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「幸せへのまわり道」(2019)原題:A BEAUTIFUL DAY IN THE NEIGHBORHOOD

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トム・ハンクスが第92回アカデミー賞助演男優賞を獲得した作品。ということで観ることにしました。

強面の若き雑誌記者ロイド・ボーゲルがアメリカの国民的子ども番組の司会者フレッド・ロジャース(1928~2003)との交流を通して、人間的な成長を遂げていく。フレッド・ロジャーズってどんな人物だったの?というヒューマンドラマ。

フレッド・ロジャースの言葉から出てくるご近所さんへの寛容さ。この言葉に癒され、自己改革に成功するロイド・ボーゲル。ロジャーズはどうしてこの寛容さを手にいれたか?誰しも怒りで自分を見失うことはあるが、鍛錬でこうなるという結末。怒りの相手に感謝の気持ちを持って1分間の瞑想をしてみようと思わせてくれる作品です。

邦題はフレッド・ロジャースがいかにしてこんな人物になったか。一方、原題はロジャーズと関われば心安らかに過ごせるという意味でしょうか?

監督はマリエル・ヘラー、女性監督です。原作:トム・ジュノー、脚本:ミカ・フィッツァーマン=ブルー、ノア・ハープスター、撮影:ジョディ・リー・ライプス。

出演者:トム・ハンクス、マシュー・リス、スーザン・ケレチ・ワトソン、クリス・クーパーらです。


トム・ハンクス主演の感動作『幸せへのまわり道』予告編

あらすじ(ねたばれ):

フレッド・ロジャーズ(トム・ハンクス)が人気番組「Mister Rogers' Neighborhood」のスタジオ入り。「私とご近所さんになりませんか?」と歌いながら、お馴染みの赤いセーターにシューズを履くところから物語は始まる。

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この穏やかなロジャーズ、トム・ハンクスが役に嵌っています!その吐く言葉“感情は言葉”、感情をコントロールすることで良いご近所関係が築ける」というのに含蓄があって、とても良い感じで物語に入っていけます!

色々なご近所さんのなかで、ロイド・ボーゲン(マシュー・リス)さんの話をしましょう。顔に傷のあるロイドさん、「許すということは不思議なことに愛しているほどに許すことが辛い!」。これも“いける”言葉です。

ロイドが姉ロレインの結婚式に妻のアンドレア(スーザン・ケレチ・ワトソン)と参加。そこで子供のころ母を置いて出て行った、今でも憎んでいる父ジュリー(クリス・クーパー)に出会った。ジュリーのスピーチは歌でやるという型破り!妻は「自分たちの結婚式でも、唄って欲しかった!」という。こんな父ジュリーの行動にロイドは怒り心頭、殴り合いとなり顔に傷を負った。ジュリー役のクリス・クーパーが恰好良いんですよ!親子、どこかロイドに似ている!

ロイドが働く出版社の編集部。部長のエレンから「ヒロー特集をやるので、ミスター・ロジャーズのインタビュー記事、400語でやって!」と命じられた。ロイドが嫌だったが、ロジャーズ以外ロイドのインタビューを受け入れなかったという。嫌われ者ロイドです!

妻はこの仕事を「ロジャーズのフアンよ!」ととても喜んだ!

ロイドはロジャーズのスタジオを訪れた。子供番組の収録が終わって、剣を振り回す子供をなだめているところだった。実にうまく子供に剣を収めさせる!(笑) 次にキャンプ用テントの展張シーンの撮影。ひとりでうまくテントが展張できず、「撮り直そう」という監督に、「そのまま使おう!」と場を和やかに収めてしまう。ロイドは「こいつ何者だ!」と思った。

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ロイドが「有名人としてのインタビューです」とテーマを話すが、「有名人なんてことば?何をするかが問題だ!番組で子供と向き合うことだ!」と全くコメンせず、逆に質問のしっぱなしで、どちらがインタビュアーか分からない。(笑) 実はロジャーズはロイドのことを調べ上げていて、悩めるロイドに興味があった!このロジャーズこそが、彼の本性だった。

インタビューを切り上げて、ロジャーズは次の収録に入る。“シュシュ”と香りをスプレーする女性。ロジャーズが操る指人形のダニエル君が「ちょっとお嬢さん、僕スカンクのダニエル・・・」(笑)  日本にはない、ロジャーズの番組の魅力を描いています。

ロイドは社に帰って、エレンに「企画を降りたい!」と申し出たが、エレンが拒否。エレンはロイドの変化を望んでいた?

ロイドは自宅アパートに戻り、ロジャースの出演ビデオを観て研究した。妻とベッドで寝ているところに突然ロジャーズからの電話! 妻が出ると「赤ちゃんがいるのに(ロイドを)寄こしてくれてありがとう」という。ロイドに代わると「話しの続きをしよう。ニューヨークだ」と伝えてきた。

ロイドがニューヨークのスタジオを訪ねると、演奏を楽しむ老人たちを収録していた。マネージャーから「ロジャーズは君みたいな人が好きなんだよ!君の記事は全部読んだ。“人情がない!”」と言われる。

スタジオから外に出ると沢山の人に温かく迎えられている。「彼はこういう人たちに守られている。14前に引き抜いたんだけど、聖人と暮らす気分よ あれは訓練の賜物!短気な人なの!」とスタジオの女性マネージャーが明かした。

ふたりで地下鉄に乗ると、乗客から「私とご近所さんになりませんか?」と番組のテーマソングが歌われる。

ロジャーズのアパートで取材。ダニエル君を取り出しておちゃめたっぷりに、亡くなった母の想い出などロイドの心の中を探ってくる。そして、自らの息子たちとの確執があったことを「完璧な親はいない」と明かし、「今は息子たちを誇りに思っている」と話した。しかし、ロイドはこの話を受け入れることができず、怒ってアパートを後にした。

ロイドが自宅アパートに帰ると、父親ジュリーが連れ合い・ドロシーと連れて来ていた。ジュリーが「車中で2泊、疲れた!」と言い、これにロイドが「出ていけ!」とふたりの喧嘩が始まり、シュリーが意識を失くして倒れた。

病院に担ぎこんだが、手術は必要ないという。ロイドは「ピツバーグに取材に行く」と言い出す。妻のアンロレイは「今は行くべきでない!」と止めたが、「君は子供が出来たら仕事は二の次にする!違うか!」と言い捨てて出て行った。

ロイドは駅で、バスに乗り込むロジャーズを見つけ、同乗して彼の撮影セットにやってきた。

番組の撮影が始まると、ロイドから「今日のゲストだ!」と呼ばれ「病院がテーマ」とステージに上げられた。「病院は病気を治すところだ。何時から怒っている?何を怒っている」とダニエル君が聞いて来る。ロイドはどこかで気を失ったらしく病床の母やピアノを弾く父親の夢を見た。

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次の日、ロイドはロジャーズお勧めのカフェにいた。「君は壊れていないよ!信念の人だ!お父さんの影響だ!」と言い、「目をつぶって、自分を養ってくれた人に感謝しよう」と1分間の瞑想を始めた。カフェの御客の皆さんが一斉にこれに習っていた。

映画ではここで1分間、瞑想することになります。こんな映画初めてだ!

ロイドは急いでアパートに戻り、妻アンドレアに父を放って出て行ったことを詫びた!「自分の感情にどう立ち向かうべきかが分かった。自分は怖くなると怒りに訴える」と泣いて詫びた!

そして、父の家に向かい、父を介護しながら、インタビューのレビューを書いた。

目覚めた父ジュリーは、ロイドの態度に驚き「悪かった!」と詫びた。

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ロジャーズはロイドの書いたレビューに、謝意のためにロイドとジュリーを訪ねた。そしてジュリーにそっと囁いた! 何を囁いたか?

 感想:

「Mister Rogers' Neighborhood」のスタジオがすばらしい!スタジオとフレッド・ロジャーズの振舞いを見ているだけで、とてもファンタジーな雰囲気で心温まります。

このようなフレッド・ロジャーズが出来上がるのは、磨かれた話術や歌やダンス、何よりもゲストひとりひとりを知り尽くす努力と大切に尽くす気苦労など、彼のステージ上では見えない努力の積み上げであることが分かります。

 直線では見つけることが出来ない、回り道だからこそ見つかる人生の大切なもの。フレッド・ロジャーズの番組がヒットしないわけがない!

 ロイドはロジャーズの人柄に引きつけられ、自分の心を開くことが出来た。その心をストレートに受け入れてくれる妻がいた。

 ロジャーズはロイドの物語を終わり、ステージを降りて、気分がすぐれないようで、ピアノに向かい激しく鍵盤を叩いた!ロジャースも普通の人なんです!こうやって、彼なりの感情コントロールをやっているんです!

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