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「思い、思われ、ふり、ふられ」(2020)自分を重ね、自分に向かい合う青春!

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「胸キュン映画三巨匠」のひとりと称される三木孝浩監督作、楽しみにしていました。

青春のど真ん中、「4人の高校生は実在の誰かに当てはまるぞ!」とリアルに迫ってくる、青春胸キュン作品でありながら、もっと大きな夢のある悩める青春物語。“振られて人生が始まる”という「青春をかく過ごせ!」とエールを送りたくなる作品でした。( ^)o(^ )

原作は「ストロボ・エッジ」「アオハライド」の咲坂伊緒さん、未読です。監督は「アオハライド」の三木孝浩さん、脚本:米内山陽子 三木孝浩さん、撮影:柳田裕男(新)さん、主題歌:Official髭男dismです。

出演は「君スイ」の浜辺美波、北村拓海に福本莉子赤楚衛二さんらです。


映画『思い、思われ、ふり、ふられ』予告【8月14日(金)公開】

あらすじ(ねたばれ)

英語を勉強中の朱里(浜辺美波)。そこに「4時公園に来て!」のメール。雨が激しく窓辺を濡らしている。雨が運命の予兆を表現していて、とても印象深く描かれます。さてこの雨は吉兆か凶兆か? 

「みんなが幸せになる方法があればいい」「誰だって傷つきたくない」「なるべく笑って過ごしたい」「いつだってその選択をしている」と字幕が流れます。

この字幕が物語のテーマです。

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同じマンションに住み同じ学校に通う高校生の4人。山本朱里と山本理夫、市原由奈(福本莉子)、乾和臣(赤楚衛二)。

山本朱里(浜辺美波)と理夫(北村拓海)は親同士の再婚で姉弟の関係になった。朱里はこの家族をなんと続けて幸せな家族になりたいという考えを持っている。一方、理夫は真っすぐで不器用な男。朱里に淡い恋心を抱き、これを吐き出せない悩みを抱えている。

朱里が中学生のとき電車の切符を失くして困っているときに都合してくれたときに由奈と知合い、今では何でも話せる仲。和臣は由奈の幼ともだちで、由奈の紹介で朱里と理夫と付き合うようになった。

由奈は「見ているだけで十分なの」と好きな人がいるけど言い出せない、内向的な女。朱里は「見てるだけでは始まらない。落ちてるものではないよ!」と由奈に忠告する積極的で明るい女。

由奈は数学が苦手で理夫から教えてもらっていた。理夫が「好きな人はいなにの?」と由奈に聞くと「振られるのが分かっているから告白できない」という。理夫は「出来ないとしないでは違う!俺は言えないだ!」と明かす。由奈は「きっと朱里を!」と思うわけ。

和臣は爽やかで天然系。しかし、家庭のことで闇を抱えていた。朱里が「母の二度の再婚で逃げたくなる」というのを聞いて、和臣は朱里に特別な感情を持つようになった。神戸の街を見晴らせる公園に誘って「街のどこに行っても同じ。現実は変わらない。親の事情に振回されるなどと言って欲しくない!」と忠告した。朱里はこの答えに惹かれた。

図書館で由奈が理夫から勉強を教わっての帰り、理夫から「好きなら好きといった方が良い。振られたらまた次の人を好きになったら良い」と言われ、「ちゃんと振られると本当に好きになれるのかな?」と漏らした。すると「その時は俺が全力で支えてやる」と応えがあった。

雨が上がり(笑)、由奈は「理夫君が好き、だから私をふって!理夫君が本当に苦しんでいるとき友達になれる」と告白した。(笑) 理夫は戸惑って「由奈の気持ちを知らないで話した!」と謝った。振られたことで由奈は「振られることが怖くない!」という大きな勇気を手に入れた。

学校で熱中症で朱里が倒れた。健康室に運びポカリを渡す和臣を見た理夫は大きな決断を下した。

大雨の中、帰校する朱里を傘を持って迎えに行き、「和臣が好きなのか?俺が好きなにか?」とクスをした。これに「兄弟だからやめよう!」と朱里が怒った。これ以降しばらく口をきかなくなった。このとき、和臣がこの光景を土砂降りの雨の中で見ていた。

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朱里と理夫のキス事件から、恋に後ろ向きであったストーリーが、朱里と理夫の鬱陶しい関係が解消されたように、大きく変化をしていきます。

理夫は由奈に「朱里から振られた!」とこれまでのふたりの経緯をしゃべった。

和臣は「本当の姉弟ではない!」と理夫と朱里の関係を揶揄するクラスメイトに「小学生のようなこと言うな!」とふたりを庇った。これを見た由奈が「理夫君は自分のことしか考えてない。朱里はお母さんのことをしっかり考えている」とふたりの今の関係を明かした。

理夫は由奈から朱里の気持ちを聞かされ、謝罪をした。朱里に振られたことで、自分本位に物事を考えがちだと悟って、大きく変わっていく。しかし、朱里はそっと泣いていた。

理夫は由奈に「君のお陰で朱里との関係が整理できた」と感謝した。今度は由奈が泣いた。「なんでお前が泣くんだ!」と理夫。(笑)

和臣は朱里に好きなDVDを見て貰おうと「アバウト・タイム」を貸すことにした。

夏祭り。ユカタ姿の朱里と由奈。理夫は由奈に熊のマスコット人形をプレゼントした。ひとりぼっちの朱里に和臣がアドレス交換を申し出た。朱里が「付き合ってみないですか!私を好きになれませんか」と言い出す。これに和臣は「俺の気持ちは好きとかではなくて・・」と戸惑った。

学園祭理夫は由奈に「好きだ!」と告白。由奈がこれを受け入れた。一方、朱里のところには元カレの亮介(三船海斗)が訪ねてきた。なんでここに出てくると思いましたが(笑) 亮介が変わらない朱里の態度を見て、「大事なときに言わず、過ぎて言うのは自分と同じ気持ちを返してもらいたいと言うことだ。自分が恰好悪くならない、上目線でないと言わない!中身は空っぽだ」と貶して帰って行った。(笑)

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朱里には素直に理夫を受け入れる由奈の姿が眩しかった。写真展に出品された和臣の写真のなかに自分が写されていたことを知り和臣の気持ちを考えた。

ここからは朱里と和臣の話になります。「好きだ!」ということのもっと先にある将来の夢に絡む友情についてです。

進学路調査が始まった。和臣は兄(古川雄輝)が大学中退で劇団員となって家を出てしまった。映画関係に進みたいが父親に言い出せない。朱里の家でも父親の米国転勤で父と母が揉めていた。

朱里が自分と和臣の家庭環境は似た者同士と和臣をあの町の見える高台に誘い出し「やりたいことを口にしたらいい」と大きな声で「映画を撮る仕事をしたい」と声を上げさせた。これで和臣の進路が決まり、朱里へ「どこにいても同じだと思っていたが、ここでないどこかにあることを教えてくれた」と感謝し「好きだ!」の言葉を贈った。朱里は由奈の助けで母親との関係がうまくゆき、和臣の言葉を受け入れるまでに成長していた。

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感想:

思い、思われ、ふり、ふられ」と悩みながら成長していく“4人の高校生”の物語。4人の誰かに集中して観るとより深く楽しめます。4回観たくなるほどの「繊細な好きだ!の感情が繋がった物語」です。

おそらく漫画を読んだ人は作中の誰かに自分を重ね、この好きだの行方は?と楽しみ、自分もきっとこんな恋ができると夢を持ったのではないでしょうか!(笑) それほどに自分を重ね、自分に向かい合う物語だと思います。

この感情を役者さんの演技やセルフだけでなく、雨や空、光と陰で、監督特有の美しい映像で、魅せてくれます。

4人の演技がとても良い。浜辺さんの人を気遣う繊細で切ない演技。福本さんの頼りないようでとても芯のある演技。とてもよかったですね。なによりもふたりを美しく撮ってしまう三木監督がよかった。

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