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「リトル・ミス・サンシャイン」(2006)人生の勝ち負けの評価は自分が満足できたかどうか。他人の評価なんか気にするな!

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第79回アカデミー賞で作品賞を含む4部門でノミネートされ、脚本賞助演男優賞を獲得した作品。デジタル化され再上映されています。

 アリゾナからカリフォルニアまでのバス旅行を通じて、崩壊寸前だった家族の再生を描くハートウォーミング・コメディ。

アリゾナからカリフォルニアまでのロードムービーを楽しもうと本作を選びました。ところがどっこい、爆笑のなかで、うまく“人生を過ごすための極意”を教わるという優れものでした!

 監督はジョナサン・デイトン及びヴァレリー・ファリス夫婦、初監督作品です。脚本も初レビューとなるマイケル・アーント、それでアカデミー賞ですがか凄い。撮影:ティム・サーステッド、音楽:マイケル・ダナ

 出演はグレッグ・キニアスティーヴ・カレルトニ・コレットポール・ダノアビゲイル・ブレスリンアラン・アーキンであり、


リトル・ミス・サンシャイン - 映画予告編

 あらすじ(ねたばれ):

ニューメキシコ州アルバカーキに住むフーバー一家。妻のシェリル・フーヴァー(トニ・コレット)はふたりの子持ちの専業主婦。

7歳の長女オリーヴ(アビゲイル・ブレスリン)、メガネを掛け可愛い子ですがちょっと太めなるのを気にしながらリトル・ミスコンテストを目指してトレーニングに余念がない。

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前夫との子供、高校生のドウェーン(ポール・ダノ)はフィジカルトレーニングに余念がない。しかし、部屋に閉じこもり、会話は物を言わず筆談ですます。同居する夫の父親エドウィンアラン・アーキン)はヘロイン常習者。

 夫リチャード(グレッグ・キニア)は、生活アドバイザーで、今は「成功するためのモチベーション法」なる本を出版し、販売にやっきになっている。家では「人間は勝者と敗者からなる。敗者になるな!」が口癖で、家族もこれにはうんざりしている。

 シェリルの兄フランク(スティーヴ・カレル)が自殺未遂事件を起こしたため、彼女が引き取り家族と一緒に暮らすことにした。自殺の原因はゲイの相手に振られたためだという。彼はプルースト研究学者で自分では第一人者だと思っている。

 オリーブが地区予選で2位だったが、薬を使ったダイエットで1位の子が失格となり、急遽、州大会に出場になった。

ドウエーンとフランクは残せない、お爺ちゃんのエドウィンは「コーチだから絶対に行く」と言うので、全員で古ぼけた黄色いバンでカリフォルニア州レドンドビーチの会場まで800マイルの旅が始まった。

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 バスの旅は、アリゾナの一本道のドライブで退屈。話すのはお爺ちゃんの「老人ホームは男1人に女4人でアソコが燃えそうだった」というエロ話ばかり。(笑)お爺ちゃんはこれで老人ホームを追われたのだった。みんなうんざりしている。(笑)

 ドライブインで食事。出発しようとして、クラッチが故障。1、2段が使えない。車を押して加速させ、飛び乗ってのスタート。(笑) しかし、このことで全員が力を合わせるようになった。(笑) 最後に飛び乗るのはドヴェーンの役になった。

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 途中、ガソリンスタンドで休憩。フランクがお爺ちゃんに頼まれて濃いエロ本を買いに出た。そこで、別れた相手を目にした。新しい男と一緒だった。

 リチャードは公衆電話で販売担当のスタンに出版本の売行きを確認するが、うまく行っていないことにガッカリする。これを知ったシェリルは「やっていけない!」と夫を責める。

 バンがスタート。事情を知ったお爺ちゃんが「結果がどうであれ、お前は努力した。俺より勇気がある!」とリチャードを慰めた。

 夜、モーテルで宿泊。リチャードとシェリルが喧嘩。リチャードは37kmの距離をオートバイを飛ばしてスタンに会いに行き状況を聞く。「売り方の問題ではない。あんたの知名度がないことが原因だ。止めた方が良い」と言われ、「1回でか!」と怒って宿に帰ってきた。

オリーブは「明日のコンテストが怖い。パパが負け組は嫌いだから」とお爺ちゃんに相談する。お爺ちゃんは「負け組は何か知っているか?挑戦しない連中のことだ。明日は楽しもう!」と励ました。

 朝になって出発しようとしたが、お爺ちゃんが起きて来ない。救急車で亡くなった。先を急がないとコンテストに間に合わない。リチャードの「コンテスト参加はお爺ちゃんのたっての希望であった。止めるわけにはいかない」に皆が協力して、お爺ちゃんの遺体をバンのトランクに乗せて、一緒に会場へと急いだ。ところが今度は警笛が故障で鳴りっぱなし!(笑) お廻りさんに掴まり、トランクを調べられることになった。幸いにも、そこにお爺ちゃんの好きなエロ本があって、お巡りさんがこれに趣味を持ち、これ以上調べられることはなかった。(笑)

 車の中でオリーブはいたずらでドヴェーンの色盲テストをする。異変があると知ったドヴェーンが騒ぎ出す。ドヴェーンは航空士官学校に進学しパイロットになるのが夢だったが、万一失敗したとき父親に責められるのが嫌で口を利かなかったことが暴露。夢を断たれ泣き叫ぶドヴェーン。これを優しくオリーブが慰める。ドヴェーンの動揺が収まるのを待って、会場に急いだ。

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 路に迷いながらもやっと会場に辿りついたが4分遅れ。父リチャードが受付嬢に平謝りして、受付に成功。オリーブは家族全員の助けでステージに立つことができた。

 一段落したところでフランクがドヴェーンを海岸に連れ出し、悩みを聞いてやる。ドヴェーンは「航空士官学校だけが道でない」と考え始めていた。

 さて、オリーブの最後のステージ。リチャードとドヴェーンが他の子のセクシーな水着や華やかなイブニングウェアを着て、堂々とした態度でダンスや体操を披露するのを見て、太っちょで地味な衣装のオリーブには「恥をかくことになる」と棄権することをシェリルに勧めたが、オリーブは自分で出るという。

ステージに立ったオリーブは「お爺ちゃんに捧げます!」と宣言して、スカートを脱いで赤いパンツで踊り出す。(笑)

 審査員、会場から大ブーイング。オリーブは“お爺ちゃんのために”と踊り続ける。これにリチャードが、ドヴェーンが、フランクが、シェリルがステージに上がって一緒に踊った!

 主催者が警察に訴えたが、「二度と美少女コンテストには出ない」ということで放免された。

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 「最高だった!」と5人はバンを押し、飛び乗って、家路を急いだ。               

感想:

冒頭で登場人物のキャラクターを描写し、ロードムービーのエピソードでキャラクター“ねた“がうまく繋がり、自分の至らなさを知り互い助け合わなければならないことを悟り、コンテストで家族全員がオリーブを支え、勝敗に関係なく大いに満足して会場を去る。「人生の勝ち負けの評価は自分が満足できたかどうか。他人の評価なんか気にするな!」といううまい脚本でした! 当たり前です、さすがアカデミー賞受賞脚本でした。

 お互いが支えながら、変化していくところも見どころでした。

 フランクがドヴェーンを呼び出して、「18年間も眠っていた」と悔しがるドヴェーンに、ブルーストの言葉を引き「苦悩の日々こそが自分を成長させるんだ。最良の日々には学ぶべきものはない。高校時代こそ悩める青春だ!」と励ます姿に“まさにその通り”と感動しました。

人は自分の弱いところを見つけてこそ、他人にやさしくなれる。リチャードの出版本が売れなかったこと、フランクの失恋、ドヴェーンの色盲。弱点は決して恥じることではない!

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