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宮﨑あおいさんを応援します

「くれなずめ」(2021)意味が分からなかったが、とんでもない !優れものだった!

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早くもWOWOWに登場。売れなかった作品なんでしょうか!(笑)とんでもない

!優れものです!

監督が「アズミ・ハルコは行方不明」の松居大悟さん。ということで観ることにしました。

脚本:松居大悟、撮影:高木風太編集:瀧田隆一、音楽:森優太、主題歌:ウルフルズ

出演者:成田凌高良健吾若葉竜也、浜野謙太、藤原季節、目次立樹、前田敦子、他。

あらすじ:

高校時代に帰宅部でつるんでいた6人の仲間たちが、友人の結婚披露宴で余興をするため5年ぶりに集まった。恥ずかしい余興を披露した後、彼らは披露宴と二次会の間の妙に長い時間を持て余しながら、高校時代の思い出を振り返る。自分たちは今も友だちで、これからもずっとその関係は変わらないと信じる彼らだったが……。(映画COMより)

感想:

監督にまたしても「やられた!」という感じ。途中まで“やつ”が亡くなっていることに気付かなかった!幾つも伏線があったにもかかわらず。だから、分かってから余計に泣けた!

6人の演技がリアルで、昔の仲間を思い出し、あのころを思い出していました。

“くれなずめ”。友の死後5年経って、もう忘れようと思っても忘れられず、もうちょっと待ってくれ!という、ナイスなタイトルでした。馬鹿な思い出だから余計に忘れられない。こんな思い出は捨てたくない。

冒頭の結婚式場の裸踊りの舞台の下見、帰りにカラオケ店で大騒ぎ。翌日結婚式場に入ったところから、いきなり二次会会場へ急ぐシーンに移動。踊りはどうなったんだ?そこには引き出物を持つ6人がいた

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6人がタクシーに乗るのを止めて、ぶらぶら歩き出す。

5人の“やつ”の思い出、つまらん思い出が、繋がっていくところが面白い。これを過去と現在を交差しながら、“夕日のくれなずむ”に合わせるように、“やつ”の思い出に浸り、やがて“やつ”を振り切って、二次会へ急ぐ。どんな“やつ”だったの!

結婚式に参加した男女が、式場外に出て、揉めている。これを見た明石(若葉竜也)、

12年前、ゴミを分類しないで捨てる下級生を見逃した衛生係の“やつ”(成田浚)が同じ係のミキエ(前田敦子)にきつく責められたことを思い出した。(笑)“やつ”はその後キミエとどうなった?と。

4人がぶらぶら歩く姿に、曽川(浜野謙太)は結婚式で“赤ふんどしで踊った訳“、あの時のことを思い出していた。学園祭を休んで、皆でカラオケ店でスプレ騒ぎ。「インドのガルーダだ」と吉尾が騒いでいるところに、番長(城田優)がやってきて説教。これを見た曽川が余りの恐ろしさに赤ふんどしに小便を漏らした。吉尾がふんどしを絞って小便をビールグラスに入れて置いたら、なんとこれを番長が飲むではないか。これをみてふたりで溜飲を下げたという想い出。(笑)曽川は皆で吉尾を喜ばせてやりたいと、裸踊りを思いついたのだった。

曽川に「お前は結婚式で、赤ふんどしで踊るのを嫌がった!」と言われた木島(目次立樹)

9年前、“やつ“と一緒に寝たとき「お前童貞か?」と聞いたら、「セックスは精神だ!俺はインドに行くことしか考えていない!」と言いながら「ミキエ、ミキエ」と騒いだことを思い出していた。(笑)

「余興なんかどうでもいい」と前田(高良健吾)が、

6年前、仙台の屋台で“やつ”と飲んだことを思い出した。風俗で遊んで、屋台で一杯やりながら“やつ“が店から戻りのを待っていた。「リンちゃんとやったか?」と聞くと「バカ、震災で苦しんでるときに出来るか!」と怒り「おまえ立派な舞台を創れ!」と厳しく注意され、何も言えなかったことを思い出した。

「“やつ”のために踊ってやってくれ!」と前田は狂ったように踊りだした。

田島は結婚式で出た菓子を食べて、2年前のことを思い出していた。

2年前、田島は“やつ”の三回忌に参加して、親父さんに車で駅に送ってもらい、雪のちらつく電車のフォームで菓子を食っていて、ミキエに出会った。彼女は「線香をあげにきた!」というので「恋していまいますか?吉尾さんに」と聞くと、「は~!」と驚く。

ここで“やつ“が5年前に亡くなっていて、彼と決別するために5人が集まっていることに気付いた!

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踊っている6人の前に、結婚式帰りのミキエが現れた。田島が「二次会いかないの?」と聞くと「お前、うるさい!」と一喝。(笑)「やつに言いたいことある?」と聞くと「毎年出てくるからアカウント消して!」と言って歩き出した。“やつ”が「ユキエ幸せになれ!」と声を掛けると「死んでも死んでいなくてもかわらない!」とわざわざ戻って話して言った。この人も吉尾が忘れられないんだ!

前田敦子さんのここでの演技、地の前田さんで、演技する前田さんではなかった。(笑)

“やつ”が「未練はない!」と言うから、皆で「成仏しろ!」と胴上げしてやった。

しかし、“やつ”を忘れることが出来なかった、5人が最後に会ったのはいつかと彼との別れを思い出した。

5年前、演出家の前田と俳優の明石の舞台鑑賞に皆が集まった。“やつ”も仙台から出て来て、ひとりで見て、帰るところで見つかった。「一緒に飲んで泊まって行け!」といっても、「良い舞台だった、また来る」と夜行バスで仙台に帰っていった。

それから間もなくして、“やつ“は心臓病で亡くなった。皆これを聞いて泣いた。

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忘れようと、5人が田んぼに穴掘って、思い出を捨てようとすると、“やつ“似の男が現れて「穴を埋めろ!」と難癖をつける。これに反抗すると男が裸になって自分に火をつけフェニックス、ガルーダになって飛び立った。5人は心臓を差し出して、あっちの世界に行って”やつ”に会った。一緒に赤ふんどしで踊って、“やつ”に「過去なんか書き換えろ!帰れ!」と促され、戻ってきた。(笑)

夕日が沈もうとしていた。もう一度5年前の彼を笑顔で送って、二次会に急いだ。

バカバカしい思い出に、“結婚もせんで、何事をも成すことなく死んでいったやつ“への悔しさが一杯詰まっていた!

ラストシーン、5年前にあっけなく亡くなった“あいつ”のことにやっと決着がついて、二次会に出席です。「結婚式に裸で、赤ふんどしで踊る」というなんでこんなバカなことをと思っていましたが、やっと彼らの思いが分かりました。ほんと、泣けますね。

吉尾が明石に言った「手洗いするのは、小便でおちんちんに触る前か、それとも小便をした後か?」。どちらが正解ですかね、どうしょうもないことを思い出します!(笑)この映画絶対に忘れないぞ!

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