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「2分の1の魔法」(2020)吹替版 あとの2分の1は俺の中にいる!

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本作の主演イアンの声優を勤める志尊淳さんが「徹子の部屋」に出演して母への想い、感謝ばかり喋る。そういう作品かと、もうすこし深いものがあるかもしれないとこの作品を選びました。ピクサー作品は「リメンバー・ミー」しか観ていません。

天国の父を復活させるため、内気な少年と自由奔放な兄が冒険に乗り出し、数々の試練を絆の力で挑戦。はたして父を蘇らせることができるのか? 大冒険の果てにたどり着いた“答え”とはというファンタジーアドベンチャー

 

ぶっとんだ作画だと思いましたが、「兄弟愛」「家庭愛」を説いたもので、ストーリーは平凡という感じ。でも、なんでもスマホで済ませる今という時代には、自分で決心して挑戦する勇気や人と人が直接触れ合って感じる絆を確認する作業は大切で、本作は今という時代に合った作品原題ONWARDはこのことを示しているのだと思います。

 

監督は「モンスターズ・ユニバーシティ」のダン・スキャンロン。未見です。原案・脚本:ダン・スキャンロン、キース・ブーニン、ジェイソン・ヘッドリー、音楽:マイケル・ダナ ジェフ・ダナ、日本版エンドソング:スキマスイッチ

 

声優(字幕版):トム・ホランドクリス・プラットジュリア・ルイス=ドレイファス、オクタビア・スペンサーらです。


ディズニー/ピクサー映画『2分の1の魔法』予告編 

あらすじ(ねたばれ):

遠い昔は不思議が溢れていた。なかでもドキドキ、ワクワクして最高なのが魔法でこれが生活に役立ったが、今では電気やガスなどの科学技術で、人は楽な道に走り魔法が消えていったという。今どきのSNS社会を見るとまさにそう思える設定。人が本来もっている能力が消えていくようで大きなテーアだと思いました。これを観ようと思っていましたが、小さなテーマになっていて残念でした。

ライトウッド家。父親のウィルデンは16年前(17回忌)に病死。母ローレルがシングルマザーで二人の息子、イアン16歳とバーリー19歳を育ててきました。

イアンが優しい性格で、引っ込み思案で自信が持てない子。父親がいないことがこの性格を作ったかもしれません。彼は強く父親に憧れ「お父さんとやることリスト」を作っていた。これが本作のテーマかもしれません。

バーリーは自由奔放な子で、空想の冒険や歴史が好きで、ボードゲームに熱中し、この町の魔法の歴史に詳しかった。彼には3歳時の父親の記憶があった。

イアンの誕生日。イアンには魔法の力が残っていて、父から16歳になったら渡すようにと魔法の杖と不死鳥の石と1日だけ父を呼び戻すことができる復活の呪文が書かれた手紙が母に託されていた。

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これを受け取ったイアンは早速父を蘇らそうとして失敗。父親は下半身しか蘇がえらなかった。石は飛び散ってしまっていた。何故父親は半身なのか?これが本作のテーマのひとつです。父親は半身ですが、脳がなくても、足で十分に意思表示できます。

兄バーリーが不死鳥の石を探すための地図を手にいれようと、愛車のバン(グウィネヴィア)に父親とイアンを乗せ、かって冒険家たちが集まったマンティコアの店に急いだ。彼女の身体の一部はライオン、一部がコウモリ、一部がサソリというもの。これには笑った! 今ではファミリーレストランとなった店でウエートレス。

勇敢に魔法の冒険に出ると聞いたマンティコアが、昔の自分を取り戻したように、大暴れして店が崩壊し大火事に。このときイアンは咄嗟の判断で浮遊の呪文を唱え、落下する焼材から父親を庇った。イアンにすこし自信が出てきた。しかし、地図は焼けてしまい店で販売しているオモチャの地図を手に入れた。これには行き先のカラス岩が描かれていた。

このころ母親ローレルは、付き合っているコルト・ブロンコ巡査から、息子たちがマンティコアの店にいることを聞かされ、店に向かった。コルトは上半身が人間で下半身が馬のケンタウロス族。(笑)

さて、イアンたち。カラス岩に“おそろしの道”と高速道のどの道でいくかと論争。イアンが時間を節約するために高速道を主張し、これに決まった。ところがこれには大きな落とし穴があった。安易な道を選ぶと決してよいことはないという教訓!

ガス欠。成長の呪文でガソリンタンクを大きくしようとして失敗し、逆に兄を小さくしてしまった。(笑)

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さらに、スタンドに屯する暴走族・鳥族のピクシー・ダスターズとひと悶着を起こす。

イアンが運転でこれを振り切って逃げた。今度はスピード違反でスペクター巡査に掴まった。(笑)

イアンとバーリーは変身の呪文でコルト巡査に化けた。スペクターがバーリーの悪口を言うのでイアンがこれを庇うと変身が解けた。嘘をつくと解ける呪文だった。(笑)

これにバーリーが「本心は俺を厄介者だと思っているだろう!」と兄弟喧嘩が始まった。このセリフがぴたりと合うバーリーの風貌が良い。(笑)

これを見た父親がバーリーの足を踏んで、「一緒に踊れ!」と促し、三人が踊りで絆を取り戻した。

母親はマンティコアと“呪いクラッシャー”(斧)を手に入れってイアンらの後を追っていた。

イアンらはおそろしの道を進み、底なしの地獄谷に出会う。バーリーの指導と励ましでこの地獄谷を渡り、カラス岩に到着。ここで象形文字の石板を手に入れ、水が流れる洞窟へと入って行った。

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狭い洞窟で急速な増水によりあわやと思われたが、水の上部にマンホールがある。ここから出るとそこは自分たちが住んでいる町だった。もう時間がない!

イアンは「兄に任せたのが失敗だった」と悔いた。

父とふたりで大きな夕日を眺め、兄と半身の父と過ごした時間をチェックして分かったことは「今、ここに居れるのは誰の力か!」ということだった。兄も父も自分の力になっていた!

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バーリーは「ボードゲームのとおりだ!」と噴水塔に走った。そこで不死鳥の石を見つけた。それを手にすると、真っ赤な魔法の煙が町を覆い、建物が破壊され、そのガラクタで巨大竜が舞い上がった!

これをイアンがこれまで使った呪文で、また母オーレルが持ってきた劔で退治した。崩れたガレキの中から全身の父親が夕日の中でバーリーを抱擁し去って行く姿を眺めていた。バーリーから「父は立派なお前を誇りに思うよと言った!」を聞いて、父は自分の中にいると感じた。イアンはもう引っ込み思案で自信の持てない子でなく、魔法を信じる子になっていた。

感想:

どこかで観たことのあるエピソードが多いですが、テンポよく展開し、よく繋がって飽きさせません。兄弟が行き違ったり助けあったり、父親が足で愛情を示したりと、感情移入できるよう工夫がなされています。が、やはり物語は平板で、アニメとしての作画で楽しめる作品だと思います。

ぶっとんだキャラクター像作り。とても親しみを感じます。マンティコアにはびっくりでした。特に小さなお子さんは喜ぶかもしれませんね!

原題はONWARD。困難にぶち当たるとお兄ちゃんのバーリーが内気な弟イアンに挑戦だ!やれ!前に進め!勇気を出せ!と魔法をかけるよう喚き促すが、イアンがラストで自分の判断で魔法をかけるよう成長しますので、この原題がすっきりする感じです。

しかし、バーリーのどうでもいい駄洒落についていけなかった。(笑)

なんといっても年齢、19歳の兄と16歳の弟という設定に頭を傾げました。この年頃なら彼女がいてもいいし、そっちのことの方が大問題でしょう。(笑)

この年齢のふたりをお母さんが終始追っかけて見守るというのにも違和感あり。

 私は3歳で父を失くしていて、16歳、19歳のころの自分を重ねてみて、この兄弟はちょっと幼稚すぎます。父親が居ないと他の子より成長が早い。作品をどの年齢層に観せるか。主として小中学生以下でしょう。年齢を下げたほうがしっくりしたと思います。

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声優(吹替版):

イアン:志尊淳

バーリー:城田優

ローレル:近藤春菜

マンティコア浦嶋りんこ

グレックリン:新谷真弓

ガクストン:丸山壮史

フェンウィック:立木文彦

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