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「さんかく窓の外側は夜」(2020)SNSの言葉の暴力(呪い)を具象して社会警告!

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予告編が面白そうだったので、この作品にしました。凄腕の除霊師と霊が“視える”という青年がバディを組み、呪いの女に翻弄されながら、未解決の難事件に挑むというもの。

原作は人気少女漫画家ヤマシタトモコの同名コミックス。累計発行部数が130万部だという、未読です。

監督はCMディレクターとして活躍されている森アキ侑大さん。脚本は「プリンセストヨトミ」「本能寺ホテル」の相沢友子さん。撮影は「一度死んでみた」の近藤哲也さん。

出演者は岡田将生、志尊淳、平手友梨奈マキタスポーツ筒井道隆滝藤賢一さん、他です。

物語は後半、過去と現在が交差しながらにミステリアスに描かれ、ちょっと難解なってきますが、霊、除霊、呪いの映像化、死体処理なんぞでドキッとさせられ、面白い映像が楽しめます!

岡田、志尊、平手さんが演じる霊媒師、霊が見える男、呪い師が、今の社会の裏側で生きているリアル感はあり、3人が出会うことでそれぞれが背負ったトラウマを乗り越えていくところが爽やか!特にSNSの言葉の暴力(呪い)を具象して社会への大きな警告を与えたことは、CM監督としてみごとでした。


映画『さんかく窓の外側は夜』本予告(60秒)

あらすじ(ねたばれ):

作品を観ていない方は見ないでください!

冒頭、三角康介は子供のころから霊が見える力があったが、あるときトンネルの中に霊が見えたのに、そこに入っていく少年を怖くて救えなかったシーンが描かれます。

成長した三角(志尊淳)は書店に勤めていて、出勤途中の横断歩道で向こうに霊を見て怯える。本の整理をしていて、そこに除霊師の冷川理人(岡田将生)が現れ、三角の胸を押さえると先に霊が見える。冷川が三角を抱くようにしてみる“除霊スタイル”がBLだと言われ、大変な人気らしい!

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冷川は「怖くない、大丈夫だ。俺といれば!」と三角に助手になってくれと請うた。

殺人事件が発生。ふたりは刑事・半澤日路輝(滝藤賢一)に協力して池の中を捜索し事件解決に当たった。焼肉店で、除霊後に冷川は肉を食べる、冷川が除霊作業を生業としていることを明かし、契約書を取り交わした。このとき三角は腰に違和感を持った!

半澤から“ばらばら殺人事件”の捜査協力がもたらされた。犯人は3人の女性を殺したが、各遺体の一部が見つからない。合わせるとひとりの女性になるという。

三人で遺体のあったアパートを訪ね、冷川と三角が“除霊スタイル”で中に入ると、しゃがんでいる女性の霊を見た。冷川が手をかざして除霊に入と「車で女性を廃ビル連れてきて、風呂場でめった斬りにしうめく男の亡霊を見た。

非浦英莉可(平手友梨奈)が通行する女性(北川景子)に道を訪ねて、「お前は死ぬように産まれている」と呪いをかけ、その女性が車に跳ねられるという事故が起こった。

冷川ら3人が次の捜査場所、廃ビルに入る。ドアを開けると虫の大群に襲われた。かなりの殺人が行われたらしい。ふたりが除霊スタイルで捜索すると縫い合わされた一体の女性遺体とゆうれいが居た。しかし、遺体が腐ってない! 除霊すると「ヒウラエリカにだまされた・・」の声。三角は吐いた!

ふたりは焼肉を食いながら、三角が「ヒウラエリカって何者だ!」と聞くと、「あの幽霊は操られていた。つぎはぎ死体は呪いの藁人形で、穢れが必要だ。ヒウラは呪い師だ!穢れが必要なんだ!言霊が簡単に呪いになる、SNSがそうだ!こんなの扱ったら身体が持たん!」とヒウラを追う積りはないらしい。

事務所に半澤刑事がやってきて「なぜ助手になったか?」と尋ねられ、三角が「冷川に運命だと言われて!」と答え、「霊だけでなく呪いまで含めたら、幽霊より人間の方が怖いから、商売になるのと違うか?」と尋ねると、「ヒウラか?最近殺されたのが大勢いるんだ!変なんだ!」という。

大物政治家の日向利治に何らかの不利益をもたらす立場の9人の関係者が、わずか1年間に自殺や事故で死ぬという事件、半澤が追っていた。

冷川と三角は半澤と一緒に“大勢が消えた”という”雑居ビル”の捜索に向かった。冷川が半澤に呪いに掛からないようチョークで書いた三角形の辺を踏ませて、三角と中に入ったが、非浦の霊が立ちふさがり、「やっぱりいたか!」と事務所に戻ることにした。

事務所に戻った三角は寝入って「幼いころトンネルに霊がいるのを検知しながら、入っていく少年を助けなかった夢を見て涙を流すと、それを見た冷川がそっと抱いた。

これを見た半澤が公園のベンチに座っている三角に「非浦について調べたが、殺人と関係ある者はいなかった」と言い、「冷川に巻き込まれるな!飲まれるな!大変なことになるぞ」と注意して去った。

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気が付くと非浦が三角の隣に座り「あなたは誰かに縛られている」と一撃食らわして去った。

目が覚めた時、事務所のなかで、冷川が「簡単に人を入れてはいかん」と注意する。三角は腰に違和感があるので鏡で見ると、三角の紙が貼ってある。彼に聞くと「他人や霊が三角に入り込まないようにしている」という。

「非浦を放置しているのは金儲けか?あんたはどんな人間なんだ?」と聞き冷川に触ると、冷川は幼いころある宗教団体で“大掌様”と呼ばれ、カイドスコープを覘いている姿が見えた。「どんな人間?俺には分からん!」という冷川に、三角は「お世話になりました!」と除霊事務所を去って行った。

三角は警察署に半澤を訪ね、「事務所を辞めた」と告げた。すると半澤は15年前の宗教団体“掌光会”で起こった事件を語った。「教会の中に入ると血だらけだった。生き残ったのは大掌様と言われる少年だけだった。不思議な力を持っていたらしい。それが冷川だ。親は教育を受けさせず教団施設に隠した。善悪の判断が出来ない。記憶を無くしていた」と。

半澤は帰宅して、妻・冴子(桜井ユキ)に「宝くじ、当たると信じる?」と問われ、自分は人を信じないタイプだが、冷川が「信じる力が人を呪うのを見た。あなたは信じないでいて下さい」と言ったが「俺は信じる!」と言ったのを思い出していた。

宗教団体“神話の光”の礼拝で、非浦が教祖・石黒哲也(筒井道隆)を無視して立ち去ろうとするのを父親松男(マキタスポーツ)に咎められ、「何故?」と聞いて鼻血を流した。ボディガードの逆木(新納慎也)が「どうしました?」と尋ねるが、非浦は「何でもない」と答えた。

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半澤が”雑居ビル”を妻冴子の運転する車から見張っていた。非浦を見つけこれを追い「話を聞かせてくれ!」と尋問すると、「なぜ私の名を知っている?全部見えている!」と呪いを掛けるが半澤には効果ない。そこにやってきた冴子に賭けて、逆木の車で逃げた。

三角が半澤家を訪ねると、冷川が出てきて「家の中は呪いで危ない!」と言い、半澤の妻・冴子が目から血を流している。

「あんたは助ける気があるのか?」と言い争っているところに、逆木の車がやってきて冷川を連れ去ろうとする。「やめろ!」と叫んだところで三角は気を失った。

”雑居ビル”のなかで三角が目覚めた。そこに非浦が眠っている。「どうなっているんだ?」と冷川に聞くと「自家中毒だ!自家中毒とは呪いを掛けると必ず自分に跳ね返ってきて倒れることがある」という。

三角は冷川に非浦の除霊を頼んだ!除霊するなかで非浦の過去が分かった。非浦は幼いころ彼女を庇った母親が通り魔に刺殺され、怒りに震えた非浦が犯人を睨むと目から黒い血を流して倒れる。宗教団体「神話の光」で、非浦の父親が「石黒先生のためにその力を使いなさい」と言うが、「お父さん、何で?」と聞いていた。目から血を流している信者を見て黒川が「占いです!」というと、幼い冷川が手をかざすと治った。

目覚めた非浦に、三角は「半澤さんの奥さんの呪いを解いてくれ!」と頼むと、「もう貯金箱の力を使い果たして駄目!貯金箱とは石黒と非浦で作った呪い装置だ」という。

非浦が冷川に「さっきのあなたの記憶、石黒先生を知っているでしょう」と問うと「覚えてない」という。三角が「非浦の記憶にあなたがいる。ふたりはどんな関係なの?」と聞くと、冷川は「奇妙な男がいて、そいつが事件を起こしたが、もう関係ない。俺たちの仕事ではない」と逃げてしまう。「あなたの仕事だ!」という三角に、半澤は「もういい!どんなに心を砕いても救えないことがある」と論議を打ち切った。この言葉が冷川を動かす!

三角は自分のトラウマを思い出し、何としても冴子さんを救いたいと、非浦に「貯金箱を壊す」と告げた。すると非浦は「呪いを掛ける時、わざとヒウラエリカと名乗った。誰かが気付いてくれるかもしれないと思っていた。怖かった!貴方たちに会えてよかった!」と言い出し、「自分が金庫室に入り、箱の引き出しを開ける」という。これに三角も冷川も賛成。「冷川が?」と非浦は以外に思った。 

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病院で冴子に付き添っていた半澤に「雑居ビル付近で事件が多発している」という連絡を受けて“雑居ビル”に駆けつけると冷川が「あんたはそっちの人だから見ていてくれ!あとは任せてくれ!」という。半澤はこれを“信じて”、駆けつけるヤクザを止めることにした。

”雑居ビル”内の貯金箱部屋に入ると「死ね」等の呪いの言葉が書かれた沢山の糸のような物が絡んでくる。ここから3人の呪いとの闘いが始まり、

幼い冷川はカレイドスコープを覘くのが安らぎだったが、母の勧めで信者の病気を治していた。目から血を流す信者が現れ、石黒の「穢れを集めろ!」に従って、「呪ってやる!呪ってやる!」と教会施設内を走り回り、沢山の人が死んでいった。呪いを掛けた信者に母親が殺され、カレイドスコープを捨てて、「僕がやったんだ!母も僕が殺した!」と悲鳴を上げながら逃げた。

三角は「生存者がいる」の声が聴き、昔のトンネルの記憶が戻り、長い廊下を走って厨房を覘くと、そこに子供がいた。冷川だった。「子供の頃はこんな変な力はいらないと思っていたが、今ではこの力があるから出来ることもあると考えるようになった。冷川さんありがとう」と言うと、「俺を見つけてくれてありがとう」という冷川の言葉が返ってきた。

冷川と三角は手を繋いで倒れていた。三角が目覚め、次いで冷川が目覚め、眠っている非浦を見て手をかざすと目覚めた。病院では半澤の妻冴子が目覚めた。

すべてが元の日常に戻ったが、非浦の腕から出血する。非浦には償っても償え切れない罪の傷が残った!

感想:

前段はバディで挑む除霊作業をひやひやしながら観ていましたが、後段になると宗教団体が絡み、過去の事件に入り込んで呪いと戦い、3人がトラウマを克服して結ばれていくところは、少し難解でしたが、感動的でした。

特異な能力があるにも関わらずそれを使う勇気がない、穢れに支配される、支配されて呪う。まるでSNSの世界!貯金箱の呪いとの闘いでこれから解放されていくところが見どころでした!

岡田、志尊、平手さんはよくこんなキャラクターを演じたと感嘆です。特に平手さんのいっちゃってる表情、威圧する目力がよかったです。さらに滝藤さんの地味だがぶれない実直な演技がすばらしかった。

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