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「ライド・ライク・ア・ガール」(2019)美人騎手のド根性ものがたり!

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オーストラリア・メルボルンカップで女性として初めて優勝したミシェル・ペインの努力と挫折の半生を事実に基づいて描いた物語。ヒューマンドラマとして家族愛を描いた作品としても十分に楽しめます。

メルボルンカップは競馬界の“聖杯”で世界中から注目を浴びる。3200mで競うこの極めて過酷なレースは騎手にとっての夢の舞台。この国では当日が祝日になるくらいの国民的行事のようです。

主人公ミシェル・ペインは、2015年、155年の歴史の中で初めてこの大レースを女性が制覇した騎手。なんとこの時のオッズが単勝で101倍!

監督:レイチェル・グリフィス(「ハクソー・リッジ」出演女優)、脚本:アンドリュー・ナイト、エリス・マクレディ、撮影:マーティン・マクグラス、編集:ジル・ビルコック、他。

出演:テリーサ・パーマーサム・ニールティーヴィー・ペイン、サリバン・ステイプルトン、他。

騎手目線での迫力あるレース映像。女性蔑視のなかでの勝負、ダウン症を抱える家族の物語です。テリーサ・パーマーが美しい!

あらすじ(ねたばれ):

競馬調教師のパディ・ペイン家(サム・ニール)。母は主人公・ミシェル(テリーサ・パーマー)の生後半年の時なくなった。子供たち10人中8人が騎手という一家。ミシェルの上にダウン症の兄スティーヴィーがいる。兄弟姉妹で助け合ってきたが、ことの他ふたりはとても仲が良かった。そして夢は騎手になってメルボルンカップで勝ことだった。このありさまを幼い頃の実人物の写真で見せてくれ、これが後のテリーサ・パーマーによく似て、大美人です。😊 

教会で牧師さんから「信じれば奇跡が起こる」と教えられ、兄弟姉妹が相互に馬になって競馬ごっこで過ごすという子供時代。父パティの調教につき合い、兄弟姉妹5人がレビュー。

10年後、摂食障害とうそついてトイレで姉のブリッドが出場している競馬放送を聞く(笑)

乗馬して父親の指示通りに牧場を走る。そこで騎手として必要な勝つための秘策を叩き込まれる。「出走する前にコースを歩いて感触を掴め!戦い方は地面に描いてある」、「スピードだけでない大事なのは忍耐、囲まれて息もつけず、ダメだと思っても諦めるな!周りの馬は順番に疲れを見せ始める、すると突然目の前に間隙が開く。神の声をしっかり聞け!でないと間隙はあっという間に閉じる」。

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この作品は「突然目の前に間隙が開きそこを衝く」というスリリングな映像がウリです。😊

最初のレース、「女はあっち!」と控室もないありさま。「間隙を待て!」と父に言われて挑んだがビリだった。次のレースも駄目だった。間隙が見えない。父がもう止めろと。でも続けた。パララット競馬場、父の「スピードだけが勝負でない」を覆い出し、ペース配分を考えてトップを取った。そのとき姉ブリッドが落馬して亡くなったことを聞かされた。

2年後、父親の持ち馬では勝てないと、他の調教師と組んでみたいと父の反対を押し切って、転々と調教師を訪ね歩く旅に出た。スティーヴィーが寂しそうに見ていた。このティーヴィーは実在の兄ティーヴィー・ペイン本人が演じます!演技が上手い!

コーフィールド競馬場。憧れの競馬場だった。調教の手伝いをしたいと調教師たちの部屋に顔を出しても誰も相手をしてくれない。「やだせてくれたら」と言われる有様。

姉キャッシーが引退して結婚するという。ミシェルは嘘ついて他人が乗る馬に乗ってコースを走り調教師たちの目を惹く作戦に出た!しかし声がかからない!(笑) 叔母がマネージャーに付き、叔母の機転でレースに出られることになった。ふたりで競馬場を巡る旅に。走っては寝る旅だった。風呂は男たちと一緒だった。

またまた叔母の機転でG1レース出場、馬はクラスキーと決まった。ムーニーバレーレ競馬場、スティーヴィーが応援に駆けつけてくれた。ミシェルは父の教えどおりに早朝芝を点検した。内側が湿っている。スティーヴィーがクラスキーを見て気にいった。馬もそうだった!(笑)

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レース。「のけろ!」と当てられて、「バカ!」と罵られ、走り続けた。競馬レース中に危険な妨害を仕掛けられ、罵声を受けながら、走っているなどとは知らなかった。これをしっかり走る馬列のなかで撮ってくれますから、興奮しますね!こんなに危険なレースかと。

トップでゴールに入っても「採決委員会に訴える」と脅されて勝を譲ることに。そこに「ウラジオストックG1だ。体重を50kgなら任せる」という調教師が現れた。2日で3kgの減量だ。厳しい減量だった。

そして姉キャッシーの結婚式にも参加した。そこで父からスティーヴィーが名のあるダレン・ウィアー(サリバン・ステイプルトン)の調教施設で働くことになったと知らされた。兄から「父が自分のところに置いておきたいのは、整然母がお前を騎手にさせないでと遺言したからだ」と聞かされた。

サランラップを身体に捲いて暖房のある車に乗り減量に成功。(笑)

サンダウン競馬場、1300mレース。父の教えてくれた「隙間が見えた!」。トップにはなったがゴール直後に落馬、ウラジオストクも転倒!ミシェルは馬が立ち上がるのを見て気を失った。

脳の内外に出血、右前頭葉に損傷」という重傷。父が介護に付いた。そんななかで必死にリハビリに励んだ!そして馬に乗れるように回復していったが家族会で「結婚したら、病気になったら誰が面倒見るの?」ということになった。スティーヴィーが「俺がみる!」と言い、父が本人に任せると言った。これでミシェルの決心が付いた。

ティーヴィーを厩に贈って、そこでプリンスオブペンザスに出会い、ミシェルは直観で気に入った。調教師ウィアが「君より怪我が多い。君が現役なら試していい」という。ミシェルはプリンスと海辺を走った。とのかく美しい映像です!

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ウィアにプリンスでレースに出たいと申し出ると「君は傷だらけで無傷なところがない」と断わられたが「勝つ力がある!」と主張し乗るために、ティーヴィーとバディを組むことになった。

ミシェルがプリンスに乗るようになって勝続けた。進路妨害で訴えられ、ウィアが「乗りたいなら、抗議するな!」と注意されたが採決委員会で「間隙はあった」と抗議して、20レースの出場禁止を喰らった。

こんなとき父パティが心臓発作で倒れた!スティーヴィーが「父が亡くなったら俺はどうなる」と聞く。「私が面倒みる!家を建てる、あなたは厩務員になって!」と答えた。このことがレースへの意欲を駆り立てた!

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プリンスがメルボルンカップ出場権を得た。ウィアが「危険を冒し出場権を勝ち取った彼女に掛けたい」と主張したが、馬主たちが「女性では勝てない!」と揉めた。そこにミシェルが乗り込み「力だけでは勝てない。馬をよく知っていること、コースを読む技術、そして何よりも忍耐が必要だ」と主張した。「世界一になるにはあの勢いだ!」とウィアがまとめた!(笑)

コース権はスティーヴィーに引かせた。みごとに1枠を当てた!

試合当日、早朝、ミシェルは父の言葉どおりに早朝コースに出て芝を点検し、父の言葉をしっかり噛み締めていた。騎手というよりファッションモデル姿で競馬場入り!(笑)

第155回エミレーツメルボルンカップがスタート、ミシェルはしっかり馬を抑え後方につけて、間隙が開くのを待った。その時が来た、一瞬だった!

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「騎手に選ばれるためにできる努力は全てしました。この馬なら勝てると思ったからです。女性を見下す人の鼻をあかせたと思ってます」と実物ミシェル。

感想:

厳しい競馬レースの話が、結婚式の華やかなどの楽しいことが上手く組み合わされ、コミカルで音楽が軽快に、美しい映像で描かれます。スポ根の堅苦しさがない、“明るくて楽しめ作品”です。それでいて、馬列の中にあって前の馬を追いながら間隙を待つ“スリリング”を味合わせてくれるという緊迫の競馬レースが見られます。😊

ミシェル本人の体力・気力(根性)に圧倒されますが、女性蔑視になかで、これを批判するのではなく、映画「G.I.ジェーン」(1997)のオニールが特殊訓練に耐えて特殊部隊の中に女性の地位を確立したと同じように、自らの力で「女性でもメルボルンカップの勝者になれる」と示したことがすばらしい。

もうひとつ、ダウン症の弟のためにとこれを目標にしたこと。勝つためにはミシェルだけの努力ではどうにもならない!沢山の人の運が重なっています。それを引きよせたのはミシェルが持って生まれた能力、人と人の絆が感動的に描かれています!

「荒波こえて挑み続ける 伝説ボートレーサー」、日高逸子さんもミシェル・ペインに劣らないですよ!

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