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宮﨑あおいさんを応援します

「洗骨」(2019)

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観たいと思っていて観れなかった作品。WOWOWで公開してくれました。タイトルでテーマは推測できますが、怖い!という感じがありましたが、作品の結末には驚きました。
古謝美佐子さんの唄う主題歌「童神」に涙が止まらず、家族の歴史のなかでの自分の立ち位置を思い知らされ、先祖を大切にしなければという気持ちになります!

沖縄の離島・粟国島に残る風習「洗骨」をテーマに、家族の絆や祖先とのつながりをユーモアに描いた物語。

監督・脚本は「ガレッジセール」のゴリさんこと照屋年之さん、撮影は「スマ落し」の今井孝博さん。音楽は佐原一哉さんです。
出演者は奥田瑛二筒井道隆水崎綾女筒井真理子大島蓉子坂本あきら鈴木Q太郎さんらです。水崎さんに注目していました!


映画『洗骨』予告編

あらすじ:
新城家の長男・剛(筒井道隆)が母・恵美子(筒井真理子)の「洗骨」のために故郷の粟国島に帰ってきた。母がいなくなった実家にひとりで暮らす父の信綱(奥田瑛二)の生活は、妻の死をきっかけに荒れ果てていた。さらに、長女の優子(水崎綾女)も名古屋から帰ってくるが、優子の変化に家族一同驚きを隠せない。久しぶりに顔を合わせ、一見バラバラになったかにも思えた新城家の人びと。数日後には亡くなった恵美子の骨を洗う大事な洗骨の儀式が迫っていた。仙骨儀式とはどんな儀式?そこで見せる家族の想いは・・
             
心がばらばらになった家族の描写が長く続きますが、島に戻り少しずつ癒されていく様がユーモアをもって描かれ観る人を飽きさせない。そして洗骨儀式で亡くなった母親の骨を洗うことで家族の絆を取り戻し、優子が産気づくというラストシーンで輪廻転生をも描くという照屋さんの脚本演出が圧巻でした!!

物語は、
母親・恵美子が亡くなり出棺前の別れのシーンから始まります。夫の信綱は傷心のあまり妻の顔を見ようともしない。

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信綱の姉・高安信子(大島蓉子)に「恵美子さんはもともと心臓が弱かったから」と自分を責めないといに言われるが落ち込んで一向に妻の顔を見る気がない!
娘の優子は母親の顔を撫でで離れようとしない。こんななかで長男の剛が弔問客に甲斐甲斐しく対応していた。そして棺が閉じられ、皆に送られて墓地に(風葬)。

「おいおい仙骨で会うとなるとどうなるのか?」とこの儀式が恐ろしくなります!(笑)

5年後、優子は大きなお腹を抱えて島に帰ってきた。父親の信綱はいまだ妻が忘れられず、昔のように布団は引きっぱなし、朝から泡盛を飲むという生活。父親奥田さんの泳いだ目の演技が見ものでした。(笑) 大きなお腹の優子を見て誰の子だとは聞くがそれ以上のことは聞かない。(笑)

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剛がひとりで東京から帰ってきた。そこで高安一家も加わって食事会。皆の前で優子が「店長に惚れて子供を作った。皆には迷惑かけない。ひとりで育てるから何も言わんで!」と大きな腹で帰ってきたわけを話す。
これに兄の剛が激怒する。剛は父親のどうしようもない暮らしっぷりにも激しい言葉を投げ掛ける。

小さな島だから優子の妊娠はすぐに広がり噂になる。島では夫婦喧嘩もできないらしい。(笑)
しかし、叔母の信子が一喝してそんな噂を止めてしまう。(笑)「ちょっと触らせてみ!」と大きな腹を撫でる。ふたりの子供も一緒に腹に触る。島ではこうして生まれてくる子を迎える準備が出来ていく。

そんなところに優子の彼氏・鈴木(鈴木Q太郎)が「結婚したい」とやってきた。剛が反対する。しかし、鈴木の人懐っこい人柄が皆に気に入れられていく。ここでのQ太郎さんの演技がユーモラスで光っている。

剛は「なぜ家族が来ないか」と親戚筋から責められる。差族を連れて来なかったのは離婚していたからだった。島では“出来る子”で通ていたから言い出せない!こんな剛の話を聞いて慰めてやるのも叔母の信子だった。

大島さんの肝っ玉叔母さんぶりがユーモラスで最期まで笑わせてくれます。

魚がやってきたと言えばみんなで網を持って海に入る。

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何度も繰り返される粟国島の風景に馴染むように、こうして次第に家族としての絆を取り戻していく。

そして仙骨の日。衣装を整え、仙骨のための資材をもって出発。この島には死の世界にはいる境界がある。ここで身を清め、墓地に。

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石墓から棺を引き出し、その蓋を開ける!夫の信綱が頭をきれいに洗い、頭が見ているなかで親族一同が骨を丁寧に洗う。子供も一緒です!

終わってほっとしたところで優子が産気づいた。「家に戻ることはできない。ここで産もう」と叔母の信子が決めたが、あまりのことで腰が抜け産婆さんの役目は無理!信子の指示で父の信綱がこの役につく。(笑)ここでの優子・水崎さんの頑張る演技が圧巻でした!(笑)

難産で「出口をハサミで斬れ!」という信子の指示で、もうこれが出来るのは父親しかいない。あんなに駄目親父だった信繁が立派に役目を果たします!

笑いながら、洗骨を洗うことで自分自身を洗っていたというこの儀式で先祖への深い感謝の気持ちを教わるというとても面白い作品でした。
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奥田瑛二思わず涙。映画『洗骨』主題歌「童神」ライブ歌唱