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「ナイル殺人事件」(2020)

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ケネス・ブラナーが監督・主演を務め、「オリエント急行殺人事件」に続いてアガサ・クリスティーのミステリー小説を映画化したシリーズ第2弾。

時期を失して一日一回になってのレイトショーでの鑑賞。それでも結構な入りでした!

「ナイルに死す」を原作に、ナイル川を遡上する豪華クルーズ船で起きた殺人事件の謎に挑む名探偵ポアロの活躍を、「ワンダーウーマン」のガル・ガドット、「ソーシャル・ネットワーク」のアーミー・ハマー、「アメリカン・ビューティー」のアネット・ベニング、今や映画やドラマで引張りだこのエマ・マッキーをはじめとする豪華キャストの共演で描くというもの。

原作は未読、1978年版も未鑑賞で、前作「オリエント急行殺人事件」(2017)の面白さにつられての鑑賞でした。

オリエント急行殺人事件では、名探偵ポアロが「世にあるべきは姿をよくみると分かる。人の心、この世には善と悪、中間はない」と挑んだ難事件が、「中間がある」という結末に至る心境が描かれました。さて本作でのポアロの善悪の判断基準にいかなる変化が現れたか?

原作は多くの人に読まれ、すでに映像化されており、ケネス・プラナーならでの描き方、名優たちを使って、キャッチフレーズ「愛の数だけ、秘密がある」という改編を加えて、どう描かれるかと楽しみに出かけました。

あらすじ

物語は、ポアロ第一次世界大戦に参加し、東部戦線の塹壕戦打開のために独軍陣地の橋を奪取するという命令に、機転を利かせた具申で友軍は成果を上げた。しかし、自らが顔に傷を負い野戦病院に送られ、そこで看護兵の恋人カトリーヌに婚約解消申し出たが、彼女に「何があっても愛している。髭をつけなさい」と云われた。カトリーヌは独軍の砲撃で亡くなり、彼女を失ったことの喪失感を埋めるように、自分の空気が読める才覚を生かして探偵になった経緯が描かれる。

ポアロナイル殺人事件で、自らの愛の結末と葛藤しながら、本件の解決に答えを出していくというのがテーマです。

1937年ロンドンポアロは画家のユーフェミア・ブーク(アネット・ベニング)の要請で高級レストランに、歌手サロメ・オッタボーン(ソフィー・オコネドー)の歌を聞きにやってきていた。「聞きたいならお金払って!」とサロメの姪のロザリー(レティーシャ・ライト)が抜け目なく客から集金する、そこにサロメがギターを奏でジャズを歌いながら登場。この曲に合わせてジャクリーン・ド・ベルフォール(エマ・マッキー)と婚約者のサイモン・ドイル((アーミー・ハマー)が熱狂的に踊る。そこに大富豪の遺産を継いだリネット・リッジウェイ(ガル・ガドット)がやってきた。

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ジャクリーンが親友のリネットにサイモンと婚約したと伝え、サイモンを不動産管理人に雇うよう依頼した。一部始終をポアロは見ていた。

6週間後、

リネットはこの頼みを受け入れたが、サイモンに一目惚れし、ジャクリーンには内緒で、エジプトで結婚式を挙げることにした。

ポアロは画家のユーフェミアの息子ブーク(アネット・ベニング)を追ってエジプトにやってきてギザの大ピラミッドを見ながらお茶を楽しんいた。すると凧を上げている男がいた。これがブークだった。ブークはリネットの友人でかって彼女と付き合っていたのが縁でここでの結婚式に招かれ、子離れしない母親がついてきたと言い、ポアロに母親を紹介した。

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アスワン。ファースト・カタラクト・ホテルでの結婚式ブークがポアロに招かれた参加者を紹介した。自分と母親のユーフェミア、歌手のサロメと彼女の姪(マネージャー):ロザリー、リネットの財産管理人:アンドリュー・カチャドーリアン(アリ・ファザル)、リネットの後見人:マリー・ヴァン・スカイラー(ジェニファー・ソーンダース)と同伴者で看護師のミセス・バワーズ(ドーン・フレンチ)、リネットのメイド:ルイーズ(ローズ・レスリー)。

結婚披露宴はサロメの歌とダンスで盛り上がった。招待者は市場とアブ・シンベル神殿を見学。この映像が楽しめます!

ホテルに戻ると、そこにジャクリーンが現れた!リネットはポアロに「ジャクリー付きまとうので、何とかして欲しい」と頼む。ポアロは「夫妻に付きまとうのをやめるように」とジャクリーンに促すが、「サイモンを愛している。諦められない。一人では死なない。彼を道連れにする」とバッグの中の22口径拳銃を見せた。

翌朝、リネット夫妻は観光船カルナック号をアブ・シンベルまで貸し切り、新婚旅行に出かけた。

 料理に酒、それにサロメの歌ととても豪華な船旅。ブークが「ロザリーを気にいっている。が、母親が嫌がる」とポアロに告白した。ポアロは似合いのカップルだと思った。

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カルナック号はアブ・シンベル神殿の前に停泊。招待客は小型帆船で上陸して、神殿の観光を楽しんだ。このシーンも楽しい!このとき岩が崩れ落ち、危険を感じて神殿の中に身を隠すという不吉な事件があった。カルナック号に戻るとジャクリーンがやってきていた!リネットはポアロに身の危険性を訴えた。ポアロは帰国することを勧めた。

夕食が終り、リネットは「帰国する事にした」とポアロに告げた。ポアロは帰国を祝ってサイモン、リネットにシャンペンで乾杯し、酔ったポアロが食堂を出て部屋に戻って寝た。

食堂に残ったリネットとサイモン、ブーク、ロザリー、ジャクリーン。サイモンとイチャイチャしていたリネットは「、幸せになってね。友達でいたかった。あなただけがお金に無関心だった」と言って自室に去って行った。ジャクリーンはこれを機にサイモンと「諦められない!」と喧嘩となり、ブークとロザリーが2人を止めようとしたが、錯乱したジャッキーがバッグから小型拳銃を取り出し、サイモンに向けて発砲した。

ジャクリーンはサイモンを傷つけた事で激しく動揺し、小形拳銃を自分の顎に当てて自殺しようとする。ロザリーがジャクリーンの拳銃をはたき落とした。拳銃はテーブルの下に飛んだ。ブークは「ジャクリーンを看護婦のバワーズに見てもらう。サイモンはライナス医者に治療してもらう」とロザリーに言い残して、パワーズとライナス医師を呼びに走った。

ジャクリーンはパワーズの部屋で彼女と一緒に過ごしていた。ブークがライナス医師を探し出し食堂に戻って、サイモンの足の治療をして、ライナス医師の部屋に運んだ。

朝になってメイドのルイーズの部屋を訪ねると、彼女は拳銃で撃たれ亡くなっていた。

容疑者は、結婚を祝うために集まった乗客全員。豪華客船という密室で、誰が何のために殺したのか?ポアロパワーズ、ブーンとロザリー、サイモン、ルイーズ、アンドリュー、スカイラー、サロメと話を聞いていった。「海底に捨てられたものはないか」と船員に捜索を命じた。

ブークの母・ユーフェミアが「リネットのネックレスが自分の宝石箱にあった」と届け出てきた。ポアロユーフェミアに質問していると、ルイーズの死体が河から上がった。ルイーズは何故、誰に殺されたか?

ポアロがブークを調べているときに、何者かによってブークが射殺された。ブーク何故殺されたか?

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ポアロは乗客全員を食堂に集め「この中に犯人がいる」と拳銃を向けながら、乗客に事件の真相を話し始めた。

感想;

リネットの結婚祝い招待者全員何らかのつながりでリネットの資産欲しさに彼女の殺害に関連してもおかしくない。ジャクリーンはサイモンを使ってリネットの資産を手に入れ、一緒になるという計画を立てた。しかし、サイモンへの愛のため、リネットとサイモンの仲睦しい姿に耐えきれず、リネットを殺害することになった。人は愛のためなら殺しもできるというポアロの言葉は重い。愛があれば見栄や物欲はいらないということ。

連続殺人劇の犯人は?主犯はジャクリーンという悲しい結末で終わった!

 サロメの「結婚しているの?」の答えに、「私には本がある。引退したら田舎に住み、カボチャを栽培する」と答えたポアロ。カトリーヌの思い出に葛藤していたが、この事件で心の中のカトリーヌと生きる考えに間違いのないことを確信した。

物語の展開として、リネットが殺害されて一気に謎解きになっていきますが、思考がこれについて行かなかった!伏線をもう少し丁寧に描いてくれるとわかり易かったのではないかと思います。特にリネットに対するジャクリーンの愛憎。さらにブークとロザリーの異人種愛やスカイラーとパワーズの同性愛をことさらに取り上げる必要があったのか?

CGとVFXとは言え、エジプトとナイル川の美しい景色が楽しめました。そして豪華キャストの競演がすばらしかった!

当初は憂欝そうだったポアロが、リネットの死に立ち向かうあたりから圧巻の推理力を発揮するケネス・ブラナー。ジャズの歌唱力で雰囲気を盛り上げるソフィー・オコネドー。圧巻の美しさと意地を見せるガル・ガドットとエマ・マッキー。いずれもすばらしい演技でした。

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