「ブラック・クランズマン」のスパイク・リー監督が撮ったデビッド・バーンのライブショー「アメリカン・ユートピア」。
スパイク・リー監督がトランプ大統領治世下にこのタイトルで撮るとどうなるか?デビッド・バーンと言われても理解できない音楽音痴の私が、この作品を選んだ理由です。(笑)
監督:スパイク・リー、撮影:エレン・クラス、編集:アダム・ガフ、振付:アニー・B・パーソン。
出演者:デビッド・バーン、ジャクリーン・アセベド、グスタボ・ディ・ダルバ、ダニエル・フリードマン、クリス・ジャルモ、ティム・ケイパー、テンダイ・クンバ、カール・マンスフィールド、マウロ・レフォスコ、ステファン・サンフアンス、アンジー・スワン、ボビー・ウーテン3世。デビッド・バーンからライブの中でメンバーの紹介があります。
ライブで歌われる曲
- Here
- I Know Sometimes a Man is Wrong / Don't Worry About the Government
- Lazy
- This Must Be The Place (Naïve Melody)
- I Zimbra
- Slippery People
- I Should Watch TV
- Everybody's Coming to My House
- Once in a Lifetime
- Glass, Concrete and Stone
- Toe Jam
- Born Under Punches (The Heat Goes On)
- I Dance Like This
- Bullet
- Every Day is a Miracle
- Blind
- Burning Down the House
- Hell You Talmbout
- One Fine Day
- Road to Nowhere
感想:
トランプ大統領の登場で分断されていくアメリカを憂えての作品、“繋がろう” その先に“自由なアメリカ“がある、これがテーマ。これほどにテーマに徹底したライブは珍しいのではないでしょうか!メンバーはブラジル、フランス、コロンビア等の移民からなり、ミュージシャンが舞台の上で少しずつ増え、ラストで会場を訪れた全員が繋がる演出になっています。
テーマ“繋がる”を表現した全員が裸足で統一された灰色のスーツ姿。シンプルな舞台装置(ほとんど何もない)で、照明の演出は極力抑えられ、パフォーマンスはパントマイムや前衛パフォーマンスの要素も取り入れたシンプルなもので、常に舞台を“自由に動ける”よう電線を使っていない。
しっかり歌を聞き感じる演出になっています。
冒頭01曲で、バーンが脳模型を抱えて、「赤ちゃんの脳の神経細胞の繋がりは大人より多く存在する。成長するにつれ減る。残った繋がりでどんな人間になるのかが決まる。独自の視点が形成され、周りの世界が見えてくるといろいろな疑問が湧き自分に問いかけてくる。私は何者か?私の望みは?どう生きるか?」、ここから始まり、20曲の「行き先のない旅に指図は受けない、笑い者にならない、日々成長する!」で終るライブ。ユートピアのためどう生きるべきかを問うています。
イブを終え、カジュアルなダウン・ジャケット姿に変えて自転車でニューヨークの街に繰り出すメンバー。自由で明るいアメリカが描かれ、爽快です。
強いメッセージ性のある歌詞を聞いても理解するには難しいが、次曲に移る際の簡潔なバーンのトーク、詩の中にこれはというキーワードで、軽快なリズムに乗り、曲の世界に誘ってくれます。
04曲の「家こそ私が家に居たい場所、金でなく愛のために」
06曲の「銃をしまえ!簡単なことだ!」
08曲の「肌は地図だ!皆が家に来る」
12曲の「僕はただ息がしたいだけ!」
15曲の「毎日が奇跡、毎日が未払いの請求書」
17曲の「好きなものが手に入る、俺は家を焼き払う!」
18曲に入る前のバーンの解説、これがクライマックス曲で最もスパイク・リーらしいメッセージです。
「ジャネール・モネイの曲、全人類に向けた曲、レクレイムだ!理不尽に倒れた命を弔う!革命の歌だ!」
19曲「自分と向かい合って考える!我々には希望がある」
20曲、メンバーたちがマーチング・バンドさながらに場内を練り歩き、観客と繋がって歌い上げる。
小鳥の囀りで始まり、小鳥の囀りで終る本作。爽やかで、このライブそのものがユートピアでした!
エンデイングで “若い者は選挙に行け!”と促されます!(笑)
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