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「アガサ・クリスティーねじれた家」(2017)劇場公開日 2019年4月19日

 

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原作はアガサ・クリスティが‘49年に発表した長編小説「ねじれた家」。「オリエント急行殺人事件」「ナイル殺人事件」より10数年後の作品で、クリスティ自らが最高傑作と語った作品の初映画化です。ライアン・ジョンソン監督がこの作品をオマージュして「ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密」を作ったということもあり興味深く、WOWOWで観賞しました。 キャッチコピー「嘘をついているのは、誰?」というのが嘘だった!!

大富豪が急死。孫娘は、祖父は一族の誰かに殺されたと元カレの私立探偵に調査を依頼。豪邸に住む全員に殺す動機を備えていたが、真相に近づいていく中で、第2の殺人が起こり……というミステリー物語。

監督:ジル・パケ=ブレネール、脚本:ジュリアン・フェロウズ、撮影:セバスティアン・ウィンテロ。
出演者はグレン・クローズテレンス・スタンプ、マックス・アイアンズ、ステファニー・マティーニジュリアン・サンズ、オナー・ニーフシー、クリスチャン・マッケイ、アマンダ・アビントン、ジリアン・アンダーソン、クリスティーナ・ヘンドリックスらです。


「アガサ・クリスティー ねじれた家」予告編

あらすじ(ねたばれ):
冒頭、眠る大富豪レオニデスに注射をする赤にマヌキュアの女性のシーン。新米探偵のチャールズ(マックス・アイアンズ)はカイロで外交官として働いていたころ付き合っていた富豪の孫娘ソフィア(ステファニー・マティーニ)から「犯人は家族になかにいる」と捜査依頼される。チャールズは「何で俺に頼むか?」と思いながらロンドン警視庁のタヴァナー主任警部(テレンス・スタンプ)を訪ね解剖結果を聞く。「エゼリンによる毒殺。インシュリンにすり替えた可能性がある。一族に潰されるな!2日間待つ」と言われる。

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レオニデス邸に着くと彼の亡くなった先妻の妹イーディス(グレン・クローズ)がモグラ退治だと猟銃をぶっ放している。「ソフィアが頼んだ探偵さん」と笑顔を見せる。庭で遊ぶソフィアの妹ジョセフィーン(オナー・ニーフシー)を家政婦のナニーが怒って追っている。そこにソフィアが出てきて邸内に案内。

ここまでのわずかな映像のなかに事件解決のすべてのネタがあり、後で気づきびっくりでした。無駄がなく見落とせないシーンばかりで疲れます。脚本がすばらしい!

チャールズはレオニデスの長男・次男夫妻、レオニデス夫人、ソフィアの弟ユリタスの家庭教師フローレンス、ナニーから事情聴取。
長男夫妻はソフィア、ユリタス、ジョセフィーンの父母。夫は歴史学者で妻は女優志願。生活費は全て父オニデスに異存し、遺産は平等だと思っている。レオニデスの事業を継いだ弟には嫌悪感を持っている。

次男夫妻はカカア殿下で子供はいない。夫ロジャー(クリスチャン・マッケイ)は事業を継いだが力がなく父親には申し訳なく思っている。ソフィアに妬みを持っている。妻クレメンシー(アマンダ・アビントン)は大手メーカーの研究員で植物の毒性を研究していて家を出たい希望を持っている。

レオニデスの夫人・ブレンダ(クリスティーナ・ヘンドリックス)は37歳、ラスベガスでダンサーをしていた。夫にはとても愛されたが、一族には馴染めない。「インシュリンは、あの日は代わって私が打った。誰かが毒のあるものにすり替えたと思っている」と話す。ナニーが「ブレンダは弱い人だから優しくして」と訴えた。

とんでもないねじれ家族です。

家庭教師・フローレンスは「ユリタスは足が悪く外にでない。典型的なテンエージャーで反抗的だ。レオニデスと伝記を書いていた。家族はよく彼と揉めていた、ブレンダとはときどき話をしているという。

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ジョセフィーンは“おませ”な女の子。チャールズが部屋に入ると「毎日日記を書いている。3階に隠し部屋を持っている」という。ところが「お爺ちゃんは大嫌いだがお婆ちゃん(イーディス)は好きだ。フローレンスはブレンダの愛人、ラブレターをやりとりしている。私の隠し場所にある」と話し“この子、一体、なにもの”という感じ。

イーディスから「愛する人が一番にくい人なら心がねじれてくる。当然よ!この意味が分かっているね」と謎を掛けられた。

チャールズがこの日の聴取を終えての帰り、誰かに付けられている。かっての外交官仲間ブレッドにカイロ時代のレオニデスの調査を依頼した。

翌日。ソフィアから依頼されたレオニデスの遺言を聞くため顧問弁護士を訪ねた。「家族には平等に渡すという約束だったが書面にサインがない。この場合全て夫人のブレンダのものだ」という。

チャールズは先ず次男ロジャーの会社に出向き、経営状況を確認する。経営不振で止めたいが父レオニデスが止めさせず、200万ポンドの小切手を渡されたという。

邸に戻りソフィアに「遺言を知って俺に調査をさせたか」と糺すと、「知っていた」という。さらにフローレンスとブレンダの関係も知っていて「これはレオニデスも認めていた」いう。

ジョセフィーンが「また殺人が起きるよ。秘密を知っている人が、それがバレる前に殺される」と嫌なことをいう。

フローレンスにブレンダとの関係を聞くと「爺さんの女房は気持ちが悪い。ブレンダは嵌められた。犯人はブレンダではない!」という。

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日が暮れ帰る時間。車のエンジンが始動しない。レオニデス邸に泊まることにした。

一族全員が集まっての夕食。お互いが相手を誹謗する。ここで次男ロジャーは家を出るという。長男のフィリップ(ジュリアン・サンズ)はソフィアとチャールズの関係を疑い、資産がブレンダに全部いくのではないかと疑う。

食後ブレンダはチャールズに助けを求める。これを見たソフィアは嫉妬して「あんたは首よ!」と言い出す。

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このとき階段を駆け上がるジョセフィーンを見て追うと、彼女が部屋から慌てて逃げる。彼女の隠し部屋を見つけるとそこに望遠鏡があって、それがブレンダの部屋に照準されており、まさにその時ブレンダとフローレンスがキスするところだった。

翌日の朝、新聞で「富豪殺害される!」を見る。イーディスが「バカな!」と否定。
チャールズは顧問弁護士に呼ばれ、「別の弁護士が持っていたサイン入りの遺言が出てきた」と知らされる。「一部はブレンダ、他は全てソフィア」というもの。

このときジョセフィーンが何者かに襲われたという知らせ入る。

レオニデス邸に戻るとジョセフィーンは病院に送られた後だった。隠し部屋からロープで下りる時、ロープを植木ハサミで切られ落下して負傷。ハサミはフローレンスの机にあったという。

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顧問弁護士によって遺言が開示された。ソフィアは「叔父から聞かされていた。だからあんたを呼んだ」という。長男の妻マグダ(ジリアン・アンダーソン)が面倒をみて欲しいと言い、弟夫妻がこの家を出て行くという。

タヴァナー主任警部がやってきて「ソフィアも外すことは出来ない」と家宅捜査が始まるが、チャールズが秘密部屋に案内するとブレンダが送ったフローレンスへの恋文が発見され、ブレンダとフローレンスは逮捕された。このころイーディスは病院で「癌で余命数か月」という診断を受けていた。ジョセフィーンが病院から帰り、「ふたりが逮捕されるところが見れなかった、残念。これをノートに書きたいがノートがない!」とナニーを責めた。

チャールズは探偵としての腕を認められ事件は終了した。

ところが家政婦のナニーが毒殺されるという事件が起こった。誰がニーナを殺したか?この毒物はモグラ退治に使われるものだという・・。
               
最後まで犯人が分からなかった!(笑) ポアロが出て来ない(笑)、二転三転と犯人像がひっくり返され、張り巡らされた伏線が繋がって、そう来たかという結末。ミステリーとしてすばらしいですが、登場人物の人間像がしっかり描かれ、“よじれた”感情が読めないと謎が解けないという、ヒューマンドラマとして楽しめました。特にイーディスの一族に対する心情、ジョセフィーンの“おませ”な心情が分かるとこの作品は楽しめるのではないでしょうか。あっと驚く仕掛けがないから人気がないのかもしれません

この物語には1949年当時の東西国際関係に触れられており、今この作品を観るとき時代を感じられるというのが嬉しい。

大豪邸の物語ということでとても映像が美しく楽しめました。

2020秋公開予定の「ナイル殺人事件」を楽しみにしています。
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