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「トゥルー・クライム」(1999)死刑廃止の是非を問う作品?

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クリント・イーストウッド監督・主演作ということで、WOWOWで観賞。

主人公の記者が自らの正義を貫き真犯人を暴くと言う、監督らしい作品でしたが、ちょっと情けないキャラクターが気になる作品でした。「人である前に、男でありたい」というキャッチコピーが気になった!(笑)

 酒好き、女好きの新聞記者。有名新聞社を女で首になり地方紙に移動。同僚女性記者が急死し、その取材を引き継ぎ死刑執行を目前に控えた死刑囚の取材を行なうことに。死刑囚の無実を確信した記者は、刑が執行されるまでの残り少ない時間の中で真相を暴こうと奔走する・・・。

 原作はアンドリュー・クラバンのサスペンス小説「真夜中の死線」、未読です。監督:クリント・イーストウッド、脚本:ラリー・グロス、ポール・ブリックマン、スティーブン・シフ。撮影:ジャック・N・グリーン、音楽レニー・ニーハウス

出演者:クリント・イーストウッドジェームズ・ウッズ、イザイア・ワシントン、ダイアン・ベノーラ、リサ・ゲイ・ハミルトン

 サスペンス作品ですが、筋掻きが荒すぎて突っ込みどころが多く、そうでない。自分の“感”に絶対的な自信をもつ記者が、あまりにも女にだらしない。ということで作品の狙いが見なくなっています。

しかし、黒人裁判、冤罪でガス処刑される死刑囚とその家族を繊細に描くなど社会性ドラマとして見る価値があると思います。我が国では描かれることのない貴重な映像ではないでしょうか。


True Crime (1999) Official Trailer - Clint Eastwood Movie HD

 あらすじ(ねたばれ):

冒頭、サン・クエンティン・カリフォルニア州刑務所で死刑囚ビーチャム(イザイア・ワシントン)の死刑執行前の診断が行われていた。

 親友アランが(ジェームズ・ウッズ)編集長の地方紙トリビューンの記者エルベット(クリント・イーストウッド)が若い同社の女性記者ミシェル(メアリー・マコーマック)と飲んで口説いていた。ミシェルはその帰り、魔のカーブといわれるところで事故、亡くなった。

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 エルベットはアランの指示でミシェルの仕事を引き継ぎ、ビーチャムの刑執行前のインタビュー記事を書くことになった。面会は午後4時予定。刑の執行は午前0時1分。

 このことに、主幹のボブ・フィンド(レイデニス・リアリー)が、エルベットには社会記事は書けないとアランに抗議、エルベットが気に入らないらしい。実はエルベットがフィンドの妻パトリシア(ライラ・ロビンス)と寝ていた。このベッドシーンを丁寧に描かれるが、あまり見たくない!(笑)

 ビーチャム事件は6年前、食料店ボーカムにステーキソースを買いに来て、バイトの大学生エイミー(マリッサ・リビシ)を拳銃で刺殺して逃走したというもの。店に入ってきたふたりの白人の証言で死刑が確定したという。白人のひとりは、ビーチャムが逃げるのを見たと証言。もう一人は会計士のポーターハウス(マイケル・ジェッター)。彼は店に入ってビーチャムが拳銃を持っているのを見たと証言していた。

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 エルベットはパソコンでビーチャム事件の細部報道をしっかり調べ、ボーカムの店を下調べして、ポーターハウスの証言がおかしいと気付いた!これはエルベットの“感“だという。

 昼過ぎ、ビーチャムの妻ボニー(リサ・ゲイ・ハミルトン)と娘ゲイル(ペニー・ビー・ブリッジス)がビーチャムを尋ね、最後の時を過ごしていた。ビーチャムが黒人女性弁護士に「刑は予定通り執行されるのか?」と聞くと「申し訳ない!」との返事が返ってきた。

 妻バーバラ(ダイアン・ベノーラ)から、「たまには娘ケイト(フランセスカ・フィッシャー=イーストウッド)を動物園に連れて行って遊んでよ」と言われ、エルベットは断れず、動物園に。事件のことが頭から離れず、油断して娘を負傷させてしまい、バーバラは怒り心頭に。(笑) ダメ男、離婚の布石として描いているが、表現が甘すぎる。

 約束していたレストランでポーターハウスに会い、「犯人の顔を見たか」と糺すが、彼はエルベットの昔の記事を持ち出し、「大嘘つき記者だ」と相手にしない。エルベットは社に戻り、ミシェルのパソコンを調べた。

 エルベットはアランに「ビーチャムは無実だ!ポーターハウスは銃を見ていない!ミシェルも矛盾に気付いていた!」と伝えた。

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 午後2時45分ごろ、フィンドがエルベットに「妻と寝たろうが!」と詰め寄ってくるが、このエピソードもいただけない。

 午後3時5分、ビーチャムの娘が面会室から出され、夫婦で記者の面接を待つ。そこにエルベットが駆けつけた。

格子越しにエルベットが聞く。「ネジが一本抜けている。神イエスなんかどうでもいい。正義もどうでもいい。憐れむべき真実を教えてくれ!」という啖呵が恰好いい。(笑)

ビーチャムは「トイレを借りているとき、“ベンダント”の声がした。撃たれて苦しむエイミーに蘇生を施した。そこに男(会計士)が来た。」と証言した。

 エルベットはかってビーチャムの裁判を担当した女性検事(フランシス・フィッシャー)を尋ね、「他に誰か見ていた者はいないか?」と質問した。「自販機でコーラを買った若い子がいたが、供述に矛盾はなかった」と言い、「なめないで!」とこれ以上は話さなかった。

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 エルベットがミシェルの叔父ジーグラーを尋ね、「特別な男性がいなかったか?」を聞くと、ウォーレン・ラッセル(ケイシー・リー)の写真を見つけてくれた。

 エルベットはウォーレンの叔母アンゼラ(ハティー・ウィンストン)を訪ねた。アンゼラは「見た人も白人。死んだ人も白人。その善良な白人の方々は女性を殺さないの?黒人で薬やる子は銃を持っているよ。無実の人がこのあたりで命を落としている」という。「処刑されるのは黒人なんだ」と言うと「孫は3年前に死んだ!」という。

 万事休す!エルベットが家に帰ると、妻バーバラから離婚を言い出された。バーで酒飲んで、TVを見ると、処刑されるビーチャムのことが報道されていて、エイミーの母親が「娘は非情な銃弾に倒れた」とインタビューに答えている。その首のペンダントはウォーレンの祖母アンゼラが着けていたものだった。

 酔払ったエルベットはアンゼラを尋ね、車に乗せて猛烈なスピードで走り、パトカーに追われ、州知事(アンソニー・ザーブ)の元に走った。

このころビーチャムは処刑室に入り、家族たちが見守るなか、1本目の薬チオペンタールが射たれ、眠りについていた。

 クリスマスの夜、エルベットは娘のクリスマスプレゼントを買っていて、家族でショッピングするビーチャムに会い、目で合図した!

 感想:

記者の“感”で、限られた時間内に、真実を追求していくエルベットの物語。平板でそれほどの魅力も迫力も感じなかった。しかし、死刑囚としてその時を待つビーチャムとその妻の姿には冤罪で何故この仕打ちを受けねばならないのかと心打たれるものがあります。

 ガス処刑は、朝診断がなされ、牧師の教戒、家族の面接、夫婦ふたりで過ごす時間があって、ガス室に送られ、厳重に管理された赤、白、黄、黒のガス弁が逐次、立会者が監視するなかで、操作される。赤弁(麻酔剤)が開かれた直後にビーチャムの死刑中止の指令が入るという緊迫したドラマ。死刑廃止の是非を問うた作品のように感じました。

 大杉漣さんの遺作教誨師」(2018)で死刑執行のシーンを見ましたが、辛いシーンでした。

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