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「ソー:ラブ&サンダー」(2022)作風に当初戸惑ったが、ソーの再生物語に感動した!

クリス・ヘムズワースがマーベルの人気キャラクター“ソー”を演じる「マイティ・ソー」シリーズの第4弾となるアクション・アドベンチャー大作。

 ナタリー・ポートマン出演ということで大変期待していました。

 サノスとの激闘の後、“ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー”の仲間とともに地球を離れ、宇宙で自分探しの旅を続けるソーの前に、全宇宙の神々殲滅を誓う“神殺しのゴア”が現れ、再び壮絶な戦いに身を投じていくさまを描くというもの。

 監督:タイカ・ワイティティ脚本:タイカ・ワイティティ、ジェニファー・ケイティン・ロビンソン。原作:スタン・リー、ラリー・リーバー、ジャック・カービーマイティ・ソー」。製作:ケヴィン・ファイギ撮影:ショーン・マウラー、編集:メリアン・ブランドン。

 出演者:クリス・ヘムズワースクリスチャン・ベールテッサ・トンプソンジェイミー・アレクサンダータイカ・ワイティティラッセル・クロウナタリー・ポートマン、他。

 ナタリー・ポートマンは新生マイティ・ソーとして登場するという。何故、どうやってマイティ・ソーになった。ギャラクシーの面々と旅をしているソーの今後の生き方も気になる。


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あらすじ(ねたばれ:注意):

冒頭、荒れた土地で娘を抱くゴア(クリスチャン・ベール)。敬虔な神の信者であったがこのざま。娘が亡くなり、豪華な食べ物にありつく黄色い鎧の神に出会い、苦境を訴えるが聞く耳を持たない。激怒するゴアに、神のもつ剣(ネクロソート)が「すべての神を殺せ!」と憑りついた。物語はここから始まる。

 サノスとの激闘の後、“ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー”の仲間とともに地球を離れ、宇宙で自分探しの旅を続けるソー(クリス・ヘムズワース)。要請に応じて戦いに参加していた。とある星でストームブレイカーを振りかざして「俺が終らせる!」と派手に戦うヒーローの仕事に熱中していた。平和になったお礼にと王から2頭の山羊がプレゼントされた。山羊は船を曳かせて空を飛べる北欧神話に出てくる山羊だった。

 このころジェーン・フォスター(ナタリー・ポートマン)は癌に苦しんでいた。ステージ4でもはや治療法がないという状況。彼女はなんとか乗り越えたいとバイキング神話を呼んで、ムショルニアのエネルギーが有効であることを知った。さっそくニュー・アガルトを訪れ、ソーが姉・ヘラとの闘いでムショルニアが崩壊した遺跡を見学していて異変が起きた。

 アガルトの崩壊で地球に脱出して作ったニュー・アガルト。ここでは王となったヴァルキリー(テッサ・トンプソン)が大活躍。観光事業に力をいれて、インフィニティ公園で舞台劇「ソーのアガルト物語」が上映されていた。姉・ヘラとの格闘、ムショルニアが崩壊するシーンが上映されていた。この演者が豪華で驚きました。()

 ギャラクシーのところにかって共に戦ったアガルトの戦士・シフ(ジェイミー・アレクサンダー)から救援要請が入った。ソーは「最低の男と思われたくない!」とギャラクシーと別れた。コーグ((声:タイカ・ワイティティ)と一緒にシフのもとに急いだ。傷を負ったシフが「ゴッド・プチャーに襲われた、次はニュー・アガルトだ」という。

 ニュー・アガルトの夜、突然ゴアが現れネクソートで闇のモンスターを放った。これを部屋から見ていた少年・アクセル(ヘルムダルの子)がいた。

ソーとコーグが駆け戦っていると、馬で駆けつけたヴァルキリーが加わった。そこにムショルニアが現れ、ソーが掴もうとするが仮面をつけ自分と同じ格好の女性戦士のところに逃げる。()仮面を外すとなんとジェーン(マイティ・ソー)だった。ふたりは結婚していたが、お互いに仕事多忙でうまくいかなりジェーンが手紙を残して去っていったらしい。この話、初めて聞いた!()

 マイティ・ソーの出現で、コーグは逃げたが、多くの子供が攫われていた。その中にアクセルがいた。ソーストームブレイカーを投げてアクセルの世界に入った。場所は影の国、必ず救い出すことを約束して戻ってきた。

 子供救出には軍隊が必要と、神の国オリンピアに立ち寄り兵を借りることにした。神の国へ山羊の曳く船で飛んだ。マイティ・ソーは「死を覚悟で戦う」という。

 オリンピアでは全国の神を集めての集会が開催されていた。ソーたちは変装して集会に参加。神の王・ゼウス(ラッセル・クロウ)に軍隊の借用を申し出たが、「お前は誰だ?」と全神の前で全裸にされて身体検査を受けた。()「自分の国は自分で守れ!お前のせいで世界がパニックになる」と断られた。この話、耳に痛い話だった。()

 頭にきたヴァルキリーの合図でゼウスとの闘いになり、ゼウスの持つ剣(キングボルト)でコーグがバラバラにされた。コーグの首を背負ったヴァルキリーが大奮闘、キングボルトを手に入れて闇の国に山羊の曳く船で移動。船の中からソーがアクセルに「お前らは勇敢な子たちだ!団結しろ!」とメッセージを送った。ソーはストームブレイカーに、ムショルニアとは終わっていると、ビールをかけた。()

ソーはジェーンに「今を生きたい!一緒にいたい!」と告白した。ジェーンは癌であることを打ち明けた。ソーは一緒に戦おうとキスをした。

 闇の国は闇だった。モノクロで映し出される()闇の中で子供たちを探した。ゴアと対峙した。ゴアはマイティ・ソーに「痛みを剣で癒しているか?俺と同じだ」と、ソーには「愛の痛みは抜けぬ!俺と同じだ」と言葉を投げかけ、「ここでは剣はぬけぬ」と自らのネクロソードを地面に立てた。景色が一変!ソー、マイティ・ソー、ヴァルキリー対ゴアの戦闘が始まった。ヴァルキリーが傷つき、マイティ・ソーが力を失い、一度撤退することにした。

 入院治療中のジェーンをソーが見舞い「ムショルニアは無理だ!寝ていろ!」と声をかけると「諦められない!」という。ソーは「愛している!やり直せる!」と励ました。ヴァルキリーは腎臓をやられたと言い、キンダーボルトを渡した。

 ソーは戦場に戻った。ゴアが待っていた。ネクロソードを地面に立て、闇のモンスターを呼びよせた。ソーは捕らえられていた子供たちにストームブレイカーを近づけ、「アスガルドの子供、武器を抜け!」とそのエネルギーを与えた。子供たちがモンスターを倒していく。ソーはゴアと一騎打ち!ソーが窮地に落ち入ったところに馬に乗ったマイティ・ソーが現れ、ムショルニアを投げつけるとゴアが逃げ出した。

 湖に立つ大神の前のゴア。「失うものはもうない!ここで止めよう!」という。ソーは「お前の願いはラグナログ(国家の崩壊)でなない!」と受け入れた。そのときマイティ・ソーが苦しみ始めた。ソーは「ジェーンと一緒にいたかった」と抱き泣いた。これを見ていたゴアが「私も死ぬ、娘がひとりになる」と叫んだ。ジェーンが「ひとりにはさせない!」と答えた。ジェーンは「ムショルニアを握ったときもうひとつの自分を貰った。ありがとう、いつも心を開いて!」と空へと消えていった。

 ソーはゴアの娘・ラッセルを「ふたりは戦士だ!」と引き取った。これをラブ&サンダーと呼ぶんだそうです!

感想

鑑賞の動機は「笑ってやろう!」でしたので、「面喰らった!やられた!」という感じ。しかし、「4作目、こうするのが当たり前え!」とタイカ・ワイティティの奇策を楽しみました。

 エンドゲーム後のソーの喪失感。これをどう埋め、この先にソーがどう生きていくのか。これを描くのは当たり前!お笑いのソーでは困ります!()

“ラブ&サンダー”、ジェーンとの愛の完成、ジェーンの最期を見届けたソーのこれからの生き方。彼女の願いで引き取ったゴアの娘・ラッセルへの愛。とても感動的でした。

これからのマーベル物語を面白くするでしょう。ワィティティ監督は次の作戦計画を立てている、マーベルを背負うぐらいの気持ちがあるとみました。

 この作品はお笑い作品ではないが、テーマ「ラブとサンダー」が生かしながら、沢山笑えるシーンもありました。どこかとぼけたところがある。()コーグの崩壊と彼の首を掛けて戦うヴァルキリー、ソーとフォスターの痴輪喧嘩!ゼウスの言い草、ソーの全裸姿に笑いこけた、戦闘シーンが面白い!ストームブレイカーとムショルニアの戦い!等々。

 ナタリー・ポートマン演じるラブロマンスをたっぷりと楽しみました。これだけで見た価値があります。()筋肉をしっかりつけてムショルニアを振るい滅茶苦茶に強かったが、そのことで体力が限界に至り、ソーに愛の言葉を残して去るという演技、最高でした。ステージ4のガン患者が、最期の思い出に、自分の身を愛する人に捧げるという作品、あまり見たことない!この逆が多い。

ワィティティ監督やったな!と思いました。

 ゴアを演じるクリスチャン・ベール、ゼウスを演じるラッセル・クロウ、名優とはこういうものかと、脚本だけでなく自ら役を研究し、説明のいらない、説得力のある演技を見せてくれました。

 ヴァルキリー役のデッサ・トンプソン。ニューアスガルドの王として、スーツ姿でてきぱき働く姿、戦士としのすばらしいアクションを見せてくれますが、常にソーとジェーンの愛の成り行きを見守るという、愛にあふれた演技が印象的だった。コーグの質問「好きな人いるか?」に「いない!」と即答する、寂しさが感じられる表情がいい。好きなキャラクターだけに大活躍を期待したい。

 ソー役のクリス・ヘムズワース、しっかりビルドアップして見事な体型でした。これだけでも大変!冒頭のストームブレイカーを振りかざして両股開きでギャングに襲いかかるコミカルな演技から、ジェーンに出会い、彼女の愛を受け止め深みの男へと変化していく演技、タイトルにふさわしい演技でした。

 この作品、どこかスターウォーズ」っぽい!監督はスター・ウォーズ」に挑戦することが決まっていて、撮影中にポートマンに「スター・ウォーズ」に出たことあるかと聞いたといいます。()きっと、頭は「スター・ウォーズ」のことで一杯だったんでしょう。アクションはアベンジャーズのような派手さはないが、ユーモアがあって、色彩が豊で、ちょっぴり「アナ雪」風で、楽しめます。

 神話に、女性の活躍、セクシュアリティ、神(牧師)の幼児誘拐など現在の問題を絡め、今の物語と感ぜられところが面白い。今回は子供の活躍シーンも多い。子供さんに観せてあげて欲しい、きっと喜ぶでしょう。

 全く初めて観る人にはソーの世界感が分かり難いかもしれません。最小限、ワィティティ監督の前作「マィティ・ソー バトルロイヤル」(2017を観ておくことをお勧めします。

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