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「恋する寄生虫」(2021)あなたの身体にも虫がいます!きっと恋のチャンスが訪れます!

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潔癖症に苦しむ孤独な青年と視線恐怖症不登校女子高生のはかない恋愛を林遣都さんと小松菜奈さんで描くという。おふたりがスクリー登場以来見続けているので、いかなる作品でも観る。(笑)ということで今回も駆けつけました。

原作:三秋縋さんの同名小説を原案。監督:柿本ケンサク、初見の監督さんでCM、ミュージックビデオを中心に活躍されているとか。脚本:山室有紀子、撮影:カテブ・ハビブ、編集:田吉孝、音楽プロデューサー:山田勝也 小嶋翔太、主題歌:Awich。

出演者:林遣都小松菜奈井浦新石橋凌、他。

極度の潔癖症から誰とも人間関係を築くことができず孤独に生きるPCプログラマー・高坂賢吾(林遣都)は、視線恐怖症不登校の高校生・佐薙ひじり(小松菜奈)の面倒を見ることになった。露悪的な佐薙の態度に閉口する高坂だったが、その言動や行動が自分自身の弱さを隠すためだと気づき、彼女に共感を抱くようになる。2人はクリスマスに手をつないで歩くことを目標にリハビリをスタートさせる。次第に惹かれ合った2人は初めての恋に落ちていくが……。(はしがき)

ふたりの恋心の橋渡しが寄生虫という物語。生命の起源は遠く44億年前、虫唾が走る、腹の虫がという言葉もあり、人間に変な虫が寄生しても驚きはない。ということで、原作を知らず観ましたが、虫に悩まされ、なんと観客は7人に“何で”と驚きでした(笑)

しかし、とてつもない生命起源の物語で、“人には恋する虫が組み込まれている”という作品でした!コンプレックスや弱い部分を持った人にはとてもよい作品です!

虫の生態をメタファーに描く恋の成り行き。これを林さんと小松さんの繊細な演技と音楽で見せてくれます。難解でした!

あらすじ:

冒頭でふたりの症状がエキセントリックに描かれ、このふたりが恋に陥る?とばかりに描かれています。

高坂はコンピューターが詰まった部屋でガスマスク・ヘッドオンをつけ、防護服に覆われ、クリスマスイブの12月14日1900にこの世界を終わらせてやるとマルウェアを作製中、背後の窓にはこの夜、街が燃え上がるという彼の頭の中の世界が描かれています。原因は8歳のときに両親が亡くなったことだと言い、大きな孤独感を抱えています。部屋の中でも、バスの中でもばい菌に襲われる妄想で吐き、やたら手を洗う

一方の佐薙はヘドフォンで耳緒覆い、常時「寄生虫なき病」という本を携帯している。子供たちがパスしてきたサッカーボールを乱暴に蹴り上げ、これに非難する声に耳をふさぎ、向けられる周りの目に恐怖する。原因が10歳時、母親が頭に虫が寄生したことで自殺したこと。本人にも虫が寄生しており、これが成長しながら脳を食い尽くすのでいずれ死ぬと覚悟している子。虫は感染すると世界を拒絶しており、こちらも激しい孤独感を持っていた。

高坂がバイキンに襲われる幻覚で乗車中のバスから降り、倒れたところに佐薙がいて病院に運び、ここで和泉医師(井浦新)に採決されたことでふたりは交際に発展。これはやはり運命でしょう!

和泉がアパートに尋ねてきて、50万円出すから佐薙につき合ってくれと言われ、金のない高坂は飛びついた。

ところが佐薙がパンを食べながら「半分よこせ」とアパートのドアを足蹴りし、無理やりに部屋に入って来る。和泉は高坂に虫が寄生していることを知ってふたりを近づけたのだった。

佐薙は高坂のアパートに入るや、レコーダーを作動させて音楽を聴き、ベッドに転げ込む!もう潔癖性の高坂には耐えられず吐く。そして潔癖症で孤独であることを告白する。実は、佐薙がお金を巻き上げたり、部屋で暴れる行動は“拒否して”という彼女のやさしさなんです。

奔放で礼儀知らずのように思えて、とても繊細な子なんです。ここでやさしい音楽が流れます。これが作品の特徴です。

このふたつの性格を小松さんがうまく演じてくれます!「蔑まされた」とアパートの外に出ると鼻血が出た!彼女の身体はしっかり高坂に反応していました。

高坂が25万円を佐薙に渡しにカフェで会うと、「猫のトキソプラズマ(虫)に罹ったネズミは猫を恐れない」と話す!私はあなたが気に入ったということだか、高坂には分からなかった!(笑)こんな調子で話が進むので、難解なんです!

何で学校に行かないか?と聞くと「虫に汚染されているから死ぬ」という。高坂は「俺は死なない、世間に復讐してやる」と答えた。すると「私も含まれているの?」と聞いてきた。(笑)

夜、佐薙がパンを食べながら街中を歩いていて(笑)、オートバイに乗った男に大事なヘッドホンとバッグをひったくられた。ガード下で苦しみもがきながら、高坂に電話した。高坂は自転車で迎えに来ると、手を差し出して、「脅迫されて目が怖い!」「助けて!」と。高坂は佐薙が落ち着くのを待って、「俺たちは似たようなもんだ」と自転車に相乗りで家まで送った。このシーン、CM監督らしく、とても美しい映像を見せてくれます!音楽もいい!

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高坂はアパートに戻り「世界が俺を拒絶するのに生きているのは何故か?誰もが手を握りキスし抱き合ってセックスする。遺伝子を残すために!しかし俺は残念なことに残せない・・・」と苦悶する。

高坂が「佐薙は学校に行くかどうかは思案中です」と和泉に報告すると「お前ら楽しんでいるが一線を越えるな!」と注意された。高坂は佐薙にキーホルダーを贈った。

佐薙は「リハビリ!」と高坂とのデートを楽しみます。このシーンがとても美しいです!レストランで食事。佐薙が鼻血を出す。

この状況を見て和泉は佐薙の叔父・瓜実博士(石橋浚)に「順調に進んでいる!」と報告。「今年は2万人も自殺した。虫で死ぬのが何人か」とふたりの監視を続けるよう指示をした。瓜実は虫の治療する専門医だった。

高坂はカフェでピザを食べても、バスに乗っても吐くことがなくなった。佐薙が「猫と過ごす時間が人生だ」と言い、遊園地の博物館?で蝶を見て“フタゴムシ”と言い、「一匹でなく二つがくっ付いている。恋をすると消える。」と説明した。フタゴムシはとても大切な伏線です!

バスの中で高坂は佐薙からプレセントを貰った。「俺はたぶんフタゴ虫のように子孫は残せない」というと、佐薙が高坂の口にマスクをして「ダサいと言うな!」とキスした。とても微笑ましいシーンでした。

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ここからねたばれ(要注意)

家に戻った佐薙に、叔父の瓜実が「タイミングだ!手術で虫を取り出す」と宣言。佐薙は高坂との愛の記憶が消えると手術を断った。瓜実は「お母さんもそう言って拒否し死んだ。虫には逆らえん!」とこれを拒否した。

佐薙は高坂のアパートを訪れ、上半身裸になって「抱いて!」と促したが、高坂は優しく抱きしめ、家に返した。そこに和泉から「お前にも虫がいる、好きな人に寄生したがる。運命に出会ったと思っとけ!」と電話があった。

高坂は佐薙を訪ね、詳しい事情を聴いた。「脳を手術するため、あなたの虫に接して私の虫を大きくした。あなたの潔癖症はそれでよくなった。私はこのままでいい」。

高坂に和泉から「佐薙が居なくなった」と知らされ、佐薙の母が自殺した湖に向かった!

高坂が「一緒に手術を受けよう!治療しても俺は俺だ!」と湖に入る佐薙を止めた。「何が俺だよ!ここにあるのは何!」と胸を叩いて湖に入っていく。そして「虫は頭よ!誰かを好きになって会いたい!君が心をくれたのは嬉しい。でもその心が無くなるなら死んだほうがいい。私の心が消えるのも嫌だ!」と佐薙が泣いた!

高坂は「僕に命をくれたのは君だ!俺たちはフタゴムシだ!」とキスした。車でふたりを追っていた和泉が、ふたりを救出した。

ふたりの手術は瓜実の執刀で行われた。その後、和泉によって血液検査され、高坂にも佐薙にも虫の卵が発見された。

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高坂は手術後、会社に出勤。もはや潔癖症は完治していてバリバリ仕事に励んでいた。そこに「3日前に佐薙が消えた!」と和泉が知らせてきた。湖を探したが見つからなかった。

帰ると佐薙からの手紙が届いていた。そこには「私の中には虫はいない。だから君との記憶は消えてしまうのかな?これからは出会っても他人同士。ありがとう」と書いてあった。「虫を殺せばすべてが終わる。何で絶望を感じるのか?」と高坂が泣いた!

和泉は瓜実を訪ね、ふたりに卵が見つかったことを報告した。そして「真由さんの虫は私の中で生きて15年も彼女を愛しています。人間同士には共存できるのでは」と話し、部屋を出て行った。

12月24日夜、高坂はイルミネーションの輝く街で、1900時のカウントダウンを待っていた。そこに佐薙が「世界の終わりを見に来た!」と現れた。高坂は「皆が幸せそうなので止めた」と言い、ふたりは「会えてよかった!」と花火の中でキスを交わした。

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感想:

ややこしい虫の話でしたが、ふたりは虫が縁で出合って、愛を知り、障害を乗り越えるという愛の物語でした。

虫の生態を語る言葉は“愛の言葉”でした!我々の身体にはこの虫がいます。死んではならない!きっとあなたは恋をします!」というメッセージがとてもいい。

これまでの恋愛映画にはないボーイミツガール。13人のアーティストを集めて曲を振付、ふたりの心情を写し出すという、CM監督らしい作品でした!

小松菜奈さんが恋を知ってどんどん成長し、死を乗り越えて、美しくなっていく、繊細な演技がこれまでになく美しいです。結婚情報に接して“むべなるかな!”と思いました!

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