か?「人に優しくあれ!」だけでは物足りない。困っている人に一番近い境遇にある人であったという結末に、貧富差のある社会の矛盾を訴えたのではないでしょうか。今の時代に通じる視点だと思います。

追記:

花売り娘が向こう側に行ってしまうと、もう以前の花売り娘ではないという現実。施しをすることの虚しさをも感じさせてくれます。
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