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「ハウス・オブ・グッチ」(2021)ガガによるGUCCI家崩壊劇!(笑)!

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GUCCI一族の確執と3代目社長マウリツィオ・グッチ暗殺事件を描き出すというもの。監督が巨匠リドリー・スコット監督、出演者がレディー・ガガをはじめとする大物ずらり。これは観たいと駆けつけました。

ファッション界のことなど全く興味はありませんでしたが、2代目でアル・パチーノの演じる兄アルド・グッチが日本語で「こんにちは」と弟のジェレミー・アイアンズ演じるロドルフォ・グッチを訪ねて「東京から1時間、御殿場に店を出した。日本はすばらしい!」と話しかけるセリフを聞いて、「あの店であったか!」と、当時御殿場インター近くに住んでいた記憶が戻り、急に身近な物語になりました。(笑)

GUCCI、いわゆる3代目で潰れる運命にあったところに、元気な嫁がきて大奮闘。その結末がまた、運命であった?というお話です。ストーリーより、役者の演技と映像の美しさで見せる作品。コミカルでとんでもないストーリー展開、これではGUCCI家も抗議できない。 (笑)しかし、その背景にはちゃんとしたメッセージがあるという作品!

監督:リドリー・スコット原作:サラ・ゲイ・フォーデン、原案:ベッキー・ジョンストン脚本:ベッキー・ジョンストン ロベルト・ベンティベーニャ、撮影:ダリウス・ウォルスキー美術:アーサー・マックス、衣装:ジャンティ・イェーツ、編集:クレア・シンプソン、音楽:ハリー・グレッグソン=ウィリアムズ

出演者:レディー・ガガアダム・ドライバージャレッド・レトジェレミー・アイアンズ、ジャック・ヒューストン、サルマ・ハエックアル・パチーノカミーユ・コッタン、他。

あらすじ:

運送業を営む父のもとで働く野心的な女性パトリツィア・レッジャーニ(レディー・ガガ)は、憧れのブランド“グッチ”創業者の孫マウリツィオ・グッチ(アダム・ドライバー)と出会い、恋に落ちる。やがて2人はマウリツィオの父ロドルフォ(ジェレミー・アイアンズ)の反対を押し切り結婚する。その後マウリツィオが会社の経営に関わるようになると、パトリツィアは支配権を握ろうと画策し、実権を持つマウリツィオの叔父アルド(アル・パチーノ)やその息子パオロ(ジャレッド・レト)と対立していくのだったが…。(allcinemaから引用)

感想:

物語は、GUCCI御曹司マウリツィオとの結婚。GUCCIの内部事情を知ってのコンフィデンスマンとしての活躍、夫婦の危機と結末で描かれます。

物語はレディー・ガガ演じるパトリツィアの行動を見ていれば分かるというほどに、ガガの演技がすばらしい!これを周りの人たちが盛り上げる、どの人の演技も素晴らしいが、圧巻はGUCCI一族の変人?パオロです。この馬鹿ぶりは圧巻で、ジャレッド・レトと分からないほどです。

パトリツィアは父の運送業事務所にやってくるシーンから物語が始まるが、車を降りで事務所に入るシーンが、もうマリリンモンローそっくりの歩き。(笑)、マスカレードパーティーでインテリで弁護士志望のマウリツィオを近づき、彼に「エリザベス・テーラー?」と言われ、エリザベス・テーラの出でたちで彼をストーカーする。パトリツィアの行動には後の彼女につながるいうガガの演技が面白い。

一方のマウリツィオはやさしい笑み漏らしながら、育ちのよさを前面に出して、彼女のいうままに行動する。これを演じるアダム・ドライバーの演技がまたすばらしい。こんなドライバー見たことない、びっくりです!

ふたりはシンデレラのような恋に堕ちます。ここでパトリツィアがとんでもない性癖の女性であることをおくびにも出さない。(笑)これが、父ロドルフォの結婚反対で、マウリツィオが家を出て、パトリツィアの家に住み着いてからの、ふたりのセックスがオペラ椿姫の“乾杯の歌”で燃え上がるという(笑)、パトリツィアの性癖を浮かび上がらせる演出に笑った。こんなシーンが沢山でてくるというガガでなければ描かれない作品でした(悪い意味ではない)(笑)

父親が結婚を断った理由は「彼女には趣味がなく(下品)、金目当てだ!」というものだった。初代は靴職人から身を起こした人物で、2代目でこうなってくるんだから恐ろしい。ロドルフォ本人は俳優志望で妻は映画スターであったという。映画「怒りの葡萄(1944)を見るぐらいの教養人だったらこぅなならなかったでしょう。(笑)

結婚したことで、GUCCI本家の、マウリツィオにとっては叔父にあたる、アルドが父親との間を取り持つように現れてくる。マウリツィオに近づくには理由があった。それは息子のパオロです。

別荘で開いた誕生会にマウリツィオ夫妻を招待。パトリツィアは白いドレスで参加、とても美しい!ここから変化していくパトリツィアのファッションも面白です。

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ここでパトリツィアはパオロを初めて目にする。彼は「デザイナーでGUCCIにふさわしい設計者だ」と豪語するが、もうその風体からどれほどの人物かは知れます。パトリツィアは見抜いたでしょう。シャレッド・レトの時間を掛けたメイクでの演技が秀逸です!

アルドはパトリツィアにニューヨークに来ないかと誘います。GUCCIの栄華を目にしたパトリツィアは飛んでいきたいが、夫が嫌がる。

そこで見つけたのがTVCMで「希望を叶える!」という占い師ピーナ(サルマ・ハエック)。「私の望みは百万長者!」と相談した。

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パトリツィアは黒いサングラスでCUCCI店に乗り込み、「夫はGUCCIに戻りたがっている」訴え、夫には「あなたはGUCCIの人。妊娠した!あなたはパパよ!」と夫を愛撫し、ニューヨーク行きを説得した。(笑)

ニューヨークに訪ねてきた義父とパオロ。そきでパトリツィアが目にしたパオロのメキシコで見つけたという奇妙なデザイン、これを「人には見せられない!」と批判する義父の姿。彼女はもはやGUCCIには人がいない!と判断した。怒ったパオロはGUCCIのシンボルに小便を掛けた!(笑)

あろうことか、義父ロドルフォが倒れた。病床に駆けつけたふたり。ロドルフォはマウリツィオを枕元に呼び「もっといい女がいる!」と遺言した。これがパトリツィアに聞こえたかどうか?

弁護士のドメニコが遺産を提示し、株券に所有者のサインがないので売ったほうが良いと提案した。これをパトリツィアが「こちらで決めます!」と引き取った。

パトリツィアは占い師に相談。結果は「口紅を赤にしなさい!そして世界を支配する女王になりなさい!」というものだった。ここから、ちらしに出ているガガの赤い口紅の女姿、ガガが怪しい女に変身です。(笑)

ここからパトリツィアの詐欺師ともいうべき活躍が描かれます!夫マウリツィオをGUCCI執行委員席に据え、出勤して目にしたのは安物バッグで稼ぐアルドの商売。これでは「GUCCIのブランドが落ちるGUCCIを立て直す!」とアルドに訴えるが、アルドは、牛皮のことしかわからない男、「俺が決めること」と意見を聞かない。

パリコレに出品。パーティーでデザイナーのウオルターに「GUCCIの仕事は三流オペラだ!」と貶された。夫はファミリーだからと、この問題に関わろうとしない。

弁護士のドメニコ(ジャック・ヒューストン)に話すと「GUCCIは数奇な生物だ、部外者だからあなたには分かる」という。このあたりは脚本の創作話?しかし、それなりの理由があると思っています。

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パトリツィアはアルドを堕とすために、パオロに接近。「お父さんと別れてこちらと組まない?」「GUCCIであなたのLINEを作ったら!」と勧め、パオロからアルドの「納税未申告」という秘密を聞き出す!そしてパオロのLINEの良さを褒め上げる。(笑)ここでのガガとジャレッド・レトの演技は絶倒ものです!

パトリツィアは夫にパオロのデザインを見せて「これがGUCCIのLINE」というと、「何のゲームだ」と驚き、フェンシング練習中のパオロを訪ね本気度を試した。彼は「親父はもういい、自由が欲しい、俺について高く飛べ!」と返事した。(笑)

突然財務警察がやってきて、脱税容疑でアルドが捕まった。誰が告訴した!(笑)

パオロは念願のファッションショーを開いた。女性歌手の歌うオペラ曲で幕開け、珍奇な男性モデルの登場で会場は笑いが絶えない。(笑)そこに著作権違反だと捜査の手が入る。「誰の著作権だ!」と聞くと「GUCCI」と言う。(笑)とんでもないファッションショーでした。笑)

パオロ激しく抗議してきた。パトリツィアが「GUCCIを買い取る!」と言えば、「糞とチョコレートを間違えるな!お前らには渡さん!」と激怒して帰っていった。(笑)

財務警察がパトリツィアたちの自宅資産の差し押さえにやってきた。夫は川崎製バイクでひとり、スイスに逃亡。パトリツィアが警察に協力して後始末。

夫マウリツィオはスキー三昧。そこでかっての彼女パオラ・フランキー(カミーユ・コッタン)に出会い、家に戻ってこない。パトリツィアは子供を連れてスキー場に出かけ「人のものに手を指すな!」と女の戦い。「よく言うよ!」という感じでした。(笑)

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マウリツィオはこんなパトリツィアに嫌気がさし離婚を言い渡し、家を出た。弁護士ドメニコが離婚届けにサインを求めてきたが拒否した。

マウリツィオはGUCCCIの代表として、アルドの株を取り上げ、出資者を募り交渉をする最終的にはデザイナーのトムフォードにより退陣に追い込まれていく。

この間、パトリツィアはGUCCIを取り返す策を占い師と練った。そしてパトリツィアが泣きながら下した結論が、マウリツィオの銃殺だった。占い師が他に方法はないというが、この結論にいたる心理描写が分からない!

ふたりの暗殺者に「失敗するな!」と拳銃を渡す彼女の姿はマフィアの親分だった。(笑)当日、パトリツィアは風呂に入り、水面に浸かって、泣いて、時を凌いだ!

マウリツィオが亡くなると直ちにGUCCIビルに入り、「フランキーを追い出して!」と声を上げた。

2年後、パトリツィアは裁判で29年の懲役刑を宣告された。宣告時「名をグッチー夫人と呼べ」と裁判長に抗議した。

まとめ:

結末は分かっている?それでも面白かった。いやとんでもないストーリー展開だった。これを名優たちがしっかり演じてくれるから、一層面白い!物語は“真実”と冒頭で謳っていますが、本当?(笑)監督の名声がなければ作れない!83歳のドリー・スコット監督、全く衰えていませんね!

主演のレディー・ガガの演技はすばらしいアカデミー賞が欲しいですね!

なぜパトリツィアが夫マウリツィオを殺害したか?GUCCIが欲しかった!!そうかもしれないが、彼女をそう追いこんだのは男社会への挑戦。監督が“強い女”を描き続けているのはこのタメでしょう。

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