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「ダーティハリー」(1971)時代の匂いを嗅ぎ取ったイーストウッド刑事の正義!

映画監督ドン・シーゲルクリント・イーストウッドを世に送り出した作品。

憲法記念日にまさかの刑事の活躍を観るとは!超有名な作品ですが、一度も見たことがなかった!この休みを利用してゲオからの借用DVDで鑑賞しました。

法を無視してでも救いたい命があると、自分を投げ出し自らの正義に生きる刑事の物語。

これは受けますね!ベトナム戦争末期政府を信じてよいのか?戦場の兵士に問われたものは何んであったか?言われた通りに戦場で人を撃つことが正義であったか。時代が要求する正義!こんな時代背景に描かれる刑事物語だから大うけだったと思います。この問題は今の時代にも問われる問題で、ここで描かれるサスペンスドラマ、アクションは、今でも、全く色あせない作品だと思います。シリーズとして5作品ありますが、この作品が一番面白い!

 監督・製作:ドン・シーゲル脚本:ディーン・リーズナージョン・ミリアスリタ・M・フィンクハリー・ジュリアン・フィンク原作:リタ・M・フィンク 、ハリー・ジュリアン・フィン、撮影:ブルース・サーティーズ、音楽:ラロ・シフリン

出演者:クリント・イーストウッド、レニ・サントーニ、アンドリュー・ロビンソン、ハリー・ガーディノ、ジョン・バーノン、ジョン・ラーチ、他。


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あらすじ

サンフランシスコ。ビルの屋上プールで泳ぐ女性を別ビルから狙撃し刺殺するという事件が発生。市警殺人課の刑事ハリー・キャラハン(クリント・イーストウッド)が駆けつけ現場検証。射撃したビル屋上に「10万ドルを出せ!新聞広告で返事せよ!でないと牧師か黒人を殺す!さそり(スコルピオ)」と市長(あて殺人予告が残されていた。市長ジョン・バーノン)は金を集めるとして「しばらく待て!」と返事することに決したが、キャラハンは金で解決することに反対した。

市警はヘリで監視することにした。キャラハンは車で市内を巡邏中、ホットドッグを食っていて銀行強盗犯に遭遇し、44マグナムをぶっ放して逮捕。このとき「弾がいくら残っているか?腕が吹っ飛ぶが賭けてみるか!」の決めセリフで相手の射撃を誘ったが撃ってこなかった。キャラハンは笑って撃鉄を引いた。“空”だった!これがキャラハンのやり方。相手が拳銃に手をつければ、正当防衛で射殺する。

この事件で脚を負傷したため、チコ・ゴンザレス(レニ・サントーニ)が相棒として付くことになった。

へりがビル屋上で射撃準備するさそりを発見し、追ったが見失った。夜間、キャラハンとチコが車で巡邏し、さそりを捜索。そこにビルから飛び降り自殺を図る男を救えと指令がきた。昇降機に乗って、この男を救出!「こんな汚い仕事をしているからダーティ・ハリーと言われるんだ!」と名の由来をチコに話した。(笑)

ダーティといわれるのは“決めセリフで相手が銃を持てば射殺すること”だった。

 19歳の黒人の子が射殺され、聖ピーター教会を監視することになり、キャラハンとチコが配備についた。夜間、さそりを発見し、照明下の銃撃戦になったが、逃げられた。怒ったさそりは少女を誘拐し20万ドルを持ってヨットハーバーの公衆電話ボックスに来るよう指示してきた。

マッケイ署長(ジョン・ラーチ)の命令でキャラハンが運搬役を担うことになった。足にナイフを隠し、目的地に。チコが車ではなれてこれを追った。ふたりは簡易無線機で結ばれていた。公衆電話ボックスに着くと次の公衆電話場所を指示してくる。路面電車を使い、水上公園の十字架碑前で覆面のさそりに会った。拳銃を捨てさせられ、現金入りバックを奪った後に、さそりが「気が変わった!少女は殺す!」と殴ってきた。後をつけていたチコがさそりと銃撃戦になり受傷。キャラハンは隠していたナイフでさそりの左足を刺し、チコを援護した。さそりはバッグを残して逃げ去った。彼はサイコパスだった。

 キャラハンが警察署でブレスラー警部補(ハリー・ガーディノ)に報告しているところに、医者から「左脚の治療にきた男がいた」と通報してきた。キャラハンが医者に会うと「フットボールスタジアムで観たことがある男、そこに住み込んでいる」という。フランク刑事(ジョン・ミッチャム)とスタジアムの管理室を尋ねた。さそりが逃げ出した直後だった!スタジアムのライトを点けて、びっこで逃げるさそりを逮捕した。

このとき彼が「弁護士もおらず、人権無視だ!」と抗議した。キャラハンは彼の痛めた脚を踏みつけ少女の居場所を聞いた!(笑)

少女がゴールデンブリッジを見下ろす丘に殺害されて埋められていた。

地方検察事務所に呼び出されたキャラハンは検察官(ジョセフ・ソマー)から「いきなり押し入って拷問するとは何事か!医者、弁護士を呼ばないのは人権無視!米国憲法修正5条違反で起訴できない。勝ち目がない裁判はやらない」と云い渡された。キャラハンは「この男はまた人を殺す!理由は異常者だ!」と嘯いて部屋を出た。

さそりは200ドルを払ってヤクザに顔を潰させて入院。報道陣に「キャラハンから少女殺しの濡れ衣を着せられ殴られた」と喋った。

キャラハンは署長から休暇を言い渡された。チコは「自分には向いてない」と刑事を辞めることになった。

さそりはストリップ劇場を塒に、酒屋を襲いピストルを入手。帰宅時の生徒が乗ったスクールバスをハイジャックし、ゴールデンブリッジからフランシス通りを経て空港に向かう。この間に金を届けろと市長に要求してきた。

キャラハンは署長から金の運搬を打診されたが断り、ひとりでスクールバスがフランシス通りに入ってくるのを道路橋で待ち伏せしていた。通過するバスの天井に飛び降り、さそりの精神をいたぶる。興奮したさそりはキャラハンを振るい落とそうと蛇行運転を繰り返す。ついに走行不能に陥り生徒ひとりを人質に採石場に逃走するが、溜池の淵でキャラハンの1発で生徒を放し拳銃を落として倒れた。キャラハンは「弾がいくら残っているか、俺にも分からん?大型拳銃で脳みそは吹っ飛ぶ、弾があるか?よく考えろ!この糞野郎!」と決めセリフを吐くと、さそりが拳銃を拾おうとする。キャラハンが1発ぶっ放すと池の中に落ちて行った。キャラハンは警察手帳から刑事章を取り外し池に投げ捨てた

感想

身代金支払い承諾の新聞広告、メディアを利用してキャラハン刑事の暴力を訴えるなどの劇場型犯罪。金銭授受場所を傳える公衆電話巡り。どこかで耳にしたような物語の展開がリアルでミステリアス、実に面白い!未解決事件のソディアック事件を参考したらしいが、原作・脚本がすばらしい。今の時代に観ても面白い。

ストーリーの核は、さそりを逮捕しても、検察官の決定「ミランダ警告(米国憲法修正第5条自己負罪拒否権)を無視しての逮捕では告訴できない!」に、キャラハン刑事がこれを受け入れられず、自らの進退を賭けて、さそりを追い、射殺するキャラハンの正義現場を見ていない自己保存の検察官に屈しない刑事の生き様に胸が熱くなります!

20日間拘置され、検事と刑事の取調べを受けてみると、検事と刑事の関係が妙に胸に入ってくる話でした!

当初キャラハンのキャステングはフランク・シナトラ。怪我していて出れないということでポール・ニューマンにお鉢が回ってきたが、彼はこれを断った。そこでイーストウッドに白羽の矢が。

これはイーストウッドでよかった!斬新な作品には、イメージがある人はダメ、新しい人が必要だということ。この役でのイーストウッドはダークというよりも意思の強い、若者の一徹さを感じる雰囲気で、イーストウッド人柄が出たキャステング、とても好感が持てます!この雰囲気はシナトラ、ニューマンにはないし、恐らく体力的にアクションが無理だった。(笑)

キャラハンの決意を正当づけるさそりの奇怪な行動、「こいつは殺人鬼だ!」と信じるに足るさそりを演じたアンディ・ロビンソンの演技がすばらしい!彼は、この後、同種の悪役ばかりを演じることになって一時役者を辞めたというのも頷けます!

物語の背景となるサンフランシスコ市を楽しませてもらいました。ゴールデンブリッジ、カポネも服役したアルカトラズ島。ケザースタジアム、マウント・デビット公園の十字架、路面電車(地下鉄部分)、市庁舎、ストリップ劇場等。特にストリップ劇場には思い出があります。(笑)

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