WOWOWで観ました。最初から最後まで笑いっぱなしで、ラストの演説を聞いて、今の時代に繋がる演説で、これは凄いと思いました。
観てない方はぜひ観ることをお勧めします!
世界制覇を目指す独裁者がある国との合併祝賀式典で演説を行うところに、独裁者によく似た男が紛れ込み、独裁者に代わって、独裁者を痛烈に批判する演説をするというものがたり。
独裁者がヒトラーであることは明白で、ヒトラーを風刺した本作。当時のヒトラ全盛時代のなかで、この作品を作ることの難しさを思うと、チャップリンの喜劇を武器にヒトラーに挑むという、志の高さを知ることになりました。また、初めてのトーキー作で、自らの声で、世界に自由の大切さを説くという、なんとも恰好良すぎます。(笑)
監督・脚本;チャールズ・チャップリン、 撮影:ローランド・トザロー カール・ストラスです。
出演はチャールズ・チャップリン 、ジャック・オーキー、 ポーレット・ゴダード、ビリー・ギルバート、ヘンリー・ダニエル、レジナルド・ガーディナーらです。
The Great Dictator 1940 Official Trailer (Nominated Oscar / Best Picture)
あらすじ:
第1次世界大戦の西部戦線。床屋のチャーリー(チャップリン)はトメニア国軍の重砲兵隊砲手として参加していました。ヒトラーは兵士としてこの作戦に参加していましたからこれに因んだもの。それゆえにここでのチャーリーの惚けた行動は痛烈なヒトラーに対する当て擦りです。
砲班長の“発射“の号令で、チャーリーが200mm榴弾砲の拉縄を引くと”ぽとり“と砲弾が落ちる。(笑) 皆が逃げて、のろまなチャーリーに信管抜きの役が回ってくる。(笑)
“突撃”の声で行動を起こすが、手榴弾を自分の背中に落として大騒動。(笑) 壕を飛び出して走ると、煙弾で周りが見えず、フランス軍の中にいた。(笑)
墜落した飛行機のなかから「助けて!」の声。近付くと友軍に重要書類を届ける任務を持った友軍パイロット(シュルツ大尉)。機に同乗して発進。背面飛行で泥沼に墜落。顔を挙げると終戦だった。(笑) 記憶喪失で入院、20年後に病院を脱出して理髪店に戻ってきた。(笑)
ここまでは無声。チャプリンのひょうきんな演技全開でした。もう大笑いです。
チャーリーは入院で分からなかったが、トメニアでは暴動が起き、自分ににそっくりなヒンケル(チャプリン)が独裁者として君臨しており、何語か分からないが、自由の自由はくだらない、国民が犠牲を払え、国中のユダヤ人を迫害すると演説している。ヒンケルはヒトラーそっくりでこの演説。ヒトラーーが見ていたら激怒したでしょう。(笑)
独裁者は何から何まで自分で決めねばならず、とても忙しい。自身の彫刻と肖像画のモデルを務められるのも、一度に数秒ずつというありさま。(笑)
内務大臣兼宣伝大臣ガービッチ(ヘンリー・ダニエル)がオーストリッチ国を侵略しようと提案する。ヒンケルは金がいるからユダヤ人の迫害はちょっと待てと指示した。
戦争大臣ヘリング元帥(ビリー・ギルバート)が新しい兵器だと小型落下傘やガス兵器開発に成功したと報告してくる。
ゲットーにある理髪店に戻ったチャーリー。窓にペンキで描かれたユダヤ人の星章を消そうとして、突撃隊と揉める。隣に住むハンナと一緒に抵抗したが掴まり吊るし首にあっているところに、20年前の飛行機パイロット、今では憲兵司令官となったシュルツ(レジナルド・ガーディナー)に出会った。
これでチャーリーとハンナはこれで安全に暮らせると喜んで、チャーリーはハンナの顔を剃った。(笑) しかし、ユダヤ人から金が集まらないことを知ったヒンケルはシュルツにゲットーを襲うよう命じたが、シュルツが拒否したことで彼を追放された。
シュルツはゲットーに逃げ込み、これを追って突撃隊が襲ってきた。チャーリーはシュルツと屋根に逃げたが、ふたりは捕まり収容所に放り込まれた。一方、ハンナは安全なところにとオーストリッチに家族と避難した。
ガービッチに「オストリッチを征服すれば天下が取れる」と煽てられたヒンケルは、風船でできた地球儀を手に、「俺はカエサルになる」と喜ぶが、風船が破裂して不安になる。当時、この表現はヒトラーへの最大の侮辱でしょう。
近隣国バクテリアの独裁者ベンツィーノ・ナパロニ(ジャック・オーキー)が国境に兵を配置しヒンケルを牽制する。ナパロニは交渉のためトメニアを訪れることになった。盛大な駅での出迎え(笑)、スタディアムでの兵器展示(笑)、歓迎会食で食べ物を投げ合うという(笑)激しい交渉の末、お互いに侵攻しないことで合意した。ナバロニ(ムッソリーニ)を使って、ヒンケル(ヒトラー)を小者男と虐め抜くのも面白い。
しかし、こんなものは無視すればいいというガービッチの進言で、オーストリッチ侵攻が始まった。
チャーリーとシュルツは軍服を盗み、収容所から脱走し、オーストリッチに向かった。
ヒンケルもまた合併式典参加のためにオーストリッチに向かっていて、チャーリーと間違えられ突撃隊に逮捕された。(笑)
シュルツの案内でチャーリーは式典の席に着いた。皆はシュルツが復権したと思った。チャーリーはガービッチに続いて演壇に立ち、反ヒンケル演説を行った。
独裁者 床屋の演説(日本語) *
感想;
125分、どのシーンを切り取っても笑えないシーンがない。全編がギャグ、ラスト6分で静かに「人類愛と民主主義」を説くという演出。ギャグでヒトラーに徹底的に挑むというチャプリンの意地に心打たれます。
ヒトラーとチャプリンは同年の生まれで、風貌がよく似ています。(笑) チャプリンがここまでヒトラーをコケにするにはなにか恨みがあったんですかね。(笑) ヒトラーでなくアメリカに、ハリウッドに不満があったのですかね。
このころアメリカは大戦には参加していなかった!!
この作品が、後にアメリカを追われるネタにされたと聞き、それだけにチャプリンの先を見る目の確かさと勇気を讃えたいと思います。
***