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「ドリームプラン 」(2021)KING RICHARD

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今年のアカデミー賞は何が選ばれたかより、ウイル・スミスによるプレゼンター・クリス・ロックの殴打事件満載という感じ。この事件で、「ドリームプラン」がどんな映画だったかより、彼の名がアカデミー史に残るでしょう。(笑)

この作品が忘れられてしまう!作品を観たが記事にしていなかった!ということで書くことにしました。書かなかった理由、実はスミスと同じ間違いをしていて、〇〇〇にいたからです。😅そのうち詳しく書きます。(笑)

ウィル・スミスが女子テニス界のスーパースター、ビーナス&セリーナ・ウィリアムズ姉妹を育てた破天荒な父親リチャードを演じた伝記ドラマ。アカデミー賞では作品賞・脚本賞・主演男優賞・助演女優賞賞・歌曲賞・編集賞の6部門にノミネートされましたが、結果はスミスの主演男優賞のみでした。

スミス演じるリチャードはふたりの娘が貶されたことで、貶した相手を殴ったか?

監督:「ジョー・ベル ~心の旅~」のレイナルド・マーカス・グリーン。脚本:ザック・ベイリン、撮影:ロバート・エルスウィット、美術:ウィン・トーマス ウィリアム・アーノルド、編集:パメラ・マーティン、音楽:クリス・バワーズ、音楽監修:スーザン・ジェイコブス、エンディングテーマ、ビヨンセ主題歌:「Be Alive」ビヨンセ

出演者:ウィル・スミス、アーンジャニュー・エリス、サナイヤ・シドニー、デミ・シングルトン、トニー・ゴールドウィンジョン・バーンサル、他。

あらすじ:

カリフォルニア州コンプトンに住むリチャード・ウィリアムズ(ウィル・スミス)。結婚して5人の子をもうけたが離婚して親権を失っていた。3人の娘を持つオラシーン(アーンジャニュー・エリス)と再婚。

ビーナスとセリーナが生まれる前にバージナル・ルジッチ選手がフロリダのトーナメント試合で優勝し4万ドルの小切手を受け取る姿をTVで見て、自分の子どもをテニスプレイヤーに育てることを決意し、テニスには全く素人の彼が78ページにも及ぶ選手育成計画書(ドリーム・プラン)を作成したという。

これは金儲けのためではなく“娘のための人生計画”。コンプトンで黒人として蔑まれた生活からの脱出、離婚を経験し再婚で子供を持つことの夢ではなかったかと。リチャードの固い決意が、よくできた妻・オラシーンと娘たちの努力に助けられ、ドリームプランと言われるようになったと思われます。

ドラマはこのドリームプランと娘の練習ビデオをもってコーチを探すシーンから始まる。誰も引き受けない。

リチャードは昼間郵便配達、夜は警備員として勤務。オラシーンは看護師。娘たちと郵便配達した後、公営のテニスコートに急ぎ、夫婦でビーナス(サナイヤ・シドニー)とセリーナ(デミ・シングルトン)を鍛える。どうやらオラシーンにテニス経験があるらしい。激しくふたりの娘の動きにクレームをつける。

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こんな家族を見て、ストリートギャングが「バカな家族だ!」と練習を妨害する。リチャードはこいつらに「ほっといてくれ!娘には手を出すな!」と注意するが、決して手を出さない。逆にギャングに袋叩きされる。リチャードはこうやって娘たちを守っていた。こんな姿を娘たちは見て育った!今のセリーナの強い姿を見れば分かります!

リチャードは何故手を出さないのか?「昔は喧嘩したが、こんなことで問題は解決しない!」と気づいていた!

リチャードはテニス雑誌を見て、トレーシー・ホスティンを育てたテニスコーチ・ビッグ・プレイデンを訪ね、娘ふたりの練習ビデオを見せた。「金をかけねば無理だ!」と断られた。これでリチャードは「自分がコーチになるしかない!」と決意した。

リチャードは娘たちにしっかり聖書を読ませ食事はかならず家族一緒にとった。そして彼自身が一生懸命にボールを打つ練習をした。こんなリチャードをストリートギャングが襲った。リチャードは夜、密かに彼らを襲って傷を負って家に戻ってきた。こんな夫にオラシーンもついていくことにした!

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リチャードは「プランに従えば可能だ!」とコーチのポール・コーエン(トニー・ゴールドウィン)を訪ねた。その時彼はマッケンローをコーチしていた。マッケンローが時間を空けてくれたので娘たちがコーエンのコーチを受けることになった。コーエンはふたりの力を認めた!「ウインブルドンに出たい!」というビーナスのコーチを引き受けた。実はリチャードにはふたりのコーチ料は払えなかった。リチャードはビーナスの練習にカメラをもって付き合い、その映像をセリーナが見て練習。妻オラシーンが常に付き添っていた。常に“ビーナス優先”というのもよかったと思います。

ビーナスの練習にリチャードが付き添って「オープンで打て!」と口を出す。コーヘンが怒るがリチャードは止めなかった。彼が一番よくビーナスの力を知っていた!

コーヘンの意見でビーナスはジュニア大会に出場することになった。当初ちょっと戸惑ったが、難なく勝利。家族は自分のことのように喜んだ。ビーナスはこの大会で優勝したが、リチャードは「勝てたことを自慢するな!相手のことを考えろ!」と教えた。また、「セルフジャッジに公正であること」を厳しく指導した。この公正こそがビーナスとセリーナを試合でも、人としても強くしたと思います。

雨の中でも練習させ、子供虐待!と警察に通報されたこともあった。黒人の地位向上のためと納得させた。

コーエンはスポンサーをつけてプロの道に入ることを勧めたが、「ちゃらちゃらしたアイドルにはしない!大切なのは謙虚だ!これでなければ試合に勝てない」と断り、フロリダにあるリック・メイシーテニス・アカデミーを選んだ。リック・メイシー(ジョン・バーンサル)がふたりの力を確かめて入学が認められた。

テニスアカデミーには家族で移動し、リチャードはここに職を求めた。アカデミーはテニスの聖地だった。トーミーホーやエリック・タイノ、ジョン・ロディック等がいた。ジェニファー・カプリアティの練習を見て、ふたりの娘はコートに駆け出し練習を始めた。

リックがジュニア大会に出場することを求めてきたが、リチャードは「ジュニア大会には出さずにプロにしてくれ!教養を身につけ普通の子として育てる、オープンスタンスで打たせろ!」と要求し、この条件を譲らなかった。

妻オラシーンは頑なリチャードのやり方に「ひとりで決めないで!ビーナスの人生よ!」と注意した。ともすればやり過ぎるリチャードにラシーンの存在は歯止めになった。

リチャードはビーナスの練習に付き添って、「試合に出たいか?」と聞いた。ビーナスは「準備できている」と自信をのぞかせた。リチャードは「俺は白人に触れただけで怒られてきた。俺は大した奴ではないがお前らを守りたい!だから厳しい!すべての黒人女性を代表する女性にしたい。逃げる女性を見たくない!」と話すと、ビーナスは「世界を見せてあげる!」と答えた!

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3年後、契約金で揉めたが、ビーナスのプロ戦初登場となった。試合は、プロの試合になじむまで不利であったが、次第に力を発揮して勝利した。静かにコートを去ったビーナスはトイレの鏡で自分の顔を見て微笑んだ。リチャードはセリーナに「姉はこれで世界一になる!お前のためのプランがある、全てが分かるときがくる!」と告げた。

全仏オープン

ビーナスはアランチャ・サンチェス・ピカリオと対戦した。1セットをビーナスがとって休憩。リチャードは会場のTVで観戦し観覧席に現れることはなくなっていた。顔を見せない。娘を信じ慰めに徹することでメンタルな支援に徹していた。とても自分の立場をわきまえた男だった!

ピカリオがトイレに入って出てこない。これで調子が狂ってビーナスは敗戦。萎れて戻ってきたビーナスを「よくやった。相手はランキング2位の選手だ。気品のある試合だった!」と抱くリチャードとオラシーン。ところが会場を出ると多くのフアンが押しかけ「ビーナス!ビーナス!」と試合を称えた。

感想;

ドラマは簡潔でテンポよく、テニスの試合も楽しめます。音楽もいい!

 リチャードはどんなお父さんだったか?徹底的に家族を守る人だった。黒人の地位向上が狙いという大きな世界感を持っていた。このためにテニスのテクニックより人として謙虚という人格育成を大切にして娘たちを育てた。これで常に努力をいとわず、ビーナスとセリーナは世界チャンピオンへと育っていった。

どうやらリチャードは「貶された!」とウイル・スミスのように暴力を振るう人ではなかったようです。(笑)

スミスはこの役を当初躊躇し、熟慮した上で受けたと言います。これまでの役と違って、頑固だが静かで我慢強いリチャード役に躊躇したのでしょう。演技の上では見事にリチャードを演じ、これが認められアカデミー賞主演男優賞となりました。が、まだまだリチャードの域には達していなかったということではないでしょうか。会場にはビーナスとセリーナも駆けつけこの事件を目撃し、スミスの受賞スピーチスに涙していましたが・・・。

2018年9月8日の全米オープン・女子シングルス決勝大坂なおみが、世界ランキング1位のセリーナ・ウィリアムズにストレート勝ちするという快挙を遂げた。しかし表彰式では大坂がブーイングを受け、敗者であるセリーナが会場を静めるという異様なものになった。セリーナは「なおみは、いいプレイをしました。そしてこれが彼女の初めてのグランドスラムです。今この時をできる限りいい時間にしましょう。ブーイングはやめましょう」と大坂の肩を抱いた。まさにリチャードに育てられたセリーナの言葉でした!

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