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「パーフェクト ワールド」(1993)プロファイリング主体捜査に物申す?? 

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クリント・イーストウッド作品ということで、NHKプレミアムで観賞。完璧な楽園“パーフェクトワールド”を目指して逃走する孤独な脱獄犯と人質となった少年の心の交流、脱獄犯を追う警察署長の苦悩を描いた犯罪ドラマ。

ところが、前年に「許されざる者」でアカデニー賞の作品・監督を含む4部門を受賞したせいか、あまり評価がよくない。

大部は脱獄犯と少年の話ですが、ラストが脱獄犯を追う人情刑事の話で、これがイーストウッドというよく出来た作品でした。(笑) さらにケネディー大統領暗殺事件を皮肉ったのではなかろうかという背景設定を楽しみました。(笑)

スタッフは監督:クリント・イーストウッド、製作:デイヴィッド・ヴァルデス、撮影:ジャック・N・グリーン、音楽:エニー・ニーハウス、美術:ヘンリー・バムステッド、編集:ジョエル・コックスなど主要スタッフは、「許されざる者(1992)」をはじめとするイーストウッド作品の常連で占められています。

キャステイングは主演にケビン・コスナークリント・イーストウッド。助演に ローラ・ダーン 、T・J・ローサー 、キース・ザラバッカレオ・バーメスター 、ポール・ヒューイットらを配しています。初共演として脱出犯がケビン・コスナーでこれを追う警察署長クリント・イーストウッドというのが面白い。誘拐される子役T・J・ローサーの名演技が見どころです。


パーフェクトワールド A Perfect World 1993

あらすじ:
1963年、ハロウイン祭の前日。アラバマ刑務所からふたりの囚人、ブッチ(ケビン・コスナー)とテリー(キース・ザラバッカ)が脱獄し、所長の車シボレーを盗んで逃走。車を交換しようと立ち寄ったのがフィリップの家。
8歳のフィリップは、家の宗教が「エホバの家」で、ハロウインの前夜祭に参加出来ず悔しい思いをしながら、家族と食事しているところに脱獄犯が侵入。隣の住人に見つかりフィリップを人質に逃走した。

テキサス州警察署長のレッド(クリント・イーストウッド)は事件の報告を受け、州知事から特命で派遣されていた犯罪学者サリー(ローラ・ダーン)を伴って、ケネディ大統領警備用に作ったばかりのハイテク機材搭載指揮車で、脱獄犯を追うことになった。サリーはプロファイラーの専門家で、レッドは机上の理論は捜査に邪魔と思ったが知事の施策には逆らえず帯同した。

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ブッチはタバコを買いに車を離れた際に、テリーがフィリップに手を出したので射殺、以後ブッチとフィリップふたりの288号線沿いに北上する逃避行が始まった。

ガソリンスタンドで別の車に乗り換え、途中、小さな雑貨店で買い物をしていたところ店主に脱獄犯と感づかれて逃走。フィリップはハロウイン用衣装を手にしていた。フィリップにハロウイン衣装を着けさせ車上に乗せて走る。(笑)

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逃げるブッチとこれを追うレッド。途中激しいカーバトルで指揮車が行動不能になりここで野宿。
ブッチはピクニックを楽しむ家族の車を手に入れ、これで子供のころ別れた親父の住むアラスカまで行けると野宿していた。そこに現れたのが農夫のマック。

マックの計らいで家に招かれ休ませてもらい、6歳の孫クリーブランドと親しくなった。ところが、ラジオでブッチが脱獄犯と知ったマットの態度が急変。ブッチはクリーブランドをしっかり愛するよう言い残し、手足を縛って逃走しようとしたところを、「ブッチが何でこんなことをするのか」とフィリップが抗議のために拳銃を撃った。が、これがブッチの腹に当たった。

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そこに警察、FBIが駆けつけふたりを取り囲む。フィリップに「母親のところに帰れ」というが帰ろうとしない。拳銃を持ってないと確信して近づくレッド。FBIの狙撃手が引き金を引いた・・・。ブッチの手には古いアラスカからの父親の葉書が握られていた。
               
感想:
前段は、脱獄犯のブッチと誘拐されたフィリップがいろいろな事件を起こしながらのロードムービー。そのなかでブッチがフリップに、幼いころの父親との想い出を重ね、なんとしてもハロウインを楽しませてやりたいとう優しさ。一方、フィリップはブッチを父親のように慕っていく。ふたりの微笑ましい愛情物語になっています。それに警察との駆け引き、スリリングなカーバトルが加わり、結構笑いもあり、いろいろと楽しめるよう工夫されています。
そして、イーストウッド作品ではおなじみのテキサスの田園風景とラジオから流れる音楽に癒されます。( ^)o(^ )

一方、追うレッドとサリーの会話から、幼いころブッチは娼婦の母親のところに出入りしていて人を殺め、この事件を扱ったのがレッドであったことが明らかになる。レッドはブッチの再起を期して少年院に送りを主張したが、そうはならなかった。しかし、プロファイリングではレッドが刑務所に送ったことになっていた。

レッドとブッチの関係が明らかになってきて、これが逃走するブッチに被さり、ラストシーンでFBIがブッチが射殺したことに激しい怒りを露わにするレッドの感情がしっかり伝わるという上手い脚本です。

「何で撃ったか!撃つなと言ったろうが!生かしてやれ!」と悔やむレッド。何も知らないやつには、武器をもっていると感で撃ってしまう。俺にとっては昔から知っている優しい悪ガキなのに!「このざまああどちらが殺人犯だ」というレッドの叫び。こ物語の“落ち”がイーストウッドらしくて泣けます。

ということで、プロファイリング主体の捜査に疑問を呈する老刑事物語です。

タイトルの「パーフェクト ワールド」が分からなかった!(笑)

この物語の背景がケネディ大統領の暗殺事件前夜になっています。脱獄犯ケビン・コスナーは「JFK」(1991)でケネディ大統領暗殺犯を追うギャリソン検事役での出演でした。これを追うレッドの指揮車がケネデイ大統領警護用だったという設定。そしてグッチがFBIに射殺されるという結末に、なんでこんな設定にしなければならなかったのか?笑いました!!これも過剰なプロファイリン依存に対する抗議なのかなと考えています。

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