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「猫なんてよんでもこない」(2016)

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東宝シネマ
今年の映画は猫ブームと言われており、この作品が先陣を切って公開されましたので鑑賞です。心が温かくなる素敵な映画です
目のケガでプロボクサーの夢を絶たれた主人公のミツオ(風間俊介さん)が、家に転がり込んできた2匹の捨て猫“チン”と“クロ”の面倒を見るようになり、次第に生きる希望を見出していく姿が描かれています。なんたって杉作さんの人気漫画が原作ですから説得力があります。なぜ漫画として大ヒットしたか。元ボクサーと猫のかかわり、ボクサーであったがゆえに死なせた猫への悔しさを漫画にしたからです。猫を死なせた悔しさが限りない愛の物語となっていて泣けます。
猫を主役とした動物映画ですが、ここでは特にクロにミツオの人生がダブっていて、しっかり人間の物語として描かれています
 
よんでもこない猫、自分の都合でした動かない猫相手に、風間さんとスタッフは大変だったでしょう。それだけに、猫の行動が自由で、とてもリアリテイのある良い画になっています。猫と風間さんとの組み合わせがとても良かった思います(名演技です)。
 
猫の一生は短く、かならずその死に立ち会うことになります。死の立会にこそ、猫から飼い主へのメッセージがあり、猫を飼うことの意味があります。これを必ず受け取ること。猫を飼うなら、その死に立会しなさいと教えられたように思います。
 
物語は、
プロボクサーのミツオは、あと一勝のために全てを捨てて、ダメ漫画家の兄貴つるの剛士さん)のところに居候で、練習に励んでいる。ある朝、ジョギング中に道端に捨てられた段ボール箱に二匹の猫を見るが、猫嫌いな彼はこれを無視。ところが猫好の兄がこれを持ち帰り、雄の黒い猫をクロ雌の白黒猫は”女だから”チンと名付け、ミツオに世話を言いつける。俺は犬派と反発するが、猫たちが室内を走り回り、糞、小便を垂れ流すと、この始末に追い回される。こんな風景から、ミツオと二匹の猫の付き合いが始まります。
 
練習から帰って、牛乳を飲むと寄ってきて欲しがる、昼寝しようとすると布団の中に入り込む、うんこは踏まされるで、いやいやなんだけども、時間とともに折り合いがついて、なんとなく良い関係が出来上がってくる。会場では大爆笑でした。
 
お隣の大家さん(市川実和子さん)も猫の声を聞き駆けつけて、猫の飼い方を指南。「ぺろぺろ指を舐めるのは、お母さんと思っているから。この猫は捨てられて重いものを背負っているから舐めるのよ」と言う。彼は納得するが、他日大家さんが缶詰などの餌を持ってくると彼女の指をペロペロ、「これは何だ」と彼は・・・。
 
ボクシングの試合、風間さんのボクシングシーンはナチュラルに上手かったですが、負けました。帰ってくると猫がお出迎え。これは彼にとっては救いでした。医師の「網膜裂傷、ボクシングは駄目」の判定で、ボクシング人生を諦める。
 
兄貴の助手になり、「お前の漫画うまい、漫画家になればよかったな」と言われる。
猫の世話をしながら、時に絶望的になり、外に出て行く猫を見て、自分は捨てられるのではないかと猫を抱きしめると「アッタカイ!!」。
 
このころ、近所の猫たちが訪れるようになり、なかでもバロックというボス猫がカッコいい。クロにボス猫になれと特訓を始める。酒を飲みながら、自分がチャンピオンになれなかった憂さを晴らすように特訓、特訓。(猫に通じたかどうか?)
 
猫たちがいないので公園に。そこで可愛いメガネの女の子うめさん(松岡茉優イメージ 2
ん)に抱かれたクロとチン。うめさんは「この子のために避妊してください」という。
チンが居なくなったので、探すとバロックと一緒にいて、これは危ない、すぐに動物病院に。年に5~6匹生まれるから避妊手術したらと勧められ、経費は22.000円だという。兄から借りて処置した。
すると、チンは近所の猫に相手にされなくなり外に出なくなった。
この頃から、クロも変わってきた。傷ばかりして帰ってくるようになり、病院に。
遂に、兄は漫画家をやめ田舎に帰ることになり、二匹の猫は自分が面倒みることになるが、貯金通帳を見て不安になる。
 
バイクで仕事に。幼稚園の給食室でのアルバイト。ここであのうめさんに会う。栄養士さんだったんだ。
朝餌を与えて仕事に出る毎日。帰ると部屋のなかはとんでもないことなっている。帰りにうめさんと一緒になり、「避妊はやったの」と聞かれるが「チンはやった、クロはしてない」、「雄も去勢してください」と恥ずかしそうにうめさん。「あいつはボスになるんだ、今は手術できない」とミツオ。
 
そしてクロは本当にボスになった。クロがトカゲをもって帰ってきた。お礼かと思ったら、自分より下手な人に狩りを教えているということらしい。
 
うめさんに会うと雄は年中発情期があるからと相変わらず避妊を勧めるが、これを無視した。
 
ミツオは本格的に漫画を画き始め、懸賞漫画に応募するが不合格。しかし、クロでもボスになったんだから、俺は漫画の世界チャンピオンになると、漫画書きに没頭する。クロが邪魔して画いたものが駄目になり遂にバカ猫と怒鳴るが、クロの様子がおかしい。病院に連れて行くと「エイズに感染している」と言う。クロを背負ってバイクでの帰り、涙が止まらず、信号も分らないほどに自失茫然。くやしい! くやしい! くやしい!自分のミスだ。とうとうクロはボスの地位を失った。
 
漫画を画いた。投稿するも返事が来ない。諦めずそれでも画いた。ラーメンだけを食べてひたすらFAX の来るのを待った。
給食室でうめさんに大丈夫かと慰められ、帰ると部屋はうんこと小便でびしゃびしゃ。つかれてクロを叱る。と、ゴロゴロ喉を鳴らして指を舐める。ごめんな!! また、涙が出てきて。「ごめんなさい、去勢しなかったこと!!」(ここの猫の演技がすばらしいです)
クロが外に出た。久しぶりに散歩道を、懐かしむように歩いた。夕方戻ってくると横たわり苦しみ続けた。ミツオがずっとそばで体を撫で続けた。そして、死んだ。
チンがやってきてクロは物になったことを示した。
 
うめさんに会いクロが亡くなったことを伝えた。「そうでしたか」という彼女に「俺が悪いんだ、最初からあなたの言うとおりにしていたら、あの子は死ななっかた。」と言うと
「猫は飼い主を自分で決めるそうです。残された人がいろんなことを考えるが分かっていない。猫は自由に生きているんです。一緒に過ごした時が楽しかったでしょう。それでいいんです。」と。寝ているとチンがクロに見えて、そっくりだ。
 
クロの思い出を漫画に画いた。居眠りしながら、夢のなかで、話が次から次と出てきて、漫画が出来た。これを投稿した。
 
公園でうめさんに会って、「チンもクロも特別の猫だった。一緒に居た時間を考えて初めて分かった。」「すごく素敵です」「失敗したかな!!」「元気がないかと思っていた」。うめさんは弁当作ってくれていて、美味い。栄養バランスが大切とチンにおすそ分け。
 
ミツオは寝続けた。電話が鳴っても起きれなかった。電話が鳴り続けた。チンが公園を散歩してトカゲをくわえて帰ってきた。そのとき、電話は「採用」を伝え切れた。
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ミツオの想いが届きましたね。さわやかなラストでした。次に見る猫映画は「世界から猫が消えたなら」です。楽しみです。

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映画で猫をどう演技させる?『猫なんかよんでもこない。』監督インタビュー