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「俺たちに明日はない」(1967)タイトルがすばらしい、虚無感で銀行強盗。その時代を活写し、時代を先取りした作品だった!

 

大恐慌時代のアメリカに実在した強盗カップル、ボニーとクライドの破滅的な青春を描き、アメリカン・ニューシネマの原点となった傑作犯罪映画。

アメリカン・ニューシネマ”といわれても何のことだか分からず、恥ずかしながら、NHKBSで鑑賞しました。

「エブエブ」がアカデミー賞作品賞を含む7部門受賞という快挙の中でこの作品を観て、「エブエブ」も本作と同じように時代を超えたメッセージを持っているのではないかと感じ、受賞を機にもう一度観る必要があると思っています!

ということで、本作、アメリカン・ニューシネマなどという言葉は知らなかったですが、時代を活写し、時代を先取りした作品であったと、映画のすばらしさを味わいました。

監督:アーサー・ペン製作:ウォーレン・ベイティ脚本:デビッド・ニューマン ロバート・ベントン撮影:バーネット・ガフィ、音楽:チャールズ・ストラウス。

出演者:ウォーレン・ベイティフェイ・ダナウェイジーン・ハックマン、マイケル・J・ポラード、エステル・パーソンズデンバー・パイル、他。

物語は

1930年代のテキサス。退屈な日常に飽き飽きしていたウェイトレスのボニー(フェイ・ダナウェイは、刑務所帰りの青年クライド(ウォーレン・ベイティに興味を抱き、彼が食品店を強盗する姿にすっかりほれ込んでしまう。それ以来行動をともにするようになった2人は、盗んだ車で各地を移動しながら銀行強盗を繰り返していく。やがてガソリンスタンドの店員C・W・モス(マイケル・J・ポラード)やクライドの兄バック(ジーン・ハックマン)とその妻ブランチ(エステル・パーソンズも加わり、5人組強盗団として世間から注目を浴びる存在となるが……。


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あらすじ

カフェの仕事で朝遅く目覚めたポニー。窓から男が母の車を物色しているのを見た。捕まえると、「強盗で2年間服役していたが刑務所を出たばかりだ、足の指2本折っているから仕事はない」という。ポニーが「本当にやるの?」というとクライドは拳銃を持って雑貨屋に入り金を持って戻ってきた。

追ってくる店の親父を後に、そこにあった車を盗んで車を発進した。ポニーはこんなクライドが気にいって、車の中で誘ったが「俺は出来ないんだ」と断る。ポニーは呆れて「家に送って!」というと「お前はそんな女でない、何かがある。俺と一緒だ!カンザスやミズリーへ行こう!こんな生活から抜け出せる!」と誘われ、クライドにつき合うことにした。

農家の空家に泊まった。そこで出会ったのが家財道具満載の車の農夫。彼が「銀行の取り立てで土地を失った」と嘆く。このあたりの世情は映画怒りの葡萄」(1939)にしっかり描かれている。クライドは「銀行を襲う!」と決めた

ポニーの運転で出発。クライドがひとりで田舎の小さな銀行を襲ったがすでに倒産していて金がなかった。(笑)食料店で万引きしようとして男に襲われ、ふたりは恐怖を味わった。(笑) ガソリンスタンドで車を点検した。頭は弱そうだが丁寧に仕事をする男・モスを「銀行をやるどうだ!勇気があるか!」と誘った。

その夜、空家に泊まった。クライドはポニーが求めたが抱かなかった。(笑)

次の日。クライドとポニーで銀行を襲った。モスが車で待機!小心者のモスは車を銀行出入り口にはつけられず離れて駐車していた。銀行出たクライドとポニー、車に乗り遅れ、警備員に追われ、全く撃つ気は無かったがクライドが警備員を射殺した。三人は映画館で休憩。クライドはポニーをナジッタ!

その夜のモーテル、クライドはポニーに「顔を知られてないから帰れ!」と勧めたが、ポニーは拒否した。クライドはポニーを抱こうとしたが駄目だった。そんなクライドをポニーは受け入れた。  

クライドの兄ベックが「出所祝いに」とモーテルに訪ねてきた。ベックは牧師の娘ブランシュと結婚していた。クライドは兄に「ミズリーで銀行強盗をやろう」と誘った。ブランシュはクライドとポニーを信用できない人と捉えたようだった。ベックは「この仕事は始めたら、止められないらしい」と酒の味を覚えた農夫の女の話をした。(笑)

5人の銀行盗賊団は幾つもの銀行を襲いいずれも大成功で、豪華な家を買った。これにはブランシュも大満足だった。

食材配達員に怪しまれ、家を警官隊に襲われ、銃撃戦となった。警備員を殺害、泣き叫ぶブランシュ。5人は車で逃走を図った。途中、新聞で「進出鬼没の銀行大泥棒、クライド!」記事を読んだ。

トイレ休憩のため湖の森で停車したクライドたちの車をテキサスレンジャーのハマー隊長がつけていた。気づいたクライドが背後から撃とうとしたが止め、「新聞に載せる」とハマーと一緒に写真を撮って、その後ヘマーを殴って気絶させ、小舟に乗せて湖に押し出した。

5人は銀行を襲った。預金にきている農民の金は獲らなかった。農民は大喜び!追って来る警察とのカーチェイスオクラホマへ逃げ込んだ。そのころハマーが、記者会見をしていた。

5人は、ポニーが会いたがるので、ポニーの家族を牧場に呼び出し、母親に合ったクライドは「ポニーを守る、景気がよくなったらこの仕事やめ、近所に住む」と心配する母親に話すと「ポニーはここにいては危険だ」と言い、追い返した。

クライドたちはここを離れ、人里離たれモーテルに泊まっていた。顔を知られていないモスとブランシュが食料を買いに街の雑貨店に入った。男がモスのズボンに拳銃が入っているのを訝り、警官に連絡した。ふたりは警官に追跡され、モーテルが発見された。

警官隊がモーテルに来たことを検知した5人は激しい銃撃戦の後、逃走を図ったが、ベックとブランシュは捕まった。ベックは瀕死の重傷、ブランシュは目をやられていた。

クライドたちは車を盗み、これで農民たちのキャンプに逃げ込んだ。クライドとポニーと知って農民たちが食べ物を恵んでくれた。

クライドとポニー、モスは、モスの名はまだしれてないと、彼の親父のところに

に駆け込んだ

クライドは「兄を殺した銀行泥棒」の新聞記事にみて怒り狂った。これを見たポニーの親父が警察にクライドとポニーを引き渡すことにした。ヘマーは入院中のブランシュに近づきモスの名前を聞き出し、モスの親父宅に近づいていた。

ポニーが「クライドの銀行泥棒物語」を書き、クライドが「これで伝説になる」と喜び、ふたりは情を結ぶことができ、将来に明るい希望を抱くようになっていた

 ふたりで食料店に出向き買い物を済ませ家に戻る途中で親父に呼び止められ、ドアーを掛けたところを張り込んでいた警官たちの十字砲火を浴び、あっけなく散った。

感想

ラストの待ち伏せしていた警官たちの壮絶な射撃でクライドとポニーが射殺されるシーン。この射撃の激しさもそうですが、「なぜこうまで激しく撃つか!」と警官に反抗したくなる。“社会への反抗“というテーマが全編に溢れた映画でした。

ベトナム戦争最中の社会不満を、大恐慌時代の銀行強盗の実話をもとに描き、不満を吐き出した作品。映画はその時代性が描かれていないと後世評価されない。すばらしい作品でした。

銃撃戦にカーアクション、銀行強盗、ラストでの何時警官隊が反撃くるかというヒヤヒヤシーン、結構笑いもあって楽しみの多い作品でした。

仕事をしたいが仕事がない、刑務所上がりでは尚更、これでは「生きていてもしょうもない」という虚無感で「銀行強盗に走る」というのは「エブエブ」の社会背景と同じ。今の時代にも生きている作品ではないでしょうか

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