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「マトリックス レザレクションズ」(2021)

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1999年に公開され、革新的な映像技術とストーリーで社会現象を巻き起こしたSFアクションの金字塔「マトリックス」。その後2003年に公開された続編「マトリックス リローデッド」「マトリックス レボリューションズ」で3部作完結となった同シリーズ。完結された作品が18年ぶりになぜ描かれねばならないのか?どう描くのかと興味を持って観に参りました。このシリーズ作品を劇場で観るのは初めてで、とても楽しみにしていました!

ストーリーは簡潔にして哲学的、アクションは聞きしに勝る大迫力でした!今でも全く色あせていない作品だと思います。しかし、パソコンを開いてみると、予想もしない批判の嵐!もう感想を書くのをやめようと思いましたが、パンフレットのラナ・ウォシャウスキー監督の、この作品を作った目的を読んで、こういう批判が出ることは承知の上で、人生の拠り所として、「マトリックス」を世に残したいという心が、実に率直に見えて、監督は赤いピルを飲んでの作品だと思いました。これに勇気をもらって赤いピルを飲むことにしました!

監督:ラナ・ウォシャウスキー脚本:ラナ・ウォシャウスキー、デビッド・ミッチェル、アレクサンダル・ヘモン。撮影:ダニエレ・マッサチェージ、ジョン・トール美術:ヒュー・ベイトアップ ピーター・ウォーポル、衣装:リンジー・ピュー、編集:ジョセフ・ジェット・サリー、音楽:ジョニー・クリメック トム・ティクバ視覚効果監修:ダン・グラス。

出演者:主人公ネオを演じるキアヌ・リーブスが過去作と変わらず同役を担当するほか、トリニティー役のキャリー=アン・モス、ナイオビ役のジェイダ・ピンケット・スミス、メロビンジアン役のランベール・ウィルソン、エージェント・ジョンソン役のダニエル・バーンハードらが続投。

新たに若きモーフィアス役でヤーヤ・アブドゥルェ、艦長バックス役のジェシカ・ベンウィック、スミス役のジョナサン・グロー、ネオのカウンセリング担当役アナリスト役をニール・パトリック・ハルス、他が加わります。

はしがき:

コンピューター・ゲーム会社員トーマス・アンダーソンは世界的なゲーム「マトリックス」のデザイナーでありながら、かっての天才ハッカー・ネオ。彼は悪夢に悩まされて、病院の精神科に通院している。

ある日、トリニティにカフェで出会うが、彼女は何も覚えていなかった。トーマスは、自宅で病院から処方された青い薬を飲んでいたが、若いモーフィアスらしき人物が現れ、赤い薬飲むように忠告される。(前段)。

やがて覚醒したネオは、「マトリックス」に囚われているトリニティーを救うため、「マトリックス」との新たな戦いに身を投じていく(後段)。

物語は映画「マトリックス」(第1作)と同じプロットで進むので、この作品を観た者にはわかり易すく、本作と「マドリックス」シリーズとダブルシーンも多く出てきて、新旧作品を比較しながら、ストーリー、キャストやアクションの変化などを比較しながら楽しめます。トーマスが赤いピルを飲む理由がトリニテイの救出という愛の物語になっていて、これまでの作品に比して、ユーモアがあって、愛に溢れ、柔らか味のある作品になっていて、あまり難しいことを考えなくていい!これが一番うれしいです。 (笑)

後段は「リローデッド」「レボリューションズ」の結末に触れ、知らなくても問題なしですが、三部作を超えた物語になっています。が、これが評判を悪くしている!(笑)ストーリーが現実と仮想世界が交差し、デジャヴェが多用され、分けわからなくなるからだろうと思います。(笑)しかし、自由だ!自分の進むべき道は自分で選べ!というメセージはしっかり伝わりますので、これで良しです。(笑)

あらすじ:

冒頭、進化したシミュレーション「モーダル」を監視していたバッグスが部下のレクシー(エレンデイラ・イバラ)の「探知された、逃げろ!」の合図で逃走、警察隊と戦いなから、あるビルの一室に逃げ込むまでのシーン。第1作のトリニテイがバックスに代わっただけで逃げる経路、ビル、アクションはほぼ同じ。モーフィアスがエーゼントの一員としてバックスを追う。

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モーフィアスはバックスを追ってあるビルの一室に。バックスは部屋にメタの本棚があることからトーマスの部屋と分かった。バックスは「あなたは見覚えがあるのでここに誘った。自分はビルの清掃従業員だったがトーマスの自殺未遂を直視し自分も同じタイプの人間だと人生を変え、今は彼を追っている」と話したうえで、モーフィアスに協力を申し出て、赤ピルを渡した。ビルを出てバックスがサングラスを着けると、モーフィアスか「スミスか?」と逃げ出す。(笑)ふたりはあるビルの窓から飛んだ!公衆電話の時代ではなくなり、あっちの世界へこれです!

トーマスは仲間のジュードとカフェで「トリニティが大好きなキャラクターだ」と話していて、そこに入ってきた家族の奥さんがトリニティにそっくり。「トリニティさん!」と話しかけると「ティファニーです」という。トーマスは謝罪して、握手をした。その触覚が忘れられない「トリニテイだ」と。

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トーマスは社長のスミスに呼び出され「ワーナーは我々抜きでやれる。君は終わっているというが物語は終わってない、別名でやれる。長い年月だ。原点回帰がいい!」と打診された。(笑)どうやらこの話は映画の中での話ではなさそうだ!(笑)

精神分析医のアナリストの診断を受けた。憂鬱な顔をして「ゲーム会社から、作りたくないゲームを作れと言われている」と悩みを話す。「二度も自殺未遂をして、ゲームのことを話して聞かせろ!」と言い、青ピルを渡す。(笑)

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次の会議で「マッドマックスなら受ける」という意見に「単純な暴力は良くない」と発言した。(笑)この作品を作ることが嫌だったんですかね?(笑)

トーマスの毎日は、フットネス、青ピル飲んで、雑談して、飯食っての繰り返し。「これが現実か?仮想だよ!」とトーマスは涙した。

そんななかでティファニーとカフェで再会した。ティファニーは家庭を持ちたかったと話し、オートバイが好きだという。トーマスが「ゲームに入りすぎて、その女性がトリニティだ」と話すと、「彼女は好きよ!」と言い、「夫は全く興味がないらしい」と笑う。店を出ていくティファニーのあと姿を見て「トリニテイだ」と確信した。

会社に緊急事態予告があり、「トーマスに奥に来い」!とメールが入り、トイレに行くと、そこに若いモーフィアスが「俺は本物だ!」と言い、赤いピルを飲めと勧める。そこに警官が駆けつけ、モーフィアスらと格闘になった。部屋が火災になり、社長のスミスがエージント・スミスに見えて、トーマスを撃ってきた。アナリストが現れ状況を話すと「現実と仮想が分からなくなっている」という。

トーマスは悲観して、バーボンを飲んでビルから飛び出そうとすると、そこにバックスが現れ白いウサギの入れ墨を見せ、ドアーに開け「こちらへ!」と現実の世界に誘った。

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トーマスとバックスは東京行きの新幹線の中モーフィアスに会った。モーフィアスは「毎日の繰り返し。ここから逃れたいなら赤ピルを飲め」と勧めた。

 ここからねたばれ(要注意)

 新幹線列車内で爆発が起こった。車内は大混乱。トーマスはトイレに逃げ、小さい鏡を抜け、裸で無数のプラグに繋がれたポッドの中で目を覚ました。トリニティーが眠っているポッドがあったが手が届かない。

ネオはポットから引きだされ、プログラムに連結され、脳内に入力された。ネオは再生された。

池に浮かぶ道場で、ネオはモーフィアスとカンフーで勝負。当初はモーフィアスが有利だったが徐々に力を取り戻し、ついにモーフィアスを倒すに至り、再び覚醒し、トリニテイを探すことにした。ムネモンシュ号の新しいメンバーが紹介された。レクシー、セコイア、バ^グ、エルスター、ハンノ、シンシェント。

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ネオはムネモンシュ号で人類の最後の拠点アイオの街に出向き、指導者ナイオビに会った。街には植物が育つようになっていた。メロビンジアンが現れ、戦争になったのはネオのせいと非難された。ナイオビからマシン同士の戦で滅びたザイオンと同じ轍を踏みたくないと、協力を断られた。

ネオはトリニティを探しにバックスの運転するオートバイで出かけた。バックスの運転姿はトリニティそっくりだった。途中でスミスと出会、「悪いと思っている、お前には自由にしてもらって」とスミスは昔を思い出しながらすさまじい勢いでネオを襲い格闘となったが、ネオがスミスを倒した。

ネオは仮想現実の世界に入り、オートバイ工場で働くティファニーに会いに行った。彼女が「あの店であなたを探していて警官に追われてオートバイで逃げた!」と映画「マトリックス」のワンシーンを思い出した。夢が現実になったと思った瞬間、ティファニーは砂が崩れるように消えた。

そこに黒い猫がいた。「デジャヴェ!」とアナリストが現れ、「お前が死なないと世界は変わらん。“マドリックス”のアノマリーだ。君たちが会うと変なことが起きる。君はフィクションを現実に変える力を失っている」と、銃をティファニーに向けて撃つ。ネオが中に入ってこの銃弾を止めた。警察が駆けつけ大混乱となった。ティファニーを連れ戻ることはできなかった!

ムネモンシュ号に戻るとサティー(ブリヤンカー・チョーブラ・ジョナス)が「父が悔やんでいたが、父が設計したポットにネオとトリニティは入っていたと話した」と言う。ネオは「今度は俺が生かしてやる」とトリニティが納められたポットを探し出し、ポットから彼女は引きだされ、プログラムに連結され、脳内に入力され、トリニティは再生された

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目覚めたトリニティは「心のどこかにあなたが帰ってくるのを待っていたように思う」と話す。ネオは「傷つけた。だったひとりの愛した人だ」と伝えた。トリニティは仮想現実の家族の元に帰っていった。

夫のチャドが「ティファー!」と大声で呼んだ!これにティファニーは「私にはちゃんとした名前があります」と激怒し、激しく夫とつかみ合いの喧嘩になった。この怒りこそが本作でラナ監督が強く訴えたいところ!

ネオに「ネオ!」と叫ぶトリニティの声が届いた。

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ネオは仮想世界に入り、カフェでアナリストに会い、トリニティーが望んだら、僕らを見逃せ」と交渉。カフェにやってきたティファニーに、彼女を連れ戻そうと説得した。ティファニーはトリニティーであったことを思い出した。そこに警官隊がやって来て、ネオ一たちと乱闘になる。アナリストは「ティファニーと握手したのになんだ!この騒ぎは!」と怒った。

スミスが駆けつけ「彼とは接点がある、俺も自由になりたい!」とティファニーの助っ人に入った!

この騒ぎを黒猫が見ていた!

トリニティがオートバイにネオを載せてカフェを後にした。市民botが移動を邪魔する。周りのビルから大量の市民botが降ってくる。だれが作った。ここからは第1作「マトリックス」のラストシーン、ネオとトリニティがエーゼントに捕らわれたモーフィアスを救出するアクションシーンにほぼ同じです。車両の衝突・転倒火災、ヘリによる射撃、薬夾が雨あられと降ってくる(笑)全弾をネオが受け止める。もうやり過ぎというほどの迫力でした。(笑)

ネオとトリニティはヘリに救護されたが、ヘリが爆破され、ビル屋上に吹っ飛ばされた。ふたりは立ち上がり、陽を見て「美しい」とキスした。「夢はもう終わった、もう戻れない!」とトリニティ。ふたりは手をつないで天に飛んだ!落ちるネオをトリニティがつかんで飛んだ。(笑)

 ムネモンシュ号のネオとトリニティはコンピューター連接コードを外した。そして、コーヒーを飲んでいるアナリストのところにやってきてトリニティが彼を蹴とばす!(笑)「いやなメス犬だ!」と騒ぐアナリストを殴り蹴上げ(笑)「あんたがリセットした。好きなように作り直す」と、ふたりは手を取り合って飛び去った。

感想:

ネオとトリニティは、自由意志で、真実の愛を求めて空高く飛びだした。すべてが第1作「マトリックス」と同じ構図で、この作品に回帰したようです。

監督がこの作品を手掛けたのは、両親が亡くなり悲しくて涙が止まらず、人生で最も大切なふたりを失ったときに、両親の代わりにネオとトリニティを蘇らそうと頭に湧いてきたのがこの構図だったという。そうだったのかとこの告白に感動しました。本作にはラナ監督の強い生き方が深くかかわっているように思えます。

ネオとトリニティを演じたキアヌ・リーブスキャリー=アン・モスの演技。年齢が滲みでた老いらくの恋、これが楽しかった。絶対に見たいふたりの姿でした。(笑)

若きモーフィアス役のヤーヤ・アブドゥルェと艦長バックス役のジェシカ・ベンウィック、いずれもアクションがしっかりしておりまったく違和感なし、見事でした。

アクションは新鮮味がないので不満な人がいるかもしれませんが、これほどの作品は他にないですから、満足です。

この作品には戦争反対、女性蔑視への強い反感、女性時代の到来などのメッセージが隠されています。ウォシャウスキー監督作品の奥深さでしょうか。映像にはない、力がある作品だと思います。とにかく、力をもらえた作品で、赤ピルを飲み続けようと思っています。

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