映画って人生!

宮﨑あおいさんを応援します

「透明人間」(2020)いじめや家庭内暴力、女性蔑視などの現代社会のテーマを抱えた透明人間物語!

f:id:matusima745:20220407195436p:plain

「透明人間」とはまた古臭い!とWOWOWプレミアムでこの作品を選んでみました。

H・G・ウェルズが1897年に発表した小説「透明人間」を原作としており、1933年に公開された映画「透明人間」を“現代風”にリブートした作品

原案・監督・脚本「ソウ」シリーズのリー・ワネル。そしてホラー映画界をリードするブラハム・プロダクションとのタグ作品。撮影:ステファン・ダスキオ、美術:アレックス・ホームズ、衣装:エミリー・セレシン、編集:アンディ・キャニー、音楽:ベンジャミン・ウォルフィッシュ視覚効果監修:ジョナサン・ディアリング。

出演者:主演は、「ザ・スクエア 思いやりの聖域」(17)、「アス」(19)などのエリザベス・モス。共演にオリバー・ジャクソン=コーエン、オルディス・ホッジ、ストーム・リード、ハリエット・ダイア、マイケル・ドーマン、他。

あらすじ

富豪の天才科学者エイドリアン(オリバー・ジャクソン=コーエン)の豪邸で。束縛され生活していたセシリア(エリザベス・モス)は、ある夜、計画的に妹エミリー(ハリエット・ダイア)の手を借りて脱出を図り、友人で警察官のジェームス(オルディス・ホッジ)の家に身を隠した。

2週間後、エイドリアンの兄トム(マイケル・ドーマン)から「エイドリアンは手首を切って自殺、あなたに500万ドルの資産贈与があった。受け取って欲しい」と知らされた。しかし、セシリアは「自分に強い執着心を示し、子供を欲しがった彼が自殺などしない!」と彼の死を疑っていた。やがて彼女の周囲で不可解な出来事が次々と起こり、見えない誰かに妹のエミリーが殺され、その犯人に仕立てられ精神病院に収容されるに至った。

セシリアは「自分は犯人でない、エイドリアンンだ!」と主張してもジュエームスでさえも信じてくれない。ある大雨の夜、セシリアは自ら犯人を探し出す決意をして病院を脱出、・・・・。

主人公は透明人間による被害者で、彼の執拗なストーカーによる「見えない恐怖」現在の社会現象の中で描くという社会ドラマになっているところが面白い。まさに社会の闇を突くブラハム・プロダクションの狙い通りの作品になっています!

感想(ねたばれ:注意):

セシリアのエイドリアン邸からの脱出。エイドリアンに睡眠薬を飲ませて眠らせ、厳重なセキュリテイを掻い潜っての脱出。ここでのエリザベス・モスの怯えた表情を見ていると、この人は本当にこういう怖い作品に似合う人だなと思います。後半になってこの表情が強い女に化けていくところが凄い!ゴーン・ガール」(2014)のような怖い、面白さがある。

f:id:matusima745:20220407195501p:plain

セシリアは彼の大豪邸で過ごすことになったが、彼は発明の才能はあるがエゴイストで、執念深く、DV男だった。彼女は避妊薬を呑んで子どもを作らないようにして、脱出機会を狙っていた。

拘束されDVを受け、ストーカーされるセシリアは、まさに今の社会で話題になる事件の被害者です。この視点がこの物語を面白くしています。

セシリアが豪邸から脱出するとき、エイドリアンの部屋に入り、透明人間用のステレス・スーツを探すが、見つからなかった。邸を出るとき、飼い犬のゼウスを放った。そしてエイドリアンに追われて睡眠薬を落とした。これらの伏線がうまく繋がっていきます。

原作の透明人間は化学薬品を呑んで透明になるが、本作ではステレス・スーツを着けて透明になるというのが大きな違い!ステレス・スーツとはいかなるスーツか?これが物語を面白くしています。

セシリアはエイドリアンの豪邸から脱出し、外出せず、ジェームスの家に閉じ籠っていた。トムによるエイドリアンからの資産贈与を、“犯罪を犯さない”という条件で受け取ることにした。

カメラの目線は誰の目線か?これが怖い

 2週間後、セシリアは就職しようと会社を訪ね、バックに入れたはずのデザイン作を提示しようとするが無くなっている。ないはずの睡眠薬がバックに入っている。気分が悪くなって倒れ病院で検査を受けると、医者から睡眠薬のせいだと言われ、後日血液検査の結果が知らされることになった。

夜、寝ていると傍にエイドリアンがいる。起きて探すが誰もいない、幻覚かと思ったが・・。ジェームスの娘シドニーが「セシリアと一緒に寝たい!」と言い出すと、シドニーが突然誰かに殴られ、吹っ飛ばされた。

f:id:matusima745:20220407195554p:plain

セシリアはこのアパートには「誰かが潜んでいる」と天井裏を探すと、ナイフと彼女の寝姿が写された携帯電話が放置され、“サプライズ”と書かれていた。誰かが逃げる気配にペンキを掛けると台所まで足跡の痕跡があり、水の音とともにここで消えていた。周りを探すが誰も見つからない。

一部ネタを与え過ぎるきらいもありますが、こころあたりまではヒチコックばりの映像とモスの演技で、“見えないことでの恐怖”がしっかり描かれています。

妹エミリーが「エイドリアンからの嫌がらせメールが送られてくる」と怒りだす。トムに弟は生きているのではと聞くと、「灰にした」という。

f:id:matusima745:20220407195624p:plain

セシリアはエイドリアンの豪邸を調べることにした。邸に入ると誰にも会わないが犬のゼウスが寄ってきた。エイドリアンの部屋にはステレス・スーツがあった。「エイドリアンは生きていて、私をストーカーしている」とカフェでエミリーに話しているとき、誰かにエミリーは首を切られ、セシリアがナイフを「握っていた。

セシリアがその場で逮捕され、警察で取り調べられたが、「エイドリアンがいる!」と口走った。このとき「サプライズ!」という声が聞こえた。

セシリアは精神安定剤を撃たれ、サンタマリーナ精神病院に入院することになった。刑事やジェームスの取調べで「彼は生きている!」と話すが信じてもらえない。そこに医者から「一カ月前に妊娠している!」と血液検査結果が知らされた。セシリアは「彼にやられた!」と思った(モスの表情から)。

トムが訪ねてきて「弟のことは残念だが君を家族だと思っている。犯罪を犯したから弟の遺産贈与はなくなるが、出産を目指して彼のところに戻るなら継していい」と提案してきた。セシリアは「あなたはクラゲだ!」と追い返した。

大雨になるという天気予報。セシリアは精神病院からの脱出し、エイドリアンを追い詰めることにした。ここからのセシリアは怖い女に変身!

 夜、トイレで隠していたペンを取り出し手首を切って、透明人間のエイドリアンを誘き寄せた。まんまとエイドリアンが引っかかった。駆けつける警備員とエイドリアンの戦い!ここまで派手に透明人間と警備員が戦うと恐ろしいというより滑稽になってくる。(笑)ホラーに“過ぎたる”はダメ!

セシリアは警備員が落とした拳銃をもって病院の外に出て、エイドリアンが出てくるのを待った。そこに現れた透明人間に「あの娘が死ぬぞ!」と脅された。

f:id:matusima745:20220407195710p:plain

セシリアは「シドニーが危ない!」と車をかっぱらってジェームスの家に急いだ。

ジェームスが帰ってきて、セシリアはふたりで透明人間と対決した。拳銃で透明人間を倒し、頭巾を取るとトムだった!

警官隊がエイドリアン邸を捜索すると、「兄に幽閉されていた」とエイドリアンが出てきた。

f:id:matusima745:20220407195809p:plain

「これで事件は終わりだ」という警察とジェームス。セシリアは「犯人はエイドリアン、トムは利用されただけ!」とエイドリアン邸に乗り込んだ。邸の外にジェームスを配置し、エイドリアンと自分のやり取りを傍受するよう処置していた。

エイドリアンが「やり直したい」というが、セシリアは「本当のことを話さないとだめ」と泣きながら抗議した。エイドリアンが「もうサプライズしない!」と約束したので、セシリアは「化粧を直したい」と洗面所に立った。

f:id:matusima745:20220407195833p:plain

エイドリアンは誰かに首を斬られたこれを発見したセシリアが「エイドリアンが自殺!早く来て!」と叫び、救急車を呼んだ。セシリアが「サプライズ!」と呟き微笑んだ。このときのエリザベス・モスの表情が秀逸だった!

状況を傍受していたジェームスは「確かにエイドリアンは自殺した!」と確信を持った。

まとめ

前段、目に見えない“何か”、目に見えない脅威に怯える心理がしっかり描かれ、透明人間ドラマの面白さを味わいました。

後段セシリアがエイドリアンに復讐するというサスペンスドラマ。突っ込みどころも散見されましたが、犯人が二転三転し、セシリアが女の執念を見せるところが面白く、それなりに楽しめました。全般を通じていいドラマだったと思います、

ドラマの背景が心理的虐待やDVといった要素が盛り込まれ、いじめや家庭内暴力、女性の意見が軽視されていることなど現代社会において重要なテーマが盛り込まれているのがすばらしい。

私も最近あることで嵌められ警察に差し出され留置生活を体験。いずれ詳しく書きます。(笑)透明人間も怖いが、強い女性がもっと怖い!という所見を持っています。(笑) エリザベス・モスの演技が最高でした。

               ****