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「ブレット・トレイン」(2022)ウエスタン風「マリアピートル」だが、デビッド・リーチらしくとても面白い!

原作は伊坂幸太郎さんの大べストセラー小説「マリアピートル」。公開に先立ちNHK「ニュースウオッチ9」で本作主演のブラッド・ピットが「日本のコンテンツのさらなる可能性がある」と語っているのを聞いて興味を持ち、鑑賞することにしました。

https://www.nhk.jp/p/nw9/ts/V94JP16WGN/blog/bl/pKzjVzogRK/bp/pmR4Pnlv83/

原作は未読ですので、原作とは比較はできませんが、映画としてどう楽しめるかなと挑んでみました。

監督:デッドプール2」「ワイルドスピード/スーパーコンボ」のデビッド・リーチ、脚本:ザック・オルケウィッツ、撮影:ジョナサン・セラ、美術:デビッド・ショイネマン、衣装:セーラ・イブリン、編集:エリザベット・ロナルズドッティル、音楽:ドミニク・ルイス。

出演者ブラッド・ピットジョーイ・キングアーロン・テイラー=ジョンソン、ブライアン・タイリー・ヘンリー、アンドリュー・小路、真田広之マイケル・シャノン、バッド・バニー、ザジー・ビーツ、ローガン・ラーマン福原かれんサンドラ・ブロック、他。

物語は

いつも事件に巻き込まれてしまう世界一運の悪い殺し屋レディバグ(ブラッド・ピット)。そんな彼が請けた新たなミッションは、東京発の超高速列車でブリーフケースを盗んで次の駅で降りるという簡単な仕事のはずだった。盗みは成功したものの、身に覚えのない9人の殺し屋たちに列車内で次々と命を狙われ、降りるタイミングを完全に見失ってしまう。列車はレディバグを乗せたまま、世界最大の犯罪組織のボス、ホワイト・デス(マイケル・シャノン)が待ち受ける終着点・京都へ向かって加速していくクライムアクション。

伊坂作品は複雑な展開を見せながらすべてが繋がって結末を迎えるところにカタルシスがあるらしい。確かにありました!しかし、どこまで正確にストーリーを捕らえきれたか?(笑)

テーマは「運命!」登場人物の好運、不運が絶妙なプロットで語られ、運命とは何かを感じさせてくれる作品でした。

ワイルドスピードの監督、真田広之さん出演ということで、“らしい”結末でした。(笑)


www.youtube.com

あらすじと感想(ねたばれ:注意):

病院のベッドに眠る息子ワタルを見守るキムラ(アンドリュー・小路)。TVでは動物園のヘビが盗まれたというニュースが流れていた。

キムラの父エルダー(真田広之)が花を持って見舞に訪れ、「肝心なときにお前はいなかった」と父親としての責任を叱責して出ていった(どこへ)。

不運につき纏われるレディバグ。マリア(サンドラ・ブロック)から「コードネームはレディバ。ブリーフケースを盗む!」の連絡に「やる気十分だ!天道虫は、好運を呼ぶ!」と東京駅に走る。木村も東京駅に向かっていて、レディバグにぶつかったが、互いに気付くことはなかった。

レディバグは駅のコインボックスから睡眠薬や火薬など必要なものを取り出すが、拳銃はいらないだろうと持たなかった。

超高速列車“ゆかり号”に乗り込み、車掌から「ひと駅だな!」とチケット点検を受けて、すぐにブリーフケースの捜索開始。すぐあとをキムラが乗車してきた。キムラは「すいません」と女生徒(プリンス:ジョーイ・キング)の隣席に座るといきなりスタンガンで睡眠状態に。

レディバグはレモン(ブライアン・タイリー・ヘンリー)とタンジュリン“タンジュリン”(アーロン・テイラー=ジョンソン)の席を通って車両後部の荷物ラックを調べると容易にブリーフケーを見つけ、これで楽勝と思った。

レモンとタンジュリンの会話、何人殺したか?15人か16人かと現場回想シーンが入る。16番目はリーチ監督だった。(笑)ふたりの関係は分るが、結構長いこのエピソードのどこを見るのか分からなかった。(笑)

レディバグが席に着くと、隣のレモンから「ホクイラズヌか?ビビるよ!」と声を掛けられた。(笑)レディバグは「楽勝だ、見つかった!」とマリアに連絡した。

タンジュリンが「ブリーフケースは?」とレモンに聞く。すると前席の男(サン:ローガン・ラーマン)が「お前らの命は親父しだいだぞ!」と声を掛ける。そこに「それで仕事は終わりだ!」と電話が入った。タンジュリンが「ブリーフケースがない!」と言い出す。

レディバグはケースを持って車両の出口位置に立っていた。ドアーが開くといきなり白い服の男(ウルフ:バッド・バニー)が立ち塞がる。・・・

キムラが目を覚まし「女王か?」と聞くと「あんたキムラ?私はプリンス」。

そこに病院から「息子の名は?」と携帯に電話が入った。「ワタルよ」とプリンスが答えた。電話のトリックも凄いよ。

レモンがこの仕事の意義をタンジュリンに語る。「雇主はロシア人で日本のヤクザ組に入り、親分を追い出して組を仕切る“白い死神”。決してしくじらないから俺たち二人は選ばれた」と。こんなエピソードがランダムに入ってきて、この席にいる3人とブリーフケースの関係が明らかにされるという展開。タンジュリンが「さすがだ!お前はきかんしゃトーマスだ」と感心する。(笑)

キムラが「あんたの雇い主は白い死神か?」とプリンスに聞くと「白いブリーフケース預けて分かったの!」という。「どうやって彼を殺すんだ!」と聞くと「定刻で列車は走っている」という。キムラは列車の外を見ながら・・・。

レモンとタンジュリンがケースを取り戻そうと探し始めた。サンが「プラン変更だ!」と呟いた。

突然という感じで、ウルフとは何者か?のエピソードが入って来る。小さい頃から腕っぷしが強くヤクザに入って頭角を現したが、結婚式に毒を盛られ部下を失い、落ち目になったというエピソード。これを謀ったのがレディバグ?よく分からない。(笑)

品川駅、

ウルフが電車に乗ってきた。電車内でウルフとレディバグの格闘が始まったウルフは自分が投げたナイフが、レディバグが防護に使うブリーフケースに跳ね返されて、これが胸に刺さり亡くなった。これが運命ということ。(笑)

レディバグはウルフに眼鏡を掛けさせ酔っぱらいに見せて食堂車の席に座らせ、隣でビスケットを食べながら、次の停車駅を待っていた。

横浜駅

レディバグはブリーフケースを持って降りようとすると、レモンがドアーの側で見張っていた。こいつにヨハネスブルグで撃たれた男だと思い出して逃げた。また降りるチャンスを失った。不運だ!そのときモモもん人形にぶち当たり、ブリーフケースを持ち去られた。

モモもんを追ったが、前の車両に逃げ込まれドアーが開かない。マリアに「下車できず・・・」と報告した。マリアから「メキシコの結婚式よ、死神」と知らせてきた。その先で、タンジュリンが携帯で「息子とブリーフケーは必ず守る」と報告していた。タンジュリンが捜索に出て行った。

レディバグは食堂車にいるレモンに近づき「ヨハネスブルグのこと覚えているか」と切り出すと「知らない!」という。(笑)レモンが「ブリーフケーを盗んで逃げる計画はディーゼルお前だ!」という。(笑)ふたりは殴り合うが隣の婦人に止められた。(笑)やってきたパーサー(福原かれん)からお茶を買って、眠り薬を入れてレモンに渡した。写真を撮ってマリアに報告した。「双子?」とマリア。

席に戻り眠っている男の顔を見て死神の息子だと分かり、マリアに報告した。毒ヘビが近づいてくるので逃げた!

タンジュリンはレモンが食堂車で眠っているのを見て席に戻り、サンの服を剥ぐと毒ヘビが出てきた。サンは亡くなっていた

プリンスはキムラをトイレに誘う。キムラが銃を突きつけると「天敵!空気読んで!」と。そこにエルダーからキムラに「なぜワタルをひとりにした。隣に誰がいる?」と電話が入った。プリンスは「鍵開けて!」とブリーフケースを置いて出て行った。

タンジュリンがレモンの席に来て「何やっていた」!と喧嘩が始まった。タンジュリンの携帯に「次の駅で息子とケースを持って降りろ!」と連絡が入った。

静岡駅

タンジュリンがレディバグにケースを持たせ、車の中からレモンが死体のサンの手を振ることにして、ホームに立った。これで灘を逃れた。(笑)

タンジュリンが席に戻るとレモンが「例の男がいるぞ!」と話すと「先ず撃て!それで相手が分かる」と注意した。

キムラがブリーフケースの鍵を開けることに成功。出てきたのがドル束だった。プリンスがやってきて、「死神は3回も札束に触った」とブリーフケースに爆薬を仕掛けた。キムラは「俺にやらせるのか?」と聞いた。(笑)

トイレの中に毒ヘビが近づく。プリンスが「同じ毒が使われる!いつまでトイレに入っているの、出なさい!」。「ホーネットがこれで殺すのか、俺は楽ちんだ!」とキムラ。

レディバグがトイレのドアーを開けると、そこにタンジュリンが立っていた。(笑)掴み合っていると、タンジュリンに「降りろ、ふたりを殺す」とメールが来た。

名古屋駅

レディバグがレモンの代わりになって、タンジュリンとケースを持ったレディバグがホームに降りた!列車発射の瞬間に飛び乗って灘を逃れた。(笑)車内でケースが開くと大人のおもちゃだった。(笑)

レディバグとタンジュリンの戦い続く。遂にレディバグがタンジュリンを車外に蹴りだした。

レモンがキムラとプリンスを見つけて拳銃を向けた。レモンの感でキムラを撃った。レモンとプリンスはキムラを引きずってトイレに隠した。(笑)この後、レモンはプリンスに3発撃ち込まれた。

蹴りだされたタンジュリンが必死に列車にすがり、運転席のウインドウを割って車内に戻ってきた。(笑)バックに流れる曲が「時には父のいない子は・・・」。笑った!

列車の中。モモもんが近づいてくる。縫いぐるみを取ると乗務員姿のホーネットだった。レディバグがホーネットに注射器で襲われたレディバグがこの注射器をもぎ取って逆にホーネットを刺した!さあどちらが倒れるか?30秒後にホーネットが亡くなった。レディバグは血清を打っていた。(笑)マリアに報告すると「任務完成は目前よ!」と伝えてきた。

車内に戻ったタンジュリンはレモンの亡骸に泣いた。死神に「ここにきて自分でやれ!」とメールした。死神から「京都で待っている!全車、俺の貸し切りだ」と返事してきた。そこにプリンスが現れ、タンジュリンを撃った。居合わせたレディバグはプリンスから「敵は同じよ!」とブリーフケースを託された。

米原駅

エルダーがホームにいた。プリンスが「降りない」と言い張るので、レディバグは「俺は運が悪い」と降りるのを止めて、プリンスに付き添った。毒ヘビがレディバグに巻き付く。トイレに入って便器に押し込んだ。(笑)

エルダーがプリンスのバッグから携帯を取り出して見た。非通知の文章!

お前がワタルをビルから突き落とし、監視させていた男を斬ったのか?」とプリンスに迫った。プリンスは「彼は役に立たない!」と答えた。そきに「息子は生きている」と携帯に電文が入ってきた。これを聞いてプリンスがバッグを持って逃げていった。エルダーが「みんなあの子に利用されただけだ。追うな!運命が決める。俺は妻を殺された白い死神が狙っている」と言い放って、「お前のものだ、もって行け!」とレディバグにブリーフケースを渡した。キムラを探すとトイレの中にいた。キムラは手帳が弾を受け止めていて、無事だった。(笑)

レモンが目を覚ました。3発の銃弾は防弾チョッキが受け止めていた。(笑)

京都駅

ホームには死神(マイケル・シャノン)とその配下。列車が着くと「娘!」と死神がプリンスに近づいてきた。レディバグがブリーフケースを持って降りた。プリンスが「本当の自分になる!」と死神に拳銃を向けた。

死神は「人生に偶然はない!反抗するやつは全員殺す!だから全員集めて殺す!妻殺しのカーバーも」と言い放ち、ブリーフケースを開けた!爆発!!激しい斬り合いになった。

レモンがきかんしゃトーマスになって(笑)列車を発進させた!(逆行)(笑)下り超高速列車と正面衝突!列車がそのまま京都の町になだれ込んだ。(笑)途中でレモンは鉄橋上から川に脱出した

エルダーと死神が一騎打ち!エルダーが切り裂いた。そこにプリンスが駆け付け「父の後を継ぐ!」と宣言。すると猛烈スピードのトラックが突っ込みプリンスは亡くなった。エルダーは「天道虫だ!」と叫んだ!(笑)トラックの運転手は誰だ?

闘いが終って、マリアが現場にやってきた。マリアが「これは教育よ、腹痛のカーバー(ライアン・レイノルズ)の代役だったの」と言う。これも運命か!(笑)

感想

面白くて止らない、「ブレット・トレイン」風感想になりました。(笑)

沢山のキャラクターが登場し、巧みに伏線を貼り、過去のエピソードを挟みながら展開する物語、どう繋がってくるのかと頭がおかしくなるほどに混乱してきます。(笑)

高速鉄道車内の「ブリーフケースを盗んで運ぶだけ」の任務が、次々とレディバグに不幸が襲いかかり、下車駅が先送りにされる。停車駅ごとに、章を区切るように、物語は整理され、米原駅でエルダーが乗り込んでくるあたりから一気に“すべての伏線が繋がり”京都の大乱闘に繋がるという展開。混乱したストーリーだっただけに、爽快な結末でした。この映画の醍醐味でしょう。

この面白さ「ナイブズ ・アウト/名探偵と刃の館の秘密」(2019)に匹敵しますね!(笑)

ハリウッドで作ってよかった。伊坂作品がすごいことになりますよ!

キャストが多いということで、キャラクターに切れが要求されますが、とてもうまく作られていました。すぐ覚えられる!(笑)前段ブラッド・ピット、後段真田広之、そしてブライアン・タイリー・ヘンリーで締めた。全編にわたってミステリアスだったジョーイ・キング。みなさんの演技がみごとだった。カメオ出演も面白かった。が、サンドラ・ブロックのナレーション&ちょい見せ役は裏切られたという感じ。(笑)

会話劇というのもこの作品の特徴気の利いたセリフに笑いました。特にレモンとタンシュリンのずっこけバディ。ブライアン・タイリー・ヘンリーの「きかんしゃトーマス」のキャラクターをぶち込んだ演技が楽しませてくれました!キャラクターに合わせた音楽というのがユニーク。

リーチ監督作だけにアクションはすばらしい。しかし、列車の衝突などCGシーンは予算不足のようでしたが。(笑)

何度も死にそこね最後に笑ったレモン。一番順調だと思ったプリンスの最後。いくつもの登場人物の運命を見せてくれました。いつも不運だというレディバグが見出した運命論、「向かわざるを得ないもの」。「不運も見方によっては幸運に思える」が自然に受け入れらます。しかし、正しいことをしていれば必ず報われると信じたいですね!

原作をそのまま受け入れ、日本のユニークさを前面に出そうとした作品はたしてそれがうまく出たかどうか。原作者の伊坂さんが「とにかく面白かった」と認めていらっしゃる。権利を日本人に渡さなかったのはスケール感にあったのだろうと推察。

おかしなところがあるというより、日本人の運命論に始まって、風景、風俗など日本をこういう風に見るのかと楽しみました。芸者と寿司シーンがなくて、ポップで水洗便器シーンがやたら出てくるなと笑いました。新幹線としないで日本高速鉄道としたところに妙味があったように見受けました。なにはともあれ日本のコンテンツが世界に発信されたことを喜びたいと思います。

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