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「スカーフェイス」(1983)アメリカの麻薬戦争の闇に生きた男の物語!

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「ハウス・オブ・グッチ」を観て、ここではアル・パチーノの活躍シーンがない。本作、脚本がオリバー・ストーンということで、アル・パチーノの往年の活躍を観ることにしました。WOWOWでの初鑑賞です。

キューバからアメリカにやってきた青年トニー・モンタナ(アル・パチーノ)が、コカイン密売でのし上がり、自滅していく様子を描いた作品。1932年のギャング映画『暗黒街の顔役』(原題:Scarface)を、当時の社会情勢を踏まえ、キューバ人青年を主人公にしたオリバー・ストーン脚色作。

監督:ブライアン・デ・パルマ脚本:オリバー・ストーン製作:マーティン・ブレグマン、製作総指揮:ルイス・A・ストローラー音楽:ジョルジオ・モロダー撮影:ジョン・A・アロンゾ編集:デイヴィッド・レイ、ジェリー・グリーンバーグ

出演者アル・パチーノ、スティーヴン・バウアー、ミシェル・ファイファー、メアリー・エリザベス・マストラントニオ、他。

この予告編はよくまとめてあります!

あらすじ:

「1980年、キューバカストロ首相はマリエル港の封鎖を解き、米国に家族のいるキューバ人の出国を許した。米国から迎えに駆けつけた船は3000隻、だが船には目当ての出国者のほか、刑務所をさらったゴミが積みこまれた。フロリダに着いた避難民は12万5000人、2万5000人に犯罪歴があった」という字幕があり、「彼らは革命を理解しない。この国には無用だ」というキューバフィデル・カストロ首相の演説、船でアメリカに向かう人々のドキュメンタリー映像が流れる。

冒頭においてこの史実、麻薬戦争を語るまさに現実の世界に引っ張り込んでくれ、1932年の「暗黒街の顔役」のリメイク作品なんだということを感じさせない。そしてこの結末が映画「ボーダーライン」に繋がるという、オリバーストーンらしい脚本がこの作品のすばらしさの最大の貢献だと思います。そして美しい映像の数々

カストロの配慮で、反カストロ運動で投獄されていたトニー・モンタナ(アル・パチーノ)と仲間のマニー・リベラ(スティーブン・ハウァー)はフロリダに上陸した。入国にあたっての取調べで「政治氾だ」と主張したが、入れ墨から麻薬組織関係者と判断され、投獄された。

ところが、獄に反カストロ運動家の大物レベンガがいることが分かり、これを暗殺するやつが求められ、トニーとマニーが志願した。獄に大騒動の発生、二人はこの役割をやり通した。その報酬として、アメリカ移住権を獲た。これを依頼した人物はオマー(F・マーリー・エイブラハム)。彼はマイアミの麻薬王フランク・ロベス(ロバート・ロッジア)の配下だった。

なぜフランクがレベンガを殺さなければならなかったか?アメリカの中南米政策、麻薬戦争の奥深さを見せてくれ、これが現在に繋がっているという、物語の背景の面白さです。

トニーは永住権を得たものの、仕事がレストランの皿洗い。そこにオマーからコロンビアの大物との薬取引の話しが持ち込まれる。相手から薬を引きとり、金を払わずに戻れという荒取引だった。トニーとマニーにファランクの配下オマー、エンゼルの4人で、乗り込んだ。トニーはエンゼルと乗り込み交渉、他の2人がビルの外で待機。交渉を始めるも相手もツワモノ、簡単に応じない。トニーの顔を電動ノコで責めてきて、顔を切られ(スカーフェイス)、相棒のエンゼルは弾き殺される。そこにマニーが駆けつけた、短機関銃を撃ちまくるトニーの戦いっぷり。これが見どころ!電動ノコは「死霊のはらわた」で観ていて衝撃はなかった。

トニーはこの交渉で得た褒賞金をもって、離れ離れになっていた母と娘ジーナ(メアリー・エリザベス・マストラントニオ)を訪ねた。母親はヤクザのトニーを嫌がったが、再会の喜びを露わにするジーナに「一生守ってやる!バカな男と付き合うな!」と金を渡した。どん底を味わった妹は捨て置けないという純粋な気持ちだった!

トニーはこの取引で男をあげ、フランクに「お前は使える!」と担ぎ上げられ、コロンビアの最大麻薬王アレハンド・ソーサ(ポール・シュナー)との取引交渉を、オマーとともに任された。

取引は毎月150kgという巨大なものであったが、トニーは”儲かる”と判断して、ソーサ提示案に乗ろうとするが、オマーは「ファランクの判断を待つ」としてこれに反対した。ソーサーはオマーに席を外させて殺害し、「トニーを信じる」としてフランクの元に返した。

トニーがフランク邸を訪ね、フランクの女エルビラ・ハンコック(ミシェル・ファイファー)に出会った。トニーはひとめ惚れした。彼にとっては夢のような女だった!

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トニーはフランクの事務所を訪ね、ソーサとの取引について十分な利益があると説明するが、トニーが独断で決めたことが気に入らない。さらにオマーが殺されたことに疑念を持つ。トニーが覚悟を決めて、去った。

その足で、ファランク邸を訪ね、エルビラに「子供産んで欲しい!」と愛を告白した。エルビラは薄ら笑いだったが拒否はしなかった。

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夜、マニーとキャバレーに繰り出した。そこで薬をやり男と踊っているジーナを見つけ、「こんな男に近づくな!」と叱りつけ、マニーに送らせた。ひどく不機嫌なトニーに市警の刑事メルが近づき、レベンガ殺害などトニーの過去の事件を持ちだし、金を要求してきた。トニーはファランクが自分を警察に売ったと判断した。

そしてひとりソファーでアトラクションを観ていると、突然アトラクション演者たちがトニー目がけて軽機を撃ってきた。トニーはここを脱出し、ファランクの事務所に顔出した。思った通りにフランクと刑事メルがいた。「許してくれ、なんでもやる」と這いつくばるフランクをトニーに撃たせた。そして刑事メルをトニーが撃った。

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トニーは「モンタナ興行」を起こし、エルビラを手に入れ、ソーサとの取引で、稼ぎに稼ぎまくった。この世界の頂点を極めた男。トニーは豪邸を構え、ライオンを飼い、豪勢な風呂に浸かり、薬をやり、エルビラを抱く生活。人を近づけず、何時襲われるかと、マニーが注意するほどに警備には金を使った。

銀行と手数料で折り合わない。自らが金を洗浄するというありさま!ユダヤ人を雇って洗浄させたところ、この男が警察の回し者で、トニーの資金洗浄実態が明かされ、収監される事態に追い込まれた!

エルビラもこんな男になったトニーを愛想尽かし、ふたりの仲は汚いことばの応酬となっていった。誰もトニーには近づかない!人は栄華を極めるとこの地獄に落ちていく。いくつも歴史で見てきた辛いシーンでした!

トニーの弱みに付け込むようにソーサが、マフィア・アメリカの政治家・コロンビアの軍人らからなる麻薬組織を国連で暴くという米国麻薬撲滅委員会の委員長暗殺を支援することを条件に、トニーの投獄を阻止すると提案してきた。

トニーはこの役を受け、委員長の車に爆薬を仕掛け、追跡して適当な場所で爆破しようとしたが、この車に子供が乗っており、途中でソーサの配下を射殺して役からおり、ソーサと袂を分かった。

ジーナが居なくなったとの母親の知らせで、ジーナを探し出し訪ねると、きれいに着飾りマニーと一緒だった。ジーナがエルビラに初めて会ったときの姿に見え、「馬鹿者!」とマニーを射殺し、ジーナを連れてトニー邸に戻った。

マニーが亡くなり警備に穴が開いていた。トニーは気づいてないがソーサが遣わした殺し屋集団が邸宅に侵入しつつあった。

そこにジーナが短機関銃をもって「私が好きなんでしょう!」と入ってきた。トニーが短機関銃を手に応戦。ジーナを葬った。もうトニーの頭は破壊していた!

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殺し屋集団と激しい銃撃戦。トニーがグレネイド銃で応戦!最後に撃たれ、青いトニー自慢のプールへと沈んでいった!トニーの壮絶な死に方だった。

感想:

3時間にも及ぶ作品でありながら、しっかりとストーリーを覚えている。とても印象的な銃撃戦で、これに至る経過を思い出せばいいという、とてもわかり易い作品だった。

とても面白い作品だった。“オリバーストーンの言いたいこと「米国の中南米政策」も分かる。そして誰の後ろ盾もなく自分の知恵と度胸でのし上がっていく男の物語。上がり詰めて、薬と女、金を数えることしか能のない男、それでも家族のためにと幼いころの夢だけが残っている生真面目な男の生きざまに泣けた。悪い男ではあっても、壮烈な銃撃戦で彼の栄華の象徴である青いプールを真っ赤に染めた姿に、彼を殺した「真の犯人」は誰かと心惹かれるところがある。

彼が顔に傷を残すことになったチェンソーによる拷問されるシーン。キャバレーでのフランクによってトニー暗殺劇。これを跳ね返してフランクを一発で仕留めるシーン、最後の殺し屋とのグレネードランチャーでの銃撃戦。マフィアの銃撃戦はこの作品を観ておかないと語れないという見事な銃アクション・レガシー作品でした。

アル・パチーノの鬼気迫る演技、最高でした!

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