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「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」(2022)奇抜さに面食らったが、今の世界に一番大切な結末だと納得!

第95回アカデミー賞に作品、監督、脚本、主演女優ほか10部門11ノミネートされた作品とのこと。さらにA24作品で製作にルッソ兄弟が関わっているということで、観ることにしました。劇場には結構入っていましたから、みなさん興味があったんだと思います。さて、どんな感想だったかというと味のある作品でした。(笑)

監督・脚本ダニエル・クワンダニエル・シャイナート。初めてお目にかかりました。ということで面食らいました。(笑)撮影:ラーキン・サイブル、編集:ポール・ロジャーズ、音楽:サン・ラックス。

出演者:ミシェル・ヨー、ステファニー・スー、キー・ホイ・クァンジェームズ・ホンジェイミー・リー・カーティス、タリー・メデル、ジェニー・スレイト、他。

物語は、

カンフーとマルチバース(並行宇宙)の要素を掛け合わせ、生活に追われるごく普通の中年女性が、マルチバースを行き来し、カンフーマスターとなって世界を救うことになる姿を描いた異色のアクションアドベンチャー

経営するコインランドリーは破産寸前で、ボケているのに頑固な父親ゴンゴン(ジェームズ・ホン)と、いつまでも反抗期が終わらない娘ジョイ(ステファニー・スー)、優しいだけで頼りにならない夫ウェイモンド(キー・ホイ・クァン)に囲まれ、頭の痛い問題だらけのエヴリン(シェル・ヨー)。

いっぱいっぱいの日々を送る彼女の前に、突如として「別の宇宙(ユニバース)から来た」という夫のウェイモンドが現れる。混乱するエヴリンに、「全宇宙にカオスをもたらす強大な悪を倒せるのは君だけだ」と驚きの使命を背負わせるウェイモンド。そんな“別の宇宙の夫”に言われるがまま、ワケも分からずマルチバース(並行世界)に飛び込んだ彼女は、カンフーマスターばりの身体能力を手に入れ、まさかの救世主として覚醒。全人類の命運をかけた壮大な戦いに身を投じる。(映画COMから)

マルチバースへの転移スピードと、ストーリーの奇抜さに面食らい、笑いこげて魅入った!どうしてこうなるの?など考えていたら映像について行けない。物語が展開するにつれ「作品が訴えたいのが何か」が掴め、ラストでそれを確認できる達成感のある作品でした!


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あらすじ&感想(ねたばれあり:注意)

冒頭コインランドリー屋のワン家の朝食シーンから物語が始まります。妻エヴリンは食事の準備、そして洗濯ルームの維持・管理にふりまわされるが、夫ウィモンドの動きがなんとなくエヴリンの足手まといになっている。父親のゴンゴンは起きてきて“めし”と頑固おやじを連想させ、足手まとい。

そこに入れ墨のある娘ジョイが同性愛者のベッキー(タリー・メデル)を連れて帰ってくる。家族がジョイの生き方を認めないため、ジョイは怒って帰って行った。今日は納税申告の日で、英語が出来るジョイに期待していただけに、エヴリンはがっかりした。

エヴリンは中国人移民として苦労し、ウィモンドと駆け落ちで結婚し、この店を始めてここまでにした。ジョイを大学に行かせ、ここでの生活を少しでも住みよいものにしたいと思っていた。夫と父の態度にも不満がある。コインランドリー事業が不振となり、エヴリンの気持ちも荒んできて、何処かに逃げたい、ジョイの生き方は許せないという気持ちがあった。

こんな環境の中で、納税申告に「疑義がる」と国税庁に呼び出され、説明を求められた。

ここから目まぐるしいマルチバースを巡る物語が始まります

エヴリン、ウィモンド、車椅子のゴンゴンが19階の取調室に急いだ。ところがエレベーターの中でウィモンドが「自分は同階の用具室で待機している」と言い、デバイスが渡された。

エヴリンが税務官のディアドラ(ジェイミー・リー・カーティス)により、提出した領収書の細かい点検が始まった。デバイスのスイッチを入れるとウィモンドが「俺はアルファーバーストにいる」と(映像で)現れ(笑)、口を出す!(笑)「資料に不正がある」と判定され、再申請ということになった。

エヴリンが部屋を出ると用具室にワープ。このときウィモンドが離婚届けを落とした。エヴリンがこれに気付き、「そういうことだったの」と怒った。ウィモンドはいつもの“夫”ではなかった。用具室にやってくるディアドラを見て「戦え!」という。エヴリンが彼女を殴ると、応援の職員が駆け付けてくる。ウィモンドが口紅を出して食べ(笑)、ポーチをウンチャクして華麗なカンフー技で、こいつらをことごとく沈めた。(笑)そして「宇宙の悪のリーダー:ジョブ・トウバキが世界を苦しめる。君は強い女性だった。ここは君の宇宙だ。どこのバースにもアクセスできる。トウバキがやってくる!」と指示し、ふたりでここを去った。

用具室での騒ぎがニュースで報じられた

エヴリンが部屋に戻ると、夫がディアドラと対峙し、指を紙で斬って自殺いようとしていた。(笑)夫はディアドラに捕まり投げ飛ばされた。

夫は「結婚しなければよかったかもしれない」という。エヴリンは夫の勧めで、夫のいない世界に住んでみたいとカンフーの世界にジャンプし、カンフーを学びあっという間にスターになった。ミシェル・ヨーの御年61歳にしてこの演技、観惚れました!

ジョイがエレベータから豚をつれでやってきた。これならデブに見えない(笑)メイクはガンクロメークでプロレススタイル!(笑)ステファニー・スーが現れるとその雰囲気だけで笑えた。

襲いかかる警官を大きな男根で叩きのめす。男なんぞいらないというジョイ (笑)この強さにエヴリンは“ジョイがトウバキだ”と知った。エヴリンが「あんたはまだ許さないよ!」と言えば、「彼女来るよ!」と煽る。エヴリンがボクシングで挑もうとしたら、お漏らで、次のバースにジャンプした!(笑)

BC100万年、人類の進化過程で大きな変化が起こった世界ソーセージの世界にジャンプした。(笑)エヴリンの腕がソーセージ状態で使えない。(笑)ジョイも一緒だった。殴り合いにはならない。ジョイが「私をどうするの?」と言い、「自分の人生が消える、ブラックホール”ベーグル”に消えるみたいだと消えた。

父がエヴリンを訪ねてきて、「お前がトウバキを作った、殺せ!」という。エヴリンは「やらない!私は強くなった。助けてやれる」と反論した。

下半身裸の警官、お尻にレプリカを突っ込んだ財務庁職員がセクハラまがいに襲ってくる。(笑)エヴリンはこの戦に勝ち「私がトウバキを倒す!」と覚悟した。

歌手になる世界にジャンプし呼吸法を学び肺活量を強化したが、ジョイを捜していて車に跳ねられ、鉄板焼きのセフになるバースにジャンプした。ここではナイフの使い方を学んだ。

国税庁局への報告が迫り、ジョイを追った

ジョイがベッキーとコインランドリーバースにやってきた。このときとばかりにジョイを追うと、アニメの世界、人形の世界と逃げ込み、ここで戦った。(笑)そして白い衣装の世界、ブラックホールベーグルの世界にやってきた。ジョイは「同じことを感じたからここに連れてきた」とエヴリンにいう。

春節のお祝いが始まった。エヴリンはコインランドリーバースにジャンプした。財務庁が差し押さえにきていた。「ここが大嫌いだった」とバットで店のウインドウをぶち破り、洗濯機を破壊し、ぶっ倒れた。するといろいろな世界が目に入り、生物が発生しなかった世界、岩となった世界にジャンプした

ジョイもいた。ここなら喧嘩にならず母娘の会話ができる。ジョイが「ファック、全部経験した!」と告白して、ハハハとふたりで笑った。母親にしかできない話だった。

ふたりはブラックホールベーグルの世界に戻った。ふたりで手を合わせ、バーゲル形を作ってこの世界に入ろうとしたが・・・

コインランドリーバースでエヴリンはディアドラに手錠を掛けられたが、夫の謝罪で手錠が外された。夫が「すべては自分に責任がある。一緒にこの仕事をやりたい!」とエヴリンに謝った

ブラックホールベーゲル世界のジョイとエヴリン。ジョイが「まだ引き返せる!」という。ふたりは指を絡ませ、ここから消えた。

コインランドリーバース。エヴリンがディアドラの首を絞めたが、夫に止められ、ふたりはベンチに座り、ソーッセージの世界で話し合った。

コインランドリーの世界が財務庁職員に荒らされるが、父ゴンゴンが懸命に止めた。エヴリンは父のこの行為に「傍にいて欲しい!」と謝った。父が逃げようとするジョイを止めた。

エヴリンは「まだブラックホールドベーグルの世界がいいの?」とジョイを抱きしめ、「太らないでね!」「新しい世界があんなに小さな世界よ!私を理解してくれる世界で一緒にいたい!一緒に居たいときはいつでもおいで!別々に住んでもいい!」と説得し、家族と和解させた。

家族全員で国税庁に出向き資料を提出して、問題はないと認められた。

感想:

そうとう混乱したあらすじになっています(笑)これほどにカオスな世界でした。そのために「何が言いたいのか」と答えを探すことになり、わかり易い、良い結末でした。

中国移民のワン家族の苦悩、就中ジョイの「この世界はもうどうでもいい」という虚無思想、これによる暴力行動でした。これは経済や人種・性差別に苦しむ今の世界の大問題。ネット社会、コロナ禍がさらに増幅させている。

母の愛、華族の絆でこの危機を乗り切るという結末。「新しい世界があんなに小さな世界よ!私を理解してくれる世界で一緒にいたい!」というエヴリンの平凡な答ですが、この答えに気付くにはこれほどのエネルギーが必要だと訴えた作品でした。

下ネタが多い笑いの作品でしたが、“糞の笑い”の中に隠れたメッセージがあるという蘊蓄のある作品でした。

ミシェル・ワンの華麗なカンフー演技に酔いましたが、ひようきんこの上ないステファニー・スーの演技がお気に入りです。行きたい世界は岩の世界とソーセージの世界です。アカデミー賞、これは期待しないです。(笑)

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