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「カポネ」(2020)「クロニクル」のジョシュ・トランク作!

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暗黒街の顔役”と恐れられた伝説のギャング、アル・カポネの知られざる最晩年を描くという。カポネの晩年なんて知らない、「どう地獄に落ちるか」とWOWOWで鑑賞。(笑)怒りのデス・ロード」のトム・ハーディがカポネを演じるというのも興味がありました。

監督・脚本:編集:「クロニクル」のジョシュ・トランク。初めてお目にかかります。撮影:ピーター・デミング、音楽:El-P。

出演者:トム・ハーディ、リンダ・カーデリニ、ジャック・ロウデン、マット・ディロン、ノエル・フィッシャ、カイル・マクラクラン、他。

あらすじ:

1940年代。長い服役生活を終えたカポネ(トム・ハーディ)は、フロリダの大邸宅で家族や友人に囲まれながらひっそりと暮らしていた。かつてのカリスマ性はすっかり失われ、梅毒の影響による認知症が彼をむしばんでいる。一方、FBIのクロフォード捜査官(ジャック・ロウデン)はカポネが仮病を装っていると疑い、1000万ドルとも言われる隠し財産の所在を探るべく執拗な監視を続けていた。カポネの病状は悪化の一途をたどり、現実と悪夢の狭間で奇行を繰り返すようになっていく・・・・。(映画COMから引用)

カポネの晩年はあまり知られていないらしい!ということで、彼の犯した悪行、交友、家族生活などから、カポネの最後をどう描くかというジョシュ・トランク監督の作家性を問う作品となっています。これが面白いところ!

感想:

冒頭、「所得税脱税の罪で懲役刑。服役中に梅毒が悪化し、彼の身心がむしばまれてる。10年後釈放されフロリダで生活、その晩年を描いたもの」というテロップが流れます。そして、一族とかっての仲間と一緒に過ごす大豪邸の中で、うるさい子供たちを杖で追い、庭に出て、子供たちに襲われるという今では力の衰えたカポネ。それを遠くから監視するFBIの姿が描かれます。次いで、大家族の中での感謝祭の晩餐会。彼は正常に挨拶をし、妻・メエ(リンダ・カーデリニ)とダンスを楽しんでいると、そこに「クリーブランドから、感謝祭だから」と謎の少年からの電話が入るか、メエが電話を取ると切れてしまった。

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このあと、兄(アル・サピエンザ)が「金が必要だ、資産処分しよう」と話しだすと、せき込んで失禁。

ひとりで「聖バレンタインデーの虐殺」というラジオドラマを聞くが、すぐに辞めてしまう。(1929年カポネがやった最悪のギャング抗争)。

ここから物語が始まりますが、ここまでの描写の中に、カポネの混濁した意識の中で出てくるネタの全部が含まれています。正気か、騙しか、夢か、幻覚か?監督の腕の見せどころです。中でも「聖バレンタインでーの虐殺」に注目。だから怖い!!

妻メエと寝ていて、謎の少年に首を絞められる夢を見て、うんちを漏らす!(笑)そこでメエはドクター・カーロック(カイル・マクラクラン)に診断をお願いする。FBIはカーロックの診断結果を傍受するよう話がついていた。結果は「記憶が消えている、可能な限り環境を変えないこと。男の力を借りること」というものだったが、メエが自分で介護すると兄たちの協力を断った。

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そこに「アル、おれが必要だ!」と幼馴染のジェニー(マット・ディロン)が現れた。早速ふたりで海に出て釣り!そこでカポネが「誰にも話すな!」と1000万ドルの隠し金がありことを喋った。場所を聞かれたが喋らなかった。と、空から魔女が降りてきた。カポネはジェニー、メエと一緒に映画“オズの魔法使いを見ていて、ジェニーが「金は?」と聞くから「エメラルドだ!」と話した。「息子はトニーか?」と聞く。「もう一人の息子がいたろう」という。

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カポネはここで「メエ!」と大声を上げて、目が覚めた!心配するメエに「酒だ!耳飾りも顔も可愛いが頭の悪いスケだ」と唾を掛けた。(笑)怒ったメエがカポネを殴り倒した。カポネの記憶も大分イカレタなものになっている?

カポネは刑務所抑留中に隠し金の在り処を必要に迫られ、自分は隠し金を持っていると考えているのではないのか?そして隠し子のことは?どこまでが本当なのかわからない!

ベッドに寝ていて「クズとものが使づいたら追い払え!ゴロツキがうろついている。小さなガキがいるのに」とメエを起こす。メエが「そんなことはない」というと「お前は何者だ?」と疑い始める。メエは、騒ぎを聞いて駆けつける仲間ジーノ(ジーノ・カファレリ)に、「アルには話しかけないで!」と追い返した。

カポネが警察に「俺が誘拐された!奴らは武器を持っている」と電話をかける。「場所は?」と聞くと「農家だ」という。農家はいつもカポネが見ている絵。この電話はFBIに筒抜け!

カポネはそのとき気配を感じて少年を追うと、ルイ・アームストロングが歌うパーテイー場に入った。仲間たちが迎えてくれる。ジーノに先導されて地下室に。そこには裏切り者として目隠しした男が尋問にかけられていた。ジーノが「殺すか?」と聞くから「殺せ!」と指示した。ジーンがこの男の首をめった刺しにした!このシーンは見るのがキツかった!

このあと女が「坊やにお休みを!」とカポネを誘う。カポネが「ガキは?」と聞くと「守られている、湿ったところを探して!」と膝の上に乗って腰を振る。そのとき銃撃音がした。カポネは寝間着で外に出るとそこには死体があふれていた。その中を歩いて街の中に。機関銃の銃撃戦だった。カポネは坊やが見ているなか「ママが怪我した!そこどけ!」と死体の中に駆け込む!カポネは庭に倒れていた!

妻メエがびっくり!もうめちゃくちゃな意識の混濁だ!聖バレンタインデーの虐殺」と隠し子のことがまだ記憶にあるようだ!

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メエはドクターを呼んだ!ドクターはFBIから金のある場所を聞き出せと指示されていた。年齢が答えあれない。「脳に永久的な損傷を受けている。葉巻タバコを止めさせよ」というものだった。葉巻の代わりに人参を咥えることになった。(笑)

絵を描かせて質問をする。兄が「演技するのはもういい。このアヒルは?」と聞くと「トニーだ。俺の息子だ」という。兄は「金がない、教えてくれ!」と尋ねたが返事がない。

食事時、ジーノが肉をホークで切っていると、カポネが突然「殺人者だ!」と暴れ出しベッドに寝かされた。

銃声が聞こえる。するとジョニーが現れた(ジーノがめった刺しした男)、「俺はお前を売ってはいない。金のありかを教えろ!」と顔にナイフを当て斬って、血だらけの顔になり、目玉をくり抜いて「また会おう!」と去って行った。

家族がベッドの周りに集って、心配している。この騒ぎをFBIは盗聴していた。

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FBIは司法省連邦捜査局の監察官カール・ノードホフに当時の取調べ状況を聞く。「3年経っても分からなかった。5年間見張った結論はアルカポネのことなどおうでもいい、死んだら庭を暴け!」というものだった。

FBIはカポネを弁護士をつけて「1000万ドルをどこに隠したか?」と尋問した。

しかし、カポネが語ることはなかった。ハリー捜査官(ジョシュ・トランク)は「あなたは地獄に行く。家族は罪もないのに仕事に就けず、財産もない!これがあなたと同じように続く!」と話して訊問を終えた。これを聞いたカポネは脱糞した。カポネはどこまでが正気なのか?

「カポネが居ない」と兄がメエのとこおに駆け込んできた。全員で捜索。カポネは寝間着にふんどし姿で、トミーガン(短機関銃)を乱射しながら襲ってくる。ジーノが「俺だ!」と止めようとしたが、撃ってきた。手が付けられない!「湿ったところを探せ!」(笑)と庭の池に入って、河に流され、農家にたどりついていた。

カポネはベッドで家族が見守る中でめざめた!邸内はすっかりかたずいていた。

家族と感謝祭の席に着いた。何もしゃべらなかった。

庭に出て、トニー(メイソン・グッチョーネ)に手をとってもらっていた。が、そこにカポネの意識はなかった!

隠したといわれるお金はいまだ見つかってないそうです。

まとめ

カポネの記憶は正気か、騙しか、夢か、幻覚か?ミステリアスで怖かった!ということでうまい脚本だったと思います。カポネは自分の犯した罪に追い回されました。しかし隠し子のことは忘れることはなかった。せめてものこれが救いでした。

混濁したカポネの話ですから、分かりずらく、笑うところのない話で評判が悪い。(笑)

認知症を描いた記憶に新しい作品として「ファーザー」(2020)があります。アンソニー・ホピキンスがアカデミー賞主演男優賞を得たという作品。ここで認知症の怖さを味わいましたが、本作はカポネの認知症ですから、その恐ろしさは「ファーザー」どころではない。(笑)それをトム・ハーディがうまく演じました。また妻メエのリンダ・カーデリニが糟糠の妻だったんですかね!よくできた嫁を演じてくれました。

高齢化に伴う痴呆というのは当たり前の時代。記憶が無くなるというこの時期に出てくる記憶。何が出てくるかと怖くなりますね!(笑)

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