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「モダン・タイムス」(1936)進取の気性に富む勤労者を讃える物語です«(笑)

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チャールズ・チャップリン作のなかでも1、2を争うといわれる作品。NHKBSプレミアムで観賞しました。

1930年代、大恐慌時代の労務者の悲哀を描いた作品。バブルで過剰生産に駆り出されたチャーリーという“ちばけた”男が生産工程の自動化という単純作業で精神病に罹り入院。回復して社会に戻るが大恐慌の真っただ中で、仕事を見つけてもすぐに首になる。そんななかで出会った少女ゴダードと家を持ちたい夢をもって旅立つというコメディ作品。(笑)

チャップリンという稀有のコメディアンの演技で、大恐慌時代の下積み労働者の息苦しさを面白可笑しく目の当たりにしましたが、その裏では“今の世界の格差社会”に繋がる資本主義批判になっています。後にチャプリン赤狩りで米国を追われる理由のひとつがこの作品ということが頷ける作品でした。監督の先見性と覚悟を知る作品でした!

盗みが生業、見えない大富豪、掘っ建て小屋に枯れ木集め等、まさに大不況真っただ中の映画でした。どのシーンも見逃すわけにはいきません。

映像は白黒ですがとても美しく、建物や車、風景や人物が当時の世界を映し出すようにしっかり描かれています。チャップリの滑稽を通り越した演技に、相棒ポーレット・ゴダードの美しさにうっとりさせられます。(笑)

監督・脚本:チャールズ・チャップリン、撮影:ローランド・トザロー アイラ・モーガン、音楽:チャールズ・チャップリン アルフレッド・ニューマン

出演者:チャールズ・チャップリンポーレット・ゴダード、ヘンリー・バーグマン、チェスター・コンクリン、他。


Charlie Chaplin - Factory Scene - Modern Times (1936)

あらすじ:

工場に急ぐ労働者。これが豚に変わる。

主人のチャーリー(・・)はエレクトロ製鉄会社の工員。

工場の現場はTVで監視され、社長(アラン・ガルシア)の指示でベルト・コンベアー速度が制御され生産効率があげられるようになっている。チャーリーはコンベアーで運ばれてくる部品をスパナでねじ締める作業のみ。ねじ締めの癖がついて女性の被服ボタンを見ても締める!(笑)締め作業が遅れて機械の中にに引き込まれ、ギアに喰い込まれて廻るというとても有名なシーン。(笑)

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昼食時にも作業できるようにと自動飲食マシーンなるものの導入が検討され、チャーリーがそのテスト要員に。とんでもない機械だった。(笑)

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チャーリーはついに制御レバーを止めようとコントロール室に忍び込み、油指で管理人の顔を襲う(笑)人を見れば油指。(笑)これで頭がやられたと判断されて神経病院に送られた。(笑)

神経症は回復したが職がない。人が街に溢れている。工事車が落とした赤旗を拾うとそこに「自由・団結」で気勢を上げるデモ隊。チャーリーがその先頭にいた。駆けつけた警官に「お前がリーダー!」と逮捕されて刑務所に。(笑)

一方、ヒロインの浮浪少女のゴダードポーレット・ゴダード)。父親が失職で食べるものがない。弟妹を食べさせるためにバナナボートに侵入して泥棒稼業に枯れ木拾い。通りがかりの人々に分けてやる。バナナの房を切り分けたナイフを加えるゴダードの美しさ!

チャーリーの刑務所生活

監房の中、立派な身体の男が刺繍をやっている。(笑)朝食時、麻薬捜査が始まり、隣の男が麻薬を食卓瓶に隠した。それを知らずチャーリーはたっぷり瓶を料理に振って食べ身体がおかしくなりトイレに。(笑) 出てくると監視官が二人の囚人に捕らわれ監房に押し込まれているところだった。薬でいかれたチャーリーの奮闘でこの監視官を救出。これで立派な独房で美味い物食べて、新聞読んでのらくちん刑務所暮らし。しかし、やってきた牧師に「もう少しいられませんか!」とお願いしたが出所することになった。(笑)

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出所したチャーリー。造船所に雇ってもらった。

与えられた仕事は「くさび型の木を持ってこい!」だった。チャーリーは進水前の船底からこの木を取り出した。(笑)すると船が・・・。即刻首になった。

しょしょぼと街を歩いていると、パンを盗み逃げるゴダードにぶち当たった。チャーリーはパンを拾って「俺が盗んだ!」と警察に申し出たが、ゴダードは通りすがりの人の証言で警官に捕まった。

チャーリーは「刑務所が一番らくちんだ!」と無銭飲食で捕まった。護送車される車にゴダードも捕らえられ乗っていた。(笑)

ふたりは車から飛び降り逃げた。立派な屋敷の庭で休んでいると屋敷から出てきた夫婦の幸せそうな声が聞こえる。ふたりはこんな家が持ちたいとしばし夢を楽しんだ。

デパートで事故が発生。駆けつけると夜警員が骨折したと知る。

チャーリーは夜警員にしてもらった。ゴダードを誘い入れ、喫食コーナーで「食べろ!食べろ!」と無銭飲食。このデパートにはエスカレーターが設置されていた。これでデパー内を見物。4階のオモチャ売り場で、ローラースケートを楽しむチャーリー、すごく上手い!5階の寝具売り場ゴダードがふわふわベットが気に入り寝てしまった。チャーリーは「朝まで寝ていろ!」と夜警勤務に。

泥棒団が侵入。一味の中にエレクトロ製鉄の流れ作業で一緒だったビッグ・ビル(スタンレー・サンドフォード)がいた。「泥棒じゃない生業だ!」という(笑)久しぶりに出会って飲食コーナーでしっかり飲んだ!(笑)朝目覚めたところは衣服売り場で、店員に発見され警察に突き出された!(笑)

10日後、刑務所から出所。

ゴダードが出迎えた。いいところがあると掘っ建て小屋大恐慌のシンボル。

とんでもない小屋だった。(笑) が、楽しかった!風呂代わりにと小川に飛び込むと浅すぎた!(笑)

ある日新聞で「工場再開、ジェットソン製粉工場!」を見て早速向上に。大変な応募だったがそこはチャーリー、上手く門を通過して、機械技師(チェスター・コンクリン)の助手として採用された。

チャーリーのレバー操作ミスで技師が機械の中に吸い込まれ、首だけ出すが動きが取れない。昼めしはこの恰好でチャーリーが食べさせた。(笑)デモ参加に参加せよと誘いに「もう参加しない!」と拒否したが、踏んだ板の上にあった石が跳ね警官に当たって再び刑務所に。(笑)

それから1週間後、ゴダードは遊園地で踊っていたところをスカウトされてキャバレーにデビューした。これが大好評だった。

さらに1週間後、チャーリーが出所。ゴダードのとりなしでキャバレーの主人(ヘンリー・バーグマン)に認められ、この店で働くことになった。歌が歌えるというのが条件だった。(笑) ボーイとして料理運び。この不況にキャバレーは大盛況。ロブスターを注文した男に届けるのにひと苦労!(笑)

ダンスが終わり、チャーリーの歌の時間。歌をゴダードに教えてもらい、歌詞をカフスに書いてステージに立ったが、カフスがない。即興で「ティティーナ」を唄い、踊った!(笑) これがチャプリンの初めて発声=歌でした!


ティティナ(モダン・タイムス)チャップリン Titina (Modern Times) / Charles Chaplin

大拍手だった!これで正規採用されることになったが、次の出番のゴダードがステージに立ったところで「使命手配!」と警官が駆け込んできた。2人で逃げ出した。

朝が明け、しっかり旅したくをして、「努力しても駄目よ!」というゴダードを「元気出せ!諦めるな!ふたりなら出来る」と幸せに続く真っすぐな道に踏み出した。

感想: 

「進取の気性に富む勤労者を讃える物語」の前出しがあって、工場に急ぐ労働者の姿が屠殺場に送られるブタに見えた?(笑) これ、皮肉ですか! (笑)

機械化文明で“人”は機械の一部になって苦しみ、挙句の果てに大不況。失業、貧困、格差に痛めつけられるが、一方でデパートには物が溢れ、クラブは満席。誰が買って、飲んで、歌ってるの?今も変わらない社会構想、世情です!チャプリンの先見性を感じる作品でした。

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山のあなたの 空遠く「幸」住むと人のいう夢を目指して最愛の人との旅立、こんな世界にも希望を持とうというエンデイングでしたが、泣けます。

山高帽に大きなドタ靴、ちょび髭にステッキという扮装のチャプリンの演技。歯車に巻き込まれる、自動給食マシーンの実験台にされる、ローラースケートで踊る、「ティティーナ」を声を出して歌うシーン、そしてラストのチャップリンゴダードが手をつないで道を歩いてゆくシーンなど忘れることはないでしょう。

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