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「ドント・ウォーリー」(2018)善行を行い、宇宙に戻る人生!

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事故で四肢麻痺になった漫画家のジョン・キャラハンの半生。ジョンをホアキン・フェニックスで描くという。WOWOWシネマで鑑賞しました。

まずは観ての結論、人生に“為になる”作品でした。

監督・脚本:ガス・バン・サント、撮影:クリストファー・ブロベルト、編集:ガス・バン・サント デビッド・マークス、音楽:ダニー・エルフマン

出演者:ホアキン・フェニックスジョナ・ヒルルーニー・マーラジャック・ブラックマーク・ウェバーウド・キアアンジェリーク・リヴェラ、他。

はしがき:

オレゴン州ポートランドで酒びたりの毎日を送るキャラハン(ホアキン・フェニックス)は自動車事故により胸から下が麻痺し、車いすでの生活を余儀なくされる。これまで以上に酒に溺れるキャラハンは周囲の人びととも衝突し、自暴自棄な日々を送っていたが、あるきっかけにより自分を憐れむことをやめるようになる。持ち前の皮肉と辛辣なユーモアを発揮し、不自由な手で絵を描く風刺漫画家として、キャラハンは第2の人生をスタートさせる。そんな彼の周囲にはいつもキャラハンを見守るかけがえのない人たちの存在があった。(映画COM)

酒乱で交通事故を起こし、半身不随になり、もう酒は止めると断酒会に入り、そこである男に出会い、“彼の言葉“で人生を取り戻すという話,キャラハンがなぜ風刺漫画として成功したかが分かります。

ある男の言葉が、断酒に役立つだけでなく、人生で失敗したと思っている人にとっても大切な言葉だというところにこの作品の価値があります。

この大切な言葉は、2014年に死去した映画「ウッドウイル ハンティング」のロビン・ウィリアムズが自身の主演で映画化の構想を温めていたというのを聞くと、うべなるかなと思える人生語録です。

断酒会でのグループ・ディスカッション主体の映画なんて退屈ですよね!これを見せるために担ぎ出したのが、ホアキン・フェニックスとキャラハンが画いた風刺漫画です。そしてちょっと色っぽくルーニー・マーラが顔を出します。(笑)さらに、乱酒の記憶か?と思わせる編集で、頭をかき回されます。(笑)

あらすじ:

冒頭3つのジョン・キャラハンモエピソードが紹介される。断酒会で体験談を聞くジョン。講演会で車椅のジョンが「私はアルコール依存症のキャラハンだ!・・・」と話し始める。車椅子を猛スピードで走らせトイレに急いだが、横転、スケボの少年たちの手を借りて小便袋を処理してもらい、俺は風刺家のキャラハンだ・・・」。

断酒会で治療して、風刺漫画家になった俺を見てくれ!というこの作品の結末を示しているようです。

講演会でのジョンの講演に従って、物語は展開します。

ジョンは幼くしてアイルランド系の母親に捨てられ、養父に育てられたがそりが合わず酒浸りになった。朝起きて酒を探す毎日。

塗装会社の雇い主アルバラードと女たちを連れてロンブビーチに飲みに出て、そこで知り合ったデクスター(ジャック・ブラック)とベロンベロンになるまで飲んで、この状態でもっと面白いところを目指して車を走らせ、大事故に。運転していたのはデクスターだった。

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ジョンは脊髄が5番と6番は間で切断。肢体麻痺だった。デクスターは軽傷で入院もしなかった。

ジョンは全身を回転ベッドに固定して過ごす。そこに面会にきたのがアヌー(ルーニー・マーラ)。「俺は障碍者で終わる人間でない」と宣言した。リハビリに励んで、車椅子が与えられた。ジョンは車椅子が気に入って、とにかく猛スピードで走る。

性行為は自分を再発見する機会と、看護師がジョン顔の上に股間を開いて乗っかってくる。(笑)

退院後生活保護で、家政夫を付けてもらい生活していたが、酒が辞められず、酒を探して街を彷徨する生活。家政夫が横着で思うように動いてくれない。(笑)そこで駆け込んだのが断酒会「アラノクラブ」。そこで会長・ドニー(ジョナ・ヒル)に出会った。

12段階からなるプログラムで断酒治療が始まった。が、酒が欲しくなり、隠れて飲む始末。ミーティングの中で、酒飲む原因は「孤児院で苦しんだ子供時代のこと」と発表すると、リーバーに「あんたは自分を憐れんでいるだけ!」と注意された。

そこで母のことを調べに孤児院に行くと情報開示禁止になっていた。これでベロンベロンになるまで飲んだ。雨の中で車椅子が故障したが、福祉事務所は「あなたは車を酷使する、予算不足で対応できない」と無視された。(笑)アパートに戻っても介護士が不在で棚の上の酒に手が届かず飲めない。(笑)もう泣くしかなかった。そのとき母が「酒やめて健康で幸せな人間になって!」と現れた。(笑)「もう酒は飲まない!」と誓った。

ここからねたばれ(要注意)

ドニーは4つのことを守れ!と、ミーティングに出席すること、本を読むこと、禁酒すること、趣味を持てと示した。俺は漫画を画くことにした。

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美術工芸で大学に入って、漫画家、ギャグ作家になろうと思った。ギャグ漫画を画きまくった!

ミーテングでドニーが「自分を捨てないと大きな力は見つからない。信念にしがみつくな!神を信じろ!」という。「どうやってやるんだ」と聞くと「老子を読め!」と。

ジョンは自分の漫画を人に読んでもらおうと書いた。「上院議員、本当に猫の糞を食べるんですか?」「あなたの尻の中にスタバが開店している」・・などと。この絵を見た夫人が笑う。わからない絵でした。(笑)

アヌーに会いにいくと、彼女はスカンジナビア航空キャビンアテンダントになっていた。車椅子に彼女を乗せて街中を走った。食事して、セックスした。

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アヌーが空に飛び立っていくと幻覚を見るようになった。ドニーが「ミーテングに出て、本を読め!大きな力が正気に戻してくれる!」と忠告してくれた。

大学新聞の編者に、お廻りさんに、パン屋さんに、道芸人にも絵を見せて、批評してもらった。

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ジョンに画かせる新聞社が現れた。

ドニーの邸宅に顔を明日と、「弱い人間ほど、強い人間になれる。啓発は自分を知って無になる」という。わけわからん!かった。アパートに戻って新聞社からの手紙を読むと「ニューヨークのレベルにない」と書いてあった。

画を描いてすこし金が入るようになると福祉事務所員がやってきて、生活保護費をカットするという。この不条理をドニーに話すと、「何故、彼らを怒る!」とジョンの怒りの元を探った(全部自分都合による怒りだった)。そして「彼らに直接会って、彼らを許すんだ!戦かわないと死ぬぞ!」と言い渡された。

ジョンは迷惑を掛けたと思う人を訪ねて謝罪する旅に出た。商店主、恩師、洋服屋、・・と最後がデクスターだった。誰もが優しかった。デクスターは自分よりも悩み苦労していることを知った。

ドニーに報告に行くと、

次は10の段階だ、自分自身だ!」と言い渡された。ジョンは新聞に掲載された風刺漫画を持って、色々な人を訪ねて意見を聞いた。「立入禁止、警備員はレスビアン」に、「もうこの新聞は読まない」と。「依頼人は遅刻に文句」を運転手に見せた。・・・もう反論ばかりだった。街で会ったアヌーも目で挨拶してタクシーで逃げる。

ジョンは全てを受け入れ許した

ドニーにこのことを報告すると、「このステップが好きだ」と言い、禁酒できた理由を明かした。「苦労を掛けた恋人への償い、人を救うことだ」と。

ジョンは「善行を行える人間になり、宇宙の一部に戻る老子にチャキーチーズだ」と答えた。そして彼と袂を分かった!

感想

なぜ彼は人生を取り戻せたか?

謝罪

弱い人間ほど強い人間になれる!」ということ。謝ることが自分を強くするかが分かります。

この作品で、もっとも憎んで、謝りたくない飲酒で暴走運転したデクスターに対する謝罪。謝ることでいかにデクスターが苦しんでいたかがわかり、自分の悩みなんぞなんでもないと思える。

己を捨てる!

キャラハンを導いた師であるトニーでさえ、未だに達成できない目標、それゆえの人を助けることに没頭しているという。

キャハファンは風刺漫画を読んでもらい、いかなる批判も受ける。これが彼を天に押し上げ、人を俯瞰して見えるようになった。

ラストシーンで見せるシーン、スケボ少年たちに自分の小便を処理してもらって、少年たちと一緒にスケボゲームに車椅子で挑戦するという、年齢も障害も人種も乗り越えた姿に、キャラハンの解脱した姿を観ることができます。

感謝し、自分を捨てて相手を許す。お覚えておきたい言葉です。

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