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「オールド」(2021)死の恐怖に晒されるが、その結末に唖然!

スリラー映画の名手と呼ばれるM.ナイト・シャマラン監督作です。といっても初めてお目にかかります。WOWOWで鑑賞。

異常なスピードで時間が流れ、急速に年老いていくという不可解な現象に見舞われた一家の恐怖とサバイバルを描いたスリラー。

伏線がうまくつながり、ラストで「あっ!と驚く結末。もう一度見直しが必要となるような作品でした。結末を知らないで観ることをお勧めします。

 監督・脚本:M・ナイト・シャマラン原作:ピエール・オスカル・レヴィー、フレデリック・ペータース「Sandcastle」。撮影:マイク・ジオラキス、編集:ブレット・M・リード、音楽:トレヴァー・ガレキス。

出演者ガエル・ガルシア・ベルナル、ヴィッキー・クリープス、チャールズ:ルーファス・シーウェル、イーモン・エリオット、エリザ・スカンレン、エンベス・デイヴィッツアビー・リー、ケン・レオン、アーロン・ピエール、ニキ・アムカ=バード、M・ナイト・シャマラン、他。


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あらすじ(結末抜き):

カッパ一家が、3日間の予定で製薬会社の経営するリゾートホテルにやってきた。申し込みは博物館員の妻・プリスカ(ヴィッキー・クリープス)によるもの。夫婦はプリスカの希望で離婚することになり、これが夫婦としての最期の旅行だった。保険数理士の夫・ガイは、離婚に反対だったが、妻の意思を重んじて決断した。夫婦には長男・トレント(6歳)と長女・マドックス(11歳)がいた。

ホテルに着くと、玄関で、マネージャーの丁寧な歓迎挨拶を受け、ドリンクをサービスされて、部屋に案内された。部屋に着くと「ホテルの浜では子供は遊泳禁止」と聞かされる。トレントすぐにマネージャーの甥・イドリブと仲良くなり、絵文字で会話するようになった。

マネージャーから「特別サービス」だとして、「秘境のプライベイトビーチ」を勧められ、「子供を泳がせられる」とカッパ一家は参加することにした。このときロビーで、黒人婦人がてんかんで倒れるという、ちょっとした騒ぎがあった。

このころ、ビーチにはひとりの男が海に入っていく金髪女性を見つめていた。

(この突飛な映像はなんとかならなかったのかな!)

ツアーにはカッパ一家のほかに、チャールズ一行が加わり、車で秘境入口まで送られた。出発時、トレントは別れを惜しむイドリブから絵文字の手紙を受け取っていた。チャールズ一行は心臓外科医のチャールズ(ルーファス・シーウェル)、彼の母アグネス(キャスリーン・チャルファント)、美人妻のクリスタル(アビー・リー)、6歳の長女・カーラの4人。

ビーチへの出発にあたってガイが与えられた食料がやたら多いので運転手(M・ナイト・シャマラン)に質問すると、「子供が沢山食べるから!」と教えられた。

いかに伏線がうまく繋がるかを提示するため、物語の出だしをすこし泥濘に書いてみました。

ビーチに着くととても美しいビーチだった。ガイとプリスカの間には会話もないが、トレントはカーラと仲良しになった。マドックスはラッパーのミッドサイズ(アーロン・ピエール)を見つけて興奮していた。かくれんぼで、トレントが洞窟内の海水に浸かってると、金髪女性死体が流れてきた。

 海辺は大騒ぎ!チャールズが、鼻血を流して男・ミッドサイズに「お前が怪しい!」と疑ったが、彼は強く否定した。そのとき、母親のアグネスが心不全で亡くなった!チャールズがいきなり「お前のせいだ!」とミッドサイズの顔をナイフで斬りつけた。チャールズには神経疾患があった。しかし、顔に傷があるはずなのに無い!

ここに「遅れたが、来たぞ!」とロビーで“てんかん”を起こした黒人女性パトリシア(ニキ・アムカ=バード)と彼女の介護師ジャリン(ケン・レオン)がやってきた。

プリスカが苦しみ出し、腹部に腫瘍が発見され、ガイの指示でチャールズが執刀して取り出した。メロン大の腫瘍だったが、傷がすぐに癒えていた。

金髪女性の遺体が骨になっており、プリスカの治験から30年経過していることが推測された。美人のクリスタルの顔にしわが出来、彼女が衝撃を受けた。

チャールズの精神が狂ってきて、遂にナイフでミッドサイズを殺害した。

ガイの推測で、時の進みは30分が1時間、1日は50年、ほぼ一生に相当するのではないかと分かってきた。

トレントとカーラが16歳になっていて、カーラが妊娠しどんどんお腹が大きくなっている。クリスタルは精神混乱で逃げ出し、マドックスとプリスカで生まれる子を取り上げたが、死産だった。あまりにも早い成長が求められ、これに赤ちゃんが追いつけなかった。カーラの精神がおかしくなっていく。

脱出のための救助を求めると、水泳に自信があるジャリンが海に泳ぎ出した。また、カーラが「何の記憶もなく死ぬのは嫌だ!」と絶壁を登って脱出しようとするが、墜落して亡くなった。

マドックスも脱出して救助を求めようと海に泳ぎ出し、ジャリンの遺体に出会い引き返した。

パトリシアがてんかんの再発で亡くなった。クリスタルは、醜い姿を見られるのが嫌で洞くつに逃げ込み、複雑骨折で動けなくなり亡くなった。狂ったチャールズがガイとプリスカをナイフで襲ったが、プリスカが錆びたナイフでチャールズに傷をつけ、これがもとでチャールズが亡くなった。

残されたのはカッパ一家だけとなった

老いたガイとプリスカ。ガイが「本当のことが言えなかったが君がつき会っていた男は悪いやつだった。それでも君が好きだった」と告白すると「私は自分が赦せなかった。あなたを愛していた」とプリスカも本音を明かし、ふたりは元の仲のよい夫婦に戻っていた。ガイが眠るように亡くなると、これを追うようにプリスカもなくなった。このシーンは泣けますね!

両親を見送ったトレントとマドックス。マドックスはここで最期を向かると砂で家をおもちゃの家を作っていた。そのときトレントはイドリブがくれた手紙を思い出し、取り出して読んだ。そこには「叔父は珊瑚が好きでない!」とあった。トレントは珊瑚群が管の役割をしてくれ、この中を抜ければ老化する力を受けないで脱出できるのではないかと考えた!

ここからは伏せます!

感想

突然、分けわからず人が亡くなり、精神がおかしくなって人に斬りかかる、斬ったはずなのに傷がない。そのうち1日が50年間に相当する速さで時間が進んでいることが分かっての不安!死にたくないと足掻く精神的に追い込まれ、最期にはこれを受け入れて死を待つという心境。怖い!そして諦観!よく描かれていました。

結末を知ると、急速に年老いるというSFが実話っぽくなり、死の問題を真剣に考えます。この結末こそが本作の面白さだと思います。

 人は長い時間を掛けて死を受け入れていくが、常に死と向き合っていることを忘れている。何時死んでもいいようにその日をしっかり生きること。愛、絆こそが死の恐れを排除してくれると教えてくれます。

スリラー好きの人には、急速に年取っていく設定にもやもや感が残り、気にいらないかもしれませんね。

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