映画って人生!

宮﨑あおいさんを応援します

「鋼の錬金術師 完結編 復讐者スカー」(2022)物語の壮大性に浸り、「復讐は如何にあるべきか」を考えた!

原作は、全世界シリーズ累計発行部数8000万部超の荒川弘さんの大ヒット・コミックス作。17年の実写映画「鋼の錬金術師」を、原作を読みもせず、アニメも観ないで、各種レビューの低評価も気にせず、「これほどの超人気作品の実写版を見逃してはならず」と鑑賞して、エドとアル兄弟愛に泣き、その結末を見届けたい!「続編はきっとある」と期待していました。ここに完結編としての2部作「復讐者スカー」と「最後の錬成」が公開されることになり、大喜びです!

本作の世界感に浸り、兄弟の運命の最期を見届けようと、あえて“原作を読まず”、挑戦してみました。

「復讐者スカー」は、

原作の人気キャラクターである“傷の男(スカー)”の復讐劇。右腕に分解の錬成陣を彫り込み、国軍によって滅ぼされたイシュヴァールの民の復讐のために、全ての国家錬金術師の抹殺を誓うスカーと、彼に命を狙われるエドとの対峙が描かれるというもの。

監督:曽利文彦脚本:曽利文彦 宮本武史、撮影:橋本桂二、美術:清水剛、装飾:岩井健志、衣装デザイン:西原梨恵、編集:洲崎千恵子、音楽:北里玲二

出演者:山田涼介、新田真剣佑、本田翼、 ディーン・フジオカ蓮佛美沙子本郷奏多黒島結菜渡邊圭祐内山信二ロン・モンロウ、水石亜飛夢、舘ひろし山本耕史内野聖陽、他。完結編になって館さん、内野さんの参加で、重層な布陣となっています!


www.youtube.com

あらすじ(ねたばれ:注意):

冒頭、フードを被った男が橋の上を歩く男に「コマンチか?」と確認し、「神の道に背きし国家錬金術師、滅ぶべし!」と切りつけ、落下したコマンチを水中で止めを刺す。この男はスカー。スカーの辻切から物語が始まる。

エド(山田涼介)は年1回の国家錬金術師としての査定を受ける為、弟のアル(水石亜飛夢)と連れて、セントラルシティ行の電車に乗った。そこで空腹に苦しむシン国から賢者の石を探しにきたリン・ヤオ(渡邊圭祐)に出会った。そこに過激派の一団が乗ってきたが、リンの部下・老人のフー(筧利夫)と女性兵士ランファン(黒島結菜)がこれを排撃し、エドに襲いかかった。エドとランファンが客車天井でい戦い、エドが窮地に陥った。その時「(お父様から言われている)人質だから!」とホモンクルスのエンヴィー(本郷奏多)が助けに入り、エドを救助した。エドが「エンヴィーは不老不死の人造人間だ」とリンに教えると、リンは「エンヴィーを追え!」と命令し、ランファンが攻撃したが、エンヴィーは車外に消えた。エドがアルはリンたちによって列車から線路に落とされた。(笑)

過激派の一団の目的は「過激派メンバーの釈放を要求するため列車をハイジャックしてセントラル駅に突入することだった。「ここままでは大惨事になる」と、エド錬金術で線路を空中に曲げて列車を停止させ、事なきを得た。(笑)

セントラル駅のホームにはマスタング大佐らが誰かを迎えに来ていた。大佐らに過激派メンバーが襲いかかったが、大佐の火炎術でこれを撃退した。そこに現れたのはキング・ブラッドレイ大総統館ひろし)だった。エドは大総統に「エドか!楽しませてもらった」と声を掛けられ、不動の姿勢で敬礼した。

エドは軍指令部で、大佐から「国家錬金術師の連続殺人事件犯人は額に大きな傷があるスカーだ」と明かされ、「護衛官をつけるので協力して欲しい」と協力を求められた。

エドらは指令部を出て、護衛官をまいて裏道に足を踏み入れた途端に、女を踏みつけた!Z(笑)腹が減って動けない女性。カフェで飯を食べさせて話を聞くと「名はメイ・チャン(ロン・モンロウ)、賢者の石を探してる」という。そのときテーブルが揺れ、メイがカフェを奔り出た。エドらがこれを追うとスカーに出会った。スカーがエドを襲う。アルが壁で阻止するとスカーがこれを壊す。「創るやつがいれば壊すやつがいる」と技の応酬。エドは右腕の機械鎧を破壊され、アルは右脚を切断されて窮地に。エドは「弟には手を出すな!」と叫び、アルは「兄ちゃん、逃げろ!」と叫ぶ。このふたりの相手を庇う気持ちには鳴かされます。

そこに大佐、アームストロング少佐(山本耕史)、ホークアイ中尉(蓮佛美沙子)が駆け付けた。雨のために大佐の火炎術が使えない。スカーは中尉のライフルとアームストロングの剛腕の錬金術を浴びて、傷のある顔を晒し、地面下に逃避した。メイがこれを追った!

アルは「馬鹿兄貴!なぜ逃げぬ!生きて、生きて元の体に戻る!勝手にひとりで生きる道を選ぶな!」とエドに抗議した。この兄弟の関係が美しい!

エドは司令部で大佐から「宗教対立で少数民族のイシュヴァールが反乱を起こした。ブラッドレイ大総統は国家錬金術師たちを派遣して、イシュヴァール民族の殲滅戦を図った」というイシュヴァールの反乱経緯を聞いた。アルは宿で脚の修理をまち、エドが故郷リセンプールに戻って、幼友達でオートメイル技師のウィンリィ(本田翼)に右腕の機械鎧を作ってもらうことにした。

リセンプールではウィンリィとその祖母のピナコ(風吹ジュン)が暖かく迎えた。

エドは母の墓参りに出向いた。そこで父親のヴァン・ホーエンハイムに出会った。エドは母の葬儀に顔を見せなかった父親をなじった!しかしヴァンは「セントラル駅事件での活躍」と褒め、エドの怒りをにこやかに受け入れていた。

ヴァンはピナコに「この国に、クセルクロス(イシュヴァールの居住地)と同じ悲劇が起こる!警告しておくぞ!」と謎の言葉を残して去って行った。

エドはこの言葉を確認したいとクセルクロスを訪ねた。そこは砂漠の中に存在する街だった。廃墟のなかに人が住んでいた。エドは老婆から話を聞いた。「軍隊が攻めてきたとき、民族は違ってもここに留まって治療してくれた医者夫婦がいた。ウィンリィの父母だった。顔に傷を負った男収容され、医者夫婦が治療に当たったが、この男が医者夫婦を襲った。額に傷があり右腕に入れ墨がある」と教えてくれた。

このころ、地面下に逃げたスカーは地下道でイシュヴァール族の臭いを嗅ぎつけたグラトニー(内山信二)とエンヴィーの攻撃を受け負傷、そこにリンたちが追ってきた。スカーは下水道に逃げ、流されて、イシュヴァールの貧民窟に辿りついた。これはメイが付き添っての処置だった。スカーは軍のイシュヴァールせん滅戦でビルの屋上から撃たれた記憶を、また、スカーの師父(麿赤兒)から「お前がしている復讐は、新たな復讐を生む。憎しみの連鎖を断ち切るには、誰かが堪えねばならない」と説かれたことを思い出していた。このセリフは至言です!

エドはセントラスシティに戻り、アルのいる宿を訪ねた。アルは新しい脚を着けて「生き返ったようだ!」と喜んだ。アドはウィンリィの父母の話をアドに話し、彼女には内緒ということにした。「この国に何が起こるのかをホルンクルスに聞いてみたい」と話しているところに、リンがやってきた。彼は「賢者の石が必要な理由は皇帝になるだめだ」と明かし、ホルンクルス確保の協力を申し出た。エドはこれを受けた。

エドらはきっとスカーはやって来ると街を散策していると、スカーに遭遇した。このとき、ウィンリィエド機械鎧のビスを渡そうとエドを探し、エンヴィーとグラトニーはエドの行動を監視しており、さらにブラッドレイ大総統が「異国の臭いがする!」と車で巡回していた。(笑)

3者の衝突で起こる戦い、よく分からなかった!(笑)

 エドとアルはスカーに追い込まれた。エド「神の代理人が医者の命を奪ったのか?命を助けられた直後に!」とスカーの復讐を批難した。これをウィンリィが聞き、飛び出してきて、スカーの前に立った!「貴方が父母を殺したの!父母を返してよ!」と叫んだ。スカーは「その通りだ!君が撃つなら俺も手を出す。憎しみの連鎖は留まらん!」とウィンリィが警護官が落とした拳銃を拾うのを待っている。エドは「お前の手は人を救う手だ!銃を放せ!頼むから撃つな!」と声を上げた。ウィンリィは「仇なのに!」と泣いて拳銃を放した!ここでの本田さんの演技はよく感情が籠ったものでした。この作品のなかで一番のシーンでした。

スカーが怯んだところをアルが攻撃し、スカーを追い込んでいった。リンはグラトニーと戦っていたが、大総統が現れてリンに挑んできた。ランファンが爆弾を投げてこれを援護した。大総統が眼帯を外し「こちらの目が生きている」とランファンの腕を切り落とした。このときリンは大総統の目の下の紋章を見た。

リンはランファンを背負って逃げた。「捨てておけ!」と言う大総統に、リンは「部下を見捨てて去るはリーダーにあらず!」と言い返した!

アルはスカーを下水道の入口に追い込んだ。エドも駆けつけた。そこにグラトニーが追ってきてスカーを襲った。リンが現れグラトニーの口に爆弾を入れて仮死させ、エドが鉄道から鉄縄作りグラトニーを束縛、確保した。スカーは姿を消した。グラトニーは大佐預かりとなった。

マスタング大佐の配慮でランファンはノックス医師の手術を受けた。大佐も「強い兵士だ!」と駆けつけていた。大佐が「軍の上層部はホムンクルスに繋がっているのでは?」と疑うと、リンが「大総統の目の下にホルンクルスの紋章があった」と証言した。大佐は「ブラッドレイ大総統をその椅子から引きずり下ろす!」と口にした。

グラトニーが目覚め、大佐に「あんたがラストを殺した!」と怒りを露わにした。エドが訪ねるとホークアイ中尉が小銃を分解して手入れしながら、イシュヴァールせん滅戦の残酷さを目にしたマスタング大佐とヒューズ中佐佐藤隆太)が交わした言葉を紹介した。蓮佛さんの銃の分解結合の手つきがいい。かなり練習したように見えました!

大佐は「このせん滅戦はリスクが大きすぎる、間違っている!」と言えば、中佐が「おまえが将来テッペンを取れ!」と勧めた。大佐は「生き延びてこの国を変えられなかったら、俺を殺せ!」とホークアイ中尉に語ったという。

スカーの居場所が掴めない。アルが肩にパンダのシャオメイを乗せて町を歩いていると、シャオメイがメイを見つけた。メイはシャオメイを連れてスカーの元に連れて行くのをアルがつけた。スカーは廃ビルに潜んでいた。

夜、メイがビルを出た後、エドが踏み込みスカーと対峙した。スカーは廃ビルを破壊して攻撃してきた。ここに大佐とホークアイ中尉、ウィンリィが駆け付けた。ウィンリィが「何で私の父母を殺した」とスカーに近づき、「父母が生かした命、意味がある!」とスカーの腕の傷を治療した。スカーは面食らった!

スカーは「謝っても変わらん!許してもらう気もない!ただ、すまんかった」と言った。

そこにグラトニーが乱入。エンヴィー馬に化けてやってきた。グラトニーが大佐に挑みかかり、大佐は脚を怪我した。次にウィンリィを追うが、スカーが逃がした。

エドは怪我した大佐とウィンリィホークアイ中尉に託して、車で逃がした。すると、グラトニーはエド、リン、エンヴィーを飲み込んだ!アルが泣いた!

グラトニーの腹の中、出口が見つからない。エンヴィーが「ここには真理の扉があるが失敗作だ。誰もここから出れない、みんな死ぬんだ。ひとついいものを見せてやる」と巨大なトカゲに形を変えた。グラトニーは「間違えた」というが、誰の指図でこんなことを・・。

感想

スカーの復讐劇を通して、現軍事政権によるイシュヴァール民族のせん滅という残酷な圧政が明らかになり、今なおこれを巡る事件が継続していることが明らかになり、この問題にエドたちが絡んでくる。前作では描かれなかった物語の壮大性に浸ることができ、「その解決は如何にあるべきか」を描いてくれました。

まさにウクライナとロシアの戦いに問われる問題、よい時期に公開となりましたね!

スカーは何度もエドらに挑み傷を負い、スカーに両親を殺されたウィンリィの憎しみに耐える姿を見て、自分も復讐した気持ちに耐える姿勢に変化していくプロセスがしっかり描かれ、作品としての使命はしっかり果たしていると思います。この作品、韓国の人にも観て欲しい!それには多くの日本人が見る必要がありますね!(笑)

本作は前作に比して、登場キャラクターが増えて、各段とアクションシーンが多くなっています。それはそれで楽しめるのですが、CG主体でまるでアニメを観ている感じ。低予算で作らねばならず、その苦労は大変だったと推察します。その分、身体を使ってセリフをしっかり喋り感情を表現した、映画としての“ハガレン”を観たい!セリフが生きていない!これがこの作品の評価を落としていると思います。

新田さんのスカー演技には納得しました。しっかり体が作られ、セリフもアクションもよかった。しかし、笑とはいえ、若い人のふざけた演技はこの作品に合わないし、雰囲気が出ていない!

現軍事政権におけるブラッドレイ大総統とマスタング大佐らの対立、さらにホムンクルスと政権の対立が明らかになり、「最後の錬成」にうまく繋がったと思います。エドマスタング派の錬金術師としてアルとともにホムンクルスとの闘いに参加、勝利して賢者の石を手にする。おそらくこれとは違った結末があるかも?と期待しています。必ず観に行きます!

               ***