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「レイニーデイ・イン・ニューヨーク」(2019)人は見かけで判断してはいけない。その人の心を見抜け!

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ウディ・アレン監督ティモシー・シャラメエル・ファニングを主演に迎えて、“雨のニューヨーク”を舞台にマンハッタンでの甘い週末を楽しみにしていた大学生カップルが、ふとした運命のいたずらに翻弄されて右往左往するすれ違いの行方を描くというロマンティック・コメディ。これを観ないわけにはいかないと駆けつけました。

“男はなんでこんなに馬鹿なんだ!”と思いながら、ティモシー・シャラメがNYの雨の味で、本当の恋の味を知っていく彼の表情に大満足でした。が、この作品でアレン監督がセクハラで訴えられたと知り驚きました! ここに出てくる男性たちが女性を軽々しく扱うとみての反応なのでしょうか? 「逆だ!」と思っています!(笑) とにかく監督にはこれにめげず毒の効いた恋愛劇を描いて欲しい。あなたにしか描けません!

撮影監督は「ラストエンペラー」のヴィットリオ・ストラーロ、美術:サント・ロカス、衣装:スージ・ベンジンガー、編集:アリサ・レプセルターと監督作品常連たちとのタッグです。

共演はセレーナ・ゴメス、ジュード・ロウディエゴ・ルナリーヴ・シュレイバーらです。


『レイニーデイ・イン・ニューヨーク』7/3(金)全国公開/予告編

あらすじ(ねたばれ):
NYの裕福な両親に育てられたギャツビー(ティモシー・シャラメ)は母の勧めでアイビーリーグだったが、IQの高さとポーカー勝負の強さを生かし自分らしく生きようとヤードレー校にやって来た。そこで出会ったのがアリゾナ銀行経営者の娘でキュートなアシュレー(エル・ファニング)で、今は首ったけ!結婚したいと思っている。母(チェリー・ジョーンズ)が会いたがっていた。

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アシュレーが学校の課題で有名な映画監督ポラード(リーヴ・シュレイバー)にインタビューすることが決まり舞い上がっている。NY出身のギャツビーが、ここは俺の出番と、NYマンハッタンの案内を引き受け、特にホテルの選定は入念にして、うるさい母には内緒で、バスでNYに向かった。バスの中でもアシュレーは“何故か興奮する!“とはしゃいでいた。

着いたホテルはピエールホテル。目の前にセントラルパークが見え、アシュレーは「雨が降らなければ馬車に乗れる」と喜んでいる。はたして馬車に乗れるのか?

早速、アシュレーはウエスターホテルへ出かけ、ポラード監督にインタビュー。会ったときから舞い上がり、「黒澤映画のフアンだ」と幼稚なインタビューにハラハラしていると、「君の名は妻の名に似ている、君と同じ街の出だ!」と甘い言葉を掛け、「君にゴシップネタをあげる!」と「監督を辞めたい」と明かして、試写会に誘うというとんでもない監督。普通の女の子なら浮足立つのは当たり前。

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その間、ギャツビ―は久しぶりの街を歩いていて、一番嫌な友人に会った。ガールフレンドとしてのアシュレーを自慢してやろうと「今ポラード監督にインタビューしているんだ」と喋ると「お前の元カノの妹チャン(セレーナ・ゴメス)がいまロケやっている。あの監督と一緒にするとやばいぞ!」と笑って去って行った。

ギャツビ―は不安になりホテルに戻ってアシュレーに確認。「凄いチャンスなので試写会は断れない。時間を守る!カーライルに行く!」を聞いて、街に出たところでロケ中のチャンに出会った。

友人監督から「エキストラが居ないからお前やれ!」とチャンとのキスシーンを撮った。チャンが「感情が入ってない!」と本番を3テイクも撮った。「ちゃんとやれるじゃん!」と撮影が終わり、チャンが去っていった。なんとここで雨が降り出した!

兄はどうしているかとマンションに尋ねた。兄はリリー(アナリー・アシュフォード)と一緒に迎えてくれたが、リリーが席を外すと「結婚式はやりたくないんだ。リリーの笑に声が嫌なんだ」と打ち明けた。リリーの笑声を聴いてびっくりしてマンションを後にした。(笑)

試写会が始まると、ポラード監督は「つまらん!」とすぐに席を外す。脚本家のダヴィドフ(ジュード・ロウ)が「待ってくれ!」というが聞き入れない。こういう嫌がらせ人が結構います。(笑) アシュレーはダヴィドフにつき合って、最後まで観た。ふたりでポラードを探しに外に出て、ダヴィドフの妻コニー(レベッカ・ホール)に出会い、「不倫妻だ!」と喧嘩が始まった。アシュレーは「取材です!」とこの喧嘩に立ち会った。(笑)

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キャツビーは兄のマンションを出てタクシーに乗ろうとして、チャンに出会った。「雨の中のデートは最高よ」と話しかけてくる。キャツビーがアシュレーに会えない不満を話すと「割り込んで話したら!」と促がされるが、言い出せない。「あんた愛しているの?」と問われ、「チャーミングでセクシーだ!」と応えると、「ノロケ話はゲップ!」と言い返された。(笑)

チャンは「良い絵がある」とギャツビ―をアパートに誘った。壁には絵が飾られ、ピアノがあった。このアパートの内装が凄い!
ギャツビ―が「everything happes to me」を弾き語っていると、「セントラルパークの時計、あそこは夢想家が集まっている。どう?雨の中のキスはいいよ」と 雨の歌を催促した。ギャツビ―が即席で歌を披露すると、チャンが泣いた!

ふたりはメトロポリタン美術館に出掛けた。絵を観ながら、チャンが「昔、あんたに憧れていた。でもつまらない女だった」と告白するが「うっそ!」とギャツビ―は一蹴した。
ギャツビ―は運悪くここのエジプト展で、叔父夫婦に出会った。(笑) アシュレーを連れて母に会いに行かねばなるまい!!

アシュレーはダヴィドフと別れ、ポラードを探してスタジオに戻るとそこで売れっ子俳優のヴェガ(ディエゴ・ルナ)に出会った。もうアシュレーの興奮は「私の子宮を唸らせる」と治まらない。(笑) 記者たちに写真を撮られ、ヴァガに誘われるがままにバーで飲んだ。そこにポラードが現れ南仏に行かないかと誘われた。アシュレーはヴァガの誘いに乗り彼のマンションを訪ねた。ここまでくるとアシュレーにもバカ女と言いたくなります。(笑)

ギャツビ―はチャンと別れ、掛場でひと儲けして、TVで「アシュレーがヴェガと車に乗りで描ける映像、このカップルに応援は不要です!というニュースを目にした。
街に出てバーで娼婦を拾い、母を訪ねた。パーティの真っ最中だった。母に一発でアシュレーでないと見抜かれた。(笑) 「アシュレーに振られた!」と言うと、「あんたは私の遺伝子よ!お母さんも昔娼婦だった。お父さんに恋して、この会社作ったの。分かるかなあ~このはなし!」と秘密を明かした。(笑) 母親の恋が凄い!

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ギャツビ―は約束のカーライルのバーでピアノを弾きながら、アシュレーの帰りを待った。帰ってきたアシュレーは下着にオーバーを被った姿だった。ギャツビ―は「何もなかった」というアシュレーに「明日話そう」と何も聞かずに眠った。

次の朝、ふたりは馬車でセントラルパークの散策に出た。キャツビーが「曇りのNYだ!」と声を掛けると「せっかく乗ったのに曇天よ」というアシュレーの答えを聞いて、「ヤードレーに戻りなさい。俺は別の人生を考えている。このお金で人生を考えてくれ!」と馬車を降りた。そして、時を打つ時計台を眺めていると、雨が降り出し、そこにチャンが現れた。NYの雨はふたりの仲をよく知っている!

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感想:
「監督のインタビューが決まった」と現れたときのアシュレーのミニスカート姿を見て、ヘリボーンジャケット姿のギャツビーとうまく行くのかなと思いましたが、これが的中するという、NYの雨が決める恋物語。美しいNYマンハッタンの名所を巡る旅とともに楽しみました。
雨に濡れた物憂いNY。撮影監督ヴィットリオ・ストラーロが描く主人公たちの感情を映し出す映像がすばらしかったです。

ポラード監督インタビューに始まり、次から次へと起こる映画界の不思議に興味を示して夢を追っかけ、挙句の果てに酔払って名優の餌食になりそうになるアシュレー。そんなアシュレーの帰りをひたすら待ち続け、帰って来ないアシュレーの代わりに娼婦を母親に合わせて聞く母の言葉に、自分らしく生きると自分を批判しながら受け入れてくれる“大人のチャン”を選ぶという結末。アレン監督作ではめずらしい、きちっと示した真っ当な結論に大満足でした!

作品に自信が持てず、妻の名に似ていると、一緒に南仏に行こうと誘う映画監督。妻の浮気に立ち会って意見してくれとせがむ、なさけない脚本家。きれいな女性を見ればホテルに誘う、売れっ子俳優。良い女だが笑い顔が嫌で結婚式をやらないという兄。どいつもこいつも、何を基準に伴侶を選んだのか? 相変わらずのどうしょうもないアレン流恋物語でした。(笑) そのなかでギャツビの選択が光っていました。

もっとも印象に残るシーンは、母親のことばを聞くシーンでした。こんなことしでかした息子なら、普通、叱りつけるでしょう。そうはしなかった!分かる時期が来たと自分の姿を見せ、「人は見かけで判断してはいけない。その人の心を見抜け!」と説く姿に感動しました。

監督には、次作が進んでいるようですので、ほっとしています!
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ティモシーの弾き語り、美声をチェット・ベイカーの曲に乗せて/映画『レイニーデイ・イン・ニューヨーク』本編映像