ナタリー・ポートマン主演作ということで駆けつけました。彼女のために作られた作品と言える映画でした。すばらしいライブシーンがあります!
2000年に銃乱射事件の被害者となった少女が追悼式で唄った歌で一躍スターダムに駆け上ったが、アルコールとスキャンダルでつまづき活動休止に追いやられる。17年後、再起をかけたツアーを企画した矢先に再び過去を連想させる凄惨な銃撃事件が発生。この騒動に捲き込まれながら、ポップスターとして生きる姿をマスコミ視点で描くという、音楽ドラマではなく、社会派ドラマです。
おそらくポートマンが主張したいことが描かれているんだろうと思います。( ^)o(^ ) それにしてもラストのライブシーンは、結構長いシーンで、「レオン」(1994)「ブラック・スワン」(2010)に次ぐポートマンの代表作と言っていい、圧巻のパフォーマンスでした。
監督と脚本はブラディ・コーベット。製作総指揮:ナタリー・ポートマン、ジュード・ロウ、シーア。撮影:ロル・クロウリー、楽曲:シーア、振付:バンジャマン・ミルビエ。
主演:ナタリー・ポートマン、共演:ジュード・ロウ、ラフィー・キャシディ、ステイシー・マーティン、ジェニファー・イーリー、ウイレム・デフォー。
【予告編】ナタリー・ポートマンの新境地!史上最高のステージパフォーマンスを披露『ポップスター』
あらすじ:
2000年、正月明けの音楽クラス。男子生のカレンが拳銃を持って教室に入って来て、いきなり拳銃で先生に発砲、生徒が大騒ぎ。13歳のセレステ(ラフィー・キャシディ)が「止めて!」と懇願するが、拳銃を乱射する。警察隊の突入で救い出されたセレステは救急車で病院に運ばれた。カレンと口を利いただけにショックは大きかった。
MRIで「脊髄損傷」と診断され、姉エリ(ステイシー・マーティン)にの援助を受けてリハビリに励み、父に買ってもらったキーボードでエリーが歌曲を作り、ふたりで歌った。エリーは「もう一生離れない!」と誓った。マスコミ目線で描かれ、父母の顔は出ない。
教会での追悼集会でエリーがキーボードを弾き、「エリーに捧げます」とセレステが唄った。するとたちまち全米が注目し、国歌になったぐらいに広まった。
威高なマネジャー(ジュード・ロウ)の指導でNYに出てレコーデイング。セレステはうまく歌えない。マネジャーーとデレクターの指導で録音を終えた。次いでライブの準備として、先生についてダンスのレッスン。先生からは「ヘタでもあんたの根性で行ける」と言われる。身体がきついので“薬”を飲み、ジムで体力をつけた。
レコードを出版してスエーデンへと音楽の旅。エリーとふたりでステージをこなし、酒も覚えた。そして、ロサンゼルスでMVを撮ることになった。
ロスに戻って音楽ライブに参加。そこである歌手と知合い、ベットに誘われた。自分の曲を唄うと「いいね!」と褒められ、「事故のことを話すのが嫌だから歌う。毎晩出てくる出口のないトンネルを猛烈なスピードで走り、だれも知らないところに向かっている夢の見る」と喋った。
朝目覚めて、部屋に戻るとエリーがマネージャーとベッドの中にいた。セレステは事故のショックにこの出来事が加わり、とんでもない世界へ走りだした。
シルバーの面をつけ黒いバイクスーツで、姉とマネージャーの関係にふさわしい歌「見えない大嘘!」というMV曲を「ホログラム」で撮った。これが生涯の大ヒットで、その後はスキャンダルやアルコールに溺れ、スターダムから転落していった。「マネー、マネー」と頑張った。
こうして17年後。(マスコミに取り上げられることなく17年が過ぎた)
セレステ(ナタリー・ポートマン)は再起を賭けてた復活ツアーのため故郷で準備に入っていた。マネージャーから「クロアチアのビーチで銃乱射事件が起こった。喋ることには注意しろ!」と注意があった。
姉のエリーと娘のアルビー(ラフィー・キャシディ)が宿泊ホテルに尋ねてきた。
セレステはエリーに断り、アルビーをレストランに連れ出し、“こうなったのも姉エリーのやり方のせい”と真っ昼間から酒を口にしてエリーをこき下ろし、アルビーに窘められる。店主にサインを求められると、これを断り喧嘩になるという大歌手だったという自尊心が出てくる。
アルピーに「何で痩せているの?ガン?」と問われ、これまでの酒びたしの生活、車両事故を起こしたこと、人種差別発言、舞台に穴を開けたことなどを口にし、「とんでもない女になった」と反省もする。こうしてアルピーのお陰でセレステは母性を取り戻したようだった。
ホテルに戻って、部屋にやってきたエリーに「アルピーが妊娠していることも知らなない。あんたたちの面倒を見ているのに!」と毒づくと、エリーは「あんたは子供を私に預け、歌も私が作ったもので成功した。これをばらすよ!」と怒り出す。
そこに同じステージに立つ歌手が挨拶にやってくると、これには横柄に対応している。
記者たちの取材を受けた。クロアチア銃乱射事件に関連し、昔の事件のことを聞いてきた。「“ホログラム”で撮った覆面で仮装していたのか気に入らない!私の人生に反感があるの?」と答えた。「犯人に伝えたいことがありますか」と聞いて来る。「幼いころは神様を信じたが、今は私が神様よ!私には30発の銃弾より多い曲がある」とあいまいな回答で逃げた。ステージの質問がない!
別室で個別に質問を受けた。
「今夜のステージは?」と聞くから、「ライフワーク。故郷のツアーは不安から難しい。脊椎の影響が3つあるのよ!」と答えた。「数年前の危険運転で相手に重傷を負わせて逮捕されたことにからの復活か?」と質問され、「どうしようもない質問!」と会見を打ち切った。
部屋に戻るとマネージャーがアルピーを抱擁して慰めていた。セレステが「大人にならないで私の子でいて!」と、謝り文を添えてエリーへ花を届けさせた。
マネージャーに「戦う気が亡くなった!」と言い、「昨夜の薬を持ってきて!ファックしていいよ!怖い!」と泣いた。ふたりは薬を飲んで激しく揉み合った。
マネージャーが「時間がない!」と駆け出し、うつろな足取りで彼を追い、車で会場に急いだ。途中、海岸で「今苦しんでいる人たちに」とアルビーと一緒に祈った。
会場の楽屋で、エリーに「力が衰えている、もの凄くぶさいくだ!」と泣いて訴えた。
「フアンのためよ、悪夢は終わる!」とエリーに励まされ、スタッフの激励を受けてステージに上がった。
ここからは、どこから力がでるのかというほどの、圧倒的な歌とダンスのパフォーマンス。「私は何年も攻撃されてきたが倒れっぱなしは嫌よ!」「プライバシーガールよ!」と歌った。
姉エリーも娘アルビーもセレステの歌に笑顔を送った。・・・・
感想:
幼い姉妹が躍るシーンとともに「セレステには能力はなかったが歌うのがビジネスだった」というナレーションで始まり、乱射札事件が起こり一旦ここでエンドロールが流れる。次いで第1幕「創世記」、17年間を一気に飛ばして第2幕「復活」へと続く物語。そしてエンドロールでクレジットが逆にながれるという面白い演出でした。マスコミに翻弄されながら、これを糧に生きて行くポップスターの人生という意味が込められた演出だと思います。
作品の核は第2幕。ここで31歳になったセレステ、ポートマンが登場です。そしてその娘アルピーが、第1章でセレステを演じたラフィー・キャシディです。
このキャステイングの妙で、セレステがアルビーに会うことで、昔の自分に話しかけるように人生を反芻して、「倒れっぱなしの人生はない」と立ち上がる意志がよく伝わる演出でした。
濃いメイクで早口で饒舌に話す疲れ感のあるポップスター・セレステ。麻薬でラリって、性根を無くして姉エリーにしなだれかかる、そしてステージに上がるや生気を取り戻し歌い踊りまくるという、激しい変化のある演技をポートマンが演じてくれます。
ステージの上のポートマンは、この役はポートマンしかいないと思える演技で、圧倒されました。
セレステの陰で、彼女を支え続けるエリー、ステイシー・マーティンの静かな演技が印象に残ります。
メディアとポップスターの関係についての問題提起!ナタリー・ポートマンに圧倒される作品でした。
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