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「仁義なき戦い 広島死闘篇」(1973)ぶっ飛んだ熱量で描く恋と暴力のやくざドラマ!

1973年1月東映により同タイトルで映画化されて大ヒット作となり、94年にかけて全5作のシリーズ作品の第2作目です。一作も見ていないので今回が初見となります。

観る理由は、原作が飯干晃一さんだからです。飯干さんは今話題の統一教会から娘さんを取り戻したお父さん、きっと骨太の正義が描かれていると期待してのチョイスです! 第2作を選んだのは予科練かぶれの男の物語だから!

監督:深作欣二脚本:笠原和夫撮影:吉田貞次、音楽:津島利章編集:宮本信太郎。だから

出演者:菅原文太金子信雄名和宏成田三樹夫北大路欣也小池朝雄遠藤辰雄、川谷拓三、千葉真一加藤嘉梶芽衣子、他。


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あらすじ

広島、終戦直後から駅前の縄張りをめぐって対立していた博徒の村岡組とテキ屋の大友連合会は、一時休戦状態を続けていたが、昭和27年、村岡組が広島競輪場の支配を独占したことに端を発し、再び抗争へと突入していった。

「若い血潮の予科練の」と予科練の歌を嘯く山中正治北大路欣也)は博奕に奔り、やくざを傷つけた罪で2年服役していたが、仮出所で娑婆に戻ってきた。服役中に山中は同じく服役中の広能(菅原文太)に目を掛けられていた。

山中が大衆食堂で無銭飲食し、店の主人・靖子に「働いて返させてくれ!」と交渉中、居合わせた大友勝利(千葉真一)一派によって袋だたきにされた。靖子は村岡組長の姪だった。ここでの千葉さんの暴れっぷりがいい。(笑)

これが縁で村岡組長の舎弟・高梨(小池朝雄)に面倒を見てもらいことになり、靖子とも結ばれた。この時に村岡の施してくれた恩が山中にとっては生涯忘れられないものとなった。

靖子は、海軍軍人の夫を特攻で失い、子持ちの未亡人だった。村岡はふたりの仲を知って激怒し、中山を九州飯塚の竹原親分に預けた。が、そこでの山中の働きを見て「使える!」と呼び戻し、正式に村岡組若衆とした。

昭和30年村岡が新設の競輪場警備を請け負ったことが発火点となり、大友連合会との抗争が激化していった。大友連合会長の息子勝利は、旧態依然としてテキ屋で甘んじてる父に見切り、村岡の兄弟分の時森勘市を抱き込み、博徒大友組を結成して村岡組の事務所を襲撃した。

壮絶な戦いだったが組長の村岡は、幹部の松永弘(成田三樹夫)や山中の働きで一命をとりとめた。時森は呉の広能組長(菅原文太)が預かることになった。そこに山中が時森を迎えにきたことで、広能は「広島で渡す」と約束したが、時森が勝利のところに逃げ出したため射殺した。村岡組長と大友連合会長の話し合いで大友組は解散となり、勝利は関西に逃れた

こうして事態は当座静まり、山中は組長から許されて靖子と生活を楽しんでいたが、村岡に呼び出され単独で勝利の息がかかった者の処分を命じられた。山中はこの任務をやり遂げたが、身代わりはなく殺人罪で逮捕され無期懲役刑で刑務所に収容された。

これを契機に広島に戻っていた大友勝利が村岡組に報復を宣言した。

 刑務所の山中。後から入所してきた高梨(小池朝雄)から「組長は靖子を嫁がせるためにお前を警察に売った」と聞かされ、「騙された!」と脱獄し村岡の家に押しかけると、そこに靖子がいた。「なぜ刑期まで我慢できん!」と叱責する組長に山中は深々と頭を下げた!若頭の松永弘(成田三樹夫)に「靖子は諦めろ!」と諭され、「刑務所には帰りたくない、組長のため勝利を倒したい」と申し出て、靖子には何も語らず事務所から消えた。

勝利は山中の隠れ場所を吐かせようと村岡の子分・岩下 (川谷拓三)を壮烈なリンチの末に殺害した。岩下の遺体と対面しているところに大友組が車で殴り込みをかけてきた。これには市民の怒りが爆発し、警察が一斉取り締まりに動くことになった。

勝利は「競輪場を狙う」と配下に指示し、組頭の中原(室田日出男)と小便に出たところで、山中と遭遇。中山の拳銃が勝利の左脚をぶち抜いたが、勝利の配下に追われ民家に逃げ込んだ。勝利は逮捕され無期懲役となり抗争事件は終わった。

警察は山中を追うことになった。山中は呉に広能を訪ね身の振り方を相談しているところに、村岡組長から「高梨が保釈された、俺とどちらが正しいか腹を括っておけ!」と連絡があった。直ちに、山中は高梨の家に赴き、女と寝ていた高梨を拳銃で射殺した。

若頭の松永に高梨射殺を報告すると「高梨の喋ったのが本当だ!」という。山中は呆然となり外に飛び出し、そこで警ら警官に遭遇、追われることになった。山中はある民家に逃げ込んだが、警察の包囲網が狭まってくる中で、拳銃自決を図った。靖子は山中に会いたがったが叶わなかった。

感想

あらすじがややこしい!(笑)仁義のないヤクザの喧嘩はめんどくさい、「なんでこんなバカな大人たち」と思ったが、ぶっ飛んだ千葉真一さんの「おどりゃ!おどりゃ!」と喚く殴る熱量の高いドラマだった!(笑) もうひとつが予科練かぶれの男の恋物語

山中は、組長にうまい具合に使われ、それでも裏切らず組長のために働き、お廻りに囲まれ、これが最後と悟り、誰にも迷惑をかけないよう自分を始末した。この死に様に、ヤクザ世界に日本人の純真さ、予科練魂が残っていたかと感動しました。靖子との愛がむなしかった!この時代がよく写し出されていましたが、この時代を経験してない人には理解できないかもしれませんね!

山中を演じる北大路さんは目が輝いていて、純真さがしかり見え、適役だと7思いました。

これに対し大友勝利を演じる千葉真一さん。劣勢勢力で村岡組に喧嘩を売る勝利だけに“ぶっ飛んだ暴力演技”で魅せてくれます。

ところが当初北大路さんと千葉さんの役は逆だった。北大路さんの申し出で役を交換したとか。千葉さんには大きな決断が求められたと思いますが、今から思うと「やってよかった!」。これで世界に通じる役者になりましたね!こういう気概が感じられる演技でした。

靖子役の梶芽衣子さん。清楚で覚悟のある女性を演じ、「やくざ映画には見栄えのする女性がいないとダメだ」と思いました!(笑)

見せ場は切った張ったのアクション。役者さんの演技は勿論ですが、カメラの動きも面白く、血が飛び散る修羅場が生き生きと描かれ、その熱量に「よくやる!」と圧倒され笑いが出るほどです! 川谷拓三さんがリンチされるシーンは目を覆いたくなります。川谷さんの名演技だったんですね。(笑)

最後に山中が拳銃で自殺する結構長いシーン、に対する深作監督の拘り。頭を撃ち抜くのではなく拳銃を咥えて引き金を引く。監督は「日本軍の自決はこうだ!」と譲らなかったとか。(笑)これが正しいかどうか分からないが、リアルを追求する監督の熱意が伝わってきます。この熱意が作品全体を覆い、熱気のあるヤクザ映画だった!

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