アン・ハサウェイ、ピーター・ディンクレイジ、マリサ・トメイら実力派キャストの共演で、ニューヨークに暮らす夫婦の人生が、ある出会いをきっかけに変化していくさまを描いたロマンティックコメディ。
タイトルがロマンティックだ！そして3人の名優の出演。WOWOWで公開時、これで観ることにしました。監督のレベッカ・ミラー作品は初めてです。
原題はShe Came to Me。
ストーリーは平凡だが、名優を使ってキャラクターを生かしユーモアたっぷりに描く“自分の人生を見つける物語”で、女性監督らしい目線で描かれたタイトル「She Came to Me」にふさわしい作品だと思った。ところが邦題は「ブルックリンでオペラを」、これはおかしい？と思ったが、よくよく考えられた絶妙な邦題であったかと感心しています。(笑)
監督・脚本：レベッカ・ミラー、撮影：サム・レビ、編集：サビーヌ・ホフマン、音楽：ブライス・デスナー。
出演者：アン・ハサウェイ、ピーター・ディンクレイジ、マリサ・トメイ、ヨアンナ・クーリグ、ライアン・ダーシー・ジェームズ、他。
物語は、
ニューヨーク、ブルックリンに暮らす精神科医のパトリシアと、現代オペラ作曲家のスティーブンの夫婦。人生最大のスランプに陥っていたスティーブンは、愛犬との散歩先のとあるバーで、風変わりな船長のカトリーナと出会う。カトリーナに誘われて船に乗り込んだスティーブンを襲ったある事態により、夫婦の人生は劇的に変化していく。（映画COMより）
あらすじ＆感想：
パトリシア（アン・ハサウェイ）と、スティーブン（ピーター・ディンクレイジ）の夫婦、容姿から奇妙な夫婦に見えた。
パトリシアは夫を亡くし、息子の18歳の息子のジュリアン（エバン・エリソン）を連れてスティーブンと再婚。再婚の動機は語られないが、パトリシアがスティーブのオペラ曲に魅せられたからだと思った。
スティーブンは5年前に名曲を書いた以降、作品がない状態が続いている。そんな彼に財団理事長から曲の依頼が入る。スティーブンは製作に取りかかるがアイデアが湧いてこない。妻のパトリシアにセックスを求めるが拒否され、その上シスターに憧れ清潔好きで、スティーブンにとっては居場所がなくなっていた
パトリシアはスティーブンに「趣味を持ちなさい」と言い「自立しなさい」と犬との散歩を勧めた。
息子のジュリアンは16歳のテレザ（ハーロウ・ジェーン）と恋に落ち身体の関係もでき、ハーバード大学に進学しないと言い出す。テレザの母・マグダレナ（ヨアンナ・クーリグ）はパトリシアの家政婦ということもあり、テレザとの関係を解消するよう求めた。
スティーブンは飲み屋で、カトリーナ（マリサ・トメイ）に出会った。
彼女は曳船の船長、船中で生活していた。カトリーナは風変りな出で立ちで、まさかマリサ・トメイがと思える恰好だった。(笑)彼女は恋愛依存症でこの店に出入りしていた。
スティーブンは曳船に招かれた。船内で生活しながら日常品を運ぶ寂れた曳船。カトリーナもこの曳船も、外見で判断してはいけないが、スティーブンの雰囲気に合っていた。スティーブンはカトリーナの多彩に生きる生き方に惚れた。このふたりが一緒になることには違和感がなかった。うまい演出だと思う。
ふたりは曳船で結ばれた。スティーブンはカトリーナを愛してはいたが貧富や身分、容姿でどこか遠慮があった。それがカトリーナにはない。これらから解放され真の愛を感じた。
カトリーナとの出会いをオペラ曲にした。公演は大好評だった。
劇場に訪れたカトリーナは自分の物語に感動し、スティーブンをストーカーするが、スティーブンはこれを無下に断った。カトリーナは諦められなかった。
パトリシアはカトリーナの話しからスティーブンの浮気に感づいた。彼女は夢であったシスターになることを決意しスティーブンに告げた。スティーブンはいずれこうなるだろうと感じていた。
そこに、テレザの義父トレイ（ブライアン・ダーシー・ジェームズ）がジュリアンを性的不品行罪で訴えるという問題が起こった。
テレザの母マグダレナの夫を亡くし、テレザを連れて裁判所で働く法廷速記記者・トレイと再婚した。マクダレナはテレザの悩みを聞いてトレイに相談すると「テレザは16歳だからジュリアンを性的不品行罪で訴える」という。
テレザは性的不品行罪で訴えられたらジュリアンの将来が無くなるとパトリシアに相談した。傍にいたスティーブンが「結婚すればいい」と提案した。
ジュリアンとテレザは結婚すると決意、この年齢で結婚できる州を捜した。デラヴエア州なら可能だと分かった。ジュリアンはデラヴエア州に行く手段に悩み、スティーブンに相談すると、彼は「任せてくれ！」という。
スティーブンはカトリーナに会い、愛を告白して、デラヴエア行きを依頼した。カトリーナは受け入れた。
マクダレナ、テレサは上手くトレイを騙してカトリーヌの曳船に急いだ。ジュリアンとスティーブンも乗船した。
スティーブンはジュリアンとテレサの純愛物語をオペラにして公開した。美しいオペラだったが、ラストを悲劇にして見せた。これで観衆の涙を誘い大盛況だった。(笑)テーマを強調する演出が憎い！
会場には柔道女のカトリーヌの姿があった。マグダレナは自立への道を選んでいた。
まとめ：
ストーリーはシンプルだが、キャラクターが際立って面白く、そこに的確なキャステイングがなされ、ユーモアたっぷりだった。特にパトリシア、スティーブン、カトリーナがストーリーを際立たせていた。
スティーブンが小人のピーター・ディンクレイジで、美人で潔癖性のアン・ハサウェイが演じるパトリシアとはうまくいかず、風変わりなカトリーヌに合って真の愛を知り、愛のオペラを書くことが出来るようになった。これにジュリアンとテレサの純愛を絡ませ、“貧困や差別を乗り越えたそれぞれが自分らしい人生を見つける”という物語。
原題She Came to Meがまさにぴったりだと思う。邦画のタイトル「ブルックリンでオペラを」はダメかと云うと、これに代るものが見つからない。劇中のオペラシーンがことの他美しく、悲劇にしてテーマを強調しており、作品を観て分かる絶妙なタイトルだと納得。(笑)現代オペラの楽しさ、面白さを知る作品でもありました。
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