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「コンフィデンスマンJP プリンセス編」(2020)騙したと思ったら、ダー子は手の平で踊っていた!

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 前作は観る人を騙すために騙す作品でしたが、今回は違った。人のためにだます作品、テーマのある作品になっていて大感動でした。とても良い脚本でした!

念のため、騙しテクニックも前作に比して数段手が込んでいました。(笑)

今回はサブタイトル「プリンセス編」ということで、ある女性をプリンセスに化けさせて身代金を稼ごうとするのですが、ダー子!そんな気持ちでいつまで騙しをやるんだ!という話で、ダー子の大きな成長がみられる作品でした。(笑)

プリンセスを演じた関水渚さんの清楚で透明感のある演技、特に笑顔に、癒されました。コロナウイルス騒動の“鬱陶しい”気分を吹っ飛ばすような、今の時期にふさわしい作品でした。

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監督は田中亮さん、前作で監督レビュー、本作が2作目となります。脚本は吉沢良太さん。撮影:板倉陽子、照明:緑川雅範、衣装:朝羽美佳、音楽:fox capture plan、主題歌:Official髭男dism。

出演は長澤まさみ東出昌大小手伸也小日向文世関水渚柴田恭兵北大路欣也竹内結子三浦春馬ビビアン・スー広末涼子江口洋介・白濱亜嵐・古川雄大さんらととても豪華です。


『コンフィデンスマンJP プリンセス編』特別映像②【7月23日(木・祝)公開】

あらすじ(ねたばれ):

冒頭で、「他人より優れていることが高貴なのではない。本当の高貴とは、過去の自分自身より優れていることにある。」とアーネスト・ヘミングウエイの言葉が紹介されます。

これが今回のテーマです。「本物も偽物もない、信じればそれが真実」とダー子が騙しのテクニックを見せてくれますが、これは手段、テーマでないことに注目です。

作品そのものが高貴になっています!

「絶対にフウ族を許さない」と泣き叫ぶ台湾の農民の怒りの映像が流れる。フウ族はこうして世界有数の大富豪に成長したらしい。

ダー子、獲物はないかと歩けばスタア(竹内結子)に当たる。(笑) 意気投合して花粉症治療薬で仕掛けたが失敗。もう一緒には組まないと喧嘩別れ。本当にもう組まないのかと疑いますよね。(笑)

そして街を歩いていたダー子。スリに失敗して怒られている少女が、今は亡き尊敬する詐欺師の子だったので貰い受け、首を振って話す姿に因んで”コックリ”(関水渚と名付けた。

マレーシアのウンカウイ島でフウ家の当主レイモンド・フウ(北大路欣也)が亡くなった。フウには3人の子があったが、執事トニー(柴田恭兵)が発表した相続人は誰もが知らない隠し子“ミシェル”だった。

ダー子はコックリを自分の娘にして、自分は母親として「本物も偽物もない!信じればそれが真実!」とフウ家に乗り込むことにした。

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ボク(東出昌大)は「無茶な!バレる」と反対したが、ダー子の「パートナーはあんたたち!」にほだされて、いつものメンバーが参加することになった。(笑)

テンポが良い。あっという間にシンガポール。富豪の大豪邸。すばらしい映像です。

執務室でトニーと面接。レイモンドとはバリ島で出会ったこと。子供は大坂で産み、レイモンドが決めたミシェルの名で育てたことを話し、DNA検査もうまくいった。 (笑)

トニーから相続者は4月後のパーテイで決まるので、その間にしっかり教養を身に着けて欲しいと豪華な部屋、衣装が与えられた。

ダー子は「これで終わり、うまくいった」と思ったが、とんでもない、残された3人の子らからの嫌がらせに遭う。

毒を盛られる事態となり、作戦失敗とリチャード(小日向文世)が大使館員に化けて隠れ家に脱出させることにした。脱出中不穏分子に追われ、車を捨ててバザールに逃げ込み、そこでコックリが台湾の“あの農夫”とぶつかるというハプニングがあった。

しかし、ここでも嫌がらせを仕掛けてくる。リチャードは次の脱出を計画しているが、コックリが怖がらないので、ダー子は豪邸で頑張ることにした。

長男クリストファー(古川雄大)と相続権を譲る交渉するが受け入れられない。長女ブリジット(ビビアン・スー)は、部屋を訪れても不法侵入と完全無視する。

そんなとき、トニーが相続権を認める“玉璽”を眺めている姿を見て、「手に入れば1000臆円だ」とこれを盗むことに決めた。(笑) 3か月後のパーテイで玉璽が手渡される“その一瞬に賭ける”と、ボクが警備員、五十嵐(小手伸也)が従僕として豪邸に忍び込み、ダー子とコックリを守ることになった。

執事のトニーはある女性からミシェルに関する手紙を受け取った。

コックリは兄や姉の憎みを避けるように、彼らの好みも分かり贈り物をするまでに成長していった。

いよいよパーテイの日がやってきた。

世界中から詐欺師たちが集まってきた。そのなかに赤星(江口洋介ジェシー三浦春馬がいた。意外や(笑)元某国大統領夫人(デヴィ・スカルノ)も。(笑) 赤星は次男アンドリュー(白濱亜嵐)と通じていて、自信満々の笑みを漏らす。

ジェシーは早速美しいミシェル(コックリ)に目をつけてダンスに誘う。そこに「待った!」とダー子が出てきて、ダンス相手をしながら「赤星が来ている。あんた殺されるよ!」と秘策を伝授する。

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いよいよ後継者就任式コックリのスピーチは兄や姉に対する謝辞からはじまり、4か月間の修養がしっかり生かされた、後継者にふさわしいすばらしいものあった。来客たちが大歓声を送った。ダー子は泣いた!

そして“玉璽”が渡されたが、取り落し、ダー子が拾ってすり替えた。

作品の面白さを失ってしまいますので、ねたばれはここまでにします。

感想:

ここまでで、コックリがダー子がいうように「本物も偽物もない。信じればそれが真実」と一生懸命に努力して、当初の眼鏡のださい女性がすばらしい聡明な女性に変身してきます。これがテーマ、人は努力で変われるんです。豪邸で過ごした間に少しづつ変化していく関水渚さんの演技がすばらしかった。

そして、この先の彼女は「私のような子を救いたい!」というようになります。今の時代にとても大切なメッセージです。

さて、お母さんとしてコックリに相対したダー子。コックりをどう育てようかと考えるようになるんです。これもテーマ“高貴”とは何かを問うています。

フウ家の執事トニー。本作の本当の主役トニーの姿がここから描かれ、ダー子なんか手の平です。執事の任務は何か?フウ家に傷がつかないよう、ただ言われたことだけをするだけでなく、最善の方策を見つけていきます。この老獪な判断を下すトニーには柴田恭平さんしかいないでしょう。すばらしい風格のある演技でした。

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三浦春馬さんの出番は長澤さんとのダンスシーンとあとわずかなシーンでした。嫌な役割ですが、春馬さんが演じるとこうはならないところが凄い。もう観れないとなると残念です。ご冥福をお祈りいたします。

台湾であんな狂暴なことをやっていましたが(笑)、当主のレイモンドの下した判断はすばらしいものであったと思います。政治家の先生方にもこんな大きな構想を描いてもらいたいです。

ここから、前回と同じように騙しの手口が描かれ、TVドラマや前作をも含めた伏線がよく生かされた、騙しの物語になっています。しかし、ちょっとくどかったという印象です。

今回のマレーシアの旅。クアラルンプール、ランカウイ島の美しい景色、豪華なホテル、猥雑なバザール、美しい海を見ることができてとても楽しかった。

騙しの物語のなかで人生を語るというすばらしいドラマでした。日本の騙し映画として世界に向けて発信できますように!  

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