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「ラストナイト・イン・ソーホー」(2021)甘い夢には毒もあるということ、夢みるもいいが、自分を見つけることが大切よ!

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「ベイビードライバー」(17)のエドガー・ライト監督が描く、ロンドンのソーホー地区を舞台に、60年代と現代、2つの時代が交差するタイムリープ・サイコ・ホラー作品。ということで公開初日初回に駆けつけました。これまた客がいない!驚きました!

監督:エドガー・ライト脚本:エドガー・ライト、クリステン・ウイルソンケアンズ撮影:チョン・ジョンフン、美術:マーカス・ローランド、衣装:オディール・ディックス=ミロー、編集:ポール・マクリス、音楽:スティーブン・プライス

出演者:ジョジョ・ラビット」のトーマシン・マッケンジーNetflixの大ヒットシリーズ「クイーンズ・ギャンビット」のアニヤ・テイラー=ジョイという若手人気女優に,60年代をテーマにしたことで、当時の映画作品のオマージュがたっぷり取り入れられており、キャステイングにも工夫がしてあります。「ドクター・フー」のマット・スミス、「コレクター」のテレンス・スタンプ、「女王陛下の007」のダイアナ・リグ、「蜜の味」のリタ・トゥシンハム、他。ダイアナは本作が遺作となりました。

ファッションデザイナーを夢見て、ロンドンのソーホーにあるデザイン専門学校に入学したエロイーズ(トーマシン・マッケンジーは、寮生活になじめずアパートで一人暮らしを始める。ある時、夢の中できらびやかな1960年代のソーホーで歌手を目指す美しい女性サンディ(アニヤ・テイラー=ジョイ)に出会い、その姿に魅了されたエロイーズは、夜ごと夢の中でサンディを追いかけるようになる。次第に身体も感覚もサンディとシンクロし、夢の中での体験が現実世界にも影響を与え、充実した毎日を送れるようになったエロイーズ。夢の中で何度も60年代ソーホーに繰り出すようになった彼女だったが、ある日、夢の中でサンディが殺されるところを目撃してしまう。さらに現実では謎の亡霊が出現し、エロイーズは徐々に精神をむしばまれていく。(はしがき)

               

60年代のソーホーは最先端の流行の震源地で、ポップカルチャーやファッション革命を先導したが、娼婦やペテン師がいて、あらゆる不道徳が蔓延る、名の知れた悪の洞窟であったという。

ということで、レトロな音楽と映像で描き出される圧巻のホラー作品でありながら、60年代と現在をシンクロさせることで社会性のあるドラマとなり、よくできた脚本・演出の作品でした!

あらすじ

冒頭で、「愛なき世界」(64)のレコードを聞きながら、エロイーズは新聞紙でデザインしたドレスを着て、鏡に映し、踊るシーンから物語が始ります。父を幼くして失い、母親を自殺で亡くしたエロイーズは多分に母への霊感を持っていて、母の愛した60年代ソーホーに強い憧れで、デザイナー志していた。

そこにロンドン・カレッジ・オブ・ファッション校から合格通知が届き、祖母に「ロンドンは危ない町よ」と送り出され、田舎町から憧れのロンドンに出てきた。

寮に入ったが、合部屋で都会派のジョカスタ(シノーバー・カールセン)と一緒になった。しかし、田舎ものを馬鹿にする彼女とはそりが合わず、ひとりで過ごせる部屋を探した。

大家さんは老女ミズ・コリンズ(ダイアナ・リグ)だった。「男性の連れ込みは厳禁」という条件で古い屋根裏部屋を借りた。

60Sレコードをかけて、眠ると、いつしか「007サンダーボルト作戦」の巨大なポスターのるカフェ・ド・パリに出くわした。中に入ると、ポップスターが唄っている。そこにゆったりと垂れ下がったピンクのドレスのシサンディが、「歌を唄いたい」と現れ、マネージャーのジャック(マット・スミス)に「踊れるか?」と問いかけられ、ふたりが踊りだした。鏡に映るエロイーズはサンディに替っていて、サンディの踊りにシンクロするように踊った!男たちが踊ってくれと近づいてくるが、ジャックが許さない。ジャックはサンディにキスし、虜になってしまった。

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外に出て高級車で街を疾走してアパートに送ってもらった。エロイーズはここで眼が覚めた。

カレッジでサンディのデザインを画くと、仲間のジョン(マイケル・アジャオ)が「恰好良い!」と褒めてくれ、これが大評判となった。こうして毎晩、サンディに会えるように願って眠るようになっていった。首にキスマークがついていると指摘されてびっくりした。(笑)

ジョンに誘われても断って眠った夜、ジャックに連れられてクラブ「リアルト」に。ジャックにオーデイションだとステージに上げられ、サンディが「恋のダウンタウン」を唄った。ジャックは合格!と判定し、俺がマネージャーだと言い、そのままサンディを外に連れ出した。エロイーズは大丈夫?と見ていた。

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エロイーズはサンディを真似て、髪を金髪にし、白いコl-トを着るようになった。お金が嵩み、パブ「トゥーカン」でアルバイトすることにした。地下のバーに銀髪の老人(テレンス・スタンプ)がいて、こちらを監視している。外に出るとこの老人が「ナンパじゃない、心配するな!」とついて来る。

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夜、「恋のダウンタウン」を聞きながら眠った。すると、舞台のサンディがストリップショーで「パリの操り人形」を唄い、踊っていた。驚いた!「脱げ!脱げ!脱げ!」の叫び声。エロイーズは見るに見かねて、席を外した。部屋に戻ってもすぐにジャックに呼び出され「クレオパトラ」を踊らされていた。その後、

部屋に男たちが押しかける。サンディは男に身を委ねるようになっていた。

エロイーズはこれに耐えられず、デザイン中のサンディの衣装を破いて捨てた。アルバイト先のパブ“トゥーカン”で働いていると銀髪の老人がやってきて、「お前ではなかったようだ!」と似顔絵を渡して帰って行った。エロイーズはこれを見て、夢でないサンディが生きていると思った!店長ペギー(リタ・トゥシンハム)から「この街では、どの建物どの部屋でも、人は死んでいる。あの部屋に泊まるのはやめたら!」と忠告された。

エロイーズは部屋に戻って、レコードを掛けると、ジャックが現れ、サンディをクラブ“リアルト”に連れ出し、男たちと踊っていた。名をサンドラ、アレクシー、・・・と名を変え、男を変え、踊って寝る。エロイーズは助け出そうとするが、もうサンディは娼婦だった

歌手になりたい夢が、悪い男たちの毒牙で、無残に散ったサンディの姿だった。

エロイーズはジョンに誘われ、ハロウインパーティーに参加。そこにはジョカスタたちも参加していて、お酒を勧められた。踊っているうちに周りの男性は全部サンディを犯した男たちに見え、“サンディ”と声を上げた。心配したジョンが外に連れ出し、雨の中、部屋まで送ってくれた。

エロイーズはジョンによってベッドに寝かせ、ジョンが覆いかぶさったところで、この行動にシンクロするように、天井の鏡に、ジャックに首をナイフで切られ、血だらけのサンディの姿が見えた。エロイーズは混乱して激しくジョンと揉み合い、この声を聞いて大家のコリンズが駆けつけた。翌朝、エロイーズはコリンズに丁寧に詫びを入れた。コリンズからは「昨夜の男が来たら殺す!」と言われた。

ここからねたばれ(要注意):

カレッジに顔を出しても、サンディの絵を見るだけで怖くて逃げ出し、街に出ても男たちが負ってくる。カーナビ通りに出て、銀髪の老人に出会った。この老人がジャックに見えた。

エロイーズは警察署に飛び込み、助けを求めた。「サンディは殺されている。ロンドンに出てきてからず~と出てくる」と事情を説明した。警察は「都会に慣れないで混乱している」と判断され、「サンドラが分かったら教えて!」と通報を依頼された。

エロイーズは図書館で、60年代にここで殺害さえた事件を調べ始めた。ジョンが手伝ってくれた。閉館時間近くになって、誰もいなくなったところに大勢の男たちが襲ってきた。エロイーズはナイフでこれに立ち向かい、これを見た係員が警備員に通報。エロイーズは逃げて街にでた。そこでジャックに追われるサンディに出会い、彼女を追って走った。

パブ“トゥーカン”に顔を出すと、銀髪の老人がいた。「今も現役だ!」と言い「この辺りの女は全部知っている。サンディは有名人だ!特別の女で面倒みてきたが亡くなった。サンドラが見つかったらよろしく!」と店を出ていく。そんなことはないとエロイーズが追うと、老人が車に跳ねられ、救急車を呼んで、刑事だということが分かった。

エロイーズは田舎に帰ることにして荷物を持ち出すためアパートまでジョンに車で送ってもらい、外に待たせて中に入った。大家のコリンズに「部屋を出ていく!」と挨拶すると「警官が調べにきた。上の部屋で女が死んだというのは当たっている。何度も男が来て死んでいった。私はかってアレクサンドラで、サンディだった。私も夢があって、男たちに滅茶滅茶にされたから殺した。行方不明よ、遺体はゴミにした」という。

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そこにジョンが様子見に家に近づくと、コリンズは包丁を持って襲い掛かろうとする。エロイーズが止めようとすると、追ってくるので、蹴とばして部屋に逃げ込むと、男の亡霊たちの手が伸びて来て身体にまつわり付き、「あの女を殺せ!」という。

そこにサンディが入ってきて男たちと争い、「もう私はいいから!目の前の男を救え!」という。エロイーズはジョンを探しに部屋を出た。アパートは火に囲まれ、エロイーズは消防の救急隊に収容された。

カレッジのファッションショー。エロイーズの作品は大評判だった。

感想:

ラスト10分間のアパート内でのホラーシーン、何が何だかよく分からなかったですね!怖かった。その後、エロイーズは自分を取り戻し、デザイナーとしての道を歩き始めたことにほっとしました。エロイーズは強くなった!美しい夢の世界でも、いいことばかりはない。夢を追うばかりでなく、自分の力で歩かねばいけませんね!

男性優位社会での女性の苦しみ、これが今なお続いているという、女性の人権擁護作品でもありました。

この物語は、60年代をロケと美術で往時を再現し、これに当時のポップな音楽を被せ、さらに名作ホラー映画のオマージュが沢山挿入され、とても楽しめる作品でした。

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