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「シェルブールの雨傘」(1964)この結末に言葉はいらない!戦争の悲劇を見事に描いた作品!

 

名作中の名作の!本作、実はまだ観ていなかったということでこの正月、WOSOWで取り貯めていたものを観ました。

こういう名作につまらない感想など書くなとお叱りを受けること覚悟で書きます!(笑)

監督・脚本ジャック・ドゥミ撮影:ジャン・ラビエ、編集:アン=マリー・コトレ、モニーク・テッセール、音楽:ミシェル・ルグラン

出演者:カトリーヌ・ドヌーブ、ニーノ・カステルヌオーボ、アンヌ・ベルノン、マルク・ミシェル、他。


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あらすじ:

物語は3つの部から成っています

第1部 旅立ち 1957年11月

フランス北西部の港町シェルブール。20歳のギイ(ニーノ・カステルヌオーボ) は自動車修理工でエリーズ伯母(ミレーユ・ペレー)の世話をしていた。16歳のジュヌヴィエーヴ(カトリーヌ・ドヌーブ)は傘屋の娘で美しい母エムリ夫人(アンヌ・ベルノン)に厳しく育てられていた。ギイはジュヌヴィエーヴとのデートの時は幼馴染のマドレーヌ(エレン・ファルナー)に伯母の面倒を見てもらっていた。ギイとジュヌヴィエーヴは結婚を誓い合った。

ふたりは将来石油スタンドを経営したい、そして子供、男の子ならフランソワ。女の子ならフランソワーズを持っていたという夢を持っていた。しかし、エムリ夫人はふたりは若過ぎるし、ギイに生活力がないと反対だった。

ある日、ギイにアルジェリア戦争の徴兵令状がきた。ふたりは一夜を共にして、2年の兵役を終えて結婚することを固く誓って、ギイは戦場に発った。ジュヌヴィエーヴはギイの乗った列車が消えるまでホームで見送った。

第2部 不在 1958年1月

ジュヌヴィエーヴはギイからの手紙を待つが2カ月たっても来ない。彼女は妊娠していた。ジュヌヴィエーヴは大きな不安を抱えるなかで、店に大きな税金が課せられたと母エリム夫人が苦しみだした。ジュヌヴィエーヴの勧めでエリム夫人はネックレスを宝石商に売ることにした。宝石商では所望の値では引き取ってもらえなかったが、そこに居合わせたパリの宝石商カサール(マルク・ミシェル)が引き取ってくれることになった。

約束の日、サールがエリム夫人の店にやってきて金を渡し、ジュヌヴィエーヴに恋していることを告白した。母エムリ夫人の勧め、子供の面倒は見るというカサールの言葉に、ジュヌヴィエーヴはカサールと結婚し、エムリ夫人とともにロンドンに去った。

第3部 帰還 1959年3月

ギイは2年の兵役を終え帰還したが、シェリプールにジュヌヴィエーヴの姿はなかった。彼は酒と娼婦に溺れた。そんなギイを心配するエリーズ伯母が亡くなった。悲しみのどん底にある彼を支えたのがマドレーヌだった。ギイはエリーズ伯母の残した遺産でガソリンスタンドを始め、マドレーヌと結婚した。ふたりは睦ましい夫婦となり長男が生まれ、フランソワと名付けた

エピローグ

1963年12月のある雪の降る夜、マドレーヌと長男フランソワがクリスマスのショッピングに出かけているところに、一台の車がガソリンを補給にやってきた。ギイが車に近づくとジュヌヴィエーヴと女の子が車内にいた。ギイは店の中にジュヌヴィエーヴを誘った。

ジュヌヴィエーヴは「いい店ね!エリム夫人の勧めで娘を連れて久しぶりにここにやってきた。幸せ?」と聞いた。ギイは頷いた。「娘フランソワーズを見る?」と聞かれたギイは断った。ジュヌヴィエーヴは「じゃ!」と去って行った。そこにマドレーヌとフランソワが外出から戻ってきた。ギイがふたりを抱き締めた。

感想:

全編、会話が歌で語られるという物語。これミュージカル?と戸惑いました。

しかし、何度も繰り返される主題歌がすばらしく、シーンごとに変わる室内の壁や傘家具の色彩、登場人物のファッションの美しさ、さらにドヌーブの美しさに魅入り、ストーリーに飽きることはなかった。

ラストのジュヌヴィエーヴとギイの6年振りの再会、この出会いに震えました。

第2部でジュヌヴィエーヴが結婚した以降は全く描かれず、第3部で帰還したギイが悲観の中から立ち直り幸せな生活を持った中でのジュヌヴィエーヴとの再会。

そこに現れたジュヌヴィエーヴは立派なファッションと落ち着いた言葉使いだか、子供はギリとの娘フランソワーズしかいない。決してジュヌヴィエーヴは幸せとは言えない中でのふたりの再会。ふたりは言葉少なに、お互いの今を受け入れて、ジュヌヴィエーヴが去って行った。ふたりにとってこれしかない再会と別れ方が圧巻でした。

戦争の悲劇を見事に描いた作品だと思いました。

このラストシーンを描くのに、くどくど言う言葉はいらない全編、会話が歌で、バックの曲で感情が伝わればよいと納得しました。まるで大人のお伽話のようでした。

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