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「レミニセンス」(2021)“レミニセンス”って壮大な恋が楽しめますね!

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ほぼ浸水した都市を舞台に、記憶に潜入するエージェントが、謎の女性を探し求めに記憶の深淵へと向かうSFサスペンス。

メメント」(00)「ダークナイト」(08)「インターステラー」(14)とクリストファー・ノーラン監督作品で脚本を担当してきた、弟のジョナサン・ノーランが製作担当、彼の妻のリサ・ジョイの長編初監督作品です。これまた記憶にまつわるSF話ということで観ることにしました。😊

監督・脚本:リサ・ジョイ、撮影:ポール・キャメロン、美術:ハワード・カミングス、編集:マーク・ヨシカワ、音楽:ラミン・ジャヴァディ。

出演者:ヒュー・ジャックマンレベッカ・ファーガソン、ダンディ・ニュートンダニエル・ウークリフ・カーティス、他。

都市が海に沈んだ近未来のマイアミ。孤独な退役軍人のニック(ヒュー・ジャックマン)は、相棒のワッツ(タンディ・ニュートン)と共に、顧客が望む過去の記憶を、特殊な装置を使って再現することをなりわいにしていた。

ある日、メイ(レベッカ・ファーガソン)という魅力的な女性が現れ、ニックはたちまち恋に落ちるが、メイは突然姿を消す。必死にメイを捜すニックは、やがて、ある陰謀と自分が愛した女性の真実を知ることになる。(映画COMより引用)

物語は魔性の女性の過去を追って大きな陰謀にぶち当たるというラブストーリーが主体で、アクションありのSF物語です。物語の背景が人間の自然破壊で都市が海に沈むというディスピアな世界のなかでの人の暮らし、水没都市マイアミの映像を見るのは楽しみです。

脳に入って相手の記憶を読むとなると「インセプション」(2010)ということになりますが、対象者の記憶に入ってもそれに触れないし、階層もなく、ただ記憶の事実を知るということで、この作品の面白さは登場するキャラクターの断片的な記憶の場所・時間を特定し時間軸で並べていくところです(映像トリック)。

あらすじ(ねたばれ):

物語は冒頭、水没した都市マイアミの風景から始まります。「千と千尋の神隠し」に出てくる水没した線路を走る電車!うつくしいです。

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記憶潜入エーゼントとして活躍するニック(ヒュー・ジャックマン)が水びたしの道路の中でハートのクイーンを拾って街頭の占い師に返して事務所に入る。美しい女性に遭える予感です!そこにはアシスタントのワッツ(ダンディ・ニュートン)が待っていた。客としてニックの戦友ハンク(ハビエル・モリーナ)が13年前の愛犬アンジーと遊んだ記憶を見るために訪れた。首に精神安定剤を打って、神経接続用のヘッドギアーをつけて浅い水槽に入れる(記憶潜入装置)。電圧を30ボルトに保ち、過去の記憶をスクリーンに投影します。スクリーンは無数の光学繊維を円状に配置したもので記憶を立体的に再生できます。ニックの声で時間や場所を指定して記憶を呼び戻します。

ハンクは愛犬アンジーと戯れて、喜んで帰りますが、ニックはハンクのような身障者からは料金を貰わない!「これでやっていけるの?」とワッツが不平を漏らす。

水没で人々は未来に対する希望失い郷愁に身をゆだねる娯楽ビジネスとしてもて囃されていました。我が国では東北大地震におけるボランティア活動で、津波で流れた写真を集め洗浄する活動が話題を呼びました。

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店を閉めようとしたところに美しい女性メイ(レベッカ・ファーガソン)が鍵を無くしたので探して欲しいとやってきました。ニックは全裸になってもらい、イヤリングも外して、記憶潜入装置に入ってもらい記憶を呼び戻します。ニックはカット、カットと自分の観たい?記憶を呼び起こします。そこにはココナッツクラブで「いつかどこか」(1937)を唄う記憶に心を奪われてしまいました。ファーガソンは「グレイテスト・ショーマン」(2017)でオペラ歌手として歌いましたが(アフレコ)、今回はどうなんでしょう。とても心に沁みました!

彼女はイヤリングを残して去っていきました。ワッツが「鍵がどうなったの?」とニックに聞きますが。(笑)

ニックは犯罪捜査に協力していて、裁判所に顔を出すと検事のエイブリー(ナタリー・マルティネス)から「悪徳地主のウォータールー・シルバン(プレット・カレン)が無罪放免になる。海面上昇で土地を無くした人から金を巻き上げているから街が荒れるぞ!彼らは水に浸かったサンクン・コーストに住んでいる」と嘆いていた。

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ニックは舟でサンクン・コーストのバーに飲みにいって、そこで唄っているメイに出会った。カウンターで話すと「歌は4年前にやめた」という。「何故歌う前に涙を流す!」という話題から、「泊まって行かない」というメイの誘いで、ニックはメイの魅力に嵌った!

ところが突然メイが姿を消した。ニックは記憶潜入装置に入ってメイの記憶を探していた。

検事エイブリーに依頼されて、裁判所の古い記憶潜入装置で麻薬王セント・ジョー(ダニエル・ウー)の売人・フォークス(サム・メディーナ)の記憶を調べることになった。2Dスクリーンに映し出される映像。クラブでメイが唄い、ジョーが「俺の女になれ!」と麻薬を勧める映像を見て驚いた!

目覚めたフォークスから「麻薬をやり希望も気概も無くし無敵の境地に入って行った」と聞かされた。

ニックが店に戻りワッツに麻薬の件を話すと知っていたという。

ニックが電車に乗り、水びたしの街を見ながら、ニューオリンズ麻薬王ジョーの館を訪ねた。「ロレンソの紹介だ!」と面談し、薬を売ってくれと申し入れたが、ロレンソはすでに死んでいると身元を怪しまれ、拳銃を使うのは惜しいとウナギの養殖水槽に顔をつけられる有様。(笑)「何しに来た?」と問われ「女を探しにきた」と言うと「あの歌手は5年前に金と麻薬を持って出て帰ってこない」という。そこにワッツが拳銃を持って侵入してきてジョーを目がけて発砲。これが水槽にあたり、ニックは命拾い!(笑)

ここでのジョーとその部下対ニックとワッツのアクション。なぜかスローモーションなんですね!ヒュー・ジャックマンが動けない?ワッツの1発がジョーの胸を貫いた。

ニックは記憶潜入装置に入り、メイがマイアミに流れてくるまでの足取りを追ったが、「俺から何を盗んだ!最後に見たものはなにか?」と新しいものを探ったが見つからない。

ワッツはニックが不在のときメイに会った時のことを話した。メイに同情し「自分は元兵士だったが酒で失敗し、工場で働いていて火災事故を起こし、ニックに助けられて、娘を実家に預けてここで働いている」と話すとメイが「麻薬依存症だ!」と話したという。ワッツは「私も悩んだ!貴方を失うのではないかと」と言った。

ニックは資料庫で、常連客のエルザ・カリーン(アンジェラ・サラフィアン)の資料が抜かれていることに気付いた。エルザに会いに水上マーケットを訪ね、そこでメイに似た女性に会ったが逃げられ、ある男から「エルザは死んだ。フェレディはエルザの息子、あの女がさらった」と聞かされた。

ニックはシルバンが釈放された日の市民大集会。そこで見た男女の顔を思い出し、記憶潜入装置に入りエリサの記憶を辿った。エリサが一緒にいた男はサイラス・ブース(クリフ・カーティス)。警官でありながらジョーの配下となっていたが、5年前に仲違いし今ではマイアミに住んでいるという。

かって店を訪れたことのあるシルバンの妻・タマラ(マリーナ・タビラ)の記録(メモリー)を見た。エリサの恋人はシルバンだと分かった!

ワッツが「本当にメイを愛しているの?メイは犯罪に関係している」と捜索に反対した。ニックは「俺と別れて新型記憶ポットの仕事につけ!」と袂を分かった。

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ニックはシルバン邸に忍び込みタマラにエリサに子供が出来たこと、ブースにはメイが付いていることを確認した。

ニックは舟でブースの住む廃屋のホテルに踏み込んだ!ブースの生き方は「生は死、善悪はない」という非情な男だった。メイは逃げ出し自殺した。ブースとニックがホテルの屋上、ホール又水中で激しく戦った。

亡くなったメイの記憶。「ハッピーエンドの物語を聞かせて!」とせがむから「そんなものはない!」というと「幸せの最中の話でもいい」という。神話オルフェウスの話を途中まで話したことを思い出した!悪魔にメイを返してもらいたい心境だった。

ニックはブースを記憶潜入装置に入れて徹底的に彼の記憶を調べ上げた。メイとブースの関係を知り、ニックは「騙された!」と地団駄を踏んだ。ブースがエリサを殺害し、メイがフェレディを隠したことやニックと不倫したことで、ふたりの関係が険悪なものとなっていくなかで、メイがニックに会いに来たが会わなかった。このことがニックを苦しめた。

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ニックはシルバン邸に乗り込み、息子セバスチャン(モーシャン・アリア)が資産欲しさにブースを雇ってエルサ殺害したことを検事に暴いた。

ニックはワッツがいる新型記憶ポット店を訪ね「俺には君しか友人がいない。俺は大きなものを取り逃がした。未来で君を待っている。俺の側にいてくれ!」と告白し、記憶潜入装置に入り、メイとの想い出の記憶を辿っていた。

ニックはメイの思い出の中で“神話オルフェウス”の話していて「悪魔に頼んで妻を返してもらうといいね」を思い出しているところに、記憶潜入装置に潜って以来ずっと世話しているワッツが花を持ち、娘を連れて訪ねてきた。ニックは微笑んでいだ!

 感想:

「レミニセンス」って壮大な愛が楽しめますね!物語は少し詰め込みすぎました!さてラストシーンをどう捉えるか?ニックは眠り続けるか、ここで目覚めて、ワッツと未来へ踏み出すか。😊ストーリーはこのラストシーンで救われたと思います。水が少し引き始めましたね!偶然好きになった人を追うより、すぐ側にいる人を大切にしたい!面白い作品でした。

リサ・ジョイの時間マジック。どちらかというと「メメント」に近い?これまでのクリストファー・ノーラン監督作に比べればごく易しい時間軸マジックです。それでも過去、現実、記憶が混在し、一回観では難しい!(笑)おそらく騙されているんだろうと思っています。(笑)

本作はリサ・ジョイ監督の長編初監督ということで、やはり予算を考えなければならなかったんだろうと思います。

折角のマイアミ水没という壮大な世界感が、ほとんど静止画になってしまって、作品の中にもっと動的に取り込みたかったが、できなかった。アクションも、水中でのアクションなどもありましたが、貧弱であったと思います。

俳優さんの演技、難しい役でしたが熱演でした。レベッカ・ファーガソンの美しさ、ダンディ・ニュートンのスカットした演技が印象的でした。

今後のリサ・ジョイ監督作に期待したいと思います!

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